近年、デジタルマーケティングの進化により、顧客一人ひとりに最適なタイミング・内容でアプローチすることが、toCビジネスの成果を左右する重要な要素となっています。競合がひしめく中で顧客体験を高め、長期的な関係性を築くためには、マーケティングと営業の連携が欠かせません。

ここで注目されているのが、「MA(マーケティングオートメーション)」と「CRM(顧客関係管理)」の連携です。MAは見込み顧客の獲得から育成までを担い、CRMは顧客との接点情報を管理・活用する役割を持っています。

この2つのツールを連携させることで、リードの取りこぼし防止や営業とのスムーズな連携、パーソナライズ施策の実現など、多くのメリットが生まれます。

本記事では、MAとCRMを連携することによって得られるメリットや、導入時に注意すべきポイントを、toCビジネスの視点からわかりやすく解説していきます。

MAとCRMの役割の違い

MAとCRMの役割の違い

MAとCRMはどちらも顧客情報を管理するツールですが、担う役割は異なります。

MAの役割

MAは見込み顧客の獲得から育成までを自動化するツールです。自社サイトの訪問やセミナーの参加などの行動データや属性情報をもとに最適なタイミングでメール配信やコンテンツ提供を行います。さらに、購入意欲が高まっているサインを検知し、HOTリードを営業へ引き渡すなど、顧客アプローチの最前線を担います

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CRMの役割

CRMは、既存顧客との関係を深めるための情報管理・分析を行うツールです。性別や年齢といった属性情報に加え、商品やサービスの購入履歴などのを一元管理できます。キャンペーン管理やクーポン配信、カスタマーサポートなど顧客接点を最適化する役割を担っており、顧客満足度向上やリピート促進に貢献します。

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MAとCRMを連携する4つのメリット

MAとCRMを連携する4つのメリット

MAはマーケティング活動の自動化を担い、CRMは顧客情報の管理を行うツールです。これらのツールはそれぞれ異なる役割をはたしていますが、連携させることで、マーケティングや営業活動の効果を大きく向上させることができます。

ここからは、MAとCRMを連携することによる4つのメリットをご紹介します。

MAで獲得した情報を活用してマーケティング精度を向上

MAとCRMを連携させることで、MAで獲得した見込み顧客の情報を効果的にマーケティング活動に活用することができます。MAは見込み顧客の属性情報や行動データを蓄積し、その情報を基に適切なコンテンツの配信やアプローチを行います。

これらの情報をCRMに連携することで、顧客の購買傾向やニーズを深く理解でき、マーケティング施策の精度を向上します。その結果、顧客数や売上の増加に繋がることが期待できます。

顧客属性に応じたフォローが可能になる

CRMに蓄積した情報をMAと連携することで、よりパーソナライズされたマーケティング施策が実現できます。CRMは性別・年齢などの基本属性だけでなく、キャンペーン参加履歴や問い合わせ内容など、顧客とのあらゆる接点情報を管理しています。これらのデータをMAに連携することで、顧客が過去にどんな商品に関心を持ち、どのような課題や不安を抱えていたかを正確に把握できます。

その結果、一人ひとりに最適化されたメッセージ配信やアプローチが可能となり、顧客満足度の向上や離脱防止に繋がります。

休眠顧客の掘り起こしによる再アプローチが可能になる

MAとCRMを連携することで、接点が途絶えていた顧客への再アプローチが可能になります。MAでは一定期間アクションがない顧客に対して、過去に取引のあった顧客データをもとに自動で掘り起こしのシナリオ設計が可能です。

自社から離れてしまった顧客であっても、適切な商品やサービスを適切なタイミングで訴求することで、再び接点を持つことができるようになります。

サイロ化を防ぎ、部署の垣根を超えた情報共有を実現

ITツールの導入時、課題としてよく挙げられるのが「サイロ化」です。これは組織内でシステムやデータ、部門などが分断される状態のことを言います。サイロ化が発生すると全社的なデータの可視性が低下するほか、意思決定が遅れる恐れがあります。

