LINE公式アカウントを運用しているものの、「もっと細かくお客様に合わせた配信がしたい」「予約や購入までLINE上で完結させたい」と感じている方は多いのではないでしょうか。標準機能だけでは実現が難しいこうした課題を解決するのが、LINE拡張ツールです。

LINE拡張ツールを導入することで、顧客の属性や行動に応じたセグメント配信、予約・決済機能の追加、顧客情報の一元管理など、より高度なマーケティング施策が可能になります。特にBtoC企業においては、会員登録の促進や購入率の向上、リピーター育成といった成果に直結する機能が充実しています。

本記事では、LINE拡張ツールの基本的な仕組みから主要な機能、自社に合ったツールの選び方、そして具体的な導入手順までを詳しく解説します。LINE公式アカウントの運用効果を最大化したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

LINE拡張ツールとは

ここではLINE拡張ツールの基本的な仕組みとLINE公式アカウントとの違い、導入が必要な企業の特徴について解説します。

LINE公式アカウントとの違い

LINE公式アカウントは、企業や店舗が顧客とコミュニケーションを取るための公式サービスです。メッセージ配信やクーポン発行、簡易的なチャット対応など、基本的なマーケティング機能が備わっています。しかし、標準機能だけでは配信先の細かな絞り込みや、顧客ごとの行動履歴に基づいた対応が難しいという課題があります。

LINE拡張ツールは、こうした標準機能の制約を補うために開発された外部サービスです。LINE公式アカウントとAPI連携することで、より高度な配信設定や顧客管理、予約・決済といった機能を追加できます。たとえば、過去の購入履歴に基づいて特定の商品をおすすめしたり、会員ランクに応じて異なるリッチメニューを表示したりすることが可能になります。

標準機能と拡張ツールの違いを整理すると、前者は「広く浅く届ける」ための機能であり、後者は「一人ひとりに最適化して届ける」ための機能といえます。顧客体験の質を高め、購入や予約といったコンバージョンにつなげたい場合は、拡張ツールの導入を検討する価値があります。

LINE公式アカウント

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導入が必要な企業の特徴

LINE拡張ツールの導入が特に効果的なのは、すでにLINE公式アカウントを運用しており、友だち数がある程度増えてきた企業です。友だち数が増えると、一斉配信だけでは顧客のニーズに合わない情報が届いてしまい、ブロック率の上昇につながりやすくなります。セグメント配信によって必要な情報だけを届けることで、こうした課題を解決できます。

また、予約や購入をLINE上で完結させたい企業にも拡張ツールは有効です。飲食店やサロン、ECサイトなど、BtoC企業の多くは顧客との接点をLINEに集約することで、予約率や購入率の向上が期待できます。外部の予約システムやECサイトへ遷移させる手間を省くことで、離脱を防ぐ効果もあります。

さらに、顧客情報を一元管理してマーケティング施策に活用したい企業にとっても、拡張ツールは強力な武器になります。アンケート回答や購入履歴、来店頻度などのデータを蓄積し、それぞれの顧客に合わせたアプローチが可能になるためです。

LINE拡張ツールの主な機能

ここではLINE拡張ツールに搭載されている代表的な機能について解説します。

セグメント配信機能

セグメント配信とは、顧客を属性や行動履歴に基づいてグループ分けし、それぞれに最適なメッセージを送る機能です。LINE公式アカウントの標準機能でも簡易的なセグメント配信は可能ですが、拡張ツールを使うことでより細かな条件設定ができるようになります。

たとえば、「過去30日以内に商品を購入した顧客」「特定のアンケートに回答した顧客」「会員登録から1週間経過した顧客」など、複数の条件を組み合わせた配信が可能です。こうした細かなセグメント設定により、顧客一人ひとりの状況に合わせたメッセージを届けられます。

セグメント配信の効果は、開封率やクリック率の向上だけでなく、ブロック率の低下にも表れます。興味のない情報が届くとブロックされやすくなりますが、関連性の高い情報だけを届けることで、顧客との良好な関係を維持できます。

