Webサイトからの商品やサービスの売上アップに欠かせない指標がCVR(コンバージョン率)です。
CVRとは、Webサイトの訪問者のうち実際に購入やお問い合わせ、会員登録などの行動を達成した割合であり、Webマーケティングにおける成果を測る上で重要な役割を担っています。
特に、EC事業者やWebサイト運営担当者にとって、CVRは売上に直結するため、注力するべきポイントです。
この記事では、重要指標であるCVR(コンバージョン率)の改善策について詳しく解説します。

CVR(コンバージョン率)とは?

CVRとは、コンバージョンレート(Conversion Rate)の略称で、日本語では「コンバージョン率」や「顧客転換率」とも呼ばれます。これは、Webサイトにアクセスしたユーザーのうち、最終的に「購入」や「申し込み」などの成果につながった割合を示す指標です。
CVRの計算方法
CVRは、以下の計算式を利用して算出します。
CVR(コンバージョン率)=CV(コンバージョン数)÷サイトセッション数×100
ここでいう「セッション数」とは、ユーザーがWebサイトに訪問してから離脱するまでの一連の行動を1回と数えたもので、訪問回数を表します。セッション数は同じユーザーが複数回訪問した場合もそれぞれカウントされるため、サイトのアクセス量を示す指標としてよく使われます。
例えば、あるWebサイトに2,000件のセッションがあり、そのうち10件がコンバージョンに至った場合、10件 ÷ 2,000セッション × 100 = 0.5% がCVRとなります。
もし40件がコンバージョンに至った場合は、40件 ÷ 2,000セッション × 100 = 2.0% となります。
目的や計測対象によっては広告クリック数やユニークユーザー数を分母にする場合もありますが、セッション数を分母にすることで、Webサイト全体の訪問回数に対する成果率を把握できるため、サイトの総合的なパフォーマンス評価も行うことができます。
業界ごとの平均CVR
CVRは業界や商材によって大きく異なります。たとえば同じ1%の改善でも、ECサイトと不動産仲介サイトでは意味合いがまったく違う場合があります。自社のCVRを評価する際は、まず自分たちと同じ業界の平均値を把握し、相場感を持つことが重要です。
ここでは、代表的な業界別の平均CVRをご紹介します。
業界 | 平均CVR (検索) |
平均CVR (GDN) |
---|---|---|
非営利・慈善団体 | 1.96% | 1.0% |
自動車 | 6.03% | 1.19% |
B2B | 3.04% | 0.80% |
消費者向けサービス | 6.64% | 0.98% |
マッチングサービス | 9.64% | 3.34% |
EC | 2.81% | 0.59% |
教育 | 3.39% | 0.50% |
人材サービス | 5.13% | 1.57% |
金融・保険 | 5.10% | 1.19% |
ヘルスケア・医療 | 3.36% | 0.82% |
家庭用品 | 2.70% | 0.43% |
産業サービス | 3.37% | 0.94% |
法律 | 6.98% | 1.84% |
不動産 | 2.47% | 0.80% |
テクノロジー | 2.92% | 0.86% |
旅行・観光 | 3.55% | 0.51% |
(出典:Get the NEW Google Ads benchmarks for your industry [2025])
2つのステップに分けて考えるCVR向上

では、どうしたらCVRが向上するのか、ユーザーがサイトに流入してからコンバージョンに至るまでの導線に沿って解説していきます。
Webサイトに訪問したユーザーは、「商品の性能が知りたい」「商品を買いたい」など、何らかの目的を持ってサイトに来訪します。その目的をスムーズに果たせれば、例えば「別の商品を見てみる」「口コミを見る」といった形でサイト内を回遊します。最終的には、入力フォームにたどり着き、入力を完了することでコンバージョンに至ります。
つまり、サイト流入後にコンバージョンに至るまでの過程は、以下の2つのステップに分けて考えることができます。
- サイト内の情報量を増やすなど、次のアクションを起こしやすくする=まずはフォームに遷移させるステップ
- フォームに自動入力機能などを取り入れ、コンバージョン数を最大化する=フォームの入力完了率を改善させるステップ
CVR向上を進める際は、このステップに沿って取り組むことで効果が期待できます。
本記事では前編として、「いかにフォームに遷移させるか」という観点で解説します。
「フォームの入力完了率を改善させる」内容は後編にまとめていますので、ぜひそちらもご覧ください。
フォームへの遷移率を改善させる方法5選

