1年で100社との勝ち戦を作った営業仮説力を生む小さな習慣

更新日:2023.02.22 / 営業ノウハウ 

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石野 幸助(いしの・こうすけ)

2005年株式会社インテリジェンス入社。人材採用サービスの営業に従事した後、株式会社セレブレインへ。2012年にモバイルベンチャー企業にボードメンバーとして参画したのち、2015年3月に株式会社INST(インスト)を設立。人材業界に向けたBtoCコミュニケーションサービスを自社で開発・提供する。
株式会社INST
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社長ブログ
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要点  圧倒的な成果を生むための石野流仕事スタイル

集客はすべてブログと自社サイト、そしてトップである石野氏がみずから訪問するというスタイルで、すでに100社を超える新規開拓を果たすINST。「営業に必要なのは仮説力」と常日頃からブログで語る石野氏の、成果を出すまでのプロセスと仮説力の源を探ってみました。

 

集客はブログとサイト、インバウンドのみ

浅井

こんにちは。お会いするのは二度目ですが、いつもブログを拝見しているので、あまりお久しぶりという感じがしませんね。

 

石野

実績という数字面以上に、会社全体の空気、社員の意識を変えることができたこと。これがいちばん大きな成果だったと思っています。

 

浅井

しかも「GENIEE SFA/CRM」をお使いいただいています。

 

石野

まだ十分に使いこなせてはいないんですが…実は僕の他に営業担当を入れたほうがいいかなと思ったときに「それならCRMツールがほしいな」ということになったんです。候補はいくつかあったんですが、どれも見た目がごついんですよ…。毎日使うツールだから、それはイヤだなと思った。でも「GENIEE SFA/CRM」はロゴがかわいいしUIはキレイだし。それで決めちゃいました(笑)。

いずれにせよ、会社の空気を変えるにはショックも必要ですよ。それまで「これでいいんだ」と固定されていたものを、違う方向へ動かすわけですから。

 

浅井

ツールとはいえ、やはり見た目も大事ですね(笑)。ありがとうございます。今、営業担当は石野さんお一人でしょうか?

 

石野

はい、社員は4人で僕のほかエンジニアが2人、それにカスタマーサポートが1人。サービスはすべてエンジニア2人で自社開発して、僕が売るという役割分担です。ですから営業のほか請求書の発行なども、全部僕が一人でやってます。

 

浅井

コンパクトに凝縮されている印象ですね。営業スタイルはどのような?

石野

すべてインバウンドです。ブログとオフィシャルサイトで集客して、問い合わせに対して僕が訪問する。商談後の成約率は50%を切ることはありません。このやり方で100社から契約をいただきました。

 

浅井

アウトバウンドは一切行わないのですか?

 

石野

アウトバウンドはやったことがありません。先輩や知り合いの会社から引き合いをいただいて、受注していたんです。そろそろ新規止まりそうだなというタイミングで、人材ビジネスにいる人たちが興味を持ちそうなブログを書き始めたんです。するとブログを入口にサイトの訪問者が増え、さらに問い合わせが増えてきました。なので、今は問い合わせ対応で僕が訪問するという形で落ち着いてます。集客は今もそのパターンだけです。

マイナス要素を消していく「営業仮説力」

浅井

石野さんは「営業は仮説を立てるべし」ということをおっしゃっていますが、これはどのようなことなのでしょう?

 

石野

ご存じかと思いますが、プロ野球の野村(克也)監督が現役時代によく語っていた「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉があります。よくわからないけど勝っちゃった、ということはあったとしても、理由もなく負けるということはない。だから「負けた理由、負ける理由」を見つけて一つずつ潰していけば、負けることはないわけです。

なので、僕は思考的に総論で楽観的であっても、各論はネガティブに考えます。「もし、こうなったらどうしよう?」と。ここで仮説が必要になるんです。そうして「その時はこうしよう」と対策を用意しておく。もちろん自分自身でどうにもできないところもありますが、そこは仕方がない。ただ、再現性のないまぐれ当たりでは成功体験にはなりません。ですから仮説を立てて負ける要素を減らし、さらに精度を高めた「勝ちパターン」を作って、そうなるように事を進めるんです。

 

浅井

そうした仮説を構築していくプロセスでは、具体的にはどうされていますか?