セグメント配信

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リッチメニューのカスタマイズ

リッチメニューとは、LINEトーク画面の下部に表示されるメニューボタンのことです。標準機能では全員に同じメニューが表示されますが、拡張ツールを使うと顧客ごとに異なるメニューを表示できるようになります。

具体的には、会員と非会員でメニュー内容を切り替えたり、購入履歴のある顧客にはリピート購入を促すボタンを表示したりすることが可能です。また、タブ形式のリッチメニューを作成して、複数のカテゴリを1つの画面に収めることもできます。

リッチメニューは顧客が最初に目にする部分であり、ここを最適化することでサイトへの誘導率や予約率が大きく変わります。顧客の状態に応じて表示内容を変えることで、次のアクションへスムーズに導くことができます。

予約・決済機能

LINE拡張ツールの中には、予約や決済をLINE上で完結させる機能を持つものがあります。飲食店やサロン、フィットネスジムなど、予約が必要なBtoC企業にとっては特に重要な機能です。

予約機能では、カレンダー形式で空き状況を表示し、顧客がそのまま予約を完了できます。予約日が近づくとリマインドメッセージを自動送信する機能もあり、無断キャンセルの防止に役立ちます。Googleカレンダーなど外部カレンダーとの連携に対応しているツールもあります。

決済機能を備えたツールでは、商品の購入からクレジットカード決済までをLINE内で完結できます。ECサイトへの遷移が不要になるため、購入までの離脱を減らす効果が期待できます。ただし、すべての拡張ツールに決済機能が搭載されているわけではないため、導入前に確認が必要です。

顧客管理(CRM)機能

顧客管理機能は、LINE上でのやり取りや行動履歴を一元管理するための機能です。アンケートの回答内容、メッセージの開封・クリック履歴、予約履歴、購入履歴などを顧客ごとに蓄積できます。

蓄積したデータは、セグメント配信の条件設定に活用できるほか、個別対応が必要な場合の参考情報としても役立ちます。たとえば、問い合わせがあった際に過去の購入履歴を確認しながら対応することで、よりスムーズなコミュニケーションが可能になります。

また、顧客にタグを付けて分類する機能も多くのツールに搭載されています。「新規顧客」「リピーター」「VIP会員」などのタグを自動または手動で付与し、それぞれに適した施策を展開できます。顧客理解を深め、長期的な関係構築につなげるための基盤となる機能です。

LINE拡張ツールの選び方

ここでは自社に合ったLINE拡張ツールを選ぶための判断基準について解説します。

汎用型と特化型の違い

LINE拡張ツールは大きく分けて「汎用型」と「特化型」の2種類があります。汎用型は業種を問わず幅広い機能を提供しており、自社の運用方針に合わせて柔軟にカスタマイズできる点が特徴です。セグメント配信、リッチメニュー、予約、顧客管理など、複数の機能を組み合わせて使いたい場合に適しています。

一方、特化型は特定の業種や用途に最適化されたツールです。たとえば、飲食店向けの予約管理に特化したツールや、EC事業者向けのリピート購入促進に特化したツールなどがあります。設定がシンプルで導入しやすい反面、想定外の用途には対応しにくい場合があります。

どちらを選ぶかは、自社の課題と運用体制によって異なります。複数の施策を試しながら最適解を見つけたい場合は汎用型、明確な課題があり素早く成果を出したい場合は特化型が向いています。

