ECサイトや予約サービスを運営していると、「同じ質問が何度も寄せられる」「営業時間外の問い合わせに対応できない」といった課題に直面することがあります。こうした悩みを解決する手段として注目されているのが、FAQチャットボットです。

FAQチャットボットとは、よくある質問(FAQ)のデータベースとチャットボットを連携させ、顧客からの問い合わせに自動で回答するシステムを指します。従来のFAQページでは、顧客自身が検索して回答を探す必要がありましたが、FAQチャットボットであれば会話形式で質問を入力するだけで、適切な回答へと導いてくれます。

とりわけBtoC企業においては、購入前の疑問解消や会員登録時のサポートなど、顧客接点の多い場面で効果を発揮します。本記事では、FAQチャットボットの基本的な仕組みから導入メリット、選び方のポイントまでを詳しく解説していきます。24時間対応による顧客満足度の向上や、問い合わせ対応コストの削減を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。

FAQチャットボットとは

FAQチャットボットとは

ここではFAQチャットボットの基本的な定義や仕組み、従来のFAQシステムとの違いについて解説します。

FAQチャットボットの定義と仕組み

FAQチャットボットとは、よくある質問とその回答をデータベース化し、チャット形式で自動応答するシステムのことです。顧客がWebサイトやアプリ上で質問を入力すると、登録されたFAQの中から最適な回答を抽出して表示します。

従来の電話やメールによる問い合わせ対応では、オペレーターが一件ずつ対応する必要がありました。しかしFAQチャットボットを導入すれば、定型的な質問への回答を自動化できるため、対応工数を大幅に削減できます。たとえばECサイトであれば「送料はいくらですか」「返品はできますか」といった頻出の質問に、即座に回答を提示することが可能です。

また、チャットボットが対応しきれない複雑な質問については、有人対応へスムーズに引き継ぐ設計も一般的になっています。このように、自動対応と有人対応を組み合わせることで、顧客満足度を維持しながら業務効率化を実現できる点が大きな特徴といえます。

FAQシステムとの違い

FAQシステムとFAQチャットボットは、どちらも顧客の自己解決を促すツールですが、その仕組みと特性には明確な違いがあります。両者の違いを理解することで、自社に適したツールを選択しやすくなります。

比較項目FAQシステムFAQチャットボット
回答方法顧客が検索して回答を探す会話形式で回答を提示
回答スピード検索に時間がかかる場合がある即時に回答を表示
情報量図表・動画など詳細な説明が可能テキスト中心で簡潔な回答向き
適したQ&A数300件以上の大量Q&Aに対応300件以下が目安
ユーザー層情報収集に慣れた顧客向けスマホ操作に慣れた顧客向け

FAQシステムは、顧客自身がキーワードを入力して回答を検索する形式です。そのため、顧客側に「何を調べたいか」という明確な意図が求められます。一方でFAQチャットボットは、曖昧な質問でも対話を通じて意図を絞り込み、適切な回答へ誘導できる点が強みです。

したがって、複雑な説明が必要な場合や大量のQ&Aを管理したい場合はFAQシステムが適しています。反対に、即時性を重視する場合や、スマートフォンユーザーが多い場合はFAQチャットボットが効果的です。

シナリオ型とAI型の特徴

FAQチャットボットには、大きく分けてシナリオ型とAI型の2種類があります。それぞれの特徴を把握したうえで、自社の運用体制や予算に合ったタイプを選ぶことが重要です。

シナリオ型チャットボットは、あらかじめ設定した選択肢に沿って会話を進める方式です。「お問い合わせ内容を選んでください」といった形で選択肢を提示し、顧客の回答に応じて次の質問や回答を表示します。設定がシンプルで導入コストを抑えやすい反面、想定外の質問には対応しにくいという制約があります。

一方、AI型チャットボットは自然言語処理技術を活用し、顧客が自由に入力した文章から意図を読み取って回答します。「明日届きますか」「配送日を知りたい」といった異なる表現でも、同じ意図として認識できる点が特徴です。ただし、精度を高めるには学習データの蓄積が必要であり、導入・運用コストはシナリオ型より高くなる傾向にあります。

