EC事業者にとって日常的に起こる問題として、ECサイトを訪れたお客さまが、商品をカートに入れたにもかかわらず購入しないままサイトから離脱してしまう「カゴ落ち」があります。カゴ落ちはECサイトの売上が伸びない原因の一つであり、多くのEC事業者が頭を悩ませているのではないかと思います。
お客さまは、どうして途中で商品の購入をやめてしまうのでしょうか? そしてどのような対策をすれば、カゴ落ちを防ぐことができるのでしょうか? ここでは、カゴ落ちが発生する主な理由を紹介するとともに、どのような対策を取ればカゴ落ちを減らし、売上のアップにつなげることができるのかを詳しく解説していきます。
カゴ落ちとは
カゴ落ちとは、ECサイトに訪れたお客さまが商品をカートに入れたものの、精算をせずにサイトから離れてしまい、購入に至らなかったことを意味します。別名、「カート放棄」とも呼ばれます。カゴ落ちは、多くのECサイトに共通する問題であり、改善しなければ売上のロスが生じてしまいます。
いわゆる「カゴ落ちユーザー」は1度は商品を買い物カゴに入れているので、その商品に対して興味、関心を示しており、まったく購入意欲がないわけではありません。ですが、後述するようなさまざまな理由によってカゴ落ちは発生してしまうのです。
そもそも、カゴ落ちはどれぐらいの割合で発生しており、それによる売上への影響はどの程度に及ぶのでしょうか?
アメリカのBaymard Instituteの調査によると、世界のECサイトのカゴ落ち率の平均値は約70%となっています。つまり、10人うち約7人のECサイト訪問者が、ネットショッピングをするなかで商品を購入せずにECサイトから離脱してしまっているということです。
また、日本のイー・エージェンシーがおこなった調査によると、ネットショップの機会損失額は平均して売上の約2.5倍に上ることがわかりました。
このように、カゴ落ちによるECサイトの売上機会の損失は大きいことから、その理由はどこにあるのかを掴み、適切な対策を講じることは非常に重要だと言えます。
カゴ落ちの理由
まず、カゴ落ちはどのような理由によって発生するのかを見ていきましょう。カゴ落ちには、主に以下の5つの理由があります。
会員登録が手間
会員登録に手間がかかることは、カゴ落ちの理由の一つです。
ほとんどのECサイトでは、商品を購入するために会員登録をする必要があります。
ECサイト側としては、お客さまに会員登録をしてもらうことで、会員の購入分析をおこない、最適なプロモーション活動を実施することで、次回以降の購入を促すことが可能です。
また、お客さまにとっても、
一度会員登録をしておけば、買い物をするたびにクレジットカードの情報や住所を再入力する必要がないので、お客さまにとってメリットになります。
しかし、お客さまが初めてECサイトを利用する際、カートに商品を入れていざ購入しようとしたところでアカウントの登録を求められると面倒だと感じてしまうものです。入力する項目が多かったり、ショッピングには必要がない項目があったりすると、そこで購入する意欲が薄れ、途中で離脱するお客さまは少なくないと考えられます。
合計金額が高い
合計金額が思っていたより高いということも、カゴ落ちの大きな理由になります。
ECサイトで商品を購入する際には、商品の代金のほかに送料や手数料などのコストがかかります。しかし、ECサイトのなかには商品紹介ページでは商品の代金しか示されておらず、決済画面に進むまで送料などを含めた合計金額を確認することができないものもあります。ECサイトでは、予算を決めて計画的に買い物をするお客さまも多いものです。商品の代金は予算内におさまっていても、決済の段階になって送料や手数料が上乗せされると、合計金額が予算をオーバーしてしまうことがあります。そうすると、お客さまは「こんなに送料や手数料がかかるなら、今回は買うのはやめておこう」と考え、結果として決済せずにページから離脱する可能性があるのです。
決済手段の制限
よく利用する決済手段が使えない場合も、カゴ落ちの理由になります。
