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リクルートでトップセールスを出し続けた営業マンが教える 「接点」から「接線」、「接面」へと広げる関係づくり【前編】

更新日:2024.05.31 / 営業マンへのインタビュー
リクルートでトップセールスを出し続けた営業マンが教える 「接点」から「接線」、「接面」へと広げる関係づくり【前編】

山本 隆志(やまもと・たかし)

Kaizen Platform, Inc.
Head of Global Business
人材領域を中心としたインターネットサービスを運営する(株)ビズリーチ総合企画部部長。1977年生まれ。2001年、リクルート(現・リクルートホールディングス)入社。人材採用を扱うHRカンパニーでセールス、さらにマネージャーを務める。2014年退社、2015年1月より現職。
http://www.bizreach.co.jp
https://jp.stanby.com/

前編どう売るか、どう買わせるかだけを考えている営業マンは価値が無い

前職では数々の受賞歴とともに、トップセールスとして走り続けてきた山本隆志氏。常に業績を上げ続けるその原動力は何か。そして抜群のスピード感の中で顧客やチームメイトとの関係をつくり上げる秘密は?

伝説のトップセールスマン

浅井

山本さんはセールスひとすじ、その後はマネージャーとして活躍されていますが、リクルート時代にMVPを取り続けていた山本さんを知っている僕には「伝説の営業マン」という印象があります。

山本

ただ、負けず嫌いなだけなんですよ。リクルートには優秀で尊敬できる営業マンがたくさんいましたから、その中で「一番になりたい」という気持ちが強かった。その気持ちを持って頑張った結果、表彰頂けたのだと思います。

浅井

入社当時からそうだったんでしょうか。

山本

入社してすぐ関西支社に配属されたんですが、最初は先輩に連れられてNTT局にタウンページをもらいに行きました。で、その中にある企業に、上から順に電話するんです。昔のやり方ですよね。決して面白い仕事ではない。でも「負けたくない!」という気持ちが強かったから、全然苦になりませんでした。それに数をこなして成果が上がってくると、仕事が楽しくなってきたんです。

浅井

その後、HRカンパニーに移られましたが、そこでも同じですか。

山本

実はその頃転職も視野に自分のキャリアについて考えていました。ですが、当時のHRカンパニーは優秀な人たちがズラリと揃っていて、まさにリクルートの本流だと勝手に思っていました。だから「そこで戦わずして社外に出ていいのか?」という気持ちになり、自ら異動希望を出したところ、運良く受け入れて頂けました。優秀な先輩たちに揉まれて、切磋琢磨しながら、そこで一番になりたいという…やっぱり負けず嫌いなんですかね。若い頃に頑張ってこられたのは、そういう気持ちが根っこにあったからだと思います。

成果を出し続けるための秘策は?

浅井

成果を出し続けるためには、どうすればいいんでしょう?

山本

自らで目標を立てて、やりきることに尽きると思います。目標が会社から下りてくるのを待つのではなく、例えば年間何億円などの目標を自分で設定するんです。そして日付を入れる。そして、その目標をどうやって実現するか、真剣に考えてみるんです。すると「あのお客様に、こんな提案ができるんじゃないか?」という知恵が出てくる。このやり方で、たいていのことはできてしまうと思っています。どんな小さなことでも自ら決断したことを達成すると自分の成功体験になるし、自信になる。だから、一緒に働くメンバーにもそうした経験してもらいたいと思っています。

浅井

シンプルですが、確かに具体的な数字が見えると漠然とした目標が明確になりますね。

山本

もちろん、こうしたことを心がけていても、うまくいかないこともあります。そんなときは「振り返って考える」ということも重要です。しっかりと内省をすることですね。明確に目標を設定するからこそ、できなかったことも明確になり、反省して次に活かすことができます。だから、そうした状況を自分で意識的につくっていくことが大事だと思います。

「その人」のために何ができるか

浅井

中には、なかなか難しいお客様もおられると思うのですが。

山本

商売は「企業ではなく人とするもの」と私は思っています。だから、まずはその会社で向き合っている方の事を考えればそれでいい。その方が何を考えていて、何を求めているか。そこに思いを馳せることから全てが始まります。

浅井

担当者との関係を重視するということですね。

山本

そうですね。「売りに行くぞ!」というのではなくて、「何か役に立てることはないか。」という姿勢で訪問する。お役に立てそうであればご提案する。そんなスタンスでお客様と接していると、相手にも通じるもので、けっこうフランクに付き合っていただけたりします。そうすると、その方の関心事や悩み、困っていることも見えてきます。

浅井

ですが、それだと時間もかかりますし、結局成果が出ない…ということにはならないんでしょうか?

山本

遠回りなようですが、大事なのはお客様の役に立つこと。お付き合いあるお客さまの中で困っていらっしゃる方は本当にいないのか考えてみる。自社の担当サービスが役に立てなければ、別の誰かをつないであげたっていいと思っています。そうじゃないと単発的な小さな成果は出ても、真の成果には繋がりません。恋愛も同じことが言えると思うんです。例えば自分のことに好意を持っていない相手に延々とLINEでメッセージ送ったら、そのうち嫌われてしまいますよね(笑)。だったらむしろ、相手の「好きなタイプ」を聞き出して、それに合う人を紹介してあげることもひとつのやり方。そうやってお付き合いしていると、相手からの印象もよいままで、来るべきタイミングで選んでもらえることもあります。そういうやり方もひとつだと思うんですよ。

浅井

でも数字を優先して取りにいきたくなることもあるのでは?

山本

無理に押してしまうと、いいことはないですね。これは私の経験なんですが、リクルート時代、トップクラスの案件をまとめて全社で表彰されたことがあったんです。でも、その案件が最後にクレームが発生し、お客様には満足してもらえなかった。これは私の仕事が、自社には貢献してたのかもしれませんが、お客様の役に立っていなかったということです。これでは意味がない。

お客様と同じ方向を向いて仕事をする

浅井

そうした思想というか、お客様の役に立つというスタンスを身につけたのは、何かきっかけがあったのですか?

山本

記憶に残る実体験がありました。当時、年間1,000名を超える中途採用のご支援をしたあるお客様があったのですが、まさに戦友となって仕事をしました。これだけの大量採用にも関わらず、先方の担当者は2名。普通に考えればやりきれる仕事の量じゃありません。女性の担当者がいらっしゃったのですが、日に日に疲れていくのを目の当たりにして、心から助けてあげなければと本気で思いました。そこからは、先方のチームメンバー同様にやれることはなんでもやりました。いつの間にか、その担当者のメンターにもなって業務の棚卸しや困りごとの相談にも乗っていましたね。

浅井

お客様と同じ方向を向いて仕事をしていたんですね。

山本

まさにそうです。そのときに「仕事の本当の楽しさ」を実感できました。その経験がのちのちまで役に立ちましたし、貴重な経験として残っています。「お客様が満足することでしか、対価はいただけない」と信じるようになったのは、それからです。

浅井

セールスとしては、どうしても「どう売るか」から考えがちですが。

山本

確かにそれも大事でしょう。でも一度「自分はモノを売る人だ」という固定概念から離れて、どうしたらお客様の役に立つのかを考えてみるといい。そして自社商品がお客様の役に立つと思うなら、自信を持って提案すればいい。もしもそこで足が止まってしまうとしたら、その商品に自信がないか、その商品がお客様にとって価値があると考えていないか、あるいはお客様が何をやりたいのかを理解していないということです。僕から見ると、それは「何もしていない」に等しい。何もしないうちから諦めて足を止めてしまうのは、もったいないとしか思えません。

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