SNSの普及により、消費者の声がビジネスに与える影響は、ますます大きくなっています。特に、一般ユーザーが発信する「UGC(User Generated Content)」は、企業のマーケティングにおいて重要な役割を担っています。

実際、多くの企業がUGCを活用しており、皆様も目に触れる機会も増えてきたのではないのでしょうか?

この記事では、UGCの基礎知識から、効果的な収集方法、実践的な活用例まで、分かりやすく解説していきます。これからマーケティング活動にUGCを取り入れたい方は、ぜひ参考にしてください。

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UGCとは?

UGCとは

UGCとは、「User Generated Content」の略で、一般的には「ユーザーが作成するコンテンツ」と呼ばれます。

例えば、以下のようなコンテンツがあてはまります。

  • Instagramでの商品レビュー投稿 (例:「この商品で髪の毛がさらさらになった!」というキャプションと共に投稿された使用前後の写真)
  • 口コミサイトでの評価やコメント (例:「使い心地が良くて、リピ買い決定です」といった実体験に基づくレビュー)
  • YouTubeでの商品紹介動画 (例:「最近購入したお気に入りコスメを紹介します」といった一般ユーザーによる解説動画)
  • TwitterやFacebookでのシェア投稿 (例:「このカフェ、雰囲気が素敵!」という感想と共に投稿された店内写真)

つまり、企業が作成して広告やコンテンツではなく、実際に商品やサービスを利用したユーザーによって発信される情報のすべてがUGCとなります。

UGCが注目を集める理由

その理由は、消費者行動の変化にあります。

「AIDMA」と呼ばれる購買プロセスのフレームワークが「AISAS」へと変化していたのが2000年代前半。
さらには「SNS世代の購買行動モデル」として、「VISAS」や「SISP」、「ULSSAS」という考え方も提唱されています。

AIDMAAISAS
A:Attention(注意)
I:Interest(興味)
D:Desire(欲求)
M:Memory(記憶)
A:Action(行動)
A:Attention(注意)
I:Interest(興味)
S:Search(検索)
A:Memory(記憶)
S:Share(共有)

VISASSIPSULSSAS
V:Viral(口コミ・拡散)
I:Influence(影響)
S:Sympathy(共感)
A:Action(行動)
S:Share(共有)
S:Sympathize(共感)
I:Identify(確認)
S:Participate(参加)
P:Share&Spread(共有・拡散)
U:UGC(ユーザー投稿コンテンツ)
L:LIKE(SNS上のいいね
S:Search(検索①)
S:Search(検索②)
A:Action(行動)
S:Spread(拡散)


ここまで大きく変化したのは、消費者の情報収集手段が変化したことに起因します。
従来は企業からの一方的な情報発信が主流だったのに対し、現代ではインターネットの発展により、SNSを通した消費者からの情報発信の力が強くなっています。

自分と等身大の消費者の声(=UGC)は、共感性という点で購買行動に大きな影響を及ぼしています。

UGCを活用する3つのメリット

UGCを活用する3つのメリット

費用対効果の高さ

自社にて実施するマーケティング施策と比較して、UGCには大きなコストメリットがあります。広告予算やクリエイティブ制作、インフルエンサーの活用など、認知施策には多くの費用が必要です。しかし、ユーザーが自然に生み出すコンテンツは、基本的に大きなコストはかかりません。かつ、広告のように作り込まれた印象がなく、より自然な形で潜在顧客にリーチすることができます。

自然な拡散による持続的な効果

UGCはオーガニックな拡散力も持ち合わせています。一般的な広告は予算に応じた期間限定の露出となりますが、UGCは投稿者のネットワークを通じて自然に広がっていきます。特に、SNSでの「いいね」や「シェア」といったエンゲージメントを通じて、コンテンツの寿命が大幅に延びる効果があります。

