近年、多くの企業が顧客対応やマーケティング施策の一環としてチャットボットの導入を進めています。チャットボットとは、テキストや音声を通じて人間と自動的に会話するプログラムのことで、顧客からの問い合わせ対応や情報提供など、さまざまな場面で活用されているサービスです。シナリオ型やAI型などの種類があり、それぞれ特徴や適した用途が異なります。

本記事では、チャットボットの基本概念や歴史、種類による違いについて解説します。また、企業にもたらすメリットやデメリットについても触れ、導入プロセスまで包括的に説明しますので、チャットボット導入を検討している企業の担当者の方は参考にしてみてください。

チャットボットとは

チャットボットとは、テキストや音声でユーザーと自動的にやり取りするプログラムです。企業サイトやアプリで「お困りのことはありませんか」と話しかけてくるウィンドウの裏側には、チャットボットの技術が活用されています。

従来は事前に設定されたルールに沿って応答するだけの仕組みでしたが、AI技術の発展により対話の質が大きく向上しました。現在では自然言語処理や機械学習を組み込んだチャットボットが登場し、ユーザーの意図を正確に理解して適切な回答を提供できます。

単純な質問対応だけでなく、複雑な問い合わせにも柔軟に対処できる高度なシステムへと進化を遂げており、カスタマーサポートや社内ヘルプデスクなど、さまざまな場面で業務効率化に貢献しています。

チャットボットのこれまでの歴史

チャットボットの歴史は1960年代まで遡ります。当時開発された対話システム「ELIZA」が起源とされ、登録されたキーワードと応答パターンを照合して返答する基本的な仕組みでした。

その後、技術革新により大きな転換点を迎えたのが2011年です。Apple社がSiriをリリースしたことで、音声認識と自然な対話が可能になり、実用性が飛躍的に向上しました。続いてマイクロソフトやGoogleなども参入し、AIスピーカーをはじめとする多様なサービスが展開されています。

現代のチャットボットは、膨大なデータから学習した知識をもとにユーザーの意図を的確に把握し、状況に応じた最適な回答を生成できるまでに進化しました。単純な定型応答から高度な推論機能を備えたシステムへと、約60年の歳月をかけて発展してきたのです。

チャットボットの種類

チャットボットは、仕組みや機能によっていくつかの種類に分類されます。事前に設定されたルールで応答するシナリオ型、AIが学習して対応するAI型など、それぞれ特徴が異なります。

また、クラウド型・オンプレミス型といった導入形態の選択肢があることが特徴です。ここでは、チャットボットの主な種類とそれぞれの特徴について解説します。

シナリオ型チャットボットとは

シナリオ型チャットボットは、あらかじめ用意された選択肢を順番に提示し、ユーザーの回答に応じて次の質問へ進む仕組みです。利用者が選択肢から該当する項目を選ぶと、チャットボットがさらに絞り込んだ選択肢を表示し、この流れを繰り返すことで最終的な回答にたどり着きます。

シナリオ型チャットボットのメリット、デメリットは次の通りです。

メリット質問の意図がずれにくく、期待通りの情報を得やすい
デメリット想定されていない複雑な質問や、選択肢の範囲外の内容には対応できない

よくある質問への対応や、決まった手順で解決できる問い合わせに適したチャットボットといえます。

AI型チャットボットとは

AI型チャットボットは、自然言語処理技術を活用することで、人間が日常的に使う話し言葉での質問に対応できるシステムです。シナリオ型のように選択肢を選ぶ必要がなく、自由な表現で問いかけても適切な回答を返せるため、まるで人と会話しているかのような自然なやり取りが実現します。

AI型チャットボットのメリット、デメリットは次の通りです。

メリット機械学習によってデータから言葉の意味やパターンを学習するため、多様な質問に柔軟に応答でき、運用を続けるほど精度が向上
デメリット導入当初は学習データが不足しており、回答精度が低い場合がある

高度な対話能力を支えているのが機械学習で、データベースに保存された情報量が多いほど、より正確で適切な回答を提供できます。導入当初は回答の精度が低い場合もありますが、運用を続けてデータを蓄積することで、ユーザーの多様な質問への対応精度が向上していきます。

ChatGPTとの違い

従来のチャットボットとChatGPTのような生成AIには、応答の仕組みに大きな違いがあります。従来型は事前に用意されたルールやデータベースの範囲内で回答を返すため、想定外の質問には対応できません。

一方、ChatGPTのような生成AIは、大量のテキストデータをもとに学習したモデルにより、その場で自然な文章を生成できることが特徴です。定型的な応答だけでなく、状況に応じた柔軟な会話が可能です。近年では、生成AI技術を組み込んだチャットボットの導入が進んでおり、顧客からの多様な問い合わせや社内のヘルプデスク業務を効率化する手段として注目を集めています。

