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コホート分析とは?GA4・Excelでの進め方と注意点を解説

公開日: / 更新日: / データ活用/CDP
コホート分析とは?GA4・Excelでの進め方と注意点を解説

コホート分析とは、ユーザーを「登録時期」や「初回購入月」などの共通条件でグループに分け、時間経過に伴う行動変化を追跡する分析手法です。

全体の集計データでは見えない「いつ・どのユーザーが離脱したか」「どの施策が長期的な定着につながったか」を明らかにできます。月間アクティブユーザーが横ばいでも、実は既存顧客が大量離脱してしまっていた。そんな「全体平均の罠」に気付けるのがコホート分析の強みです。

コホート分析はGA4やExcelでも実施でき、特別な統計知識は必要ありません。

本記事ではコホート分析の基本から、GA4・Excelでの具体的な手順、陥りやすい落とし穴まで解説します。

なお、本記事を公開している株式会社ジーニーでは、Cookie規制下で重要性が増すファーストパーティデータの統合・活用基盤としてCDP(カスタマーデータプラットフォーム)「GENIEE CDP」を提供しています。CDPは、Webサイト・店舗・各種ツールに散らばった顧客データを同一人物として名寄せし、分析から施策実行までを一貫させるためのデータ基盤です。コホート分析を継続運用できる顧客データ基盤を整えたい方は、ぜひご検討ください。

コホート分析とはどんな手法?定義と仕組みを解説

コホートという言葉はラテン語の「cohors(軍隊の一隊)」に由来し、もともとは「ある共通条件を持つ集団」を表す用語です。

医学・疫学の分野では同じ時期に同じ条件下に置かれた患者群の追跡調査に使われてきました。マーケティングでは、同じ月にサービスに登録したユーザー群や、同じキャンペーン経由で初回購入したユーザー群をコホートと呼び、その後の行動変化を追います。

具体的なイメージとして、ECサイトを例に挙げます。

1月に登録したユーザー群(1月コホート)と2月に登録したユーザー群(2月コホート)をそれぞれ追跡し、登録から1か月後・2か月後・3か月後のリテンション率を並べて比較します。1月コホートの3か月後のリテンション率が40%なのに対し、2月コホートが60%だとすれば、2月に何らかの施策上の変化や外部要因があったと推測できます。

全体数値だけでは見えない「隠れた課題」を発見できる

ここで注目したいのが「全体平均の罠」です。

月間アクティブユーザー数が横ばいで推移していても、内訳を見ると古いコホートが大量に離脱しており、その穴を新規ユーザーの流入で相殺しているだけというケースがあります。全体平均だけを見ていると「問題なし」と判断してしまいますが、コホート別に分解すれば既存顧客の定着率が深刻な水準にあることが見えてきます。

目的で使い分ける!2種類のコホート

コホートには大きく2種類あります。

「獲得コホート」は登録月や初回購入月など、ユーザーを獲得したタイミングで分類する最も一般的な方法です。

一方「行動コホート」は、特定の機能を初めて使った月や、プレミアムプランに切り替えた月など、特定のアクションを起点にして分類します。どちらを選ぶかは「何を知りたいか」によって決まります。

コホート分析でわかることとは?押さえておきたい3つのポイント

コホート分析を活用すると、全体の集計では見えなかった顧客行動のパターンが具体的に浮かび上がります。

1. ユーザーの継続率と離脱タイミングを可視化できる

矢野経済研究所の調査によると、2023年の国内BtoCサブスクリプション市場規模は前年比5.2%増の9,430億円に達しています。サブスク型ビジネスが広がる中、ユーザーがいつ・どのタイミングで離脱するかを把握できているかどうかが、事業の収益性を大きく左右します。

コホート別のリテンション率を追跡すると、全体平均では見えない離脱のパターンが鮮明になります。たとえばECサイトで「1月登録コホートは1か月後のリテンション率が60%、2か月後は45%、3か月後は急落して20%」というデータが出た場合、3か月目に特有の離脱要因があると推測できます。メールのトーン変化、クーポンの有効期限切れ、競合の新サービス開始など、仮説を立てる起点になります。

継続率を可視化することには経済的な意味もあります。Bain & Companyのフレデリック・ライクヘルドとハーバード・ビジネス・スクールのW・アール・サッサー・ジュニアが1990年にHBRに発表した研究『Zero Defections: Quality Comes to Services』(HBR, September-October 1990) では、顧客の離反率を5%削減するだけで、銀行の支店では利益が85%増加、保険代理店では50%増加、自動車サービスチェーンでは30%増加したと報告されています(HBR掲載のライクヘルド・サッサー論文)。古い研究ではありますが、顧客維持の経済効果を示す代表的な根拠として今も参照されています。