機能・サポート・料金の比較ポイント

LINE拡張ツールを比較する際は、機能・サポート体制・料金の3つの軸で検討することが重要です。以下の表に主な比較ポイントをまとめました。

比較軸確認すべきポイント
機能必要な機能(セグメント配信、予約、決済、CRMなど)が揃っているか。将来的な拡張性や外部システム連携の可否も確認する
サポート体制導入時のサポート内容、運用中の問い合わせ対応(チャット、電話、メールなど)、マニュアルや動画の充実度を確認する
料金初期費用と月額費用の内訳、友だち数や配信数による従量課金の有無、無料トライアルの有無を確認する
操作性管理画面の使いやすさ、専門知識がなくても設定できるか、デモや無料トライアルで実際に操作して確認する
セキュリティデータの暗号化、二要素認証、IP制限、プライバシーマーク取得の有無など、安全性に関する対策を確認する

機能面では、現在必要な機能だけでなく、将来的に使いたくなる可能性のある機能も視野に入れておくと、ツールの乗り換えコストを抑えられます。サポート体制については、導入初期は手厚いサポートがあると安心ですが、運用が軌道に乗った後はセルフサービス型でも問題ないケースが多いです。

料金については、単純な月額費用だけでなく、友だち数や配信数に応じた従量課金の仕組みも確認しておく必要があります。友だち数が増えた際に費用が急増するケースもあるため、将来的なコストシミュレーションを行っておくと安心です。

LINE拡張ツールの導入手順

ここではLINE拡張ツールを導入する際の準備から運用開始までの流れについて解説します。

導入前の準備

LINE拡張ツールを導入する前に、まず自社の課題と目的を明確にしておくことが重要です。「セグメント配信でブロック率を下げたい」「予約をLINE上で完結させたい」「顧客情報を一元管理したい」など、具体的な目標を設定することで、必要な機能が明確になります。

次に、LINE公式アカウントの開設状況を確認します。まだアカウントを持っていない場合は、先に開設を済ませておく必要があります。すでにアカウントを運用している場合は、現在の友だち数や配信状況、過去の施策の成果などを整理しておくと、ツール選定の参考になります。

また、社内の運用体制も事前に検討しておきましょう。誰がツールの設定を担当するのか、日常的な運用は誰が行うのか、問い合わせ対応のフローはどうするのかなど、役割分担を決めておくことでスムーズな導入が可能になります。

連携から運用開始までの流れ

LINE拡張ツールの導入は、一般的に以下の3つのステップで進みます。

ステップ内容
1. ツールへの登録拡張ツールの公式サイトからアカウントを作成し、プランを選択する。会社情報の入力や利用規約への同意が必要
2. LINE公式アカウントとの連携Messaging APIを有効化し、チャネルアクセストークンやWebhook URLを設定する。多くのツールでは画面の指示に従って進めれば短時間で完了する場合もある
3. 基本設定とテスト運用リッチメニューや自動応答、セグメントの条件などを設定する。本番運用前にテストアカウントで動作確認を行う

連携作業自体は技術的な知識がなくても進められるよう設計されているツールがほとんどです。ただし、Messaging APIの設定には管理者権限が必要なため、権限を持つ担当者が作業を行うか、事前に権限を付与しておく必要があります。

テスト運用では、実際にメッセージを送信してみて、セグメント配信が正しく機能しているか、リッチメニューが意図通りに表示されるかなどを確認します。問題がなければ本番運用を開始し、配信結果を分析しながら改善を重ねていきます。

LINE拡張ツールを活用した成功事例

ここでは実際にLINE拡張ツールを導入して成果を上げたBtoC企業の事例について解説します。

株式会社SABON Japanの成功事例

イスラエル発のボディケアブランドを展開する株式会社SABON Japanは、会員情報とLINEアカウントを連携させ、購買履歴に基づいたOne to Oneのセグメント配信を実施しました。カゴ落ちリマインド配信やリッチメニューからのオンライン接客も導入し、顧客との接点を強化しています。

その結果、EC売上の約30%がLINE経由となり、LINE経由売上はメール経由の約5倍に達しました。さらにROASは約1,000%を記録し、カゴ落ちリマインドのCVRはEC全体平均の15〜20倍という高い成果を実現しています。

