コールセンターの生産性を測る指標として「CPH」があります。この数値は1時間あたりの対応件数を示すものです。CPHを正しく理解すれば、業務効率の改善につなげられます。
しかし、数値だけを追い求めると品質低下を招く恐れがあります。そのため、他の指標と組み合わせた運用が欠かせません。

本記事では、CPHの基本から計算方法、改善策までを詳しく解説します。

CPHとは何か

ここではCPHの定義と業務範囲について解説します。

CPHの定義と意味

Call Per Hourの略称で、オペレーターが1時間に処理したコール件数を表します。この指標が高いほど、効率的に業務をこなしていると判断できるでしょう。コールセンターでは生産性評価の基本として広く活用されています。

ただし、数値の高さだけで優劣を決めることはできません。問い合わせ内容の複雑さによって、適切な水準は異なるからです。たとえば、簡易的な案内業務なら1時間に5〜6件が目安となります。一方、専門的な調査を伴う対応では1件程度が妥当な場合もあります。

CPHに含まれる業務範囲

電話応対そのものだけでなく、通話後の処理も1件としてカウントされます。具体的には、システムへの入力作業や履歴の記録などが該当します。そのため、応対スキルに加えてタイピング能力も数値に影響を与えます。

一般的に含まれる業務は、インバウンドコールとアウトバウンドコール、折り返し対応です。反対に、社内連絡やメール・チャット対応は除外されることが多いでしょう。顧客と直接やり取りする業務が対象となる点を押さえておきましょう。

CPHの計算方法

CPHの計算方法

ここでは個人単位とセンター全体での算出方法について解説します。

個人単位での算出方法

基本の計算式は「対応件数÷稼働時間」です。たとえば、7時間の勤務で30件を処理した場合を考えてみましょう。30÷7=4.29となり、1時間あたり約4.3件の対応となります。

この数値を日々記録することで、個人の生産性推移を把握できます。また、オペレーター間の比較にも活用できるでしょう。ただし、待ち呼時間が長い場合は想定より低くなる点に注意が必要です。稼働時間の定義を明確にしておくことが重要となります。

センター全体での算出方法

全体のCPHは「総対応件数÷総稼働時間」で求めます。50名のオペレーターが各6時間勤務し、合計1,200件を処理したケースで計算してみましょう。1,200÷(50×6)=4.0となり、センター全体では1時間あたり4件の対応となります。

この数値はセンターの生産性を俯瞰的に評価する際に役立ちます。月次や週次で推移を追えば、改善施策の効果測定にも使えるでしょう。個人とセンター全体の両方を見ることで、課題の所在を特定しやすくなります。

CPHと関連する指標

ここではATT・ACW・AHTや稼働率との関係について解説します。

ATT・ACW・AHTとの違い

CPHと併せて確認すべき指標がいくつかあります。以下の表で各指標の違いを整理しました。

指標正式名称計算式意味
ATTAverage Talk Time総通話時間÷対応件数1件あたりの平均通話時間
ACWAfter Call Work総後処理時間÷対応件数1件あたりの平均後処理時間
AHTAverage Handling TimeATT+ACW1件あたりの総処理時間
CPHCalls Per Hour対応件数÷稼働時間1時間あたりの対応件数

ATTが長ければ通話自体に時間がかかっていることを示します。ACWが長い場合は後処理に課題があると判断できるでしょう。AHTはこれらを合算した総合的な処理時間です。CPHを改善するには、ATTとACWのどちらがボトルネックかを見極める必要があります。

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稼働率との関係性

稼働率とは、勤務時間のうち実際に業務に従事した割合を指します。計算式は「(通話時間+後処理時間)÷(勤務時間−離席時間)」です。一般的には80〜85%が適正とされています。

稼働率が低すぎると、リソースを有効活用できていない状態です。逆に高すぎる場合は、オペレーターの疲労蓄積が懸念されます。CPHと稼働率を組み合わせて見ることで、より正確な生産性評価が可能となります。どちらか一方だけでは、現場の実態を見誤る恐れがあるでしょう。

CPHを改善する4つの方法

CPHを改善する4つの方法

ここではトークスクリプト・FAQ・教育・システムの観点から改善策を解説します。

トークスクリプトの見直し

効果的なスクリプトは対応時間の短縮に直結します。まず、ベテランオペレーターの対応を分析してみましょう。優れた応対パターンを抽出し、状況別に整理することが第一歩です。

重要な情報を先に伝える構成にすると、通話時間を削減できます。また、表現を簡潔にすることで、顧客の理解も早まるでしょう。ただし、過度に細かく作り込むと応用力が育ちにくくなります。適度な自由度を残すことがポイントです。

FAQの整備と活用

頻出する質問をFAQ化すれば、応対時間を短縮できます。問い合わせ履歴を分析し、よくある質問を抽出することから始めましょう。カテゴリー別に整理すると、オペレーターが素早く参照できます。