ブランドへの信頼性向上

UGCは、企業が発信する情報よりも信頼性が高いと認識される傾向にあります。なぜなら、実際に商品やサービスを利用した生の声として受け止められるからです。この信頼性の高さは、新規顧客の獲得はもちろんのこと、既存顧客のロイヤリティ向上にもつながります。


このように、UGCは費用対効果、拡散力、信頼性という3つの主要なメリットを兼ね備えています。これらのメリットを最大限に活かすためには、適切な活用方法を理解することが重要です。

UGCの収集方法

UGCの収集方法

UGCを効果的に集めるためには、戦略的な運用が欠かせません。ここでは、UGC収集のポイントを解説します。

企業アカウントの作成と運用

まずは、適切な企業アカウントを設置し、運用体制を整えましょう。アカウントのプロフィールには、企業の特徴や価値観が一目で分かる情報を掲載し、ユーザーが安心して関われる環境を整えると良いです。
ユーザーの投稿に素早く反応できる環境を作ることで、継続的なUGCの創出が可能になります。企業アカウントからの「いいね」や「コメント」は、ユーザーの投稿意欲を高める大切な要素です。

定期的なコミュニケーション

UGC収集を促進するためにも、定期的にコミュニケーションを取るようにしましょう。投稿への反応は24時間以内を目安に行う、ユーザーからの質問やコメントには丁寧に返信する、といった細かな積み重ねにより信頼関係が出来上がります。
こうすることで、継続的なUGC創出を期待することができます。

ハッシュタグキャンペーンの設計

ハッシュタグは、UGC収集を効率化する重要なツールです。まず、商品名やブランド名を含む基本的なハッシュタグを設定します。これに加えて、キャンペーン期間中のみ使用する期間限定のタグを用意することで、投稿の整理や検索がしやすくなります。

さらに、ユーザーが投稿しやすくなるように、投稿手順を視覚的にわかりやすく説明することも効果的です。加えて、優れた投稿を定期的にハイライトすることで、他のユーザーの投稿意欲を刺激し、より多くのUGCを集めることが可能になります。

インセンティブ設計

UGC投稿を促すために、インセンティブを付与するというのも効果的です。製品やキャンペーン限定グッズのプレゼントなど、短期的な特典に加え、ユーザーへのランク付けなど、長期的なモチベーションを維持する仕組みも必要です。

ただし、これらのインセンティブが投稿者の自然な投稿意欲を阻害しないよう、バランスの取れた設計が重要です。

UGCの活用方法

UGCの活用方法

UGCは、ブランドの信頼性向上や顧客エンゲージメント強化に非常に効果的です。リアルなユーザーの声や体験を活用することで、マーケティング効果を最大化できます。以下に代表的な活用方法と、それぞれのポイントを解説します。

1. SNSでのシェアとリポスト

ユーザーが投稿した写真やレビューを公式アカウントでシェアすることで、リアルな声を広め、他のユーザーの共感や興味を引きます。これにより、ブランドの信頼性が高まり、新規顧客の獲得にもつながります。
シェアされた投稿に対して企業が積極的に「いいね」やコメントを行うことで、ユーザーとの関係性が深まり、継続的なUGC創出を促進できます。

2. ウェブサイトやECサイトでの掲載

商品ページや特設ページにUGCを掲載することで、購入検討中のユーザーにリアルな使用感や評価を伝えられます。これが購入の後押しとなり、コンバージョン率の向上に寄与します。
特に、写真や動画など視覚的なコンテンツを活用することで、商品の魅力をより具体的に伝えられ、ユーザーの購買意欲を高める効果があります。

3. 広告素材としての活用

UGCを広告に取り入れることで、ユーザー目線のリアルな魅力を伝えられ、広告の効果を高めることができます。特にSNS広告や動画広告での活用が効果的です。
UGCを活用した広告は、従来の企業発信の広告よりも信頼性が高く感じられるため、広告費用対効果の向上にもつながります。