事前に想定していなかった質問にも的確に答えられるため、ユーザー満足度の向上と業務負担の軽減を同時に実現できる点が、生成AI搭載チャットボットの大きな強みです。

チャットボットの導入形態

チャットボットの導入形態には、クラウド型とオンプレミス型の2種類があります。それぞれの特徴は次の通りです。

タイプメリットデメリット
クラウド型導入準備が簡単で初期費用を抑えられるランニングコストは継続的に発生する
オンプレミス型長期的に運用する場合はランニングコストを抑えられる導入時の費用はクラウド型より高額になる

クラウド型は、インターネット経由でサービスを利用する形態です。自社でサーバーやハードウェアを用意する必要がないため、導入準備が簡単で初期費用を抑えられるメリットがあります。ただし、月額料金などのランニングコストは継続的に発生する点に注意が必要です。

一方、オンプレミス型は自社内に設備を設置して運用する形態を指します。サーバーやハードウェアの購入・設置が必要なため、導入時の費用はクラウド型より高額になる傾向があります。一方で、長期的に運用する場合は月額料金が不要となり、ランニングコストを抑えられることがメリットです。

どちらを選ぶかは、予算規模や運用期間、セキュリティ要件などを総合的に判断することが重要です。

チャットボットが企業にもたらすメリットとは

チャットボットが企業にもたらすメリットとは

チャットボットを導入することで、企業は次にあげるさまざまなメリットを享受できます。

  • 対応時間の短縮
  • いつでも稼働している
  • マーケティング支援
  • サービス品質の向上
  • コスト削減

ここでは、チャットボットがもたらす主なメリットについて解説します。

対応時間の短縮

チャットボットの導入により、顧客対応にかかる時間を大幅に短縮できます。問い合わせの中には、営業時間や料金体系、サービス内容など同じような質問が繰り返し寄せられるケースが少なくありません。

頻出する質問をチャットボットに任せることで、担当者が個別に対応する手間を削減できることがメリットです。従来は電話やメールで一件ずつ対応していた業務が自動化されるため、回答までの待ち時間も解消されます。

ユーザーは問い合わせ後すぐに回答を得られ、満足度の向上につながります。また、オペレーターは定型的な質問対応をする必要がなくなり、より複雑な問題や専門的な相談に集中できます。結果として、組織全体の生産性が高まり、限られた人的リソースを効果的に活用できる体制が整うのです。

いつでも稼働している

チャットボットは24時間365日休むことなく稼働できる点が大きなメリットです。スマートフォンの普及により、ユーザーは時間や場所を問わずインターネットで情報を検索し、商品を購入できる環境が整っています。

深夜や早朝に「この商品についてもっと知りたい」と思い立つケースも珍しくありません。従来の有人対応では営業時間外の問い合わせに即座に応えられませんでしたが、チャットボットなら曜日や時間帯に関係なく、ユーザーの疑問に即座に回答できます。

購買意欲が高まったタイミングを逃さず対応でき、機会損失の防止につながります。また、グローバル展開している企業にとっては、時差のある海外顧客にも適切なタイミングでサポートを提供できるため、顧客満足度の向上とビジネスチャンスの拡大を同時に実現できることがメリットです。

マーケティング支援

チャットボットはマーケティング活動を強力に支援するツールとしても機能します。単なる問い合わせ対応にとどまらず、サイト訪問者を見込み客へと転換させる役割を担えることが特徴です。

Webサイトの訪問者に自動的に声をかけることで、潜在的なニーズを引き出し、サイトからの離脱を防ぐ効果が期待できます。さらに、チャットボットとの会話ログは貴重なデータ源です。

顧客がどのような疑問を持ち、何に関心があるのかをリアルタイムで収集できるため、これらの情報を蓄積し、マーケティング戦略の立案に活用できます。顧客の生の声を直接把握できることで、商品開発やサービス改善、プロモーション施策の最適化につなげられます。

サービス品質の向上

チャットボットの導入は、サービス品質の安定化に貢献します。有人対応では、担当者のコミュニケーション能力や商品知識、応対マナーによって回答の質にばらつきが生じる可能性があります。

声のトーンや言葉遣いが適切でない場合、顧客に不信感やストレスを与え、クレームに発展しかねません。一方、チャットボットは事前に設定された内容に基づいて応答するため、対応品質が担当者によって変わらない点がメリットです。

経験の浅いスタッフと熟練者のような差が生じず、すべての顧客に対して常に一定レベルの回答を提供できます。顧客は誰がいつ対応しても同じ質の高いサービスを受けられるため、企業への信頼感が高まります。また、回答内容を定期的に見直すことで、組織全体のサービス品質を継続的に改善できる点も大きなメリットです。

コスト削減

チャットボットの活用は、企業のコスト削減に大きく貢献します。よくある質問やトラブルの一次対応をチャットボットが担当することで、従業員は定型的な業務から解放され、本来注力すべき重要な業務に時間を割けます。

その結果、残業時間の削減につながり、人件費を抑制できる点がメリットです。また、問い合わせ対応のために新たな人材を採用する必要がなくなるため、採用コストや教育コストの削減効果も期待できます。