PCやスマホが普及したことによって、ECサイトで商品を購入する機会もかなり増えてきました。それにともない、オンライン上での決済も一般的になっています。ただし、お客さまの年齢や性別、ライフスタイルなどによって、よく利用する決済方法は多岐にわたります。例えば、家族会員で家族に購入履歴を知られたくないのでクレジットカードを使いたくないという方もいれば、年齢制限のためクレジットカードを持てない方もいます。
そのため、ECサイトで商品を購入する際に、一般的にECサイトの決済で利用されるクレジットカードだけでなく、多様な決済方法を選ぶことができないと、お客さまの購入意欲がそがれて、カゴ落ちにつながってしまうのです。
エラーの発生
ECサイトを利用している最中にエラーやクラッシュが発生することも、カゴ落ちの理由の一つとなります。
カートに商品を追加しているときや決済を進めているときにエラーやクラッシュが発生してページが落ちてしまうと、購入意欲が下がってお客さまが戻ってこなくなることも少なくありません。そのECサイトだけが取り扱っている商品であり、どうしても購入したいと思っていれば、再びサイトにアクセスして手続きを進めてくれるかもしれません。しかし、ほかのサイトでも購入できる商品であれば、「またエラーが発生して、同じ作業を繰り返すのは面倒だ」と考えて、カゴ落ちしたままになってしまうと考えられます。
また、表示スピードの遅さもカゴ落ちの原因になります。商品をカートに入れてもらえたとしても、決済ページへの移動が遅ければ、途中でお客さまがサイトから離脱する可能性は高まってしまうのです。
サイトへの不信感
お客さまがサイトに対する不信感を抱くことも、カゴ落ちにつながる理由になります。
誰もが知っているようなECサイトであれば、クレジットカードの情報を登録することに抵抗や不安は感じないと思われます。しかし、小規模な企業が運営している自社ECサイトなどの場合には、セキュリティ面やサービスへの信頼性に不安を抱くお客さまもいるでしょう。そのため、クレジットカードの情報を入力したくないと考え、カートに商品を入れたとしても、決済をする段階になってECサイトを離れてしまうことになるのです。
また、購入した商品を返品する際のルールや条件を示した「返品ポリシー」がECサイトに掲示されていなかったり、掲示されていても明確でなかったりすると、お客さまは不信感を抱くものです。例えば、保証期間が短い、開封後の返品が不可、送料がユーザー負担といったように、ECサイト側に有利な返品ポリシーだとお客さまの購買意欲は下がってしまいます。こうした不信感もお客さまが購入をためらう要因となり、結果的にカゴ落ちにつながる可能性があると言えます。
カゴ落ちの対策
以上のように、カゴ落ちはさまざまな理由で発生し、ECサイトの売上に少なからぬ影響を及ぼすことになります。ここ数年はコロナ禍の影響もあって、EC事業やWebビジネスにおける競争が激化しています。そうしたことから、カゴ落ちが生じる割合も年々増えてきており、カゴ落ち対策の重要性も増してきています。
そこで、お客さまの視点に立った対策を講じることによってカゴ落ちが生じるリスクを減らし、売上アップにつなげていきましょう。
会員登録の簡易化
ECサイトの会員登録を簡単にすることは、カゴ落ち対策として有効です。
カゴ落ちの理由の項目で述べたように、会員登録に手間がかかるとお客さまの購入意欲が下がり、カゴ落ちにつながるケースは少なくありません。そうした可能性を減らすためには、会員登録の際の入力フォームを少なくして会員登録への抵抗感を減らすのが効果的だと言えます。
また、会員登録をしなくても商品を購入することができるようなシステムを導入するのも、カゴ落ち防止対策として有効です。お客さまのなかには、会員登録自体をしたくないという方もいます。そのため、会員登録なしで商品を購入できるという選択肢を用意することも検討してみましょう。
金額の明確化・送料無料化
合計金額が高いという理由でカゴ落ちするのを防ぐためには、金額を明確化したり、送料を無料化したりすることが、有効な対策となります。
送料や手数料については、購入手続きより前の段階で、いくらかかるのかをお客さまに伝えておくようにしましょう。ショッピングカートに商品を入れる段階で送料や手数料がかかることがわかっていれば、それを理由に途中で購入手続きをやめたり、保留にしたりするのを防ぎやすくなります。お客さまが商品をカートに入れたときに、合計金額を表示する方法も有効です。
