BtoB営業変革の新潮流:CDP活用による顧客情報一元化とAI活用で実現する営業DX

この記事で分かること
- 大手製造業にありがちな事業部制組織特有の「データサイロ化」問題と、CDP導入による解決アプローチのヒント
- 既存の営業システムを維持しながら、顧客情報を一元化する段階的な実装方法
- 営業担当者の実務ニーズを反映したダッシュボード設計と、業務効率化の具体的な成果予測
- CDPとAIを組み合わせた営業支援ユースケース(初回訪問シナリオ策定・自動報告スキーム・次回提案シナリオ策定)
はじめに:BtoB営業におけるデータ活用の課題
DX推進が加速する中、多くのBtoB企業が営業活動のデジタル化に取り組んでいます。
しかし、特に旧態依然とした業界、例えばエンタープライズ規模の製造業においては、事業部制組織の構造上、営業情報が部門ごとに分断され、顧客の全体像を把握できないという課題を抱えています。
ある大手製造業企業では、複数の事業本部が独立して事業部制を敷き、プロダクト毎に営業活動を展開しており、例えばAという同じ顧客に対して複数部門がマーケティングや営業からアプローチしているにもかかわらず、各部門の営業情報が統一されていないという問題に直面していました。
この状況は、機会損失だけでなく、顧客からみても不信感につながるリスクを孕んでいたのです。
本記事では、この企業がカスタマーデータプラットフォーム(CDP)を導入し、SFAやCRMをはじめとする顧客情報管理システムの統合・一元化とAI活用によって営業変革を実現した事例をご紹介します。BtoB営業におけるデータ活用の可能性と、実践的なアプローチを詳しく解説します。
ライフサイクル型ビジネスモデル
人は年齢やライフスタイルの変化により様々な購買活動を展開します。学生時代にAという商品を購入した顧客は実はビジネスマンとなり、同じ企業が販売するBという製品を購入することもあります。
更に結婚し子供ができれば使う家具や製品も変わります。
とあるメーカーでは複数の事業部門で顧客のライフスタイルの変化に合わせた様々な製品群を提供していました。これらはメーカーだけでなく、不動産や人材などの企業においても同じようなビジネスモデルが見られます。
人材では新卒や転職活動において年齢や環境に応じて様々なサービスが提供されていますが、実は1顧客に対して360度で向き合えている企業は多くないのが実態ではないでしょうか。
CDP導入の背景と3つの課題

課題1:データのサイロ化
企業ではライフスタイルの変化に伴う顧客への理解をより一層深め、潜在課題やニーズを捉える必要がありますが営業現場では、3つの課題が大きく存在します。
第一の課題は、データのサイロ化です。特に企業母体が大きくなればなるほど複数の事業本部制で構成され、営業活動や損益管理は事業本部単位で行われているのが実態です。
その結果、営業情報を報告するシステムが事業部単位で管理され、事業部ごとに異なるシステムが存在している会社も多く存在します。
例えば、6つの事業部があれば6から10程のシステムが存在し、システム同士がそれぞれ独立分断しており、技術的にも連携していないという状況が該当します。
こういった状況により、同じ顧客に対して複数の事業部が別々の製品群でアプローチしていても、各部門の営業情報が統一されていないという問題が生じます。
課題2:情報連携の網羅性不足
第二の課題は、情報連携の網羅性不足です。事業本部制であっても、同じ顧客に対して複数部門がアプローチする場合は連携が必要です。しかし、実態は、連携の起点が人的つながり(知人関係、同じ職場など)に依存していることも多いのではないでしょうか。
人が知らない情報は共有されず、情報の重要度判断が個人の主観に左右され、本来必要な情報が相手に伝わらないケースが発生していました。この属人的な情報連携により、機会損失や情報漏れが発生していたのです。
課題3:不確実情報一元化対策遅延が招く弊害
第三の課題は、不確実情報の一元化への遅れです。具体的には顧客訪問時に得られるニーズや課題について、情報を得た本人は理解しているが、他部門は知らないという状況などが該当します。
そういった環境化での営業活動では、担当者本人に聞かない限り情報が伝わらず、顧客トラブル時に他部門が情報を知らずにアプローチしてしまうケースも多く発生します。
同じ会社なのに情報共有ができていないという顧客不信につながり、結果的に顧客との関係構築に支障をきたすという弊害を招くこととなります。
CDP導入実装アーキテクチャ
CDPデータ基盤システム全体構成概要
複数部門の各営業情報システム(SFAやCRMといった営業顧客情報管理システム)が各部門で独立して運用されているところに、CDP基盤を介在させデータを統合。各部門のシステムから共有可能な情報を収集し、同じ顧客情報を自動で名寄せ(統合)し、データの一元管理を行います。
データ統合基盤には最近ではAIが搭載されたAIBIダッシュボードが一体化しているシステムを使うと良いでしょう。
※AIデータプラットフォームやデータ基盤に関する情報はこちらを参照下さい。
それらのAIBIダッシュボードでは、一元化されたデータを可視化し、全社員が営業情報を閲覧可能な状態にできます。これらのアーキテクチャにより、既存の各部門のシステム(例えばSalesforceを使っている部署はSalesforceを利用したまま、GENIEE SFA/ CRMを使っている部署はGENIEE SFA/ CRMのまま、キントーンを利用している部署はキントーンを利用)を維持したままでもデータがシームレスに連携でき現場がリプレイスの負荷なくデータ活用の恩恵を受けることが可能になります。
※各システムから集めた情報を統合した画面設計等やデータ連携のしやすさといった面においてはシステムやメーカーを集約したほうが運用面の負荷や利便性変わる可能性はあります。
CDP製品比較・選定時のポイント
昨今では日本国内にも複数のCDPシステム提供企業が台頭してきました。その中から自社に最適なシステムを比較選定するのは容易ではありません。ここでは選定時に役立つ比較ポイントを紹介します。
第一に、連携柔軟性と既存リプレイス負荷の回避がどれだけできるかという観点です。
各事業部で異なるSFAシステムを使用し、カスタマイズも施されている複雑な環境であればあるほど、CDPの連携柔軟性があれば、既存システムのまま容易に連携可能となり、既存システムのリプレイスの工数や移行コストを最小限にデータ統合を実現できる点は大きな要素です。
第二に、拡張性の高さです。本件はSFAデータに焦点を当てていますが、将来的に多様なデータを取り込む予定がある場合、、メーカーや製造業などで最近活用が増えてきているIoTデータや、外部データなど様々なシステムとの連携など将来を見据えた柔軟な対応ができるかも重要な観点となります。
第三に、大規模データ処理能力です。日々企業では大量のデータがやりとりされており、今後AIの進化浸透により多様且つ大量のデータを取り扱っていくこととなります。大規模データ処理能力に優れた性能であるか否かが求められます。
既存システムとの共存可否
先程あげたように全社統一SFAの導入という選択肢もありますが、既存の各事業部のSFAと業務が確立されており、全社統一SFAへの移行はハードルが高いという判断も会社によってはされることがあります。既存システムを維持しながらデータ活用の恩恵を受ける方が現実的な場合もあります。
CDP製品の連携柔軟性は特に複数部門で独立した事業運営体制を取ってきていたコングロマリット企業では既存システムを崩さずに実現可能という点は有効な比較検討段階での選択肢になりえます。
【参考情報】
AI基盤の比較や選定については、こちらのホワイトペーパーを参考に
AIBIダッシュボード機能と営業への価値提供