出典:https://www.lycbiz.com/jp/case-study/line-official-account/sabon/

有限会社味源(自然の館)の成功事例

食品通販「自然の館」を運営する有限会社味源は、ECモールごとにLINE公式アカウントを開設し、セール前日の事前告知と当日リマインドを組み合わせた配信フローを構築しました。カードタイプメッセージを活用することで、視覚的に訴求力の高い配信を実現しています。

この施策により、メッセージ配信経由の売上が5倍以上に増加しました。カードタイプメッセージではクリック率が2倍、メッセージ経由の売上が3倍以上に向上し、Yahoo!ショッピングへの遷移数もメルマガの約2倍を達成しています。

出典:https://www.lycbiz.com/jp/case-study/line-official-account/ajigen/

株式会社フジコーホールディングスの成功事例

山口県を中心に複数業態の飲食店を展開する株式会社フジコーホールディングスは、ツールを導入して各店舗のLINE公式アカウント運用を本部で統括する体制を構築しました。友だち登録後のアンケートでお誕生日クーポンを発行し、全店舗共通で利用できる仕組みを整えています。

導入から1年3ヶ月で友だち登録数2万人を達成し、アンケート回答率は93%という高い数値を記録しました。お誕生日クーポンの利用者は月間約1,000人に上り、売上への貢献は1,000万円以上と見積もられています。

出典:https://linestep.jp/2024/10/09/lstep-case-restaurant-fujikoholdings/

よくある質問(FAQ)

Q1. LINE公式アカウントがなくても拡張ツールは使えますか?

LINE拡張ツールはLINE公式アカウントと連携して使用するため、まずLINE公式アカウントの開設が必要です。アカウント開設は無料で行えますので、拡張ツールの導入を検討している場合は先にアカウントを作成しておきましょう。

Q2. 拡張ツールの導入にはどのくらいの費用がかかりますか?

費用はツールによって大きく異なります。無料プランを提供しているツールもあれば、月額数千円から数万円のプランまでさまざまです。初期費用が必要なツールもあるため、複数のツールを比較して自社の予算に合ったものを選ぶことをおすすめします。

Q3. 複数の拡張ツールを同時に使うことはできますか?

技術的には可能な場合もありますが、一般的には1つのLINE公式アカウントに対して1つの拡張ツールを連携させる運用が推奨されています。複数のツールを併用すると、データの整合性が取れなくなったり、設定が競合したりするリスクがあるためです。

Q4. 導入後にツールを変更することはできますか?

ツールの変更は可能ですが、蓄積した顧客データの移行ができない場合があります。また、リッチメニューや自動応答の設定は新しいツールで再構築する必要があります。導入前に将来的な拡張性も考慮してツールを選ぶことで、乗り換えのリスクを軽減できます。

Q5. 拡張ツールを導入すると配信コストは増えますか?

LINE公式アカウントの配信費用は、拡張ツールを導入しても変わりません。ただし、拡張ツール自体の利用料金が別途発生します。一方で、セグメント配信によって無駄な配信を減らせるため、結果的に配信コストを抑えられるケースもあります。

まとめ

LINE拡張ツールは、LINE公式アカウントの標準機能では実現が難しい高度なマーケティング施策を可能にするサービスです。セグメント配信による顧客一人ひとりへの最適なアプローチ、リッチメニューのカスタマイズによる誘導率の向上、予約・決済機能によるコンバージョン率の改善など、BtoC企業にとって多くのメリットがあります。

ツールを選ぶ際は、自社の課題と目的を明確にしたうえで、機能・サポート体制・料金の3つの軸で比較検討することが重要です。汎用型と特化型の違いを理解し、将来的な拡張性も考慮して選定しましょう。

導入手順はシンプルで、LINE公式アカウントとの連携も数十分で完了するケースがほとんどです。まずは無料トライアルやデモを活用して実際の操作感を確認し、自社に合ったツールを見つけてください。LINE拡張ツールを活用することで、顧客との関係をより深め、予約や購入といった成果につなげていきましょう。

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