また送料や手数料などの商品以外のコストができるだけかからないようにすることも、カゴ落ちを防ぐポイントとなります。送料を無料にすることは非常にアピール度が高い対策ですが、購入金額が低い場合でも送料を無料にするとなると、事業者側の負担が厳しくなります。特定の商品に限って送料を無料にする、購入金額が一定の金額を超えたら送料を無料にするといった方法を検討してみると良いでしょう。
多くの決済への対応
決済方法が限定されていることによるカゴ落ちを防ぐには、できる限り多くの決済方法を用意しておく必要があります。クレジットカードを使いたくない方やクレジットカードを持てない若年層に向けて、コンビニ決済やキャリア決済、ID決済、後払い決済などの決済手段を用意しておくことが重要です。具体的には、以下のような決済方法に対応できるようにしておくと良いでしょう。
- クレジットカード決済
- コンビニ決済
- 代引き(代金引換)
- PayPay
- LINE Pay
- 楽天ペイ
- Paidy翌月支払い
システムの安定化
エラーやクラッシュが発生することによってお客さまが離脱することを避けるためには、ECサイトのシステムを安定させる必要があります。エラーが生じるのを防ぐために、入力フォームの最適化を図ったり、サーバーを強化してサーバーダウンが起こらないようにしたりしておきましょう。画面の表示スピードが遅いことも、お客さまがカゴ落ちする理由になる場合があります。サイトを軽くして、表示スピードが速くなるようにシステムの見直しを図ることも大切です。
運営会社やセキュリティ対策の明示
ECサイトに対する不安、不信感などからカゴ落ちが発生するのを防ぐためには、サイトの運営会社や実施しているセキュリティ対策などを明示して、お客さまの信頼性を高めることが大切です。
ECサイトを運営するためには、特定商取引法に基づく表記が必要です。特定商取引法に基づく表記には、事業者名、代表者、住所、連絡可能な電話番号、メールアドレス、決済や返品についての項目などを明示する必要があります。これらの項目はお客さまが安心して買い物をするために必要な情報であるので、表記をすることでお客さまからの安心、信頼を得ることにつながります。
ECサイトのセキュリティ対策としては、SSLサーバー証明書のロゴ表示、常時SSL対応などがあります。SSLサーバー証明書とは、SSL(入力した情報を暗号化してやり取りできるようにする仕組み)による暗号化通信、Webサイトの運営者の実在性の確認という二つの機能を持った電子証明書のことです。
これらの施策を講じていることをサイトに明示すると、個人情報を保護している安全なサイトであることがお客さまに伝わるので、ECサイトへの信頼が高まってカゴ落ちが発生するのを減らすことができます。
カゴ落ちユーザーへのアプローチ
カゴ落ちしたお客さまをECサイトに呼び戻すための一般的な方法として、リターゲティング広告やSNS、一斉配信メルマガ、ネット広告などがあります。ただし、これらの方法はEC事業者からの一方的なものであり、効果も限定的であるといった課題があります。そこで最近注目されているのが「カゴ落ちメール」です。カゴ落ちメールとは、カゴ落ちしたECサイトのお客さまに対して、カートに商品が残っているということを思い出してもらうために送信するメールのことです。カゴ落ちメールには、購買意欲をリマインドしてお客さまを再びサイトに呼び戻す、商品の購入を迷っているお客さまの背中を押すといった効果が期待されています。それに加え、お客さまがほかのECサイトへ流出するのを防ぐ効果も期待することができます。
ECサイトを利用しているお客さまのなかには、在庫を確保する、値段を比較するといった目的から、とりあえずカートに商品を入れておくという方もいます。そのため、時間の経過とともに、商品をカートに入れたこと自体を忘れてしまっているケースも少なくないと考えられます。そのようなお客さまには、カゴ落ちメールを送るのが効果的です。