どのコホートでリテンション率が落ちているかを把握することで、改善リソースを集中すべき場所が明確になります。

2. 施策・キャンペーン効果まで検証できる

コホート分析は、施策の本当の効果を見極める手段としても機能します。たとえば、6月にクーポン施策を実施したとします。全体のコンバージョン率が向上したように見えても、6月登録コホートのリテンション率を追うと、2か月後・3か月後の継続率が施策なしの月と比べて低い、という結果が出ることがあります。

この場合、クーポン目当てで登録したユーザーが多く、本来のサービス価値への関心が低いまま流入した可能性が高いといえます。全体のCVRが上がったことを成果として評価してしまうと、LTVの低いユーザーを獲得コストをかけて集めただけという実態を見落とします。

A/Bテストが「施策Aと施策Bの直後の反応を比較する」ための手法だとすると、コホート分析は「施策Aを経験したユーザーが3か月後・6か月後にどう行動しているか」を追いかけるための手法です。短期の反応と中長期の定着は必ずしも一致しないため、両方の視点を持つことで施策評価の精度が上がります。

3. SaaS・サブスクにおける解約傾向を把握できる

SaaS事業者が急増する中、解約管理はビジネスの根幹となっています。

月次のチャーンレートだけを追っていると、全体の傾向は把握できても「どの時期に獲得した顧客が特に離脱しやすいか」は見えません。たとえば全体のチャーンレートが2%から1.8%に改善したとしても、コホート別に分解すると、直近3か月に獲得した新規顧客の離脱率は上昇していた、というケースが起こりえます。

コホート分析でよく発見されるパターンのひとつが「契約3か月目の集中離脱」です。無料トライアル期間の終了や、初期設定のまま使い続けた結果として効果を実感できなかったユーザーが、この時期にまとめて離脱する傾向があります。このパターンが見えれば、契約2か月目にオンボーディングの強化施策を入れる、チュートリアルの完了率を指標として追う、といった具体的な対策につなげられます。

コホート分析をGA4・Excelで行うには?具体的な手順を解説

コホート分析の考え方を理解したところで、実際の分析環境での進め方を確認します。GA4のデータ探索機能を使う方法と、Excelのピボットテーブルを使う方法の2つを取り上げます。

GA4のデータ探索で行うコホート分析

GA4には「データ探索」機能の中にコホート分析のテンプレートが標準搭載されています。設定の流れは次のとおりです。

  1. GA4の管理画面左メニューから「探索」を開き、「データ探索を開始」で新規レポートを作成します。
  2. 手法の一覧から「コホートデータ探索」を選択すると、コホート分析用のキャンバスが表示されます。
  3. 「コホートの登録条件」でコホートを定義する軸(例:初回セッション)、「リピート条件」で継続とみなす行動(例:セッション)、「粒度」で追跡の時間単位(日・週・月)を設定します。
  4. 画面右側にリテンション率のマトリクスが表示されます。行が各コホート(登録週や登録月)、列が経過期間(0週後・1週後・2週後…)に対応しており、各セルの数値がその時点での継続率を示します。

設定時に選択が必要な「計算方法」には3種類あります。

  • 「標準」は初回の登録セッションを基準に継続を判定する方法で、最も基本的な指標です
  • 「連続」は毎期連続してアクティブであることを条件とするため、途中で途切れたユーザーは継続とみなされません。
  • 「累計」は過去のいずれかの期間でリピート条件を満たせばカウントされるため、数値は単調増加します。サブスクのリテンション管理には「標準」、厳密なヘビーユーザー分析には「連続」が向いています。

GA4のコホート分析にはいくつかの制約があります。週の開始曜日が日曜固定であるため、営業週(月曜始まり)で分析したい場合は補正が必要です。また粒度は日・週・月の3種のみで、四半期単位での集計はできません。サンプルサイズが小さい場合はデータがサンプリングされ、正確な数値が得られないケースもあります。

Excelのピボットテーブルを使った方法

手元に顧客データがある場合は、Excelでもコホート分析表を作成できます。手順は以下のとおりです。

  1. 元データに「初回購入月」列を追加します。各ユーザーの購入履歴からMIN関数で最小日付を取得し、TEXT関数でYYYY-MM形式に変換するのが一般的です。VLOOKUPで別シートに事前集計した『ユーザーIDと初回購入月の対応表』からユーザーIDを軸に初回購入月を参照する方法でも構いません(Excel 2019以降ではXLOOKUPも利用可能です) 
  2. ピボットテーブルを挿入し、行フィールドに「初回購入月」、列フィールドに「利用月」(またはセッション月)を配置します。値にはユニークユーザー数(例:ユーザーIDのCount Distinct)を集計します。
  3. 各セルの数値を、その行の「初回購入月」の列(経過0か月目)のユーザー数で割ります。これによって各セルがリテンション率(%)に変換されます。この計算は別シートに数式で展開するか、ピボット外に計算用テーブルを作成するのが扱いやすいです。
  4. 完成したリテンション率テーブルに条件付き書式でヒートマップを適用すると、高いセルが濃い色、低いセルが薄い色で表示され、離脱のパターンを視覚的に把握しやすくなります。

