Webマーケティングの業界で働く方なら一度は耳にしたことのある「CVR」という単語。業界で働くようになってから、当たり前のように使う「CVR」ですが、この言葉の意味を正確に答えられますか?
本記事では、CVRとはそもそも何なのか?という基礎知識から、その重要性を解説していきたいと思います。
目次
CVRとは何かを正しく理解しよう
「CVRが重要」とわかっていても、その意味や使い方を実はよくわかっていないという人もあるかも知れません。まずはCVRの意味やCTRとの違いを解説します。
コンバージョンレート(CVR)とは?
コンバージョンレート(CVR)とはWebサイトにアクセスしたユーザーのうち、どれくらい「購入や申し込みなどの成果につながっているか」の割合を表す指標です。コンバージョン率や顧客転換率などとも呼ばれます。
CVRの計算方法
CVRは「サイト訪問やセッションの総数に対して、どれだけコンバージョンできたのか」という割合をあらわします。この数値が高いほど、効率良く成果を挙げていることになります。
【CVRの求め方】
CVR=コンバージョン数÷サイト訪問数(セッション数)×100
同じくらいよく聞くCTRとCVRの違いとは?
CVRと似た用語に「CTR」というものがあります。Webマーケティングに関わる業界での経験が浅い方は、この2つの用語が似ているために混乱したことがあるのではないでしょうか?
CTRとは、クリックスルーレート(Click Through Rate)の略称です。広告や検索エンジンに表示された自社コンテンツが「何回クリックされたのか」を割合で示した値になります。この数値を計測することで、あるコンテンツがターゲットユーザーの興味・関心に訴求できているのかを知ることができます。
【CTRの求め方】
CTR=クリック数 ÷ 表示回数 ×100
CVRは広告をクリックしたユーザーのうち「目標としているアクションに至った割合」を示す指標です。一方、CTRは広告が表示されたユーザーのうち「クリックした割合」を示す指標です。
CVRの重要性を理解する上で、このCTRの存在も合わせて理解しておくと、この後の解説がとてもわかりやすくなるでしょう。
※CTRとCVRの違いを詳しく解説した記事はこちら
WebマーケティングにおいてCVRが重要な理由とは?
CVRは売上に直結する数値
毎日のように口にするこのCVRですが、なぜ重要だと言われるのでしょうか?
その理由は、CVRが売上に直接影響を与える指標だからです。
例をあげて説明します。
毎月の訪問者数が1,000人のサイトAとサイトBがあったとします。
- サイトAからは月間で商品を購入してくれたユーザーが10人いました。1,000人のうち10人なのでサイトAのCVRは1%です。
- サイトBからは月間で商品を購入してくれたユーザーが20人いました。1,000人のうち20人なのでサイトBのCVRは2%です。
これだけだとたった1%の差だと思いますよね?
しかし、これに平均の顧客単価をかけてみるとどうでしょうか?