近年では、シナリオ型とAI型を組み合わせたハイブリッド型も登場しています。基本的な質問はシナリオで対応し、複雑な質問はAIが処理するといった使い分けにより、コストと精度のバランスを取ることが可能です。

▼関連記事:AIチャットボットとは?導入メリット・選び方・成功事例を解説

FAQチャットボット導入のメリット

FAQチャットボット導入のメリット

ここではFAQチャットボットを導入することで得られる具体的なメリットについて解説します。

24時間対応による顧客満足度向上

FAQチャットボットの最大のメリットは、24時間365日、休むことなく顧客対応ができる点です。深夜や休日であっても、顧客は疑問をその場で解決できるため、購入や予約の機会損失を防ぐことができます。

たとえば、旅行予約サイトでは「キャンセル料はいつから発生しますか」「予約の変更方法を教えてください」といった質問が夜間にも多く寄せられます。こうした質問にFAQチャットボットが即座に回答できれば、顧客は翌営業日まで待つ必要がなくなります。結果として、顧客のストレスが軽減され、サービスへの信頼感が高まるのです。

さらに、即時回答によって顧客の離脱を防ぐ効果も期待できます。疑問を抱えたまま放置されると、顧客は競合サービスへ流れてしまう可能性があります。しかしFAQチャットボットがあれば、その場で疑問を解消し、購入や会員登録といったアクションへスムーズに誘導できます。

問い合わせ対応コストの削減

FAQチャットボットを導入することで、オペレーターの対応工数を大幅に削減できます。定型的な質問への回答を自動化すれば、オペレーターはより複雑な問い合わせや、個別対応が必要なケースに集中できるようになります。

加えて、対応品質の均一化という効果も見逃せません。オペレーターによる対応では、経験やスキルによって回答内容にばらつきが生じることがあります。しかしFAQチャットボットであれば、常に同じ品質の回答を提供できるため、顧客体験の一貫性を保つことができます。

▼関連記事:問い合わせ対応を効率化する方法と改善のコツ

顧客データの収集と活用

FAQチャットボットは、顧客との対話履歴を蓄積できるため、マーケティングやサービス改善に活用できるデータを収集できます。どのような質問が多いのか、どの時間帯に問い合わせが集中するのかといった情報は、顧客理解を深めるうえで貴重な資産となります。

たとえば、特定の商品に関する質問が急増している場合、商品ページの説明が不十分である可能性が考えられます。この情報をもとにページを改善すれば、問い合わせ件数のさらなる削減と、購入率の向上を同時に実現できます。

また、チャットボットの対話データを分析することで、顧客が購入を躊躇するポイントを特定することも可能です。「送料が高い」「返品条件がわかりにくい」といった声が多ければ、それらの情報をより目立つ位置に掲載するなどの改善策を講じられます。このように、FAQチャットボットは単なる問い合わせ対応ツールにとどまらず、顧客インサイトを得るための情報収集ツールとしても機能します。

FAQチャットボットの選び方

FAQチャットボットの選び方

ここではFAQチャットボットを選定する際に確認すべきポイントについて解説します。

導入目的の明確化

FAQチャットボットを選ぶ前に、まず導入目的を明確にすることが不可欠です。目的が曖昧なまま導入を進めると、期待した効果が得られないばかりか、運用が形骸化してしまうリスクがあります。

BtoC企業における主な導入目的としては、問い合わせ対応コストの削減、顧客満足度の向上、購入率や予約率の改善などが挙げられます。たとえば「電話問い合わせを30%削減したい」「夜間の離脱率を改善したい」といった具体的な数値目標を設定することで、導入後の効果測定がしやすくなります。

さらに、どのような質問に対応させたいのかを洗い出すことも重要です。商品の仕様に関する質問が多いのか、配送や返品に関する質問が多いのかによって、必要な機能や設定内容が変わってきます。現状の問い合わせ内容を分析し、自動化すべき範囲を明確にしておきましょう。

機能と費用のバランス

FAQチャットボットの導入費用は、機能やサービス内容によって大きく異なります。高機能なツールほど効果が高いとは限らないため、自社の目的と予算に見合った選択が求められます。