 

石野

そうですね。まずプラス要素として成功の可能性を高めるという点では、営業以前に製品力やターゲットとするマーケットなど、マクロな視点から見ることです。僕の場合でいえば、まず人材業界が好況で、少子化のために売り手市場になっているという状況がある。ところが多くの会社が「求職者とのコミュニケーションがうまくできない」という共通の課題を抱えていた。どの会社も電話とメールで求職者とコンタクトを図っていたんですが、反応が乏しくて、どこも困り果てていたんですよ。でも今の時代に電話とメールだけでは無理があるだろう、ということにはすぐに気付きました。

 

浅井

そこでSMSによるコミュニケーションサービスの開発に向かわれた。

 

石野

だったら、その課題を解決するツール…SMSやチャットツールを使ったソリューションを自社開発して提供すれば、間違いなく売れるはずだ。こうしたプラス方向の仮説を立てて、それに沿って動いたことで成功の可能性が高まり、実際によく売れてくれました。逆にマイナス要素を減らす、失敗の可能性を減らすという点では、もっと細かい行動ベースの話になりますね。

 

浅井

具体的にはどのような?

 

石野

また販促の初期には「導入事例が乏しい」なんて言われもするだろう。それなら最初にメジャーどころの導入実績を作ってしまえばいい。そこは属人ベースでもいいし、値引きしてもいいと思っていたんですが、先輩の会社にお願いしたら、快く導入していただけました。それからは「○○社で使っていただいています」と胸を張って営業に持って行ける。

 

浅井

マイナス要素を一つひとつピックアップして、それを潰していく作業を重ねていく、ということですね。そうして精度とクオリティを上げていく。

 

石野

要するに相手の立場で「このサービスを発注しないとすると、どんなことが問題になるのか」ということを考えてみるんです。するとどのようなものにすればいいか、答えが出てくる。弊社のサービスはそうやって作り上げてきたものですから、営業先で「これを発注しない理由がない」と言われたときにはうれしかったですね。

 

何でも考える習慣が、その仮説を支える

浅井

そうした「営業仮説力」を指向していったのは、何か理由というか、きっかけがあったのでしょうか?

 

石野

あれは社会に出てまだ間もない頃です。当時の僕は会社でテレアポばかりをやらされていました。でも、そうそうアポなんて取れません。だからどうせ取るなら、大口のお客様のアポを取りたい。でもそういう顧客はほとんど先輩が担当している。だから僕らは手を出せない。ところが、そうしたお客様が実は休眠顧客になっていたんです。

 

浅井

それはまた、ずいぶんもったいない話ですね…。それこそ「GENIEE SFA/CRM」を活用していただきたいくらいです。

 

石野

さすがにマネージャーは問題視していたらしく、CRMツールを入れたんですよ。そして顧客との状況を部署内でオープンにして、「3ヵ月間コミュニケーションのない顧客は新規扱いにする。誰が営業に行ってもいい」というルールを作ったんです。

そこでさっそく見てみると、先輩たちが持っている大口のお客さんが、軒並み休眠していた。「昔、取引があった」とか「名刺交換した」とかその程度で、数ヵ月以上も放置されている。「ここにアプローチすれば売れるはずだ」と考えました。だからそうした顧客を全部リストアップして、すぐにマネージャーに確認しました。「僕が担当になっていいですか?」「ああ、いいぞ」と。

 

浅井

マネージャーとしたら、誰が掘り起こしに行くんだとしびれを切らしていたのかもしれませんね。

 

石野

それから先輩のところに行って、「僕が担当するので、先方の名刺をください」と伝えて。そこでまたいろいろ言われますが、放置していたほうが悪い。あとはお客様に電話を入れて、「担当が替わりましたので、ご挨拶に伺います」と話を進めて。この頃からですね、仮説を立てて営業に行くようになったのは。

「このお客様はこんなことで困っているのではないか?」と考えて、その解決策を用意していく。これでかなり売り上げました。たとえ仮説が外れていても、「よく考えてきてくれてるね」と言ってもらえますから、メリットしかない。

 

浅井

ただ、その仮説と解決策を習慣的に考えるというのは、誰にでもできるものではないかもしれませんね。

 