コホート分析で陥りやすい3つの落とし穴

コホート分析は正しく設計しないと、誤った結論に至るリスクがあります。実務でよく見られる3つの落とし穴と、その回避策を把握しておくことが欠かせません。

1. サンプルサイズの不足による偏り

月間の新規ユーザーが数十人規模のサービスで月次コホートを組むと、1グループあたりのユーザー数が5〜10人になることがあります。この状態では、1〜2人の行動の違いでリテンション率が20%以上ブレることになり、データから意味のある傾向を読み取ることができません。

コホートの人数が少ない場合は、粒度を月次から四半期単位に広げるのが基本的な対処法です。「1月〜3月登録コホート」「4月〜6月登録コホート」のように束ねることで、1グループあたりのサンプル数を確保できます。目安として、1コホートあたり最低数十人を確保できる粒度を選んでください。

粒度を広げると時間解像度が落ちるというトレードオフがありますが、ノイズだらけのデータを細かく追うよりも、信頼できる粒度で大まかな傾向を掴む方が意思決定には役立ちます。

2. コホートの軸設定の誤り

「何を明らかにしたいか」を定めずに分析を始めると、軸を重ねすぎる失敗に陥りがちです。「登録月×獲得チャネル×プラン種別」のように3軸を掛け合わせると、コホートが数十から数百に分裂します。多くのグループはサンプルサイズ不足になり、比較の意味をなさなくなります。

推奨するアプローチは、「改善したい指標」を先に決め、その指標に最も直結する軸を1つだけ選んでから分析を始めることです。オンボーディングの改善が目的なら「登録月」という獲得コホートが適切です。特定の機能活用が定着に効いているかを確かめたいなら「その機能を初めて使った月」という行動コホートが有効です。軸の数は後から増やせますが、最初はシンプルに絞った方が知見を得やすくなります。

3. 分析結果と施策のギャップ

コホート分析で「3か月目にリテンション率が急落している」という事実は発見できますが、なぜ急落するのかはコホート分析だけでは答えが出ません。この点を見落として、「3か月目に〇〇施策を打てばよい」と直接施策に飛びつくと、見当外れな対策になりやすいです。

適切な流れは、コホート分析で「いつ・どのユーザーが」という課題を発見したあと、仮説を立て、ファネル分析やユーザーインタビューで原因を掘り下げ、そこから施策を設計するというサイクルです。たとえば「3か月目の離脱率が高い」という発見に対し、「その時期にプッシュ通知のフリークエンシーが高くなっていないか」「プランの切り替えタイミングと重なっていないか」といった仮説をファネルデータで検証してから手を打ちます。

コホート分析は課題の「発見」に強く、原因の「特定」には別の分析手法が必要です。ツールの役割分担を意識することで、分析から施策へのつながりが精度の高いものになります。コホート分析は継続率の把握に優れますが、具体的な顧客セグメンテーション施策には向きません。顧客を購入頻度・金額・最新性で分類し、メール配信等の施策に直接活用したい場合はRFM分析ツールの導入も検討してみてください。

まとめ

コホート分析はユーザーを登録時期や行動起点でグループに分け、時間軸に沿って行動変化を追うことで、全体平均では見えなかった離脱パターンや施策の長期効果を明らかにする手法です。GA4のデータ探索やExcelのピボットテーブルで始められるため、ツールの導入ハードルは高くありません。

最初のアクションとして、GA4のデータ探索で自社サービスのリテンション推移を確認してみることをお勧めします。「どのコホートで3か月後の継続率が特に低いか」を把握するだけで、改善すべき優先領域が見えてきます。

株式会社ジーニーのGENIEE CDPは、散在した顧客データをノーコードで統合し、ID名寄せによってオンライン・オフラインをまたいだ同一顧客の行動把握を実現します。AI・自然言語による分析サポートでデータアナリストがいない組織でも活用でき、分析結果はMAやENGAGE等のジーニーマーケティングクラウド製品にそのままセグメントとして連携できるため、「データは集めたが施策に繋がらない」状態を解消できます。導入支援・活用支援チームによる伴走もあり、CDPの導入が初めての企業でも無理なく立ち上げられます。

コホート分析の結果をそのまま施策実行まで繋げたい方は、まずはGENIEE CDPの製品ページから詳細をご確認ください。

コホート分析を継続的に運用することで、施策の仮説精度が上がり、限られたリソースを効果の高い改善に集中できるようになります。

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GENIEE's library編集部
執筆者

GENIEE's library編集部

株式会社ジーニー


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