検討項目確認ポイント
初期費用導入時の設定費用、カスタマイズ費用
月額費用利用料金、従量課金の有無
対応チャネルWebサイト、LINE、アプリなど
AI機能自然言語処理の精度、学習機能の有無
分析機能対話ログの確認、レポート出力
サポート体制導入支援、運用サポートの内容

シナリオ型であれば月額数万円から導入できるサービスもありますが、AI型や高度な分析機能を備えたサービスでは月額数十万円以上になることもあります。まずは無料トライアルやデモを活用し、実際の操作感や機能を確認したうえで判断することをおすすめします。

また、将来的な拡張性も考慮に入れるべきです。事業の成長に伴ってQ&A数が増加したり、対応チャネルを追加したりする可能性がある場合は、柔軟にスケールできるサービスを選んでおくと安心です。

運用体制の確認

FAQチャットボットは導入して終わりではなく、継続的な運用と改善が成果を左右します。そのため、自社の運用体制に合ったサービスを選ぶことが重要です。

まず確認すべきは、Q&Aの追加や修正がどれだけ簡単にできるかという点です。専門的なIT知識がなくても操作できる管理画面を備えているか、直感的に編集できるかどうかをチェックしましょう。運用担当者の負担が大きいと、更新が滞り、回答精度が低下してしまいます。

次に、サービス提供元のサポート体制も確認しておきたいポイントです。導入時の設定支援だけでなく、運用開始後の改善提案やトラブル対応まで含めたサポートがあると、安心して運用を続けられます。とくに初めてFAQチャットボットを導入する場合は、手厚いサポートがあるサービスを選ぶとスムーズです。

FAQチャットボットの比較表(選定チェックリストあり)

FAQチャットボットは製品ごとに強みが異なります。自社の課題や運用体制に合った製品を選ぶには、比較軸を固定して評価することが重要です。ここでは「要件→選択」の流れで判断できる比較表と、導入前に確認すべきチェックリストを紹介します。

製品タイプ別の比較表

FAQチャットボットは大きく5つのタイプに分類できます。それぞれ得意領域が異なるため、自社の優先課題に合わせて選びましょう。

タイプ特徴向いている企業・用途
AI精度改善型対話ログを学習し、回答精度を継続的に高める問い合わせ分析を重視し、高精度な自動応答を目指す企業
AI+シナリオ併用型自然言語応答と手順誘導(フロー)を両立できる手続き案内とFAQ回答の両方が必要な業務
生成AI活用型既存資料を参照してリアルタイムに回答を生成する多様な質問への対応やFAQ自動作成を重視する場合
カスタマーサポート網羅型FAQ応答に加え、問い合わせ管理やCRM連携まで一括対応大規模サポートセンターでワンストップ管理したい企業
マルチチャネル対応型Web・LINE・SNS・アプリなど複数チャネルで同一品質の応答を提供顧客接点が多チャネルに分散している事業

自社の優先課題を明確にし、それに合うタイプを選ぶことが成功の近道となります。

機能別の比較軸一覧

製品を比較する際は、以下の軸で評価すると判断しやすくなります。自社に必要な機能を事前に洗い出しておきましょう。

比較軸確認ポイント
自動応答精度AIの学習機能や検索マッチングの仕組みはどうか
FAQ・ナレッジ学習既存FAQ(PDF/CSV/URL等)を読み込めるか
有人チャット連携オペレーターへのスムーズな引き継ぎは可能か
多言語対応対応言語の種類と翻訳精度は十分か
ダッシュボード・分析自己解決率や検索キーワードを可視化できるか
外部システム連携CRM・基幹システム・認証連携は対応しているか
マルチチャネル対応LINE・Slack・Teams・SNS等への展開は可能か
生成AI機能FAQ自動生成・参照ソース表示・誤回答抑止はあるか
導入のしやすさノーコードGUIやExcel編集で運用できるか
セキュリティ権限管理やデータ保護のレベルは要件を満たすか

すべての機能を網羅する必要はありません。自社の課題解決に直結する軸を3〜5つ選び、優先順位をつけて比較することをおすすめします。

導入前チェックリスト

製品選定で失敗しないために、以下の項目を事前に確認しておきましょう。社内で合意を取る際にも役立ちます。

【要件の明確化】

  •  導入の主目的は何か(自己解決率向上/有人負担削減/多言語対応など)
  •  必要なチャネルはどこか(Webのみ/LINE・SNS・社内ツール)
  •  既存FAQやマニュアルはどの形式で保有しているか(PDF/Excel/URL等)