ただし、カゴ落ちメールを送るタイミングや頻度を間違えると、お客さまに不信感を与えかねないので注意が必要です。効果的なカゴ落ちメールにするためには、以下のようなポイントを押さえておくと良いでしょう。
- 配信のタイミング
カゴ落ちしたお客さまのなかには、「忙しいときに商品をカゴに入れたが、購入するまで時間がなかった」「比較検討をしている段階である」「給料日まで待っている」など購入意欲がある方もいらっしゃいます。そのようなお客さまに早いタイミングでカゴ落ちメールを配信したり、何度も送ったりすると不快感を与えてしまい、逆効果となります。商品のカテゴリーや価格によってお客さまの反応は異なるので、試行錯誤しながら適切なタイミングを図る必要があります。
- メールの件名や見た目の配慮
カゴ落ちメールの件名は、お客さまがメールを開封するかどうかを判断する際の大きな決め手となります。購入の時期やメールの特性に合わせた件名を付けるようにしましょう。例えば、「お買い忘れはございませんか?」「カートに入ったまま、忘れている商品があります」「購入手続きが完了しておりません」といったように、お客さまの購入を手助けするような印象を与える件名が良いでしょう。
メールの開封率やクリック率を上げるためには、テキストだけでなくビジュアルで訴求しましょう。HTML形式でメールを作りカゴ落ちした商品を見せることで、再び購買意欲を持たせることができます。
- 配信の回数
カゴ落ちメールを送るのは、3回までが妥当であるとされています。それ以上になってしまうと、お客さまにしつこいという印象を与えてしまうので気を付けましょう。
最近では、カゴ落ちメールなどのカゴ落ち対策を提供するツールも登場していますので、カゴ落ちに悩んでいるEC事業者様は活用を検討してはいかがでしょうか。
GENIEE ENGAGEの紹介
株式会社ジーニーが提供している「GENIEE ENGAGE」は、WEBサイト上に設置している申込フォームに、情報を入力したにも関わらず離脱してしまったユーザーに対して、メール・SMSを活用して再アプローチするリマーケティングツールです。
従来、クッキーによってECサイトを訪れたお客さまの情報を収集し、リターゲティング広告を配信するなどの手法がおこなわれてきました。しかし、最近では個人情報保護の観点から脱クッキーが進んでおり、リマーケティングの手法は限られるようになっています。そんな中、カゴ落ち状態で再検討の可能性が高いお客さまに対して、クッキーの影響なしにピンポイントでアプローチすることができるのが「GENIEE ENGAGE」です。
その特徴としてメールやSMSの送信回数と送信のタイミングはカスタマイズすることで、お客さまに適切な形でリマインドを促し、メール開封率の向上ができることが挙げられます。さらに、商材の訴求に合わせたクリエイティブの無償制作とジーニーが独自に開発したAI機能によって、サービスごとに効果のいい訴求を提案しており、ChatGPTによるメッセージ自動作成機能と合わせて、CVRの最大化を図るのに役立てていただけます。
導入後は、最短1営業日~5営業日で施策の導入は完了し、その後は運用に必要なクリエイティブの作成や、配信時間・訴求内容に関するA/Bテストなど、お客さま専属の担当者が導入からCVR改善案を提供し続けますので、安心して任せることができます。
このようにCVR改善に最適な「GENIEE ENGAGE」は、化粧品・美容系、サプリ・健康食品といったECサイトだけでなく、不動産・人材系といったジャンルにおいても多く導入されています。またCV増加率は、サプリ・健康食品系で3.5%、化粧品・美容系で4.0%、人材系、不動産系では4.5%となっています。
その上、料金体系は成果報酬型で、ツールを介したコンバージョンが発生しなければ料金を請求されることはありません。つまり費用対効果のリスクが少なく、導入・運用することができます。カゴ落ち率を減らして、効果的に売上のアップを図りたいと考えているECサイト事業者の方は、ぜひ「GENIEE ENGAGE」の導入をご検討ください。
「GENIEE ENGAGE」資料のお申込みは下記フォームから
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