近年、日本でも主流にとなったD2C。
収益性の高さや顧客の個人情報の収集・蓄積がしやすくなるなどさまざまなメリットがあることから、取り組みを始める企業が増加しています。しかし競合が増加していることもあり、始めれば必ず成功するとは限りません。
そこで今回はD2Cを成功させるために欠かせないマーケティング戦略について行うべき施策のポイントをお伝えします。

目次
D2Cマーケティングの手法①:SNSの運用

D2Cに限りませんが、ECサイトを運用する際に重要なポイントは、できるだけ集客の入り口を増やすことです。そうした意味でSNSの運用は必須の施策といえるでしょう。ここでは、SNS運用の基本を解説します。
プラットフォームごとの特性を理解する
D2CマーケティングでSNSを運用する場合、各プラットフォームごとの特性を理解して使い分ける必要があります。ここでは「Instagram」・「X(旧Twitter)」・「Tiktok」の3つの特徴をお伝えします。
Instagramはビジュアルコンテンツに特化したSNSで、フィード投稿、ストーリー、リールなど多様なフォーマットを活用できます。これにより、ブランドの世界観や商品の魅力を視覚的に効果的に伝えられるため、ユーザーの共感を得やすいのが特徴です。さらに、ユーザー生成コンテンツ(UGC)が自然発生しやすく、信頼性の高い口コミ効果を期待できます。低コストで運用できる点もD2C企業にとって大きなメリットです。
ただし、過度な広告色の強い投稿はユーザーの反感を買いやすいため避け、商品の特徴だけでなく、体験談やブランドの背景ストーリーを伝えることが重要です。エンゲージメントを高めるために、ユーザー参加型のコンテンツやコミュニケーションも積極的に取り入れると良いでしょう。
X(旧Twitter)
Xはリアルタイム性と情報拡散力に優れたSNSで、キャンペーンや新商品情報の即時発信に適しています。リツイート機能により投稿が瞬時に広がりやすく、ブランド認知度の拡大に効果的です。ユーザーとの双方向コミュニケーションも活発で、リプライや引用リツイートを通じて顧客の声を直接反映できます。
一方で、情報の拡散速度が速いため、炎上リスクや誤情報の拡散に注意が必要です。投稿内容は慎重に検討し、常に最新の情報を提供することが信頼維持の鍵となります。しかし無料のアカウントの場合は、全角140字という制限があるため簡潔かつ魅力的に伝える工夫が求められます。Instagramと同様に過度な宣伝は避け、ユーザーとの交流や価値提供を重視しましょう。
TikTok
TikTokは短尺動画を軸にしたSNSで、特に若年層に強い影響力を持ちます。15秒から1分程度の動画で商品やブランドの魅力を直感的に伝えられ、トレンドに乗ったクリエイティブな表現がバズを生みやすいのが特徴です。TikTokの高度なレコメンドアルゴリズムにより、フォロワー数に関係なく多くのユーザーにリーチできる点も大きな強みです。
チャレンジ企画やハッシュタグキャンペーンを活用し、ユーザー参加型のプロモーションを促進することで、UGCを増やしブランド認知を効果的に拡大できます。さらに、2025年6月30日から日本で開始された「TikTok Shop」により、動画視聴から直接購入までの導線が強化され、D2C企業の売上拡大に新たな可能性が広がっています。
ただし、動画制作には一定のクリエイティブ力とトレンド把握が必要で、継続的な投稿が求められます。PRの際にはストーリー性を持たせ、エンターテインメントとして楽しめたり、共感を呼ぶ内容を重視しましょう。
参考:TikTok Shopを日本で提供開始!発見から購入までをアプリ内で完結し、新たな購買体験となる「ディスカバリーEコマース」を実現
SNS運用のメリット
SNSだけに限らず、D2C企業ではメルマガやDMといった情報発信は常に実施しているのではないかと思います。しかし、SNS運用は他の情報発信手段よりも秀でているメリットが2つあります。
1. 多様な表現でブランドの世界観を表現でき、ブランディングに繋がる
SNSは画像、動画、テキスト、ストーリー、ライブ配信など多彩なフォーマットを活用でき、ブランドの理念や価値観、ライフスタイルを感情豊かに表現できます。投稿後すぐに多くのユーザーに届き、リアルタイムで反応を得られるため、ブランドの魅力をタイムリーかつ効果的に伝えられる点が大きな強みです。
2. ユーザーとの双方向コミュニケーションにより、エンゲージメントが高められる
SNSはコメントやシェア、リツイートなどを通じてユーザーと直接対話できるため、一方通行の情報発信ではなく、顧客の声を反映しながらブランドを育てられます。また、ハッシュタグキャンペーンやユーザー生成コンテンツ(UGC)を活用することで、ユーザー自身がブランド体験に参加し発信する仕組みを作り、信頼性や親近感を高めることができます。
SNS運用のポイントは?

