ファーストパーティークッキーとは?サードパーティとの違いとCookie規制の影響を解説

ファーストパーティークッキーとは、ユーザーが訪問しているWebサイトのドメインから直接発行されるCookieのことです。ログイン状態の保持やカート情報の記憶、アクセス解析など、Webサービスを成立させる基本的な仕組みとして広く使われています。
Cookie(クッキー)とは、Webサイトがユーザーのブラウザに保存する小さなテキストデータのことです。サイト側がユーザーを識別し、前回の訪問情報を記憶する仕組みとして普及しています。この記事では、ファーストパーティークッキーの定義とサードパーティクッキーとの違いを整理したうえで、代表的な活用例と規制の最新動向、そして実務上の注意点を解説します。
なお、本記事を公開している株式会社ジーニーでは、Cookie規制下で重要性が増すファーストパーティーデータの統合・活用基盤としてCDP(カスタマーデータプラットフォーム)「GENIEE CDP」を提供しています。CDPは、Webサイト・店舗・各種ツールに散らばった顧客データを同一人物として名寄せし、分析から施策実行までを一貫させるためのデータ基盤です。Cookie規制で断片化しがちな顧客理解を自社起点のデータで立て直す選択肢として、ぜひご検討ください。
ファーストパーティークッキーとは。定義と発行の仕組みを解説

Cookieの基本的な役割
もしCookieという仕組みが存在しなければ、Webサイトはユーザーのことを毎回「初めて会う人」として扱うことになります。ログインしても次のページに移動した瞬間にその情報が消え、再び認証を求められる、という状態です。Cookieはこの問題を解決するために生まれた仕組みです。
具体的な動作は次のとおりです。ユーザーがWebサイトにアクセスすると、Webサーバーはブラウザに向けてCookieと呼ばれる小さなテキストデータを送信します。ブラウザはそのデータを手元に保存しておき、同じサイトに次回アクセスする際、保存しておいたCookieをサーバーへ送り返します。サーバー側はそのデータを参照することで「このユーザーは以前ログインした人だ」と識別できます。

この仕組みによって、ログイン状態の継続やカートへの商品追加、サイト内での行動履歴の記録が可能になります。Cookieはユーザーの識別と状態保持を担う、Webサービスの基盤的な技術です。
CDP活用で実現する顧客データ基盤の構築とファーストパーティデータを活用した成果最大化実践手法
「ファーストパーティー」が意味するもの
「ファーストパーティー」という言葉は、商取引でいえば「直接取引している当事者」を指します。あなたが書店でダイレクトに本を買うとき、書店があなたにとってのファーストパーティーです。Cookieの文脈でも考え方は同じで、ユーザーが今まさに訪問しているWebサイトが「ファーストパーティー」です。
たとえばユーザーが「example.com」を訪問したとき、example.comのドメインが発行するCookieがファーストパーティークッキーになります。そのCookieはexample.comのサーバーとユーザーのブラウザの間だけでやり取りされ、example.comの外に出ることはありません。
一方、Webページには訪問先ドメイン以外のリソースが埋め込まれていることが少なくありません。広告ネットワークのタグ、アクセス計測ツール、SNSの「いいね」ボタンなど、これらはそれぞれ異なるドメインから読み込まれています。これらの外部ドメインがユーザーのブラウザにCookieを保存しようとするとき、そのCookieはサードパーティクッキーと呼ばれます。ユーザーが意識して訪れたサイトとは別の事業者が、ユーザーの行動情報を取得できる構造です。
この「誰が発行したか」という発行元の違いが、ファーストパーティーとサードパーティを分ける唯一の基準です。次のセクションでは、両者の違いをより具体的に整理します。
ファーストパーティークッキーとサードパーティクッキーとの違い

両者の違いを整理するうえで最もシンプルな視点は、「誰が発行したCookieか」に注目することです。
| 比較軸 | ファーストパーティークッキー | サードパーティクッキー |
| 発行元 | ユーザーが訪問しているサイトのドメイン | 訪問先とは別の第三者ドメイン |
| 主な用途 | ログイン状態の維持、カート保存、自サイト内のアクセス解析 | クロスサイトトラッキング、リターゲティング広告 |
| ブラウザ制限 | 制限なし(原則許容) | SafariはITPにより完全ブロック済み、FirefoxはETPによりトラッキングCookieをブロック済み |
発行元の違いは、そのままデータの流通範囲の違いに直結します。ファーストパーティークッキーは自サイトのドメインが発行するため、データは自社サービスの内部にとどまります。サードパーティクッキーは外部の広告ネットワーク等が発行するため、複数サイトにまたがるユーザーの行動を追跡できます。