【応答品質と安全性】

  •  生成AIの誤回答対策(参照ソース表示・信頼度設定)は十分か
  •  回答の根拠を開示し、手動で編集できる仕組みはあるか
  •  セキュリティ要件(業種の法規制・データ保護)を満たしているか

【運用体制と連携】

  •  有人チャットへのエスカレーション手順は明確か
  •  CRMや基幹システムとの連携で自動化したい業務はあるか
  •  運用担当者のスキルに合った管理画面(ノーコード等)か

【コストと導入スピード】

  •  料金体系(月額固定/ユーザー課金/問い合わせ数課金)は予算に合うか
  •  導入から運用開始までの期間は許容範囲内か
  •  導入時のサポート(設定支援・トレーニング)は提供されるか

このチェックリストを埋めてから製品比較に入ると、選定の軸がブレにくくなります。複数の候補を並べて評価する際は、各項目の優先度を「必須/あれば良い/不要」の3段階で整理しておくと効率的です。

タイプ別:どれを選ぶべきか(代表例つき)

FAQチャットボットは製品によって得意分野が異なります。「どれが良いか」ではなく「自社に合うのはどれか」で選ぶことが重要です。ここでは5つのタイプに分け、それぞれの向き・不向きと代表的な製品例を紹介します。

AI精度改善型

対話ログを継続的に学習し、回答精度を高めていくタイプです。ユーザーの質問傾向を分析しながら、自動で応答品質を改善できる点が強みとなります。

向いている条件:問い合わせ件数が多く、データを蓄積しやすい企業に適しています。また、回答精度を重視し、長期的な改善サイクルを回せる運用体制がある場合にも効果的でしょう。

向かない条件:一方で、問い合わせ件数が少ない場合は学習データが不足しがちです。短期間で成果を求めるケースにも不向きといえます。

代表的な製品例 PKSHA ChatbotsAI Chatなど

AI+シナリオ併用型

自然言語によるAI応答と、選択肢で誘導するシナリオ型を組み合わせたタイプです。質問内容に応じて最適な回答方式を使い分けられる柔軟性が特徴となっています。

向いている条件:手続き案内とFAQ回答の両方が必要な業務に最適です。具体的には、申込フローの誘導と一般的な質問対応を一つのボットで完結させたい場合に力を発揮します。

向かない条件:シンプルなFAQ対応だけで十分な場合は、機能が過剰になりやすいでしょう。設定の手間も増えるため、運用リソースが限られる企業には負担となる可能性があります。

代表的な製品例 KARAKURI chatbotChatPlusなど

生成AI活用型

既存のマニュアルやFAQドキュメントを参照し、生成AIがリアルタイムで回答を作成するタイプです。FAQ登録の手間を大幅に削減できる点が魅力となっています。

向いている条件:FAQの整備が追いついていない企業や、多様な質問に柔軟に対応したい場合に有効です。ドキュメントが充実していれば、短期間で運用を開始できるメリットもあります。

向かない条件:ただし、誤回答リスクへの対策が必須となります。金融・医療など正確性が求められる業種では、回答の監修体制を整える必要があるでしょう。

代表的な製品例 HelpfeelOfficeBotなど

カスタマーサポート網羅型

FAQ応答だけでなく、問い合わせ管理やCRM連携まで一括で対応できるタイプです。サポート業務全体を一つのプラットフォームで完結させたい企業に向いています。

向いている条件:大規模なサポートセンターを運営している企業に最適です。チケット管理や顧客情報との連携を重視し、ワンストップで業務効率化を図りたい場合に効果を発揮します。

向かない条件:反面、機能が多いため導入コストは高めになりがちです。小規模チームやシンプルなFAQ対応だけを求める場合には、オーバースペックとなる恐れがあります。

代表的な製品例 ZendeskFreshdeskなど

マルチチャネル対応型

Web・LINE・SNS・社内ツールなど、複数のチャネルで同一品質の応答を提供できるタイプです。顧客接点が分散している企業にとって、運用効率を大きく高められます。

