総務や人事、情報システム部門の皆様にとって、日々寄せられる「社内からの問い合わせ対応」は大きな負担となっていないでしょうか。マニュアルを見れば解決するはずの質問に何度も答えたり、電話対応で本来の業務が中断されたりと、業務効率の低下に悩む声は少なくありません。

この記事では、そんな課題を解決する「社内チャットボット」について、基礎知識から選び方、導入手順までを詳しく解説します。読み終わる頃には、自社に最適なツールを選定し、業務改善への第一歩を踏み出せるようになります。

社内チャットボットとは?

社内チャットボットは、従業員からの問い合わせに対して自動で回答を行うプログラムのことです。
近年、働き方改革やリモートワークの普及に伴い、バックオフィス部門の業務効率化ツールとして注目を集めています。
ここでは、その特徴と従来のシステムとの違いについて解説します。

社内問い合わせ特化型の特徴

社内向けに特化したチャットボットは、顧客向けのそれとは異なる特徴を持っています。
主な目的は、社員が業務中に抱く疑問を自己解決できるようにすることです。
そのため、社内用語や独自の就業規則、IT機器の設定方法など、組織固有の情報を正確に学習・検索できる機能が求められます。

また、利用者が社員に限定されるため、セキュリティ面での配慮や、社内で利用しているビジネスチャットツール(MicrosoftTeamsやSlackなど)との連携機能が充実している点も大きな特徴です。

特徴社内向けチャットボット顧客向け(社外向け)チャットボット
主な利用者自社の従業員一般の顧客、見込み客
主な目的業務効率化、自己解決率の向上顧客満足度向上、CVR改善
重視される機能社内ツール連携、セキュリティデザイン性、マーケティング機能
回答内容社内規定、ITヘルプデスク、手続き商品情報、店舗案内、予約

▼関連記事:社内wikiで業務効率化!導入手順とおすすめツール比較

FAQシステムとの違い

よく比較されるツールとして「FAQシステム(よくある質問集)」がありますが、チャットボットとは利用体験が大きく異なります。

FAQシステムは、利用者が検索窓にキーワードを入力し、表示された候補の中から自分で回答を探す必要があります。
一方、チャットボットは会話形式で質問を投げかけるだけで、最適な回答を即座に提示してくれます。

この「探す手間」の違いは、社員の利用率に直結します。
FAQシステムを用意しても「検索するのが面倒」「適切なキーワードがわからない」という理由で、結局担当者に電話をしてしまうケースは珍しくありません。
チャットボットであれば、「パスワード忘れた」のように話し言葉で質問できるため、ハードルが低く、自己解決を促しやすいという利点があります。

▼関連記事:チャットボットとは?企業が導入前に知っておくべき基礎知識

社内チャットボット導入するメリット

社内チャットボット導入するメリット

社内チャットボットを導入することで、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。ここでは、導入企業が実感している主要なメリットを3つの観点から解説します。

メリット具体的な効果
工数削減定型質問の自動化により、担当者がコア業務に専念できる
即時性夜間や休日、担当者の不在時でも数秒で回答が得られる
標準化担当者による回答のばらつきを無くし、ナレッジを資産化できる

問い合わせ対応工数の削減

最大のメリットは、担当者が対応していた問い合わせ業務の大半を自動化できることです。

特に「年末調整の書き方」や「Wi-Fiの接続方法」といった定型的な質問は、チャットボットが最も得意とする領域です。
これらを自動化することで、担当者は電話やメール対応に追われる時間が減り、制度設計や採用戦略の立案など、人間でなければできない付加価値の高い業務に集中できるようになります。
ある企業では、導入後に問い合わせ対応の工数が30%以上削減されたという事例もあります。

24時間365日の即時対応

有人対応の場合、対応できるのは基本的に担当者の営業時間内に限られます。

しかし、社員が疑問を持つのは日中だけとは限りません。
シフト勤務の社員や海外拠点のスタッフ、あるいは自宅で深夜に残業している社員などが、時間を気にせずいつでも質問できる環境を提供できるのは大きなメリットです。

