Webサイトやランディングページへのアクセスは順調に増えているのに、問い合わせや購入といったコンバージョンが伸びない。アクセス解析を見ると、離脱率が高いことは分かっている。しかし、「具体的に何をすれば離脱を減らせるのか」「どの施策から始めればいいのか」という課題に、多くのマーケティング担当者が直面しています。

実は、訪問者の離脱を改善することは、コンバージョン率を上げるための最短ルートです。
新規顧客を増やすために広告費を増やすのも一つの手ですが、せっかく集めた訪問者を逃してしまっては、その投資は活きません。

本記事では、自社の離脱原因を特定し、事業形態と予算に合わせて最適な改善施策を選び、優先順位をつけて実行するまでの全プロセスを解説します。

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訪問者が増えても成果に繋がらない理由

訪問者が増えても成果に繋がらない理由

多くのマーケティング担当者は、「訪問者を増やすこと」に注力します。広告費を増やし、SEO対策を強化し、SNS運用を工夫する。確かに訪問者は増えます。
しかし、増えた訪問者の多くが、何もアクションを起こさずにサイトを去ってしまう。これが「訪問者は増えているのに成果に繋がらない」という悪循環の正体です。

その根本原因は、離脱率の高さにあります。離脱率が高いということは、単に「ユーザーがサイトを離れている」という表面的な問題ではなく、ビジネスの成長を阻害する構造的な課題を示唆しています。
ここでは、離脱率が高いことの本当の意味と、離脱改善がコンバージョン率に直結する仕組みを解説します。

離脱率が高いことの本当の意味

「離脱率」という言葉を聞くと、多くの人は「ユーザーがサイトを去った割合」という単純な定義で捉えがちです。しかし、離脱率が高いことの本当の意味は、もっと深刻です。

離脱率が高い=ユーザーの期待と現実のギャップが大きいということを意味しています。
ユーザーは何らかの目的や期待を持ってあなたのサイトに訪れます。検索結果のタイトルに惹かれて、SNS広告をクリックして、あるいは友人の紹介などがあります。しかし、ページを開いた瞬間に「あ、これは違う」「思ってたのと違う」と判断され、すぐに去ってしまう。これが離脱です。
言い換えれば、離脱率の高さは、マーケティングの入口(集客)と出口(コンバージョン)の間に、大きな断絶があることを示しています。

離脱率が高いことの具体的な影響

  • 広告費の無駄

PPC広告で集めた訪問者の多くが離脱すれば、CPA(顧客獲得単価)は跳ね上がります。

  • SEO効果の減少

ユーザーの滞在時間が短く、ページ回遊率が低いと、検索エンジンは「ユーザーにとって価値の低いページ」と判断し、ランキングが下がります。

  • 機会損失

本来コンバージョンしたはずのユーザーを失っています。

つまり、離脱率を改善することは、既に集めた訪問者という資産を最大限に活用することであり、これ以上ない効率的な施策なのです。

離脱改善がコンバージョン率に直結する仕組み

では、なぜ離脱改善がコンバージョン率に直結するのでしょうか。その仕組みを理解することが、施策を実行する際のモチベーションになります。
コンバージョンが発生するまでには、以下のステップがあります。

  • 訪問 → ユーザーがサイトに到達
  • 滞在 → ページを読み、情報を理解
  • 回遊 → 関連ページを見て、信頼を深める
  • 行動 → 問い合わせ、購入、資料請求などのアクション

離脱が多いということは、このステップの途中で大量のユーザーが脱落しているということです。

離脱改善がコンバージョン率を上げる理由

例えば、月間10,000人の訪問者がいるサイトで、現在のコンバージョン率が1%(100件)だとします。

現状:10,000人 × 1% = 100件のコンバージョン

離脱率が30%から20%に改善された場合:実質的な「検討対象者」が増え、コンバージョン率が1.5%に向上

結果:10,000人 × 1.5% = 150件のコンバージョン(+50件、+50%の増加)