押さえておきたい、効果的なSNS運用のポイントを6つに絞って解説します。
1. 広告・宣伝色を強く出し過ぎない
SNSはユーザーとの交流の場でもあります。商品やセール情報を発信するのは大切ですが、広告ばかりの投稿はフォロワー離れの原因に。日常のブランドストーリーやユーザーの声を取り入れた投稿で、自然なコミュニケーションを心がけましょう。
2. ユーザーとのコミュニケーションを欠かさない
コメントやメッセージには迅速かつ誠実に対応することが信頼獲得の鍵です。ユーザーの声に耳を傾け、改善や新商品開発に活かす姿勢を見せることで、ファンのロイヤリティが高まります。
3. ユーザーにかかる手間を最小限にする
SNSでの投稿をきっかけに、「購入したい」となったユーザーに向け、必ず遷移できるURLをつけるようにしましょう。ユーザーが迷わず次のアクションに進めるようになることで、コンバージョン率の向上が期待できます。
4. ユーザーの体験価値向上を意識する
単なる割引情報だけでなく、ブランドの理念や商品を使うことで得られる満足感を伝える投稿を増やしましょう。価格競争に巻き込まれず、ブランドの独自価値をしっかり訴求することが重要です。
5. ユーザーの投稿を積極的に活用する(UGCの活用)
ユーザーが投稿した口コミや写真は、信頼性の高い宣伝素材です。許可を得てリツイートやシェアすることで、リアルな声を広げ、より多くの潜在顧客にリーチできます。
6. 視覚や聴覚に訴えかける投稿を意識する
写真や動画はテキストよりも多くの情報を伝え、目を引きやすいコンテンツです。InstagramやTikTokはもちろん、X(旧Twitter)でも積極的にビジュアルコンテンツを活用し、ユーザーの興味を引くようにしましょう。
合わせて読みたい:インフルエンサーマーケティング
SNSで影響力を持つインフルエンサーを活用し、ターゲット層に直接商品やブランドを訴求する手法するインフルエンサーマーケティングもD2C企業にとって有効です。
インフルエンサーに自社商品のPRを依頼すれば、コストはかかるものの高い発信力・訴求力・影響力により、ブランドの認知拡大や興味喚起といった効果が期待できるでしょう。副次的ではありますが、企業の公式アカウントのフォロワーの獲得も見込むことができます。
D2Cマーケティングの手法②:メルマガ・LINE