向いている条件:ECサイトとLINE公式アカウントを併用している場合や、社内外で同じFAQを展開したい企業に適しています。チャネルごとに別々のツールを管理する手間を省けるのが利点です。

向かない条件:Webサイトのみで完結する場合は、マルチチャネル機能が不要となります。チャネル数に応じて料金が上がる製品もあるため、コスト面の確認が欠かせません。

代表的な製品例 GENIEE CHATなど

選定時のポイントまとめ

どのタイプを選ぶかは、以下の3つの軸で判断すると迷いにくくなります。

  1. 優先課題は何か:精度向上/運用効率化/多チャネル展開など
  2. 運用体制はどうか:専任担当の有無、IT部門の関与度合い
  3. 既存資産は何があるか:整備済みFAQ、マニュアル、CRMなど

製品名だけで選ぶのではなく、自社の条件に合うタイプを先に絞り込むことが、導入成功への近道となります。

FAQチャットボット導入の注意点(AI/生成AI・セキュリティ)

FAQチャットボット導入の注意点(AI生成AI・セキュリティ)

AIや生成AIを活用したFAQチャットボットは、業務効率化に大きく貢献します。しかし、導入時にはリスク対策も欠かせません。ここでは「誤回答対策」「個人情報・機密の扱い」「運用ガバナンス」の3つの観点から、押さえておくべきポイントを解説します。

誤回答対策(根拠表示・回答範囲の制限)

生成AIを活用したチャットボットは、柔軟な応答ができる反面、誤った情報を出力するリスクがあります。いわゆる「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる現象で、事実と異なる内容をもっともらしく回答してしまうケースです。

このリスクを抑えるには、まず回答の根拠を明示する仕組みが有効となります。具体的には、参照元のFAQやドキュメントを回答と一緒に表示する機能です。ユーザーは情報の出典を確認でき、誤回答に気づきやすくなります。

また、回答範囲を制限することも重要な対策です。生成AIが自由に回答を作成するのではなく、事前に登録したナレッジベースの範囲内でのみ応答させる設定を行いましょう。範囲外の質問には「お答えできません」と返す、または有人対応へ誘導する設計が安全です。

さらに、信頼度スコアを活用する方法もあります。AIが回答に自信を持てない場合は、自動で有人エスカレーションに切り替える仕組みを導入すると、誤回答の露出を最小限に抑えられるでしょう。

個人情報・機密情報の扱い(入力制御・マスキング)

チャットボットでは、ユーザーが意図せず個人情報を入力してしまうケースがあります。氏名・電話番号・クレジットカード情報などが該当し、適切に管理しなければ情報漏えいにつながりかねません。

まず検討すべきは、入力制御の仕組みです。個人情報の入力を検知した際に警告を表示したり、送信をブロックしたりする機能を備えた製品を選びましょう。ユーザーに注意喚起することで、不用意な情報入力を防げます。

次に、マスキング機能の有無も確認が必要です。万が一、個人情報が入力された場合でも、ログ上では自動的に伏せ字処理を行う仕組みがあれば、管理者が閲覧する際のリスクを軽減できます。

加えて、データの保存場所と保存期間にも注意を払いましょう。クラウド型の場合、サーバーの所在地や暗号化の有無を確認することが大切です。業種によっては、オンプレミス型やプライベートクラウドを選択する必要があるかもしれません。金融・医療・官公庁など、厳格なセキュリティ基準が求められる業界では、導入前に情報システム部門との連携が不可欠となります。

運用ガバナンス(監修体制・ログ管理)

チャットボットは導入して終わりではありません。継続的な監修とログ管理によって、品質を維持・向上させる体制が求められます。

まず、回答内容の監修フローを整備しましょう。AIが生成した回答をそのまま公開するのではなく、担当者がチェックしてから反映する運用が理想的です。特に、新しいFAQを追加する際や、回答内容を更新する際には、複数人での確認プロセスを設けると安心できます。

また、対話ログの定期的な確認も欠かせません。ユーザーがどのような質問をしているか、どこで離脱しているかを分析することで、改善ポイントが見えてきます。未回答の質問や低評価の回答を抽出し、FAQの追加・修正に活かす仕組みを作りましょう。

