AI READYなデータ基盤導入によりデータ「見る」から「利活用」へ:脱エンジニアによるAI活用で実現する組織変革

この記事で分かること
- クラウドデータウェアハウスを導入したことで、データ基盤が分析ツールからデータ利活用基盤へと進化
- エンジニア・非エンジニア問わず、全社員がデータを活用できる脱エンジニア依存を実現する具体的な方法
- リアルタイムデータ連携により、営業・CS・契約管理などの業務フローにデータを組み込む仕組み
- AI Agentを実装したBIダッシュボード活用による非エンジニア層でも簡単にデータ分析考察可能な環境が実現
- 組織全体でデータ活用を浸透させるための情報発信とサポート体制の構築方法
はじめに:AI READYなデータ基盤導入により何が変わるのか
多くの企業がDX推進の一環としてデータ基盤の構築に取り組んでいますが、導入後に期待通りの成果を得られているケースは決して多くありません。
データ基盤が「分析のためのツール」に留まり、ビジネスの現場で十分に活用されていないという課題を抱える企業は実は少なくないのが現実です。
ある企業では、クラウドデータウェアハウス製品を本格導入してから一定期間が経過し、データ基盤が期待以上の進化を遂げた例がありましたので紹介したいと思います。
当初同社では「クラウドサーバーとの親和性」「セキュリティ」「非エンジニア組織のでのデータ民主化」「進化し続ける基盤」という4つの効果を想定しデータ基盤導入しました。実際にはそれらを大きく超える変化が組織全体に起きたようです。
本記事では、この企業がどのようにしてデータ基盤をデータを見るだけの分析基盤から社内のデータを利活用する事業を進展させるフェーズへと進化させたのか、その具体的な取り組みと成果をご紹介します。
データ基盤導入時の期待と現実:想定を超えた4つの変化
導入時に抱いていた4つの期待
同社がクラウドデータウェアハウス製品を導入した際、以下の4つの効果を想定しいました。
第一に、同時利用していたクラウドサーバーとの親和性です。サーバー上のデータをシンプルなパイプラインで連携できることを期待していました。
第二に、セキュリティです。データガバナンスが確保された基盤内で安全にデータを扱える環境を求めていました。
第三に、エンジニアが手をかけなくても運用やデータの利活用が可能な環境整備。SQLなどの専門知識のない非エンジニア層のメンバークラスがデータを自由に分析し考察を加えながら利活用できる状態を目指していました。
第四に、進化し続ける基盤。強力な開発スピードにより機能のバージョンアップにより常に最新の機能を活用できることを期待していました。
導入後後に起きた変化
導入後一定期間を経て、同企業のデータ基盤には変化が起きたようです。
第一に、非エンジニア層によるデータ活用の実現定着。エンジニア・非エンジニア問わず、自発的にデータを使った施策を実施できるようになりました。
第二に、AI Agentした分析考察環境の浸透。BIダッシュボード内でAIと自然言語でやりとりしながらデータ分析や可視化、考察などがシームレスに行えるようになりました。
第三に、ビジネスプロセスへの組み込みです。データが分析の域を超え、営業・CS・契約管理など日々の業務フローに組み込まれるようになりました。
その他にも全社員がデータを有効に活用できデータが民主化されたことで自発的なデータ活用環境が整備されたことが進化の大きな点と言えるのではないでしょうか。
これらの変化は、単なるツールの導入ではなく、組織全体のデータ活用文化の醸成によって実現されたものです。
以降では、この変化を支えた具体的なデータ基盤のアーキテクチャと取り組みについて詳しく解説します。
現在のデータ基盤アーキテクチャ:リアルタイム連携と柔軟な拡張性