D2Cビジネスにおいては、顧客との継続的なコミュニケーションが売上向上やブランドのファン化に直結します。そのための主要なチャネルとして、メールマガジン(メルマガ)とLINE配信が広く活用されています。どちらも直接顧客に情報を届けられる点で共通していますが、それぞれの特性を理解し効果的に使い分けることが重要です。特にLINEは日本国内での圧倒的なユーザー数を背景に、メルマガに代わる新たな顧客接点として注目されています。
メルマガ・LINE配信それぞれのメリット
メルマガ
メルマガは低コストで情報発信が可能な点が大きな強みです。印刷代や送料がかからず、地域・年齢・性別・購入回数などのセグメント分けを活用して、情報を求めている顧客に直接届けられます。これにより、購入につながる可能性の高いターゲットに絞った効率的な施策が実現します。さらに、詳細な文章や画像を組み合わせてブランドストーリーや商品情報を丁寧に伝えられるため、顧客の関心を維持しやすい特徴もあります。加えて、メルマガは顧客の購買サイクルに合わせて定期的に配信することで、リピート購入やアップセルの促進にも効果的です。
LINE
LINEは日本国内で9,700万人以上が利用する圧倒的なユーザー基盤を持ち、日常的に使われるコミュニケーションツールとして高い開封率を誇ります。実際にLINE公式アカウントのメッセージ開封率は平均約55%とされ、これは一般的なメールマガジンの開封率(10~30%)を大きく上回ります。プッシュ通知による即時性の高さや、スタンプ・リッチメニュー・クーポン配布など多彩な表現が可能なため、ユーザーの興味を引きやすく、双方向のコミュニケーションも促進できます。これにより、キャンペーン告知や限定オファーの反応率向上に寄与します。
参考:LINEヤフーマーケティングキャンパス
- https://lymcampus.jp/line-official-account/courses/oa-user/lessons/oada-1-2-2
- https://lymcampus.jp/line-official-account/courses/features/lessons/broadcast
併用するメリット
併用のメリットとしては、メルマガの詳細な情報伝達力とLINEの即時性・親近感を組み合わせることで、幅広い顧客層に効果的にアプローチできる点があげられます。メルマガは文章や画像でじっくりとブランドストーリーを伝えられる一方、LINEは短文やスタンプ、動画など多様な表現が可能で、顧客の好みや状況に応じたコミュニケーションが実現します。また、複数チャネルでの接触によりブランド認知が強化され、顧客の記憶に残りやすくなるため、ロイヤルティ向上にもつながります。さらに、片方のチャネルで反応が低下してももう一方でフォローできるためリスク分散が可能であり、両チャネルのデータを活用してより効果的な配信戦略を立てられます。これらの相乗効果により、顧客の満足度やエンゲージメントが高まり、結果としてライフタイムバリュー(LTV)の向上も期待できるため、メルマガとLINEの併用は長期的な顧客関係構築に非常に有効な手法です。
メルマガ・LINE配信のポイント

シナリオ設計
効果的な配信には、「誰に」「いつ」「何を」「どのように」届けるかを明確にしたシナリオ設計が不可欠です。顧客の購買履歴や閲覧行動、属性情報を活用し、パーソナライズされたメッセージを適切なタイミングで送ることで、顧客の興味を持続させながら次の購買行動を促進します。例えば、新規顧客にはブランド紹介や初回購入特典を、リピーターには関連商品の案内や限定キャンペーンを配信するなど、段階に応じたコミュニケーションが効果的です。
配信内容と頻度の工夫
メルマガでは、内容の充実や読みやすさ、配信頻度のバランスに注意し、スパム扱いされないよう配慮することが重要です。過度な配信は購読解除の原因となるため、顧客の反応を見ながら最適な頻度を設定しましょう。LINEでは、過剰な配信を避けユーザーにとって有益な情報を届けることで、友だちのブロックや離脱を防ぎます。特にLINEはユーザーが簡単にブロックできるため、配信内容の質とタイミングが成功の鍵となります。クーポンや限定情報などのインセンティブを適切に活用することも効果的です。
CRM/MAツールとの連携
CRMやMA(マーケティングオートメーション)ツールと連携することで、顧客データを一元管理し、配信の自動化や効果測定が可能になります。これにより、効率的かつ高度なマーケティング運用が実現し、顧客一人ひとりに最適化されたコミュニケーションを継続的に行うことができます。例えば、顧客の行動データをもとに自動でフォローアップメールやLINEメッセージを送ることで、人的コストを抑えつつ効果的な接点を増やせます。
D2Cマーケティングの手法③:Web広告の活用