4. キャンペーンやイベントのプロモーション

UGCを活用したキャンペーンを実施し、ユーザー参加型のプロモーションを展開することで、ブランドの認知拡大やファンの増加を促進します。
キャンペーン期間中に投稿されたUGCを公式アカウントで紹介するなど、参加者のモチベーションを高める工夫も重要です。

5. 社内共有や商品開発へのフィードバック

集まったUGCを社内で共有し、顧客の声として商品改善や新商品開発に活かすことで、より顧客ニーズに合ったサービス提供が可能になります。
顧客のリアルな声を反映させることで、商品やサービスの質が向上し、結果的に顧客満足度の向上とリピート率の増加につながります。


UGCの収集・活用事例

X(Twitter)での収集・活用:株式会社I-ne「YOLU」

株式会社I-neが販売するヘアケアブランド「YOLU」はXを活用して、UGCを収集しています。
公式アカウントはこちら

「YOLU」公式Xアカウントのプロフィール


商品名やブランドコンセプトである「#YOLU」「#ヨル」「#夜間美容」などのハッシュタグをプロフィールに記載をしています。

また、「#YOLUと夏旅」といった季節ごとに合わせたプレゼントキャンペーンや、新商品発売の際には「#YOLUスキンケア誕生」というハッシュタグでモニターを募集したりと、SNSの強みを活かした運用でUGCを獲得しています。

Instagramでの収集・活用例:株式会社ファーストリテイリング「GU」

「ジーユー」公式Instagramアカウントのプロフィール

ジーユーもプロフィール覧に、投稿を促す文言とハッシュタグの案内を掲載しています。
季節に合わせてコーディネートを集め、UGCを獲得しています。

また投稿にアカウントのタグ付けがされていることが多く、プロフィール画面から遷移できるため、コンテンツとしてもうまく運用をしている例です。

広告素材としての活用:オイシックス・ラ・大地株式会社「Oisix」

オイシックス・ラ・大地株式会社が提供する「Oisix」では広告ページに活用例を紹介しています。

公式サイトはこちら

普段の食卓についてのアンケートやメニューに対するコメントを掲載することで、ユーザーにサービス利用イメージを想起させる作用が見込まれます。商品の魅力を伝えるためにUGCを活用している例です。

※全て内容は投稿時のものです。キャンペーン内容などは異なる場合がございます。

UGCを活用する上での注意点

UGCを活用する上での注意点

UGC活用において最も注意すべき点は、権利関係の取り扱いです。ユーザーが作成したコンテンツを企業が活用する際は、必ず適切な許諾を得る必要があります。投稿規約やガイドラインで権利関係を明確に定義し、二次利用の範囲や方法について具体的に明示することが重要です。
また、ステルスマーケティングと判断されないよう発信方法には細心の注意も必要です。

さらに、不適切な内容やブランドイメージを損なう投稿を防ぐため、体制の整備も必要です。ただし、過度な干渉は自由なUGC発信を妨げる可能性があるため、適度なバランスを保つことが大切です。

まとめ

UGC(User Generated Content)は、現代のデジタルマーケティングにおいて重要な役割をもっています。実際に商品やサービスを活用しているユーザーからの生の声は、自然な拡散力があり、さらに企業発信のコンテンツよりも高い信頼性を持つという特徴があります。

UGCを効果的に収集・活用するためには、企業アカウントの運用、ハッシュタグキャンペーンの実施、適切なインセンティブ設計などが重要なポイントとなります。

ただし、権利関係の管理や投稿品質の維持など、注意すべき点もあります。これらに適切に対応しながら、ユーザーとの信頼関係を築くことで、持続的なUGC活用が可能となります。

これからのマーケティング戦略において、UGCの重要性はさらに高まっていくと考えられます。
是非参考にしてUGC活用を進めてみてください。

GENIEE CX NAV1 編集部

「誰もがマーケティングで成功できる世界を創る」というパーパスを掲げる株式会社ジーニーの
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