データソースと抽出・処理の仕組み
この企業のデータ基盤では、主なデータソースとして、プロダクトデータベース、アプリケーションログ、営業活動データ、企業・顧客データを扱っています。
データソースは、データベース、ログ、SaaSの3種類に大別され、コスト削減や重要データの品質を柔軟にコントロールできるよう、クラウドサーバーとクラウドデータウェアハウスの機能で構築し、更にAI Agentにとって重要となりうる非構造化データの取り扱いが今後の課題となります。
プロダクトデータベースのニアリアルタイム連携
この企業では、プロダクトデータベースのニアリアルタイム連携を実現しています。
データベースをオープンソースのCDCツールで取得し、マネージドストリーミングサービスを経て、クラウドデータウェアハウスへ連携する手法を取っています。
リアルタイム性を担保したことで、様々な業務フロー組み込みが加速。ストリーミング取り込み機能の最新版では、テーブルあたり大容量のスループットが出るようになり、書き込みから読み出せるようになるまでの時間も大幅に短縮されます。
データ変換とビジネスツールとの連携
データ変換は、あるデータ変換ツールのみで行っています。データの可視化は主にクラウドデータウェアハウス上のBIダッシュボードが使用されています。
また、CRMとの連携によって業務効率化や深い顧客分析対応なども可能に。データ基盤から業務システムへのデータ連携が自動化され、営業やカスタマーサクセスの業務効率が大幅に向上しました。
この取り組みにより、非エンジニアのメンバーも日常的に使用しているツールでデータ分析を行えるようになり、現場での利用が加速しました。
AI基盤の比較や選定については、こちらのホワイトペーパーが参考になります
全社員がデータで施策を実行できる環境の実現へ

エンジニア・非エンジニア問わずデータ活用
この企業では、エンジニア・非エンジニア問わず、クラウドデータウェアハウス上のアプリケーション開発ツールやアラート機能、分析ツールを使って自らデータ施策を実行しています。
各種データの分析や考察可視化もAI Agentの補助で誰でも使いこなせるようになりました。
具体的には、営業部門のメンバーが自らダッシュボードを作成し、リアルタイムで商談の進捗を確認したり、カスタマーサクセス部門のメンバーがアラート機能を設定し、顧客の利用状況に応じた適切なタイミングでフォローアップを行ったりといった取り組みも将来的には実現できるということです。
AIダッシュボード活用
AI Agentを実装したBIダッシュボードの活用により、高度な分析がSQLやプログラミング経験のないメンバーでもAI Agentが自然言語での指示を理解し実行してくれます。
例えば、「過去数ヶ月の売上推移をグラフで表示してください」といった指示をAI Agentに伝えるだけで、必要なコードが自動生成され、ダッシュボードが完成します。これにより、データエンジニアに依頼することなく、各部門のメンバーが自律的にデータ分析を行える環境が整いました。
ビジネスプロセスへの組み込み:営業CS現場での活用イメージ

営業・CS・契約管理への組み込み
ある企業では、CRM、チャットツール、カレンダーツールなどの業務システムとの連携が進んでいます。各部門が自らダッシュボードやアラートを設定し、業務改善を実行しています。「次の行動」を導くアラート・レコメンドが日常的に稼働し、営業やカスタマーサクセスの業務効率が大幅に向上しました。
例えば、営業部門では、商談の進捗状況に応じて自動的にアラートが発信され、適切なタイミングでフォローアップを行えるようになりました。
また、カスタマーサクセス部門では、顧客の利用状況をリアルタイムで把握し、解約リスクの高い顧客に対して先回りしたサポートを提供できるようになりました。
AI×自動化フローによる業務効率化
ある企業では、AIと自動化フローを組み合わせた営業支援の仕組みを構築しました。商談量の適正化を超効率化し、営業担当者が本来注力すべき業務に集中できる環境を整えました。
具体的には、データ基盤から取得した顧客情報や商談履歴をもとに、AIが次にアプローチすべき顧客を自動的にレコメンドします。営業担当者は、AIの提案に基づいて効率的に商談を進めることができ、成約率の向上にもつながっています。
お問い合わせ対応AI Agent構築
ある企業では、クラウドデータウェアハウスのAI機能を活用し、消費者からのお問い合わせ対応専用のAI Agentを構築しました。
顧客からの問い合わせ内容を自動的に分析し、適切な回答を提案することで、カスタマーサポートの業務効率が大幅に向上したようです。
AI Agentは、過去の問い合わせ履歴や製品情報をもとに、最適な回答を生成します。これにより、カスタマーサポート担当者は、複雑な問い合わせに集中でき、顧客満足度の向上にもつながっています。
以上のようにAIに最適化されたデータ基盤の構築によって企業内では様々な用途や活用シーンが生まれるていくことでしょう。
様々な事例やCDP活用の具体的なガイドについては、こちらのホワイトペーパーもご覧ください
組織全体でデータ活用を浸透させる3つの取り組み