新規訪問者を50%増やすのと、離脱率を10%改善するのでは、後者の方が圧倒的に簡単で、費用対効果が高いのです。

離脱改善の3つのメリット

  • 即効性:新規訪問者を増やすより、改善効果が早く現れる
  • 低コスト:広告費を増やすのではなく、既存資産を活用するため、追加投資が少ない
  • スケーラビリティ:一度改善すれば、その効果は継続的に得られる

つまり、離脱改善は、最小の投資で最大のリターンを得られる、マーケティングの黄金施策なのです。

離脱率

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離脱原因を理解する

離脱原因を理解する

離脱改善を実行する前に、最も重要なステップがあります。それは、自社のサイトで、なぜユーザーが離脱しているのかを理解することです。

離脱の原因は、サイトごと、事業形態ごとに異なります。同じ「離脱率が高い」という課題でも、原因が違えば、取るべき施策も全く異なります。

例えば、ページの読み込み速度が原因なのか、コンテンツが不十分なのか、信頼性が不足しているのか。原因を誤診すれば、効果のない施策に時間と予算を費やすことになります。

4つの主な離脱原因と特徴

ユーザーが離脱する理由は、大きく4つのカテゴリーに分類できます。それぞれの特徴を理解することで、自社のサイトで何が起きているのかが見えてきます。

期待値ギャップ型離脱

特徴 ユーザーが期待していた内容と、実際のページ内容が異なる
具体例 ・検索結果のタイトルに「〇〇の方法5選」と書かれていたのに、ページを開くと「〇〇とは何か」という基礎知識の説明だけ
・広告で「無料で始められる」と謳われていたのに、実際には有料プランの説明ばかり
・SNS投稿で「衝撃の新事実」と期待させておいて、ページの内容が陳腐
見分け方 ・ページの直帰率が異常に高い(業界平均の2倍以上)
・滞在時間が極めて短い(5秒以下)
・特定のトラフィックソース(例:特定の広告、特定のキーワード)からの離脱率だけが高い
影響 SEOランキングの低下、広告費の無駄、ブランドイメージの悪化

コンテンツ不足型離脱

特徴 ページに掲載されている情報が不十分で、ユーザーの疑問や悩みが解決されない
具体例 ・商品ページなのに、スペックや価格の情報しかなく、使用例や比較情報がない
・ブログ記事が短すぎて、ユーザーの知りたいことが書かれていない
・よくある質問(FAQ)が充実していない
見分け方 ・滞在時間は短くない(30秒~2分程度)が、コンバージョン率が低い
・ページ内の特定のセクションで離脱が集中している(ヒートマップで確認可能)
・関連ページへの内部リンククリック率が低い
影響 コンバージョン率の低下、ユーザーが競合サイトへ流出

信頼性不足型離脱

特徴 企業情報、実績、口コミなどが不足していて、ユーザーが「このサイト・企業は信頼できるのか」と疑問をもつ
具体例 ・企業情報ページがない、または情報が古い
・実績やケーススタディが掲載されていない
・顧客の声や評価が見当たらない
・セキュリティバッジやプライバシーポリシーが明記されていない
見分け方 ・企業情報ページ、お問い合わせページへのアクセスが多いのに、コンバージョンに至らない
・競合サイトとの比較検索が多い(Google Search Consoleで確認)
・特に初回訪問ユーザーの離脱率が高い
影響 ブランド信頼度の低下

ユーザー体験(UX)不良型離脱

特徴 ページの読み込み速度が遅い、デザインが見づらい、操作が複雑など、技術的な問題でユーザーがストレスを感じる
具体例 ・ページの読み込みに5秒以上かかる
・スマートフォンでの表示が崩れている
・フォームの入力項目が多すぎて、途中で離脱される
・ナビゲーションが分かりにくく、目的のページにたどり着けない
見分け方 ・モバイルからの離脱率がデスクトップより極端に高い
・Google PageSpeed Insightsのスコアが低い
・フォーム離脱率が高い(フォーム分析ツールで確認)
影響 全体的なコンバージョン率の低下、SEOランキングの低下(特にモバイル検索)
4つの離脱原因の比較表