石野

何かにつけて「考える」という習慣がないと、難しいかもしれません。僕は子どもの頃から「なぜ?」「どうして?」が多かったんですが、世の中のあらゆることに疑問を感じて、考えをめぐらすことが好きなんです。例えば平日の昼間に駅のベンチでずっと座っている人を見て、「どうしてあの人はずっと座り続けているんだろう?」「誰かと待ち合わせだろうか?」「いや、実は駅のホームは考え事をするのに向いてるのかもしれない」などと考える。そうした習慣は役に立っていると思います。

 

ロジックで勝ちパターンの精度を上げていく

浅井

考えて考えて、負ける要素を減らし、勝ちパターンを作り上げる…。とてもロジカルに構築している印象を受けます。

 

石野

理詰めですね。同僚から「ロジカルモンスター」なんて言われたこともあります。以前、僕がとても尊敬している方から、「穴を掘って、目隠しをしたお客に手を触れず、その穴まで導いて落とし込むのが理想のクロージングだ」と言われたんですが、まさにその通りだと思いました。NHKのテレビ番組で「ピタゴラスイッチ」ってありますよね? ボールを置いたらゴールまで勝手に転がっていく。勝ちパターンの理想はアレです。

 

浅井

完全にロジカルな勝ちパターンができあがっているスタイルですね。商談が始まったら、黙っていてもクロージングまでたどり着く。

 

石野

あとはそのパターンの精度をいかに高めるかということになります。情熱や力が必要なのは、商品力がなかったり、製品がコモディティ化して差別化がしにくかったりというマーケットで起こることで、そうならないようにしていくことが重要だと思っているんです。

またそれに関連することで、世間の人たちはとかく「ブルーオーシャン戦略」というものをはき違えているんじゃないのかなと思うんです。魚がたくさん泳いでいて、しかも誰も気付いていない秘密の海がどこかにある…。そんなもの、あるわけないんですよ。あるのは、いかに自分たちの会社をその状態に仕立て上げられるかという戦略だけです。

 

浅井

御社のサービスは初期費用と従量課金という形を取られていますが、それもそうした戦略の一部なのですね。

 

石野

IT企業がBtoB(企業間取引)で稼ぐとなると、2パターンしかない。ひとつはプロダクトを売る。もうひとつは受託開発。受託は前職の頃にもやっていたんですが、効率が良くないんです。納品してしまったら、それでおしまい。がんばり続けていないと、収入が途切れてしまうんです。でも僕の理想は、たとえ薄くても常に収益が積み上がっていくサブスクリプション型のモデル。自分では何もしなくてもお金が入ってくるしくみと、それに合致するサービスを作って、皆さんに使っていただくことです。

だからSMSのサービスを考えついたときには「これだ!」と思いました。ひたすら理詰めで考えていくと、おのずと答えは出てきます。今の体制、やり方にしても、それが理詰めで考えた「勝ち戦」だと信じているからです。

 

使えるものは何でも使い、効率化を追求すべき

浅井

これまでのお話にあった営業スタイル、それに組織の規模や役割分担なども、とても効率的に構築されているようにお見受けします。

 

石野

僕自身、効率の悪いことがダメですね。何しろ嫌いです(笑)。

ずいぶん前ですが「毎日始発で出社して終電で帰る」という人が職場にいたんです。でも彼が何をしているかというと、媒体の効果実績を一日かけてエクセルで作っていたりする。そんなのピボットテーブル使えばすぐに終わりますよ、と教えてあげても、なぜか相変わらず一日かけて表と格闘し続けている。僕はこういう非効率的なことが大嫌いなんです。効率化していけるところは絶対していくべき。自動車があるのに馬車に乗っていることはない。楽ができるツールやサービスがあるなら、使わない手はないでしょう。

 

浅井

もちろんです。「GENIEE SFA/CRM」もそうしたツールのひとつなのですが、新たなツールを導入するとなると、抵抗も起こります。特に現場が嫌がる、ということはありますね。

 

石野

確かにオペレーションが変わるし、管理の手間が増える。でもそのことで、将来的には明らかに楽になる。スポーツ選手やアスリートが日々のきつい練習やトレーニングに耐えるのは、その先の成果を目指しているからじゃないですか。一時的な手間が先々どれくらいの差になって表れるか。それを理解している人は少ないですが、どんどん業務の効率化を図っていくべきだと思うんです。