用途の面では、ファーストパーティーはあくまでそのサイト内でのユーザー体験を成立させるために使われます。サードパーティは主にサイトをまたいだトラッキングや広告配信に活用されます。
ブラウザ制限については、SafariはITP(Intelligent Tracking Prevention)によって2017年以降段階的にサードパーティクッキーをブロックし、MozillaのFirefoxも2019年からETP(Enhanced Tracking Protection)をデフォルトで有効化しており、トラッキング目的と判定されたサードパーティクッキーをブロックしています(すべてのサードパーティクッキーをブロックする『厳格モード』への変更も可能です) 。ファーストパーティークッキーは現時点で原則許容されていますが、一定の制限がある点については後述します。ChromeのサードパーティCookieをめぐる方針の変遷については、次のセクションで詳しく触れます。
ファーストパーティークッキーどんな場面で使われている?代表的な3つの活用例

1. ログイン状態や入力情報の保持
会員制のWebサービスにログインした後、ブラウザを閉じて翌日また開いても引き続きログイン状態が続いている、という体験は多くの人にとって当たり前のものです。この裏側では、訪問先サイトのドメインがセッション情報をファーストパーティークッキーに保存しています。
ブラウザはそのCookieをサーバーに送り返すたびに「このユーザーは認証済みである」とサーバーが判断できるため、再ログインが不要になります。また、問い合わせフォームの記入途中でページを離れてしまっても、再訪問時に入力内容が残っているケースも同じ仕組みで実現されています。
ログインIDやフォーム入力内容をファーストパーティークッキーで保持することで、ユーザーは再訪問時の入力の手間を省けます。ユーザー体験の維持という観点から、最も身近な活用例の一つです。
2. ECサイトのカート情報の保存
オンラインショッピングで商品をカートに入れてサイトを離れ、翌日戻ってみたらカートにそのまま商品が残っていた、という経験はあるでしょうか。ECサイトのカート保存もファーストパーティークッキーが担う代表的な機能です。
仕組みとしては、カートに追加した商品のIDやカートセッションIDをCookieに保存し、再訪問時にそのIDをもとにカート情報をデータベースから復元します。ユーザーがログインしていない状態でもカートを維持できるのは、この仕組みがあるためです。
ECサイトではカートを離脱したユーザーの一定割合が後日戻ってくると言われており、カート情報を維持しておくことは購買機会の損失を減らすうえでも機能します。カゴ落ちと呼ばれる課題への対策として、ファーストパーティークッキーは実用的な役割を担っています。
3. アクセス解析ツールでの行動計測
Google Analytics 4(GA4)は、_gaや_ga_コンテナIDといった名前のファーストパーティークッキーをユーザーのブラウザに保存し、同一ユーザーの複数回訪問を識別しています。このCookieを参照することで、訪問回数、セッション数、ページ遷移の流れ、直帰率といったアクセスデータを計測することが可能になります。
GA4が発行するCookieは訪問先サイトのドメインが管理するファーストパーティークッキーであるため、サードパーティCookieのブロック規制の影響は直接受けません。ただし、ファーストパーティークッキーであれば制限を一切受けない、というわけでもありません。
特にSafariを使うユーザーについては、JavaScriptで発行したCookieの有効期限が7日間に制限される仕様があり、長期間にわたるユーザー識別の精度に影響します。この点は注意点として後のセクションで詳しく取り上げます。
ファーストパーティクッキーが重要視されるようになった背景とは?