Web広告は、インターネット上の多様なプラットフォームを活用して商品やサービスを効果的に宣伝するマーケティング手法であり、D2Cビジネスにおいては欠かせない集客チャネルです。オンライン上でのユーザー行動データを活用し、ターゲットを細かく絞り込んで配信できるため、無駄な広告費を抑えつつ高い費用対効果を実現できます。また、リアルタイムでの効果測定と柔軟な改善が可能な点も大きな強みです。
主なWeb広告の種類と特徴
リスティング広告
GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果画面に表示される広告で、ユーザーが特定のキーワードを検索したタイミングで配信されます。購買意欲が高いユーザーに直接アプローチできるため、コンバージョン率が高く、即効性のある集客手段として活用されています。キーワード選定や入札戦略の最適化が成果を左右します。
ディスプレイ広告
Webサイトやアプリの広告枠にバナーや動画を表示する広告です。リターゲティング(過去にサイト訪問したユーザーへの再アプローチ)に特に効果的で、ブランド認知の拡大や購入検討段階のユーザーへの訴求に適しています。視覚的なデザインやクリエイティブの質がクリック率やブランドイメージに直結します。
SNS広告
Facebook、Instagram、Twitter、LINEなどのSNSプラットフォーム上で配信される広告で、ユーザーの年齢、性別、地域、興味関心、行動履歴など詳細なターゲティングが可能です。特にInstagramやLINEはD2Cブランドと親和性が高く、ストーリーズ広告や動画広告を活用した感情に訴えるクリエイティブが効果を発揮します。ユーザーとの双方向コミュニケーションも促進できる点が特徴です。
動画広告
YouTubeやSNSの動画枠で配信される広告で、視覚と聴覚に訴えることでブランドストーリーや商品の魅力を強く印象付けられます。動画はユーザーの関心を引きやすく、商品の使い方や効果を具体的に伝えられるため、購買意欲の喚起に効果的です。動画の尺や内容、配信タイミングの最適化が重要です。
Web広告のメリット
高精度なターゲティング
ユーザーの属性情報や行動履歴を活用し、年齢、性別、地域、興味関心、購買履歴など多角的にターゲットを絞り込めるため、広告の無駄打ちを防ぎ、効率的に見込み顧客へアプローチできます。
即時性と柔軟な運用
広告の配信開始・停止やクリエイティブの差し替えが即座に可能で、キャンペーンの効果をリアルタイムで分析しながら改善を繰り返せます。これにより、変化する市場環境やユーザーの反応に迅速に対応できるため、常に最適な広告運用が可能です。
費用対効果の最大化
クリック課金(CPC)や成果報酬型(CPA)など多様な課金方式があり、予算に応じて柔軟に運用できます。広告費用を効果に連動させやすいため、ROI(投資対効果)を高めやすいのが特徴です。
ブランド認知から購買促進まで幅広く対応
Web広告は認知拡大、興味喚起、検討促進、購入誘導といった購買ファネルの各段階に応じて使い分けられます。例えば、ディスプレイ広告でブランドを認知させ、リスティング広告で購買意欲の高いユーザーを獲得し、SNS広告でファンコミュニティを形成するといった複合的な戦略が効果的です。

D2Cマーケティング手法は様々、商材に合わせた方法を

D2Cビジネスは、商品を直接消費者に届けるという特性から、マーケティング手法も多様であり、商材の特性やターゲットに合わせて最適な方法を選ぶ必要があります。そのためにも、自社の独自の強みを明確にし、競合との差別化を図ることが成功の近道です。
この記事で紹介したような手法を活用し、商品の背景や開発ストーリーを伝えることで、顧客の感情に訴え、ブランドへの共感を深めることが期待できるでしょう。
多様なマーケティング手法を駆使してD2C事業を伸ばしていく上では、顧客が実際に購入に至る「コンバージョンポイント」の最適化も非常に重要です。
ここで注目したいのが、EFO(Entry Form Optimization)です。その中でもチャットEFOは、ECサイトやLPの入力フォームにチャット形式の対話型UIを導入し、ユーザーがストレスなくスムーズに情報入力できるよう支援するツールです。これにより、フォーム離脱率を大幅に減らし、購入完了率の向上に貢献します。
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