カテゴリーエントリーポイント(CEP)は、消費者の状況・感情・目的の瞬間に自社を第一想起させる設計思想です。
従来の「認知向上」だけでは複雑化した購買で勝てません。CEP起点なら想起の瞬間を狙い撃ちできます。
結果として、指名検索や店頭・ECでの選択率が上がり、広告効率も改善します。
本記事では、カテゴリーエントリーポイントの基礎、重要性、事例、施策、リサーチ活用、失敗回避まで解説します。

目次
カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは

カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは、消費者がある商品カテゴリーを思い出すきっかけになる具体的な「状況・感情・目的」を指します。
- 状況
在宅ワーク前に集中したい/外出先で手を洗えない/急な来客対応など
- 感情
リフレッシュしたい/不安を落ち着かせたい/違和感がある
- 目的
短時間で空腹を満たしたい/肌の乾燥を抑えたい/資料作成を効率化したい
ブランドは、これらの文脈で最初に想起されるほど選ばれやすくなります。
カテゴリーエントリーポイントは「どのような時にそのカテゴリーが頭に浮かぶか」を整理し、その瞬間に自社を第一想起させるための設計軸です。
カテゴリーエントリーポイントが重要な理由

人は常にブランド名から想起を始めるわけではなく、特定の状況から選択肢を広げます。
つまり、ブランドは「どの瞬間で思い出されるか」を設計・拡大することで、第一想起の確率を上げることができます。結果として、市場での選択率を高められます。
以下では、特に重要な3つの理由を解説します。
複数のカテゴリーエントリーポイントを押さえる
想起の出発点は人や状況によって多様なため、カテゴリーエントリーポイントは面として広がっています。
そのため、特定の一つのカテゴリーエントリーポイントに依存すると、候補に上がりづらく、潜在的な接触機会を取りこぼしやすくなります。
一方で、複数のカテゴリーエントリーポイントを意図的にカバーすることで、想起の入り口を増やすことができます。
結果として、接触機会が累積し、取りこぼしが減少します。
特に、ライトユーザーほど状況起点で選ぶため、用途別のメッセージやシーン訴求のクリエイティブ、売場・LPでの文脈提示は、検討を促し、機会損失を体系的に抑えます。投資配分は、各CEPの規模・到達可能性・自社適合度を指標化して優先順位をつけ、上位から浸透させることで効率化できます。
競合は「同じカテゴリーエントリーポイント」で争っている
消費者の比較は、必ずしもブランド対ブランドの直線的な競争ではありません。同じ文脈における代替選択肢同士の競争として起こります。
例えば、「在宅で集中したい」というカテゴリーエントリーポイントでは、コーヒーとエナジードリンク、さらにはガムやアロマなど異なるカテゴリーがひとつの土俵で競合します。
したがって、自社がどのカテゴリーエントリーポイントで、誰と競っているのかを特定し、最適化なベネフィット表現を見つけることで、選ばれる確率を高めることができます。
さらに、該当のカテゴリーエントリーポイントが頻出するタッチポイント(時間帯・媒体・コンテキスト)へ媒体配分と、クリエイティブを合わせることで、効率的な比較優位を築けます。
短期の獲得効率と中長期のブランド資産を両立
カテゴリーエントリーポイントに基づく訴求は、今まさに課題を感じている層に届けることができます。
短期的には、クリック後の行動やCVRの改善に直結します。同時に、同一のカテゴリーエントリーポイントで繰り返しメッセージを届けることで、ブランドの結びつきが記憶内に強化され、第一想起として想い出される確率が中長期で高まります。
結果として、短期のパフォーマンス改善が継続露出により資産化し、価格プロモーションに依存しない需要の弾力性が生まれます。
このループを、実装・計測・改善という一連の運用で回し続けることが、獲得とブランディングの両立を可能にします。
カテゴリーエントリーポイント活用の具体例

ここでは、カテゴリーエントリーポイントを活用して、想起を獲得した事例を2つ紹介します。
化粧品の事例
美容業界では、顧客の「使う瞬間」を明確にしたカテゴリーエントリーポイントの設計が指名買いに直結します。
例えば、敏感肌にも安心という場面では自然派化粧品を想起させる表現と成分エビデンスをセットで提示します。冬に肌が乾燥するという場面では保湿クリームやフェイスマスクを第一想起させるコピーとビフォーアフターの証拠を提示します。
どのカテゴリーエントリーポイントでも、中心価値を一本化し、広告・SNS・EC・店頭で表現を統一して繰り返します。
また、検索キーワード(例:冬 乾燥 保湿)に合わせてLPを作成し、トライアル施策とUGC活用で短期の獲得と中長期の早期を両立します。