さらに、権限管理の設計も重要な要素です。誰がFAQを編集できるか、誰がログを閲覧できるかを明確に定めておく必要があります。編集履歴を残せる製品であれば、変更内容のトレーサビリティも確保できるでしょう。

運用ガバナンスを軽視すると、回答品質の低下やセキュリティ事故につながりかねません。導入前の段階で、運用ルールと責任者を明確にしておくことを強くおすすめします。

FAQチャットボット導入の流れ

FAQチャットボット導入の流れ

ここではFAQチャットボットを導入する際の具体的なステップについて解説します。

導入前の準備

FAQチャットボットを効果的に運用するためには、導入前の準備が成否を分けます。まず取り組むべきは、現状の問い合わせ内容の分析です。過去の問い合わせ履歴を確認し、頻出する質問をリストアップしましょう。

次に、リストアップした質問に対する回答を整理します。既存のFAQページやマニュアルがあれば、それらを活用して回答文を作成できます。回答は簡潔でわかりやすい表現を心がけ、専門用語は必要に応じて補足説明を加えると親切です。

また、チャットボットの設置場所も事前に決めておく必要があります。ECサイトであれば商品ページやカート画面、予約サービスであれば予約フォーム付近など、顧客が疑問を感じやすいタイミングで表示されるよう配置を検討しましょう。設置場所によって利用率が大きく変わるため、慎重に判断することが大切です。

設定と公開までのステップ

準備が整ったら、実際にFAQチャットボットの設定を進めます。一般的な導入ステップは以下のとおりです。

まず、Q&Aデータをチャットボットに登録します。シナリオ型であれば、質問の分岐と回答の流れを設計し、選択肢を設定していきます。AI型の場合は、質問文と回答文のペアを登録し、類似表現のバリエーションも追加しておくと精度が向上します。

続いて、チャットボットのデザインや表示設定を行います。自社サイトのデザインに合わせた配色やアイコンを設定し、違和感のない見た目に仕上げましょう。ウェルカムメッセージや、回答できなかった場合の案内文も忘れずに設定します。

設定が完了したら、公開前にテスト運用を実施します。社内メンバーに実際に操作してもらい、想定どおりの回答が表示されるか、不自然な挙動がないかを確認します。問題がなければ本番環境に公開し、運用を開始します。

導入後の運用と改善

FAQチャットボットは、導入後の継続的な改善によって効果が高まります。公開直後は想定外の質問が寄せられることも多いため、対話ログを定期的に確認し、回答できなかった質問を把握することが重要です。

回答できなかった質問については、新たなQ&Aとして追加するか、既存の回答を修正して対応範囲を広げましょう。また、回答後の顧客の反応(解決したか、追加の質問があったかなど)を分析することで、回答内容の改善点を見つけられます。

さらに、定量的な効果測定も欠かせません。チャットボットの利用率、回答率、有人対応への引き継ぎ率などの指標を定期的にモニタリングし、目標との差異を確認します。改善施策を実行したら、その効果を数値で検証するというサイクルを回すことで、FAQチャットボットの価値を最大化できます。

FAQチャットボットで成功した事例

ここではFAQチャットボットを導入し、成果を上げた企業の事例について解説します。

ラッシュジャパンの成功事例

化粧品ブランド「LUSH」を展開するラッシュジャパン合同会社では、ECサイトのカスタマーサポート部門に月間3,200件もの問い合わせが寄せられていました。この課題を解決するため、検索型FAQシステム「Helpfeel」を導入し、顧客向けFAQと店舗スタッフ向けナレッジ共有の一元化を図りました。

その結果、導入初月から問い合わせ率が前月比で約24%から約19%へと減少し、運用開始4ヶ月で約10%の削減を達成しています。さらに、社内のレジ周りに関する問い合わせも約30%削減され、FAQ導線の整備によってラッピング売上が前年比1.2倍に増加するという副次的な効果も生まれました。
出典:https://www.helpfeel.com/works/lush-ec 

マガシークの成功事例

ファッション通販サイト「MAGASEEK」を運営するマガシーク株式会社では、ヘルプページにAIチャットボット「sAI Chat」を導入しました。シナリオ型とAI型を組み合わせたハイブリッド対応により、顧客からの多様な質問に柔軟に対応できる体制を構築しています。