また、担当者が会議中や離席中であっても、チャットボットなら即座に回答が得られます。
「回答待ち」による業務の停滞を防ぐことができ、質問する側の社員にとってもストレスのない業務環境を実現できます。

属人化の解消とナレッジ蓄積

「この件については〇〇さんしか知らない」という属人化は、組織にとって大きなリスクです。
担当者が休んだり退職したりすると、途端に業務が回らなくなる恐れがあります。
チャットボットを導入するには、回答データ(Q&A)を作成する過程が必要となります。
このプロセス自体が、特定の個人の中にあった知識(暗黙知)を形式知化し、社内のナレッジとして蓄積する機会となります。

自社に最適なツールの選び方

市場には数多くのチャットボットツールが存在しますが、どれでも良いわけではありません。
自社の課題やリソースに合ったものを選ばなければ、「導入したけれど使われない」という失敗に終わる可能性があります。
ここでは、選定時に重要となる3つの基準を紹介します。

選定基準チェックポイント
タイプ質問数が多いならAI型、少なければシナリオ型
連携社内で使っているチャットツール(Teams/Slack等)と連携できるか
操作性専門知識がない担当者でも管理画面を操作できるか
サポート定着支援やデータ分析のサポートがあるか

AI型かシナリオ型かの判断

チャットボットは大きく分けて「AI(人工知能)型」と「シナリオ(ルールベース)型」の2種類があります。自社の運用目的に合わせて適切なタイプを選ぶことが重要です。

AI型は、自然言語処理技術を用いて、入力された言葉の揺らぎ(「パスワード変更」「パスワード変えたい」など)を理解し、最適な回答を提示します。FAQの数が多い場合や、複雑な質問に対応したい場合に適していますが、学習データの準備やメンテナンスに一定の工数がかかります。

一方、シナリオ型は、あらかじめ設定された選択肢をユーザーが選んでいくことで回答にたどり着く仕組みです。仕組みが単純で安価に導入できるため、質問のパターンが限られている場合や、スモールスタートを切りたい場合に適しています。

▼関連記事:チャットボットは「AI型」を選ぶべき?

連携ツールと使いやすさ

社員が普段利用しているコミュニケーションツールと連携できるかどうかも重要なポイントです。

例えば、全社でMicrosoftTeamsやSlack、LINEWORKSなどを利用している場合、そのチャット画面上でそのままボットに質問できるのが理想的です。わざわざ別のWebサイトやポータルを開く必要があると、それだけで利用のハードルが上がってしまいます。

また、管理画面の使いやすさも無視できません。
多くの企業では、エンジニアではなく総務や人事の担当者がメンテナンスを行うことになります。プログラミングの知識がなくても、Q&Aの追加や修正が直感的に行えるツールを選ぶことを強くおすすめします。

サポート体制とコスト

導入後の運用定着こそがチャットボットの成功の鍵を握ります。
そのため、ベンダーがどのようなサポートを提供しているかを確認しましょう。
導入時の初期設定だけでなく、利用率を上げるためのプロモーション支援や、回答精度のチューニング支援(正答率を上げるための調整)があるかどうかが重要です。

コストについては、初期費用と月額費用のバランスを見ます。
安さだけで選ぶと機能が不足していたり、逆に多機能すぎて使いこなせなかったりすることもあります。
費用対効果を試算する際は、削減できる工数(時間×人件費)とツールの利用料を比較すると、上司への説得材料としても有効です。

▼関連記事:AIチャットボットとは?選び方と活用事例を解説

社内チャットボット導入を成功させるための手順は?

社内チャットボット導入を成功させるための手順は?