【診断チェックリスト】自社の離脱原因を特定する

期待値ギャップ型離脱の診断

  • 特定のトラフィックソース(広告、キーワード、SNS)からの直帰率が50%以上
  • ページの平均滞在時間が5秒以下
  • ページタイトルと実際の内容に矛盾がある
  • 広告のコピーと、ランディングページの内容がズレている
  • 検索キーワードと、ページの内容が一致していない

コンテンツ不足型離脱の診断

  • ページの平均滞在時間は30秒以上だが、コンバージョン率が低い
  • ブログ記事の平均文字数が1,000字以下
  • 商品ページに、使用例やビフォーアフターの情報がない
  • よくある質問(FAQ)ページが存在しない、または情報が少ない
  • 内部リンク数が少ない(1ページあたり平均3個以下)

信頼性不足型離脱の診断

  • 企業情報ページへのアクセス数が多いのに、コンバージョンに至らない
  • 企業情報ページが更新されていない、または情報が不完全
  • 実績やケーススタディが掲載されていない
  • 顧客の声や評価が掲載されていない
  • セキュリティバッジやプライバシーポリシーが目立たない場所にある

UX不良型離脱の診断

  • Google PageSpeed Insightsのモバイルスコアが50以下
  • フォーム離脱率が30%以上
  • ページの読み込み時間が3秒以上
  • スマートフォンでの表示が崩れている、または操作しづらい

複数のカテゴリーで該当数が多い場合は、「優先度」の高い順に施策を実行すると良いでしょう。

離脱改善の施策選択ガイド

離脱改善の施策選択ガイド

離脱原因を特定したら、次は具体的な改善施策を選択して実行しましょう。
ここでは、離脱改善に効果的な8つの施策を解説します。

施策1:ページタイトルと内容の一致

ページのタイトルと、実際のページ内容が一致していることを確認し、ユーザーの期待値ギャップを解消する施策です。
期待値ギャップ型離脱が多い場合や、特定のキーワードからの直帰率が異常に高い場合に効果的です。

ページタイトルと内容の一致

施策2:コンテンツの充実

ページに掲載されている情報量を増やし、ユーザーの疑問や悩みをより深く解決するコンテンツに改善する施策です。
コンテンツ不足型離脱が多い場合や、ページの滞在時間は長いがコンバージョン率が低い場合に効果的です。

コンテンツの充実

施策3:内部リンク戦略

ページ内に関連ページへのリンクを戦略的に配置し、ユーザーの回遊を促進する施策です。
コンテンツ不足型離脱が多い場合や、ページの回遊率が低い場合に効果的です。

内部リンク戦略

施策4:CTA最適化

CTAボタンやリンクの配置、デザイン、テキストを最適化し、ユーザーのコンバージョンアクションを促進する施策です。
期待値ギャップ型離脱が多い場合や、ページの滞在時間は長いがコンバージョン率が低い場合に効果的です。

CTA最適化

施策5:ページ表示速度改善

ページの読み込み時間を短縮し、ユーザーのストレスを軽減する施策です。
UX不良型離脱が多い場合やGoogle PageSpeed Insightsのスコアが50以下の場合に効果的です。
[Google PageSpeed Insights]

ページ表示速度改善

施策6:フォーム最適化

お問い合わせフォームや申し込みフォームの入力項目を削減し、ユーザーの入力負担を軽減する施策です。
UX不良型離脱が多い場合や、フォーム離脱率が30%以上の場合に効果的です。

フォーム最適化
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施策7:ポップアップ活用

ページ内に戦略的にポップアップを配置し、ユーザーの注意を引き、特定のアクション(メルマガ登録、資料請求など)を促進する施策です。
期待値ギャップ型離脱が多い場合や、離脱ユーザーを再度エンゲージしたい時に効果的です。

ポップアップ活用

施策8:企業情報・信頼性強化

企業情報、実績、顧客の声、セキュリティ情報などを充実させ、ユーザーの信頼を構築する施策です。
信頼性不足型離脱が多い場合や、WebサイトやLPへのアクセスが多いのにコンバージョンに至らない場合に効果的です。

