チャットボットの種類と特徴について

社内の問い合わせ対応やユーザーの問い合わせ対応にチャットボットを導入する企業が増えています。ユーザーからの問い合わせに対して自動的に回答をしてくれるツール、というイメージを持っている人も多いかもしれません。

確かにそうした機能を持つチャットボットもありますが、いわゆるAIを搭載したチャットボット(機械学習機能型やAI型と呼ばれます)は高価なため、導入している企業が少ない状況です。チャットボットには「ルールベース型」と「AI型(機械学習機能型)」があり、ルールベース型には一問一答型とシナリオ型があります。

今回はチャットボットの「AI型」と「ルールベース型」について説明とそれぞれの特徴を紹介し、AI型の活用シーンや選定ポイントなどについて説明していきます。

AI型チャットボットとは?

AIを搭載したチャットボットは、機械学習機能型チャットボットともいわれます。
AI型のチャットボットは様々なユーザーからの質問に対して、自動的に解析および学習を繰り返し、アルゴリズムによって正しい回答になる確率が高い返答を算出し、提示する仕組みとなっています。実際の活用までには膨大な学習データが必要となり、そのデータが不足していると会話として成り立たない回答や不適切な回答を提示してしまうこともあります。

2016年に、マイクロソフトがユーザーのメッセージに返答する人工知能ボット「Tay 」をリリースしましたが、人種差別的な発言によりリリースを早々に停止してしまったニュースを見たことがある人も少なくないと思います。これは世界各国の様々なメッセージに対して、AIが人種差別的なメッセージを理解できなかったために起こりました。AI型は適切なデータで様々な形で話しかけられるユーザーからの質問を想定し、適切に学習を繰り返し行わなければなりません。

【AI型チャットボットの特徴】

  • 自然な会話に近い回答を提示できる
  • 表現や表示の「ゆらぎ」に対応できる
  • 大量の質問が寄せられるサービスや複雑な質問への回答の導入に向いている
  • 運用期間が長く、多くの機械学習が行われるほど回答精度が高くなる

「ルールベース型」チャットボットとは?

AI(機械学習機能)非搭載型のチャットボットは、「ルールベース型」チャットボットと呼ばれています。
ルールベース型チャットボットはには「一問一答形式」と「シナリオ形式」の2種類があり、いずれもルールやシナリオを設定し、それに従った応対をします。
「一問一答型」は、ユーザーが質問文を入力し、チャットボットが回答を提示します。
「シナリオ型」は、ユーザーが質問内容を直接入力するのではなく、チャットボットが質問の内容やジャンルを選択肢で提示し、ユーザーの選択に対して適切な回答を提示していきます。両者ともAI(機械学習機能)型チャットボットとは異なり、機械学習は行いません。
したがって、質問が明確で簡潔な回答を継続的に提示する場合に向いているといえます。

【ルールベース型チャットボットの特徴】

  • 手続きの案内や店舗情報の提示など単純な質問の回答に向いている
  • 表現や表示のゆれに対応できない
  • 機器のトラブルやヘルプデスクなど、課題が特定できる対応に向いている
  • 選択肢によって適切な回答を提示できる
  • 突拍子もない回答を提示しない

AI型(機械学習機能型)チャットボットの利用シーン

AI型(機械学習機能型)チャットボットの導入が難しそうと思った方も多くいらっしゃると思いますが、ここからは様々な活用方法とより具体的なイメージをお伝えしていきたいと思います。

1ECサイト・・・Web接客、商品選定から決済まで誘導し新規顧客獲得、顧客満足度向上

ユーザーが探しているものをサイト内で素早く容易に見つけられるように誘導を行い、顧客体験の向上を行っている例が通販サイトを運営しているニッセンです。
24時間365日、ユーザーの疑問に気軽に対応し解決策を提示してくれます。探している商品の誘導も行ってくれるので機会損失を防ぐ役割も担っています。

1ECサイト・・・Web接客、商品選定から決済まで誘導し新規顧客獲得、顧客満足度向上

2コールセンター・・・電話の一次受付、事前ヒアリングによるオペレーターリソースの削減、オペレータ支援 教育コスト削減、顧客満足度の向上

民間の衛星放送を運営する誰もがご存じのWOWOWもチャットボットを利用しています。通常は電話でオペレーターが応対を行っていた業務の一部をチャットボットが代行することにより、加入や追加契約など各種手続きをWeb完結できるよう誘導しています。コールセンターの拡大を行うことなく、有人チャットとの連携で活用し、解決率の向上と顧客満足度の向上に寄与しています。