どちらのサイトも顧客単価が10,000円だったとします。
- サイトAは10人が購入したので100,000円の売上です。
- サイトBは20人が購入したので200,000円の売上です。
たった1%の差が、100,000円の違いを生みました。
BtoB向けの商材やサービスを扱う会社の場合はこの顧客単価が100万円、1,000万円とさらに大きくなります。
このように、CVRが少し変化するだけで会社の売上は大きく左右されてしまうのです。
Web広告のコストとの関係性を考えるとさらにその重要度がわかる
もう少し、実践的なお話をします。今度は先程のページに広告をかけた場合の例をご紹介します。
どちらのサイトも毎月1,000人のユーザーを集めるために、150,000円の広告費かけていたとします。
- サイトAは150,000円の広告費をかけて、最終的な売上が100,000円。損益は-50,000円です。
- サイトBは150,000円の広告費をかけて、最終的な売上が200,000円。損益は+50,000円です。
いかがでしょうか?たった1%CVRが変わるだけで、その結果が利益にも、損失にも変わります。
そのため、多くのWebマーケターはこのCVRを向上させること=売上をあげることと捉え、日夜その改善に取り組んでいるのです。
CVRだけを意識していては売上は上がらない
ここまでのお話で、「なるほど!じゃあ売上をあげるにはCVRを向上させればいいんだ!」と理解していただけたかと思います。
しかし、実際にはCVRを改善するだけでは、不十分なことが多いのです。
再び例をあげてご説明します。今度はそれぞれの広告に使うバナーが異なる場合を想定します。
- サイトAは赤色の広告バナーを150,000円の広告をかけて宣伝しました。その結果、月間で750人のユーザーがサイトに訪れました。サイトAはデザインの改善を行い、CVRは3.3%まで改善しました。最終的に25人が10,000円の商品を買ってくれたので、売上は250,000円。損益は+100,000円でした。
一方、
- サイトBは青色の広告バナーを150,000円の広告をかけて宣伝しました。その結果、月間で1250人のユーザーがサイトに訪れました。サイトBは何も改善を行わなかったので、CVRは2%のまま。最終的に25人が10,000円の商品を買ってくれたので、売上は250,000円。損益は+100,000円でした。
サイトAはCVRが3.3%、サイトBはCVRが2%と単純にサイトAの方は改善されていたはずなのに、結果的な損益に違いは生まれませんでした。
今回はバナーの色の違いによってバナーをクリックしたユーザーに500人も差が生まれてしまったために、せっかく頑張ってCVRを改善してもその成果が売上に繋がらなかったのです。
この状態を改善するには、サイトへのアクセスを増やすためのバナーが「どのくらいクリックされているのか?=CTR」を改善する必要があります。
CTRとCVRのバランスが大切
それでは最後に、CTRとCVRが両方改善された場合の例をあげてご説明します。
今度は前回の反省を生かし、広告に使うバナーをよりクリックされやすいデザインに変えることにしました。
- サイトAは緑色の広告バナーに変更し、150,000円の広告をかけて宣伝しました。その結果、30,000人に広告が表示され、月間で1,500人のユーザーがサイトに訪れました。CTRは5%でした。サイトAのCVRは約3.3%だったので、最終的に50人が10,000円の商品を買ってくれたので、売上は500,000円。損益は+350,000円でした。
一方、
- サイトBは以前と同じ、青色の広告バナーを150,000円の広告をかけて宣伝しました。その結果、30,000人に広告が表示され、月間で1250人のユーザーがサイトに訪れました。CTRは約4.16%でした。サイトBのCVRは2%のままなので、最終的に25人が10,000円の商品を買ってくれたので、売上は250,000円。損益は+100,000円でした。
いかがでしょうか?
改善を繰り返したおかげで、サイトAはサイトBに比べCTRもCVRも改善され、その結果売上は3.5倍の差がついたのです。
なぜCTRよりもCVRの改善を重視することが多いのか?
ここまでで、売上をあげるためにはCTRとCVRをバランスよく改善する必要があることがおわかりいただけたかと思います。それではなぜ、CVRを主軸としてマーケティング設計をすることが多いのでしょうか?
それは、CVRの改善の難易度の高さに関係があります。
CVRの改善はCTRに比べてとても難しい
CTRはバナーやリンクなどをクリックする確率を表しています。CTRを改善することでサイトへのアクセスが増えますが、実はCTRを改善しなくても、広告の予算を増やすことである程度短期間にサイトへのアクセスを増やすことは可能です。
しかし、CVRはそうはいきません。費用をかけてサイトに誘導しても、ユーザーがアクセスするまで最終的な売上が増えるか減るかわからないのです。
CVRとは、常に実験や検証を重ね、自社にとっての最適な形を模索していく必要があるものなのです。
まとめ:CVRは売上向上のために用いるもっともポピュラーな指標
いかがでしたでしょうか?近年はWebで情報を収集したり、購買行動を行うユーザーが爆発的に増え、これまで以上にCVRの重要性が高まっています。
CVRの重要性をより理解して、どうすればユーザーが問い合わせをしやすくなるのか?より多くの問い合わせや購入を獲得できるのかを常に考え、トライアンドエラーを重ねながら自社のWebマーケティングを強化していくことが、売上向上への近道になるでしょう。
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