Webサイトに訪れたユーザーをフォームへ遷移・誘導するための施策を5つご紹介します。
ファーストビューの改善
ユーザーはWebサイトに訪れて、2.7秒で興味があるサイトかどうかを判断するといわれています。この2.7秒の間に、ファーストビューで欲しい情報が見つからない場合はサイトから離脱してしてしまいます。
そのため、ファーストビューは非常に重要です。魅力的なアイキャッチ画像やユーザーニーズに合ったキャッチコピーを用意して興味を持ってもらうよう心掛けましょう。
併せて、見やすさ、探しやすさも重要なポイントです。わかりやすいレイアウトと検索窓の設置など工夫をし、ユーザーが探しやすい、読み進めやすいファーストビューを構築しましょう。
サイトの表示速度の改善
Webサイトの表示が遅いと、イライラしてサイトのブラウザを閉じて離脱した経験、皆さんもあるのではないでしょうか?
実は、サイトの読み込み速度は離脱率に大きく影響しています。
特にスマホからのアクセスが増えている今、モバイルでの表示速度を速くすることはとても大切です。表示が遅いと、検索エンジンの評価も下がってしまい、検索結果で不利になることもあります。
もしWebサイトの表示が遅いと感じたら、Googleの無料ツール「PageSpeed Insights」を使ってみましょう。このツールは、サイトの読み込み速度を測るだけでなく、どこをどう改善すればいいかも教えてくれます。
例えば、画像を軽くしたり、不要なプログラムを減らしたり、キャッシュを活用したりすることで、表示速度を速くできます。こうした改善を行うと、ユーザーが快適にサイトを見られるようになり、離脱を減らすことができます。
コンバージョンまでの導線設計の見直し
Webサイトのコンバージョン率を高めるには、ユーザーの行動や気持ちを想像し、その流れに沿った導線設計が重要です。
例えば、睡眠サプリメントのような商材の場合、ユーザーがどんな悩みを持ち、どう解決したいのか、どんな声を信頼して購入に至るのかを考えます。具体的なユーザーの行動例は次の通りです。
- 「睡眠 改善 サプリメント」とスマホやパソコンで検索する
- 検索結果から興味を持ったページをクリックしてサイトに訪れる
- 商品の効果や価格、口コミをじっくり確認する
- この商品なら自分が求めている効果を期待できそうと感じる
- お試しサンプルやトライアルセットのページに進み、申し込む
ユーザーにはすぐに購入を決める人もいれば、口コミや比較検討に時間をかける人もいます。また、ユーザーの感情も様々で、不安や疑問を抱えながら情報を探している場合も多いです。こうした多様なユーザーのテンションや心理状態に合わせて、コンバージョンまでの導線を設計することが大切です。
例えば、「睡眠」に関する悩みでも、「寝付けない」「夜中に何度も目が覚める」「朝すっきり起きられない」など、悩みの種類によって求める情報や訴求ポイントは異なります。ユーザーの悩みや疑問ごとに専用のページを用意し、それぞれに合った解決策や商品の魅力を伝えると効果的です。もし、対応するページが不足している場合は、新たに作成することをおすすめします。
コンバージョンポイントの複数設置
一般的な「購入」や「お問い合わせ」だけでなく、ユーザーの多様なニーズに応える複数のコンバージョンポイントを用意することが重要です。
多くのユーザーは、いきなり購入するのはハードルが高いと感じており、「まずは試してみたい」「気軽に情報を得たい」といった段階のニーズがあります。そこで、以下のようなコンバージョンポイントを設けることで、幅広いユーザーの関心に対応できます。
- 会員登録・アカウント作成
ユーザーが会員になることで、特典や限定情報を受け取れるようにし、継続的な関係構築を促します。 - クーポンや割引コードの取得
初回購入や特定キャンペーン用にクーポンを配布し、ユーザーの購買意欲を高めます。 - お試しサンプルやトライアルセットの申し込み
実際に商品を試せる機会を提供し、購入への心理的ハードルを下げます。
これらのコンバージョンポイントを増やすことで、ユーザーは自分のペースで商品やサービスに触れやすくなり、気軽にフォーム入力やアクションを起こしやすくなります。
CTAボタンの改善
お問い合わせや購入などのCTAボタンの設置位置や見やすさは、CVR改善の重要なポイントです。例えば、以下のような設置が効果的です。
- サイドカラムの固定表示
スマホやPCでページをスクロールしても、画面の端に「購入する」や「お試し申し込み」ボタンを常に表示し、ユーザーがいつでも簡単にアクションできるように設計。 - トップメニューへの設置
サイトのヘッダーに「会員登録」「クーポン取得」「購入はこちら」などのボタンを目立つ色で配置し、どのページからでもすぐにアクセスできるように設計。
また、ボタンのデザインや文言もCVRに大きく影響します。具体例としては、
- ボタンの色
明るく目立つ色(例:オレンジや赤)を使うと、購買意欲を刺激しやすくなります。ただし、ブランドイメージに合った色選びが重要です。 - 文字サイズとフォント
ボタン内の文字は16px以上の大きさで、読みやすく親しみやすいフォントを選びます。 - 文字装飾
太字やアンダーライン、ホバー時の色変化などで視認性を高め、クリックを促します。 - 文言の工夫
「今すぐ購入」「お試しセットを申し込む」「クーポンをゲット」など、具体的で行動を促す言葉を使うと効果的です。
これらのポイントを踏まえ、ABテストを繰り返して最適なデザインや文言を見つけることが、CVR改善には欠かせません。

まとめ
CVR改善のポイントとして、前編では「フォームへの遷移率を改善する方法」をお伝えしました。
5つのポイントをご紹介いたしましたが、何よりも定期的に分析し改善点をみつけPDCAを回し続けることでCVRの向上が期待できることでしょう。
後編では「フォームの入力完了率を改善する方法」を解説します。

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