AIBIダッシュボードの構成
CDPで一元化されたデータは、BIツールを通じてダッシュボード化され各部門の営業担当者に提供されます。
ダッシュボードでは、企業単位での顧客情報統合表示が可能になることで製品軸ではなく、企業単位で横串での営業活動が可能になります。
例えば、企業名を統合基盤画面内で検索すると、顧客基本情報や、顧客部署・スタッフポイント、担当者情報、商談情報、営業活動、活動内容などが階層的に表示され、営業前にその企業の営業活動履歴が一目で把握することなどが可能となるといった状態です。
また、帝国データバンクやTSR、Speedaといった外部の企業情報DBなどと連携することで顧客基本情報をリッチな状態にして表示させるなども可能となります。
TSRや帝国データバンク、日経関連メディア等と連携すれば各部門営業マンが足で集めた情報に加えて、与信情報や人事情報なども同時に表示させるといった画面設計も不可能ではありません。
公開情報と非公開情報、独自の社内で収集蓄積した情報を一覧表示させることで営業効率も格段に高まることでしょう。
また、GENIEE SFA/ CRMのような固有のSFAの特殊機能があるシステムによっては人脈マップなども表示させキーマンや組織攻略などの参考や紹介、突破口のヒントを得るなども可能ではないでしょうか。
更に担当者情報では、通常のSFA機能に実装されている情報を可視化し、各部署の役職者情報と、どの事業部の誰がいつ接点を持ったかが表示、複数部門の接点が統合的に表示させることで同企業への同社製品群毎のマッピングも可能になります。
Aという製品とBという製品はクライアント企業のCという部署には入っているが、Dという製品群は未導入などが可視化するなどが該当します。
商談情報では、現在進行中の商談が複数部門の商談として一覧表示させることで、商談に紐づく営業活動が複数部門の活動として統合表示することでクロスセル、アップセルのスピードアップにもつながります。
データ更新の仕組み
各部門のSFAは営業が情報を更新する度にリアルタイムで更新されていますので、CDP側で活用する統合データについては、企業によりデータ更新の仕方は様々ありますが、営業情報であれば日次で更新できれば大きな支障はないことから、日次バッチ連携で前日の営業情報が更新、ダッシュボードに自動反映されるといった仕組みで運用すればデータの無駄な転送頻度や使用時間コストも抑えられデータコストの最適化にもつながるはずです。
これらの仕組み化によって、営業担当者は毎朝出社する際に常に最新の情報を確認できる環境が整います。
【参考情報】
CDP活用の具体的なガイドについては、こちらのホワイトペーパーもご覧ください。
AIエージェント活用のユースケース