サードパーティクッキーへの規制が強化されたことで、ファーストパーティークッキーへの依存度が相対的に高まっています。この流れを正確に理解するためには、ブラウザ各社の対応と法制度の整備という2つの動きを把握する必要があります。
ブラウザ各社によるサードパーティCookie規制の強化
サードパーティCookieの制限が最初に本格化したのは、AppleのSafariです。2017年に導入されたITP(Intelligent Tracking Prevention)は段階的に強化され、クロスサイトトラッキングに使われるCookieのブロックが進みました。Mozillaも2019年にFirefoxのETP(Enhanced Tracking Protection)をデフォルト有効化し、サードパーティCookieを標準でブロックする方針を取っています。

広告業界への影響が特に大きかったのは、Googleの動向です。Googleは2020年にChromeでのサードパーティCookie廃止を2年以内に実施すると表明しました。しかしその後、代替技術であるPrivacy Sandboxの開発に難航し、廃止期限が複数回延期されました。
2024年7月、Googleは方針を大きく転換します。Google Privacy Sandbox公式ブログは「サードパーティCookieを廃止する代わりに、Chromeにユーザー自身がWeb閲覧全体に適用される情報に基づいた選択を行える新しい体験を導入する」と発表しました。サードパーティCookieを一律廃止する計画を取り下げ、ユーザー選択制に移行する方針です。
さらに2025年10月には、Google Privacy Sandbox公式ブログがAttribution Reporting APIやTopics APIなど主要技術の廃止を決定したことを明らかにしました。継続するのはCHIPS(Cookies Having Independent Partitioned State)とFedCMに絞られ、大半のPrivacy Sandbox技術が終息に向かうことになりました。
結果として現状は「ChromeのサードパーティCookieは当面存続するが、SafariとFirefoxでは既にデフォルトでブロック済み」という状況です。世界のブラウザシェアではChromeが過半を占めますが、モバイル環境ではSafariのシェアが高く、サードパーティCookieに依存したデータ収集の限界は現実のものになっています。この現実がファーストパーティークッキーの重要性を押し上げています。サードパーティクッキー規制の最新動向と企業の具体的な対策については、サードパーティクッキー廃止撤回後の現状と広告対策で詳しく解説しています。
プライバシー保護法制の整備
技術面の規制と並行して、法制度の整備もCookie運用に影響を与えています。日本では2023年6月に改正電気通信事業法が施行され、外部送信規律が新設されました。改正電気通信事業法では、Cookie IDを含む端末情報を第三者に外部送信する場合、通知・公表、ユーザーの同意取得、オプトアウト措置のいずれかを講じる義務が定められています。
EUにおいてはGDPR(一般データ保護規則)のもと、Cookieによるデータ収集にユーザーの明示的な同意が原則として必要です。EU居住者向けにサービスを提供する場合は、日本国内向けの対応とは別にGDPRのCookie同意要件への対処が求められます。
これらの法規制は、ファーストパーティークッキー自体を禁じるものではありません。しかし、Cookie経由で収集したデータを外部ツールに連携させている場合は対象となります。具体的な対応については次のセクションで整理します。
ファーストパーティークッキーにも落とし穴がある?実務で見落としやすい3つのポイント

ファーストパーティークッキーはサードパーティに比べてブラウザ規制の影響を受けにくいのは事実ですが、万能ではありません。実務で運用する際に見落としやすい3つの注意点を確認します。
1. SafariのITPによる有効期間の制限

