LTVとは
LTV(Life Time Valu)とは日本語で顧客生涯価値と言い、ある顧客が商品購入から終了までに生み出した利益の事を指します。商品購入は1度に限らず、複数回購入も想定されるため、LTVが長いほど売上は拡大します。
LTVが注目される理由
LTVが注目される理由として、以下が挙げられます。
新規顧客獲得の難化
少子高齢化により、2008年の1億2,808万人をピークに人口が減少している日本では、長期的には市場が縮小していきます。
また、サブスクリプションサービスの増加のように「所有から利用」という嗜好の変化、ライフスタイルの急激な変化などから価値観が多様化しつつある現在、画一的な施策は効果が表れにくく新規顧客獲得は難しくなっています。
このような理由により今後既存顧客の維持がビジネスの安定と拡大にますます重要になっていくと想定されるため、LTVが今以上に注目されてきています。
サブスクリプションサービスの増加
定額料金制のサブスクリプションサービスは、ユーザーにとって低価格から利用しやすいというメリットがあり、企業としても継続的な利益が見込める事からBtoC・BtoBサービスともに増加しています。
企業にとってはサービスを長期にわたって利用してもらうことが望ましく、ユーザーの離脱を防ぐためにもLTVが注目されています。
ファンマーケティングへの注目
新規顧客獲得の難化により既存顧客の維持が重要性を増していると述べましたが、それだけでなく、商品の複数回購入など、顧客単価を上げていく必要性があります。そうした中、商品・企業に対してファンとなってもらうファンマーケティングへの注目が高まっています。
現在ではSNSでユーザーが気に入ったサービスや商品を自ら紹介することも多々あるため、ファンマーケティングを活用することで広告費をかけずに宣伝ができる点も大きなメリットとなります。
これらの観点から、商品・企業イメージの向上が期待できるLTVが注目されています。
顧客に合わせたマーケティングの主流化
従来はテレビCMなど不特定多数に向けたマスマーケティングが主流でした。しかしインターネットの普及により、顧客の訪れた履歴・購入履歴などから顧客の嗜好の把握が容易となっています。
また、価値観が多様化しつつある中で画一的なマーケティングは効果が薄れ、顧客に合わせたマーケティングの重要性が高まっています。
そうした状況を受け、近年では「One to Oneマーケティング」と呼ばれる顧客に合わせたマーケティングが主流となっています。One to Oneマーケティングでは顧客のロイヤリティを高めファンとなってもらい、継続的に取引してもらうことが重要とされています。
その為、商品サービス利用の長期化にともなう顧客の生涯価値、すなわちLTVの重要性が高まっているのです。
LTVの計算方法
LTVの計算方法はビジネスモデルによって異なりますが、ここでは一般的な計算方法を紹介します。
LTV=平均顧客単価×購入頻度×収益率×平均継続期間
サブスクリプションサービスでは以下の計算方法が用いられます。
LTV = 平均購入単価 ÷ 解約率
このように、LTVの計算方法はビジネスモデルによって異なるため、ビジネスモデルに合った計算方法を選ぶことが重要です。
LTV向上のポイント
LTVを向上させるためのポイントとして、LTVの計算方法の各要素が重要となります。
平均顧客単価を上げる
LTV向上では、平均顧客単価の向上が重要です。別の商品も提案するクロスセルや、より単価が高い商品も提案するアップセルを行うことで平均顧客単価を上げることができます。
購入頻度を上げる
単価を上げるだけでなく、購入頻度を上げることでもLTVは向上します。しかし、購入頻度が上がっても顧客が離脱してしまってはLTVが低下してしまうため、イメージが悪化しないように気を付ける必要があります。
コストを抑える
ここまでは売上拡大によるLTV向上について説明してきました。しかし、それ以外にも
LTV向上は実現できます。商品のコストを抑え、収益率を向上させることでLTVが向上します。
継続期間を伸ばす
商品の継続期間を伸ばすことも重要です。継続期間を伸ばすことで安定的な収益が見込め、LTVが向上します。
LTV向上のためにはこれら4つのポイントすべてを実現するのが理想的ですが、場合によっては顧客の商品・企業に対するイメージが悪化し、商品の購入をやめてしまう可能性があるので、その点に気を付けながらLTVを向上させましょう。
LTVを最大化する方法
上記でLTV向上のためのポイントを説明しましたが、ここからは具体的にLTVを最大化する方法について説明していきます。
LTV向上では顧客に合わせたOne to Oneマーケティングが重要であると述べましたが、それには顧客の情報管理・分析やナーチャリングが重要となります。これらを解決する方法としてCRM(顧客管理システム)、MA(マーケティングオートメーション)の導入が挙げられます。
CRMでは顧客の情報を入力することで一括管理することができ、そこから情報の分析などをすることができます。MAでは見込み客の情報を一括管理し、効率的にナーチャリングを行うことができます。
また、見込み客以外に顧客の情報も管理できるため、既存顧客のファン化も期待できます。その結果、購入頻度など商品・サービスへの接触回数が上がり、顧客のすべてのサイクルを総合したLTVの最大化を実現できます。
CRMやMAを適切に用いて顧客の情報管理・分析を行うことで顧客のニーズや段階に合ったマーケティングが可能となります。CRMやMAなどのツールはサブスクリプション型の物も多いので、低価格からの導入が可能となっています。
まとめ
LTVとは顧客が商品利用開始から終了までに生み出す利益の事を指し、近年では競争の激化や価値観の多様化から主流化してきたOne to Oneマーケティングの中で重要なファクターとなっています。LTV向上のポイントは平均顧客単価・購入頻度の増加、コスト低下、継続期間延長であり、CRMやMAの活用によりLTVの最大化の実現が期待できます。
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