特に問い合わせが集中する時期には、チャットボットが同時に複数の顧客に対応できるため、一時的なスタッフ増員も不要です。さらに、24時間稼働する体制を人的リソースだけで構築する場合と比べ、チャットボット導入のほうが圧倒的に低コストです。

チャットボット導入によるデメリット

チャットボットには導入時に注意すべきデメリットも存在します。初期費用や運用コストの負担、複雑な個別対応への限界、そして投資に見合った効果が得られるかの見極めなどが課題です。

デメリットを事前に理解し、自社の状況に適した導入計画を立てることが重要です。ここでは、チャットボット導入における主なデメリットについて解説します。

導入コストがかかる

チャットボット導入には相応のコストと時間が必要です。実際に運用を開始するまでには、PoC(概念実証)による効果検証やKPIの設定、想定される質問と回答をまとめたQAリストの作成など、入念な準備作業が求められます。

準備のプロセスには十分な時間と初期投資が不可欠であり、導入を決定してから稼働するまでに数か月を要するケースも珍しくありません。さらに、導入後すぐに期待通りの成果が得られるわけではない点にも注意が必要です。

チャットボットが適切に機能するには、実際の利用データを分析しながら回答精度を高めていく必要があり、投資に見合った効果を実感できるまでに数年かかることもあります。特にAI型チャットボットの場合は、学習データの蓄積に時間がかかるため、短期的な視点ではなく、中長期的な運用を前提とした計画が重要です。

個別の対応には向かない場合がある

チャットボットはすべての業務に適しているわけではありません。扱う製品やサービスによっては、ユーザーが単純な質問ではなく、状況を詳しく説明しながら相談したいと考えるケースがあります。

複雑な契約内容の確認や個人的な事情に応じた提案が必要な場合、定型的な回答では十分な対応ができません。個別性の高い問い合わせが頻繁に発生する業務では、チャットボットによる自動化が難しく、期待した業務効率化を実現できない可能性があります。

むしろ、ユーザーが「人と話したい」と感じているのにチャットボットで対応することで、不満やストレスを与えかねません。したがって、チャットボットは定型的な質問対応に向いている一方、柔軟な判断や深い共感が求められる場面では、有人対応との適切な使い分けが重要です

費用対効果の見極めが必要

チャットボット導入においては、費用対効果を慎重に見極める必要があります。導入時の初期コストだけでなく、月額利用料やメンテナンス費用などのランニングコストも継続的に発生するため、総合的な投資額を把握することが重要です。

特にコスト削減を目的とする場合、人件費などの削減効果と新たに発生するチャットボット関連費用のバランスを十分に検討しなければなりません。削減できるコストよりも運用コストが上回ってしまえば、本末転倒の結果になりかねないのです。

まず自社が抱える課題や導入目的を明確にし、それに適した機能や特徴を持つチャットボットを選定することが求められます。高機能なシステムほど高額になる傾向があるため、必要な機能に絞り込むことで無駄なコストを抑えられます。

チャットボット導入のプロセスとは

チャットボット導入のプロセスとは

チャットボットを効果的に導入するには、次に示す段階的なプロセスを踏む必要があります。

  1. 明確な目標設定
  2. 要件定義
  3. ツール選定
  4. データ収集
  5. テスト運用
  6. 導入及び継続的な改善

まず、顧客サポートの改善や業務効率化、売上向上といった明確な目標を設定し、それに基づいて必要な機能や仕様を定義します。次に、目的に適したプラットフォームやツールを選定することが重要です。

その後、チャットボットが学習するためのデータ収集を行います。過去の問い合わせ履歴やFAQなど、実際の顧客とのやり取りを蓄積したデータが有効です。収集したデータをもとにチャットボットを開発し、トレーニングを実施します。

開発完了後はテスト運用を行い、バグや不具合を修正してから本格稼働させます。しかし、導入後も継続的な改善が欠かせません。パフォーマンスを定期的にモニタリングし、ユーザーからのフィードバックを分析することで、回答精度の向上や新たな質問への対応を図り、チャットボットの価値を高め続けることが重要です。

まとめ

本記事では、チャットボットの基本的な概念から種類、導入によるメリット・デメリット、そして導入プロセスまで幅広く解説しました。チャットボットには、事前に設定されたシナリオに沿って応答するシナリオ型と、自然言語処理技術を活用して柔軟に対話できるAI型があり、それぞれ特徴が異なります。

導入することで、対応時間の短縮や24時間稼働体制の実現、マーケティング支援、サービス品質の向上、コスト削減など多くのメリットが得られる点が特徴です。一方で、初期コストや運用費用の負担、個別対応への限界、費用対効果の見極めなどの課題も存在します。

自社の目的や課題を明確にし、適切なチャットボットを選定することが成功のポイントです。顧客対応の効率化や業務改善を検討している方は、参考にしてみてください。

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