社内向けに大量の情報発信
クラウドデータウェアハウス導入時は、社内ドキュメント整備が最重要と考え、大量の情報発信を行いました。毎日データウェアハウスのユースケースやTipsを発信し、知識を共有することが重要です。「どう使えばいいか分からない」をなくし、利用ハードルを徹底的に下げ、現場主導の活用を促進する取り組みです。
この取り組みは地味ですが、最も効果のあった基盤浸透の起点となった施策です。情報発信を継続することで、社員がデータ基盤の可能性を理解し、自発的に活用するようになります。
微細的なデータ基盤利用サポート
社内には、気づかないところでデータ基盤の使い方に苦戦している人がいます。
その声を拾うために、チャットツールのパブリックチャンネルでデータウェアハウスやデータ基盤関連の会話を常時モニタリングするといったことも大切です。利用方法や操作方法に困っている人がいればすぐ支援に入り、リアルタイムで課題を解消することが重要です。
苦しい体験を減らし、前向きにデータ基盤・データ活用へ向き合える空気を作ることで、組織全体のデータ活用レベルが底上げされます。この地道なサポート活動が、非エンジニア層でもデータに触れやすくしデータを民主化させるための環境作りに大きく貢献することでしょう。
AI活用を推進する組織文化
企業内でAI技術に組織的・戦略的に集中するという行動指針を策定するなども良いのではないでしょうか。全社員がAIを使いこなすことを目指し、部門間でAI活用格差を生まない取り組みを推進することが定着においては重要なステップです。データ基盤の利用促進、特に非エンジニア層への広がりにAIが大きく貢献するでしょう。
そういった思想や対策があってはじめて、AI×データ基盤の変化が社内全体の動きとして広がります。経営層がAI活用を明確に推進することで、現場のメンバーも安心してAIツールを活用できる環境が整うようになります。
まとめ:データ基盤を「活用するもの」へ進化させるために
本記事では、ある企業がクラウドデータウェアハウス導入後、データ基盤を「見るためのもの」から「活用するもの」へと進化させた事例をご紹介しました。これらの変化を実現した成功のポイントは、以下の3つです。
第一に、リアルタイムデータ連携の実現です。プロダクトデータベースのCDCを活用し、短期間以内にデータウェアハウスへ連携することで、営業・CS・契約管理などの業務フローへのデータ組み込みが加速しました。
第二に、業務フロー構築に必要なオブジェクトの統一管理です。データ変換ツールで全てを管理することで、模倣しやすく、AI支援も受けやすい環境を整えました。
第三に、セルフ利用環境構築の徹底です。非エンジニアでもデータを活用できる環境を構築しました。
データ基盤は、単なる分析ツールではなく、事業を動かす原動力となり得ます。技術的な基盤整備だけでなく、組織文化の醸成とサポート体制の構築が、データ基盤の真価を引き出す鍵となります。
以上、本記事でご紹介したようなデータ基盤の構築やAI活用にご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。また、データ基盤やCDP活用に関する詳細な資料もご用意しております。
製品サイト:https://cx.geniee.co.jp/product/cdp/
ホワイトペーパー(AI基盤比較):https://geniee.co.jp/media/ebook/ai-platform-hikaku/
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