「ファーストパーティークッキーならSafariのITP制限を受けない」という誤解が実務の現場で広がっています。実際には、JavaScriptで発行したファーストパーティークッキーもITPの制限対象です。
WebKit公式ブログによると、ITP 2.1以降、JavaScriptのdocument.cookieで作成したすべての永続クッキーの有効期限は7日間に制限されます。GA4が発行する_gaクッキーもJavaScript経由で設定されるため、Safariユーザーについては7日以上経過するとユーザーIDがリセットされ、同一ユーザーとして識別できなくなります。
この影響を受けるユーザーの規模を示すデータがあります。StatCounterの集計では、2026年3月時点で日本のモバイルブラウザ市場においてSafariのシェアは42.82%(約43%)です 。モバイルからのアクセスが多いサービスでは、計測データの精度に実質的な影響が出ます。
さらに、CNAMEクローキング(自社ドメインのサブドメインを計測タグのエンドポイントに見せかける手法)でITPを回避しようとするアプローチも、現在は対策が取られています。WebKit公式ページでは、ITPがCNAMEクローキングやIPアドレスクローキングを検出し、該当するHTTPレスポンスで設定されたCookieの有効期限を同様に7日間に制限すると明記されています。サーバーサイドで発行するHTTPレスポンスCookieへの移行を検討する際も、この点を踏まえる必要があります。
2. ユーザー同意の取得と法令対応
「ファーストパーティークッキーだから法的な手続きは不要」という認識は誤りです。問題になるのは、Cookieのデータを外部サービスに送信するかどうかです。
改正電気通信事業法の外部送信規律では、ファーストパーティークッキーであっても、そのCookie IDをGA4や広告タグを経由して第三者に送信する場合は規律の対象となります。対応として求められるのは、通知・公表、ユーザーの同意取得、オプトアウト措置のいずれかです。多くのWebサイトで見られるCookieバナーは、この規律への対応として設置されています。
EU居住者向けにサービスを提供している場合は、GDPRに基づくCookie同意要件が加わります。日本の法対応と要件が異なる部分もあるため、対象読者・市場に応じた対応設計が必要です。Cookieバナーの具体的な実装方法は専門家への相談をお勧めします。
3. Cookieに頼らないデータ収集手段の検討
ITPのさらなる強化やChromeのプライバシー設定変更など、ブラウザベンダーのプライバシー保護方針は今後も変化する可能性があります。Cookie単独に依存したデータ収集は、仕様変更のたびに計測精度が揺らぐリスクを抱えています。
こうした状況で注目されているのが、ユーザーが自発的に提供するゼロパーティデータです。会員登録時に入力する氏名・属性情報、アンケートへの回答、購買履歴など、ユーザーが明示的に提供したデータはCookieの有効期限やブラウザ制限に左右されません。
ファーストパーティーデータを複数チャネルで統合活用することの効果は定量的にも示されています。BCGとGoogleの共同調査(2020年)では、ファーストパーティーデータをチャネルをまたいで統合活用する企業は、統合が限定的な企業と比べて広告の増分収益が最大2倍高いと報告されています。
データ統合の選択肢の一つがCDP(カスタマーデータプラットフォーム)です。CDPは、複数のシステムに分散した顧客データを同一人物として名寄せし、分析用途から施策実行用途まで一元的に扱える基盤で、ファーストパーティーデータ戦略の土台として位置付けられます。
顧客データ統合とは?仕組みから名寄せ・要件定義まで基礎を解説
検討するメリットは主に3点あります。第一に、チャネルや部門をまたいだ顧客像の断片化を解消できること。第二に、蓄積したデータをセグメントとして切り出し、MAやメール配信などの施策にそのまま連携できること。第三に、Cookie規制に左右されない自社起点のデータ活用体制を構築できることです。
株式会社ジーニーが提供するGENIEE CDPはノーコードで多数のツールと連携でき、ID名寄せ・統合機能によって同一ユーザーの行動をチャネルをまたいで一元管理できます。AI・機械学習を活用した分析や自然言語でのデータ分析にも対応しており、蓄積したファーストパーティーデータを施策に結びつけるまでのサイクルを短縮できます。
まとめ

ファーストパーティークッキーとは、ユーザーが訪問しているWebサイトと同じドメインから発行されるCookieのことです。ログイン状態の維持、カート保存、アクセス解析など、Webサービスの基本機能を支えています。
SafariとFirefoxがサードパーティCookieをデフォルトブロックし、Googleも廃止から選択制への方針転換を経て主要Privacy Sandbox技術の終息を発表した現在、データ収集の軸はファーストパーティーへの移行が進んでいます。一方で、JavaScriptで発行したファーストパーティークッキーもSafariのITPで7日間に有効期限が制限される点や、外部送信を伴う場合は改正電気通信事業法への対応が必要な点は見落とせません。
なお、Safari 16.4(2023年3月)以降は、従来のサーバーサイドCookieも同様に7日間で破棄される仕様となっており、単純なサーバーサイド移行だけでは根本的な解決にはなりません 。
株式会社ジーニーのGENIEE CDPは、散在した顧客データをノーコードで統合し、ID名寄せによってオンライン・オフラインをまたいだ同一顧客の行動把握を実現します。
更にAI・自然言語による分析サポートでデータアナリストがいない組織でも活用でき、分析結果はMAやENGAGE等のジーニーマーケティングクラウド製品にそのままセグメントとして連携できるため、「データは集めたが施策に繋がらない」状態を解消できます。
導入支援・活用支援チームによる伴走もあり、CDPの導入が初めての企業でも無理なく立ち上げられます。Cookie規制時代のデータ活用基盤を構築したい方は、まずはGENIEE CDPの製品ページから詳細をご確認下さい。



