飲料の事例
飲料は、「いつ・どこで・どのような気分か」のカテゴリーエントリーポイントを絞って考えていきます。
例えば、「集中したい時」「気分を切り替えたい時」「くつろぎたい時」といった文脈ごとに、訴求軸(味わい・香りなど)を整理します。
次に、各カテゴリーエントリーポイントに合わせたキーワードやデザインを広告・アプリ・店頭で訴求します。
さらに、検索ワード(例:集中 コーヒー)に合わせてLPを作成し、クーポンは該当のカテゴリーエントリーポイントに限定して配信を行います。
結果として、「その気分・場面になったらこのブランド」という想起獲得し、独自のポジション確率につながります。
カテゴリーエントリーポイント戦略の落とし穴

カテゴリーエントリーポイントは、特定の状況において想起を獲得することが可能です。
一方、カテゴリーエントリーポイント作成にあたり、注意すべき点が3つあります。
ブランドの核となる訴求を決める
カテゴリーエントリーポイントを増やしすぎると、個々の文脈での想起が育ちにくくなります。
まずは、ブランドの核となる訴求に的を絞り、同じ表現やデザインを用いることで、場面とブランドの結びつきを強めましょう。
その際、媒体別に表現を大きく変更はせず、伝えたい核を保ったまま最小限の調整に留めることで、一貫した記憶が形成されやすくなります。
ブランドイメージの一貫性を保つ
カテゴリーエントリーポイントを広げすぎると、伝えたい訴求が伝わりづらくなる恐れがあります。
まずは、ブランドの基本的なトーンや主要メッセージを定め、各文脈ではその核を保ったまま必要最小限の調整に留めることが大切です。
効果検証は、短期の反応だけではなく、認知度や好感度などのブランド指標も確認することでブランドの一貫性を保つことができます。
市場調査を行う
思い込みだけでカテゴリーエントリーポイントを決めると、生活者が実際に捉えている場面や言い方と合わない可能性があります。
まずは、検索やSNS投稿、購入データ、問い合わせ内容などから、ターゲットのニーズを把握します。
次に、アンケート調査や競合分析を行い、妥当性を確かめます。また、小さい範囲からテストを行い、ターゲットの反応を確認しながら対象を広げていきましょう。
マーケティングリサーチ活用法

カテゴリーエントリーポイントを可視化するには、マーケティングリサーチを行うことが大切です。
定性調査でカテゴリーエントリーポイントを発見
生活者がどのような場面・気分・きっかけでカテゴリーを思い出すかを把握します。
設計する際は、以下の点に気を付けましょう。
- 利用シーンの設問を中心に設計する(属性や好みだけで終わらせない)
- 自由回答で「本人の言葉」を引き出す
- 直近の具体的な体験を思い出してもらい、状況や感情、行動を把握する
定量調査でポジショニングを明確化
定量調査を行うことで、カテゴリーエントリーポイントごとのブランド強度を測り、狙うべきターゲットを明確にします。
例えば、以下のような指標を活用します。
- 想起率:特定のカテゴリーエントリーポイント時に思い浮かぶブランド(単一・複数選択)
- 選好(好ましさ・選択意向):そのカテゴリーエントリーポイントで選びたい度合
- 使用経験:そのカテゴリーエントリーポイントに該当する場面での実利用有無
カスタマージャーニーと連動させた分析
カテゴリーエントリーポイントの調査結果は、タッチポイントやフェーズごとに把握し、カスタマージャーニーの設計に反映させていきましょう。
- タッチポイント:検索、店頭、SNS、動画視聴などで想起されるカテゴリーエントリーポイントの変化
- フェーズ差:検討前・検討中・購入・使用後でのカテゴリーエントリーポイントの推移
- セグメント差:年代・性別・職業・利用頻度などによるカテゴリーエントリーポイントの偏り
このような情報は、施策の優先順位や自社の強みの把握につながります。

まとめ
カテゴリーエントリーポイントは「状況・感情・目的」の瞬間に第一想起を設計する枠組みです。その為、従来の単純な認知拡大より購買行動に直結しやすくなります。
複数のカテゴリーエントリーポイントを計画的に押さえ、各状況で最適化することで、接点の取りこぼしを減らし選択率を高めることができます。
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