特にMAはマーケティングツールのため、マーケを扱う部署のみで運用されがちですが、CRMと連携することで全社的に顧客情報を扱うことができるようになり、部署の垣根を超えて情報共有が可能になります。

MAとCRMを連携する際の3つの注意点

MAとCRMを連携する際の3つの注意点

MAとCRMを連携することで、マーケティング精度の向上や部門間の情報共有など多くのメリットが得られます。しかし、適切に連携されていないと、かえって運用の手間が増えたり、効果が十分に発揮されなかったりする可能性もあります。

以下の3つのポイントに注意しましょう。

1. ツール間の連携可否を事前に確認する

特に、すでにいずれかのシステムを導入済みの場合、後から追加するツールとの親和性が重要になります。データの自動連携が可能か、API連携が提供されているかなどを事前に確認しておくことで、導入後のトラブルを回避できます。

2. 顧客情報の重複や不整合に注意する

MAとCRMの両方に顧客情報を保持している場合、データの重複や不整合が生じるリスクがあります。例えば、同じ顧客が複数のレコードで登録されていると、正確な分析やパーソナライズ施策が難しくなります。

連携前に、重複を検出・削除できる機能(データクレンジング)の有無を確認するといいでしょう。

3. ステータス管理の統一が必要

CRM上では受注しているのにMA上では見込み顧客として扱われているケースもあります。こうしたデータのズレがあると、受注後にも関わらず「見込み顧客」としてアプローチしてしまうミスが生じる恐れがあります。

社内でのステータス管理ルールの明確化や、データ統合の手順を整備しておくことが重要です。

MAとCRMの活用事例

MAとCRMの活用事例

実際にMAとCRMを連携して成果を上げている企業は、どのように活用しているのでしょうか?ここでは、導入の背景や具体的な取り組み、得られた効果について、事例を交えてご紹介します。

見込み顧客の増加に成功|Managed Maintenance, Inc.

MAとCRMを連携し見込み客を7割増加できた活用事例

IT企業のManaged Maintenanceでは、営業活動や見込み顧客のスコアリング、リードナーチャリングにおいて、思うような成果が得られていませんでした。
同社はすでにMAツールとCRMツールを導入していましたが、それぞれを独立して運用していたため、情報が分断された状態でした。

そこで同社は、MAとCRMを連携し、MAツールで購入意欲が高いと判断した顧客情報をCRMに自動で共有する仕組みを構築。
その結果、見込み顧客の数は約75%増加し、営業活動の効率も大きく向上しました。

メール経由の売り上げ前年比115%を達成|ピザハット

メール経由の売り上げ前年比115%を達成した活用事例

ピザハットは以前、メールマーケティングに課題を抱えていました。約350万人のオンライン会員のうち、メールマガジンの受信許可を得ていたのはわずか半数。さらに、メールの開封率は低迷し、コンテンツ制作やA/Bテストにも多くの時間と手間がかかっていたのです。費用対効果の改善が急務となっていました。

そこで同社はCRMシステムを導入。これにより、メール作成の時間が大幅に短縮され、A/Bテストも効率化されました。さらに、顧客のアプリ利用データを分析した結果、アプリ経由での注文が多いことが判明しました。そこで、プッシュ通知による施策を展開したところ、コンバージョン率は1.4倍に、メール経由の売上は前年比115%増という成果を達成しました。

CRMの導入は、ピザハットの顧客エンゲージメントと売上向上に大きく貢献した成功事例といえるでしょう。

まとめ

まとめ

MAはマーケティング活動を自動化するツールである一方、CRMは主に顧客情報の管理を目的とするツールです。MAとCRMは連携することで、よりパーソナライズされた情報を顧客に発信することができます。

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    GENIEE CX NAV1 編集部

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