少子高齢化が進んで、労働人口は減っていくわけですしね。そしてこれだけIT化が進んできているのに日本のGDPは伸びていないし、むしろ下がっている。それって、新たな技術を使いこなせていない人がまだまだ多いからなんだと思うんです。

 

無駄な時間は、まだまだ圧縮できる

石野

細かい話をすれば、時間の使い方ひとつとってもそう。アポイントの時間設定にしても、たいていの人は1時間刻み、30分刻みで入れていくけれども、それはやめたほうがいい。無駄な空き時間を増やすばかりです。

あとは生産性のないことはやめること。最近流行りのスマホゲームとか(笑)。そうした無駄な時間を詰めて、早く仕事を片付けて帰って、家族といっしょの時間を過ごせばいい。僕自身、そうしています。早く帰って子どもと遊びたいですしね(笑)。

 

浅井

1日は24時間しかありませんし、それ以上作り出すことはできません。でも無駄な時間を圧縮することは、多くの人にとってできることですね。

 

石野

実践するとなるとたいへんかもしれませんが。でも、今までなんとなく当たり前にやってきたことに疑いの目を向けて、改善していくことです。楽をして高い給料を取りたいと思うのは誰でも同じですが、それを実現したいならそのための努力を人の何倍、何十倍もしなくちゃいけません。また時間的な効率ということで言うのなら、ヘタに考える時間を置かないことです。

 

浅井

即断即決、ということですか。

 

石野

そうです。僕のモットーでもあります。自分が待たされるのがイヤで、ボールを持ち続けているのもイヤなんです。だから何でも来たらすぐ返す。迷っている時間は何も生み出しません。その場で判断するのと、1ヵ月間悩んで考えて結論を出すのと、どれほどの開きがあるというのか? もちろん他の候補と比較することも重要でしょうし、稟議や決裁という手続きについては別の話です。でもひとつの話に同意できるかどうかを判断するのに、そんなに時間はいらないはずです。

先日も「協業したい」という会社から問い合わせがあったんです。結構な規模の会社だったんですけれども、直接お話ししたいので伺いたい、というんですね。でも話だけして結論をズルズル引っ張られるのがイヤだったので、「決裁権のある方をお連れください」と言ったんです。そしたら取締役の方が来た(笑)

 

浅井

相手側も即断即決の重要性を理解していた、ということでしょう。ですが即決して失敗したこともあるのでは?

 

石野

もちろんありますよ。でも考え方ひとつだと思ってます。ビジネスの世界はゲームと違って、何があってもゲームオーバーにならない。何回でもリセットボタンを押せるんです。だから失敗したらサッと切り替えて、次を狙っていくことを考えるようにしています。1時間使って100点取るより、10分で90点取ったほうが効率も良いし、成果を上げられる。それに失敗というのは「こうしたら、うまくいかなかった」ということを知ることができたという点で、ある意味では成功なんです。ひとつ勉強できたと思えば、へこむこともありません。

 

将来の理想は筋肉質な組織と、穏やかな生活

浅井

こうしてお話ししていると、前へ前へという強いパワーを感じます。石野さんが描かれているご自身の将来像とは、どのようなものなのでしょうか?

 

石野

会社については、あまり大きくしようという考えがないんです。ただ「世間を席巻している日本発のプロダクト」というものが見あたらないので、それを実現したいですね。また、それを少人数でもやっていけるのがITの良いところ。筋肉質で無駄がなくて、攻撃体質の組織を作っていきたいと思っています。

 

浅井

プライベートではいかがですか。

 

石野

僕、東京があんまり好きじゃないんですよ。ですから将来的には田舎に住みたいですね。田舎のほうの、海が見える家に住んで、庭でバーベキューができて。もちろん仕事も自宅で完結。お客様とはSkypeで商談。そういう生活をしたいんです。でもまあ実際には、まだまだ隠居生活はできません。子どもが学校に通うにしても、毎日バスに乗って1時間というのはちょっと…とか、そういうところも考えないといけないんですが。ゆくゆくは、そうなりたいですね。

 

浅井

ぜひ、GENIEE SFA/CRMのツールを活用して田舎暮らしを実現しましょう! 本日は、貴重なお話をありがとうございました。

 

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