導入の結果、年間26%の問い合わせ削減を実現しました。単なる業務効率化にとどまらず、チャットボットを通じて顧客との新たなコミュニケーションが生まれ、顧客接点の質的向上にも貢献しています。
出典:https://saichat.jp/saichat/saichat-case/magaseek/ 

小林製薬の成功事例

医薬品・日用品メーカーの小林製薬株式会社では、お客様相談室にシナリオ型チャットボット「MOBI BOT」を導入しました。消費者からの製品に関する問い合わせに24時間対応できる体制を整え、FAQサイトでの自己解決率向上を目指しました。

継続的な改善を重ねた結果、お客さま満足度97%を達成しています。BtoC企業にとって、顧客満足度の維持・向上は売上やブランドイメージに直結する重要な指標であり、FAQチャットボットがその実現に貢献した好例といえます。
出典:https://mobilus.co.jp/press-release/32883 

よくある質問(FAQ)

Q1. FAQチャットボットの導入にはどれくらいの費用がかかりますか?

FAQチャットボットの費用は、機能やサービス内容によって大きく異なります。シナリオ型の比較的シンプルなサービスであれば、月額数万円程度から導入できるものもあります。一方、AI型や高度な分析機能を備えたサービスでは、月額数十万円以上になることもあります。初期費用が別途発生するケースもあるため、導入前に総コストを確認することをおすすめします。

Q2. FAQチャットボットとFAQページはどちらを導入すべきですか?

どちらが適しているかは、自社の状況や顧客層によって異なります。即時性を重視する場合や、スマートフォンユーザーが多い場合はFAQチャットボットが効果的です。一方、複雑な説明が必要な場合や、大量のQ&Aを管理したい場合はFAQページが適しています。両者を連携させ、チャットボットからFAQページへ誘導する方法も有効です。

Q3. FAQチャットボットの導入にはどれくらいの期間がかかりますか?

導入期間は、ツールの種類やQ&Aの準備状況によって異なります。シナリオ型でQ&Aが整理されている場合は、数週間程度で導入できることもあります。AI型の場合は、学習データの準備やチューニングに時間がかかるため、1〜3か月程度を見込んでおくとよいでしょう。導入支援が充実したサービスを選ぶと、スムーズに進められます。

Q4. FAQチャットボットで対応できない質問はどうなりますか?

多くのFAQチャットボットには、対応できない質問を有人対応へ引き継ぐ機能が備わっています。チャットボットが回答できなかった場合に、電話やメールでの問い合わせを案内したり、オペレーターへ直接つないだりする設定が可能です。自動対応と有人対応を組み合わせることで、顧客満足度を維持しながら効率化を図れます。

Q5. FAQチャットボットの効果を測定するにはどうすればよいですか?

効果測定には、チャットボットの利用率、回答率、有人対応への引き継ぎ率などの指標を活用します。多くのサービスでは、管理画面からこれらのデータを確認できるレポート機能が提供されています。また、導入前後で問い合わせ件数や顧客満足度がどう変化したかを比較することで、投資対効果を把握できます。

まとめ

FAQチャットボットは、顧客からの問い合わせに自動で回答し、24時間対応を実現するツールです。BtoC企業においては、購入前の疑問解消や会員登録時のサポートなど、顧客接点の多い場面で効果を発揮します。

導入のメリットとしては、24時間対応による顧客満足度の向上、問い合わせ対応コストの削減、顧客データの収集と活用が挙げられます。とくに、定型的な質問への対応を自動化することで、オペレーターの負担を軽減しながら、顧客体験の質を維持できる点は大きな魅力です。

一方で、FAQチャットボットを効果的に運用するためには、導入目的の明確化、自社に合ったツールの選定、継続的な改善が欠かせません。シナリオ型とAI型の違いを理解し、予算や運用体制に応じた選択を行いましょう。

導入後は対話ログを分析し、回答精度の向上やQ&Aの拡充を継続的に行うことが成功の鍵となります。FAQチャットボットを活用して、顧客満足度の向上と業務効率化の両立を目指してみてはいかがでしょうか。

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