2コールセンター・・・電話の一次受付、事前ヒアリングによるオペレーターリソースの削減、オペレータ支援 教育コスト削減、顧客満足度の向上

3社内検索・・・検索・ナレッジの共有で社内の業務効率化

サッポログループでは社内の問い合わせ対応にチャットボットを活用しています。サッポログループでは労働生産性向上の一環として、減らしたい業務のひとつである社内問合せ対応をAI型チャットボットを導入し解決しました。
人事・経理・IT 各部門に寄せられる問い合わせのうち、45%がAIで案内可能と判定できる内容でした。更に、FAQが一元化されることにより検索時間が86.5%も短縮されたそうです。

3社内検索・・・検索・ナレッジの共有で社内の業務効率化

※出典:https://okbiz.jp/blog/interview/casestudy_sapporo-holdings/

4観光・・・ホテルやレストランの受付の自動化、多言語対応で外国人観光客にも対応し言語の壁と雇用問題の解決

観光の分野にもチャットボットは有効活用されています。高知市では、現地を訪れる観光客向けに、AI型チャットボットを導入して観光情報を案内しています。多言語に対応しており、外国人観光客も簡単に県内の観光・グルメ情報を探すことができます。

4観光・・・ホテルやレストランの受付の自動化、多言語対応で外国人観光客にも対応し言語の壁と雇用問題の解決

高知市役所https://www.city.kochi.kochi.jp/site/kanko/tosatrip.html/

4観光・・・ホテルやレストランの受付の自動化、多言語対応で外国人観光客にも対応し言語の壁と雇用問題の解決

沖縄県観光案内Webサイトhttps://www.city.naha.okinawa.jp/kurasitetuduki/soudan/aichatbot/aIchat4.html

5医療・・・予約・問い合わせの自動化やオンライン治療の一次ヒアリングなどに活用し受付の効率化

埼玉県ではチャット形式で気軽に相談が可能な「埼玉県AI救急相談」を提供しています。急な病気やけがの際に、家庭での対処方法や医療機関への受診の必要性について匿名で問い合わせることができ、利用者が選択した症状について、緊急度の判定を行いユーザーへ助言をしてくれます。いざという時でも手軽に活用でき、県民の安心につながります。

5医療・・・予約・問い合わせの自動化やオンライン治療の一次ヒアリングなどに活用し受付の効率化

埼玉県AI救急相談https://www.pref.saitama.lg.jp/a0703/aikyukyu.html

6飲食・・・予約業務の自動化

飲食業界では人手不足が課題となっています。消費者のニーズが店内飲食だけでなくテイクアウトや宅配などに拡大している昨今、業務効率化や生産性の向上が必須となっています。飲食店はネット予約が簡単にできる印象がありますが、現在でも50%ほどは電話予約というのが現状です。予約の一本化やデータ活用などによりコスト削減と売上拡大の効果が見込めます。更にリピーターへのクーポン発行などおもてなしにも貢献し、顧客満足度向上にもつながります。

AIチャットボット導入目的

AI型チャットボットは、導入しただけで課題が解決するわけではありません。むしろ、導入してからが改善に向けての始まりといってもいいでしょう。設計を行い、学習データを蓄積し、育成し、運用する必要があり、いずれのフェーズでも人の手が必ず必要になります。
一般的にAI型チャットボットはプログラミングの知識がないと運用が難しいこともあり、導入までのハードルが高く、さらに導入後にも行き詰まったり、追加の保守費用がかかったりするケースもあります。
チャットボットを導入する際には、チャットボットを活用する目的や解決したい課題を明確にし、チューニングを続けていくことが必要です。

【よくある導入目的の一例】

  1. コスト削減
  2. 顧客満足度の向上
  3. 業務効率化
  4. 機会損失をなくす
  5. 人件費の削減

チャットボットの選定方法

例えば、自社ECサイトにチャットボット導入する場合、商品ラインナップが数種類程度あれば、問い合わせの種類は多くても50~80件程度ではないでしょうか。
そのような場合は多く問い合わせられるよくある質問の対応に対し効率化をすることがチャットボット導入の目的となります。
問い合わせ内容がある程度パターン化されている場合は、AI非搭載型のチャットボットが適切となります。
AI搭載型のチャットボットはオーバースペックとなり、導入にも運用にも費用的にも負担となってしまいます。

まとめ:適材適所 どんな種類のチャットボットを選ぶべきか

チャットボットは、今や企業にとって欠かせないツールのひとつです。
しかし、多種多様なツールの中からユーザーニーズを満たすものを選定し、継続的にチューニングを行い改善していくことでユーザーの満足度の向上にも寄与します。
以上のことから、チャットボットを導入する際には必要な用途・目的を明らかにした上で、適切なツールを比較検討することが大切です。

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GENIEE CX NAV1 編集部

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