商品に関する質問、利用方法、トラブル対応などで分類するのが一般的です。画像や動画を活用すれば、視覚的にわかりやすくなります。さらに、顧客向けのFAQを充実させれば、問い合わせ自体を減らす効果も期待できるでしょう。

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オペレーター教育の強化

スキルアップは生産性向上の基盤となります。基礎研修に加えて、ロールプレイングを定期的に実施しましょう。実践的な練習を通じて、対応速度と品質の両方を高められます。

AHTが長いオペレーターと短いオペレーターを比較分析することも有効です。差が生じる原因を特定し、研修内容に反映させましょう。タイピング練習やシステム操作のトレーニングも欠かせません。個人だけでなくセンター全体で取り組むことで、底上げ効果が期待できます。

システム・ツールの導入

適切なツールを導入すれば、業務効率は大きく向上します。CTI(Computer Telephony Integration)を活用すると、着信時に顧客情報を自動表示できます。これにより、応対前の情報確認時間を削減できるでしょう。

音声認識ツールと生成AIを組み合わせれば、通話履歴の自動作成も可能です。後処理時間(ACW)の大幅な短縮につながります。また、問い合わせ管理ツールを導入すれば、対応状況の可視化や自動分類が実現します。テンプレート機能を活用することで、入力工数も削減できるでしょう。

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CPH改善時の注意点

CPH改善時の注意点

ここでは品質維持と複数指標での評価について解説します。

品質とのバランスを保つ

数値だけを追い求めると、応対品質が低下するリスクがあります。1件あたりの対応時間を無理に短縮すれば、顧客満足度は下がるでしょう。クレームの増加やリピート率の低下につながる恐れもあります。

CPHには業務内容に応じた適正値が存在します。複雑な問い合わせを扱うセンターでは、低めの数値でも問題ありません。重要なのは、目標値に近づけることです。高ければ良い、低ければ悪いという単純な評価は避けましょう。

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複数指標での総合評価

CPH単独での評価は不十分です。他の指標と組み合わせて総合的に判断する必要があります。以下の表に、併用すべき主な指標をまとめました。

指標評価できる内容
CPH1時間あたりの処理効率
AHT1件あたりの総処理時間
FCR(一次解決率)1回の対応で解決できた割合
CSAT(顧客満足度)顧客の満足度スコア
応答率着信に対して応答できた割合

これらを定期的にモニタリングすることで、改善ポイントを正確に把握できます。たとえば、CPHが高くてもFCRが低ければ、再問い合わせが多い状態です。数値の背景にある課題を読み解くことが、効果的な改善につながります。

よくある質問(FAQ)

Q1. CPHの目安はどのくらいですか?

業務内容によって大きく異なるため、一概には言えません。簡易的な案内業務であれば1時間に5〜6件が目安となります。一方、専門的な調査を伴う対応では1件程度が妥当な場合もあります。自社の業務特性に合わせて目標値を設定することが重要です。

Q2. CPHを上げると顧客満足度は下がりますか?

必ずしもそうとは限りません。迅速な対応によって満足度が向上するケースもあります。ただし、無理に短縮すると品質低下を招く恐れがあります。CPHと顧客満足度の両方をモニタリングしながら、バランスを取ることが大切です。

Q3. CPHとAHTの違いは何ですか?

CPHは1時間あたりの対応件数を示す指標です。一方、AHTは1件あたりの総処理時間(通話時間+後処理時間)を表します。両者は逆の関係にあり、AHTが短くなればCPHは高くなる傾向があります。どちらも生産性評価に欠かせない指標です。

Q4. CPH改善に最も効果的な施策は何ですか?

課題の所在によって異なります。通話時間が長い場合はトークスクリプトの見直しが有効です。後処理に時間がかかっている場合は、システム導入やFAQ整備が効果的でしょう。まずはATTとACWを分析し、ボトルネックを特定することから始めてください。

Q5. CPHはどのくらいの頻度で測定すべきですか?

日次・週次・月次など、複数の期間で測定することをおすすめします。日次では個人の変動を把握でき、週次・月次では傾向を分析できます。定期的なモニタリングにより、改善施策の効果測定や課題の早期発見が可能となります。

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まとめ

CPHはコールセンターの生産性を測る重要な指標です。1時間あたりの対応件数を示し、業務効率の把握に役立ちます。計算方法はシンプルで、「対応件数÷稼働時間」で求められます。

改善策としては、トークスクリプトの見直し、FAQの整備、オペレーター教育、システム導入の4つが挙げられます。ただし、数値だけを追い求めると品質低下を招く恐れがあります。ATTやACW、顧客満足度など他の指標と組み合わせて総合的に評価することが大切です。

BtoC企業にとって、顧客対応の効率化は競争力に直結します。CPHを正しく理解し、適切な目標設定と改善施策を実行していきましょう。本記事の内容を参考に、自社のコールセンター運営にお役立てください。

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