AI活用の背景
CDPで一元化されたSFAデータに加えて、提案書、製品カタログ、その他営業資料などの非構造化データをベクトルデータベース化し、ナレッジベースとしてLLMに連携させることで、営業現場におけるAIエージェントの活用を推進定着させていくことなども副次的効果として創出することが可能となります。
AI活用ユースケース1:顧客訪問前の自動提案シナリオ策定
営業担当者が顧客訪問を予定した際、AIが顧客に対してどのようなアプローチをすべきかをSFAに蓄積されている事前情報を下にAIが最適なシナリオを生成し営業マンに提示するなどが可能となります。
営業担当者が訪問予定顧客を指定すると、AIがCDPの顧客情報とナレッジベースを参照し、最適な提案内容をAIが提示するといった仕組みです。営業担当者はそのシナリオを参考に資料参考にして訪問準備を行うなどが想定されます。
AI活用ユースケース2:訪問後の訪問報告自動生成&自動配信
顧客訪問時の商談内容の録画情報をAIが文字化し訪問報告を自動生成。事前に指定した関係者やSlackチャンネルに自動送信まで行うことも可能となります。
SFAの商談議事録機能や音声文字起こしAIエージェントを活用することで、営業担当者が訪問時に商談内容を録音。AIが音声を自動で文字起こしし、AIが社内報告書形式に自動整形し更には特定の上司や同僚にメールを送信といったフローまでを完結可能です。
最近ではGENIEE SFA/ CRMのようにAIエージェントがSFA側と連携することで商談内容をSFAに自動で入力してくれるなどSFA側もAI連携機能実装が進化しています。
AI活用ユースケース3:次回訪問提案内容示唆
顧客訪問で得られた情報をもとに、次の提案内容をAIが推奨し与件化のためのシナリオ作成をすることも可能です。顧客訪問で得られた情報がCDPに蓄積、AIがCDPの顧客情報とナレッジベースを分析し、推奨商材や参考事例をAIが提示など。営業担当者が判断して次の訪問に活かすといったシーンが想定されます。
これ以外にも新人営業マンや中途採用社向けのその企業・製品群だけに特化した営業部専用FAQの構築やベテラン営業マンの退職を見据えた属人化対策ナレッジボットなどCDPにデータを統合し利活用することで様々なメリットが創出可能となります。
その他のユースケースやAIの営業現場での活用シーンなど詳しくはぜひご相談下さい。

まとめ:BtoB営業変革を実現するCDP活用の将来像
本記事では、とある大手製造業企業がCDPを導入し、顧客情報の一元化とAI活用によって営業変革を実現した事例を付加情報を追加しながらご紹介しました。この事例から得られる重要な示唆は、以下の5つです。
第一に、BtoB領域におけるCDPの大きな可能性です。従来、CDPは個人顧客向けのマーケティング活動を中心に活用されてきましたが、この事例は、企業アカウントベースの顧客管理基盤としても、CDPが大きな価値を発揮することを実証しています。
第二に、段階的な実装アプローチの有効性です。既存システムを維持しながら、CDPを中心とした新しい基盤を構築するアプローチが有効であることが示されました。既存業務への影響を最小化し、段階的な導入が可能で、ユーザー受容性の向上につながります。
第三に、営業担当者の巻き込みの重要性です。プロジェクト成功の鍵は、技術的な側面だけでなく、営業担当者の巻き込み、ニーズの深い理解、継続的なコミュニケーション、ステークホルダーマネジメントという人的要素にあります。
第四に、CDPとAIの組み合わせによる相乗効果です。CDPで一元化されたデータとAI技術を組み合わせることで、訪問前提案、自動報告書作成、次回提案推奨など、営業活動の各フェーズで具体的な価値を提供できます。
第五に、継続的な改善の重要性です。システム導入後も、ユーザーフィードバックの収集、機能改善、ユーザー教育を継続することで、データ活用が組織に定着し、真の営業変革が実現されます。
BtoB営業におけるデータ活用は、単なるシステム導入ではなく、組織文化の変革を伴う取り組みです。技術的な基盤整備と人的要素の両面からアプローチすることで、持続的な営業変革を実現できます。
本記事でご紹介したようなCDP導入やAI活用による営業変革にご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。また、データ基盤やCDP活用に関する詳細な資料もご用意しております。
製品サイト:https://cx.geniee.co.jp/product/cdp/
ホワイトペーパー(AI基盤比較):https://geniee.co.jp/media/ebook/ai-platform-hikaku/
ホワイトペーパー(CDP活用ガイド):https://geniee.co.jp/media/ebook/gl-cdp-ebook001/
BtoB営業のDX推進やデータ活用でお悩みの企業様、システム部門や営業部門の責任者の方々からのご相談をお待ちしております。貴社のビジネス課題に合わせた最適なソリューションをご提案いたします。



