ツールを契約して終わりではありません。
実際に社員に使ってもらい、効果を出すためには適切な手順で導入を進める必要があります。
ここでは、失敗しないための導入ステップを3段階で解説します。

目的と対象範囲の明確化

まずは「何のために導入するのか」という目的を明確にします。
「バックオフィスの問い合わせを全般的に減らす」といった漠然とした目標ではなく、「情報システム部へのパスワード関連の電話をゼロにする」「年末調整期間の人事部へのメールを半減させる」など、具体的で測定可能な目標を設定しましょう。

また、最初から全社・全業務で導入しようとすると、データの準備に時間がかかり挫折する原因になります。まずは「ITヘルプデスクのみ」「総務の手続きのみ」といった特定の範囲に絞ってスモールスタートし、成功体験を作ってから徐々に範囲を広げていく方法が確実です。

FAQデータの整備と登録

チャットボットの頭脳となるFAQ(Q&Aデータ)を準備します。
既存のマニュアルや、過去の問い合わせ履歴(メールや電話メモ)を元に、「よくある質問」と「回答」のペアを作成します。このとき、社員が実際に使いそうな「話し言葉」を質問文に盛り込むと、検索ヒット率が上がります。

ゼロから作るのは大変な作業ですが、多くのチャットボットベンダーは「人事・総務用のテンプレート」を用意しています。これらを活用すれば、自社の規定に合わせて微修正するだけで済むため、準備期間を大幅に短縮できます。

社内周知と定着化の工夫

導入準備が整ったら、社員への周知を行います。
単に「導入しました」とメールするだけでは不十分です。「このツールを使うと、皆さんにとってどんなメリットがあるのか(即時に回答が得られる、待たなくて済む等)」を伝えることが重要です。

社内ポータルの目立つ場所にリンクを貼る、社内報で紹介する、あるいはオリジナルのキャラクターを設定して親しみを持たせるなどの工夫も有効です。運用開始後も、利用ログ(履歴)を定期的に分析し、「回答できなかった質問」を新たに追加していくことで、回答精度を継続的に高めていく運用体制を整えましょう。

実際に効果が出た成功例

社内チャットボットを導入した企業では、業界や業種によって異なる課題に対して具体的な成果を上げています。
ここでは、実際に効果が見られた代表的な成功パターンを業界別にご紹介します。

インフラ・製造業界における業務効率化の実例

社内チャットボットの導入により、実際に多くの企業で問い合わせ対応の削減や業務効率化が実現されています。業界ごとに見られる傾向として、製造業や鉄道業などのインフラ関連企業では、情報システム部門のヘルプデスク業務において、導入後わずか3ヶ月で約30%の効率化を達成した例があります。

この企業では、回答精度の高いチャットボットを選定したことで社員の利用率が向上し、システムメンテナンス作業時間も従来の8分の1に短縮されました。建設・不動産業界では、Microsoft365の操作方法に関する問い合わせにチャットボットを活用することで、ほぼ100%の問い合わせを自動対応できた成功例も報告されています。これらの企業に共通するのは、特定の業務領域に絞ってスモールスタートし、社員が使いやすい環境を整えた点です。金融・IT業界においても、社内マニュアルの検索や手続き案内をチャットボットで自動化することで、担当者がコア業務に集中できる時間が増加し、組織全体の生産性向上につながっています。

(出典:https://promo.digital.ricoh.com/chatbot/case/

まとめ

この記事の要点をまとめます。

  • 社内チャットボットは、問い合わせ対応の工数削減、24時間対応、ナレッジの蓄積を実現する有効なツールです。
  • 選定時は「AI型かシナリオ型か」「既存ツールとの連携」「使いやすさとサポート」を基準に比較検討しましょう。
  • 成功の秘訣は、対象範囲を絞ったスモールスタートと、運用開始後の継続的なデータ改善にあります。

社内チャットボットの導入は、単なる業務効率化だけでなく、社員が本来の業務に集中できる環境を作るための重要な投資です。まずは自社の問い合わせ状況を整理し、無料トライアルなどを活用して、使用感を確かめてみてはいかがでしょうか。

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