企業情報・信頼性強化
voc

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離脱改善のポイント

離脱改善のポイント

施策を実行した後、最も重要なのが改善効果の測定と継続的な最適化です。多くの企業は施策を実行して終わりにしてしまいますが、実は改善効果を測定し、データに基づいて施策を調整することで、初期の効果をさらに高めることができます。

ここでは、離脱率改善の効果を正確に測定する方法と、継続的に改善を続けるためのPDCAサイクルの回し方を解説します。

離脱率改善の測定方法

施策の効果を測定するには、実装前後のデータを正確に比較することが必須です。しかし、多くの企業は測定方法を誤り、実際の改善効果を見落としています。

測定すべき主要指標

施策の効果を測定する際は、直帰率・離脱率・CVR・平均セッション時間を計測しましょう。
計測する際の注意点は以下の3つです。

  • 測定期間を十分に取る
    •  最低でも施策実装後2~4週間のデータを収集すると良い
    •  1週間のデータでは、曜日による変動の影響を受けやすい
    •  季節変動の影響を避けるため、前年同期間との比較も有効
  • 外部要因を考慮する
    •  同時期に広告キャンペーンを実施していないか確認
    •  SNSでバズが発生していないか確認
    •  競合サイトの動向に変化がないか確認
    •  これらの外部要因があると、施策の効果を正確に測定できない
  • 複数の施策を同時実装しない
    •  複数の施策を同時に実装すると、どの施策が効果を生み出したのか判断できない
    •  可能な限り1つの施策ずつ実装し、効果を測定することが理想的
    •  やむを得ず複数施策を同時実装する場合は、各施策の効果を分離するため、A/Bテストを活用

PDCAサイクルの回し方

改善効果を測定した後、重要なのが継続的な最適化です。PDCAサイクルを正しく回すことで、初期の改善効果をさらに高めることができます。
PDCAサイクルを回す際は以下の点に注意しましょう。

  • 1つの施策に集中する

 複数の施策を同時に実装すると、効果の原因が不明確になる

 1つの施策の効果を測定してから、次の施策に進む

  • 測定期間を十分に取る

 最低2~4週間のデータを収集してから判断する

 1週間のデータでは、曜日による変動の影響を受けやすい

  • 改善効果が小さい場合も記録する

 改善効果が5%未満の場合でも、その施策が効果的でないことを示す重要なデータ

 「効果がない施策」を特定することで、今後の施策判断の精度が高まる

  • 定期的に全体を見直す

 3ヶ月ごとに、これまでのPDCAサイクルの結果を整理

 効果が高かった施策と低かった施策を分類

 次の3ヶ月の施策計画を立案

PDCAサイクルの実行スケジュール例

施策 実装期間 測定期間 改善効果
1月 ページ表示速度改善 4週間 4週間 直帰率-〇%、CV率+〇%
2月 ページタイトル修正 2週間 4週間 直帰率-〇%、CV率+〇%
3月 コンテンツ充実 6週間 4週間 平均滞在時間+〇%、CV率+〇%
4月 フォーム最適化 2週間 4週間 離脱率-〇%、CV率+〇%

改善効果が出ない場合の対処法

効果が期待値より低い場合

  • 施策の実装が不十分でないか確認(例:画像圧縮が完全に完了していない)
  • 外部要因(季節変動、競合の動き)の影響がないか確認
  • 測定期間が短すぎないか確認(最低4週間は必要)
  • 施策の対象ユーザーが限定的でないか確認(例:特定のページだけに実装)

効果がまったく出ない場合

  • その施策は自社のサイトに適していない可能性がある
  • 次の施策に進み、効果的な施策を特定する
  • 3ヶ月後に改めて試す価値があるか検討

まとめ

離脱率改善は、新規顧客獲得の最短ルートです。本記事で紹介した8つの施策を優先順位に従って段階的に実行し、PDCAサイクルで継続的に改善することで、広告費を増やさずにコンバージョンを増やせます。

さらに、チャット型EFOツールを導入すれば、フォームの離脱も防ぐことができます。購入検討段階から購入完了まで、すべての段階での離脱を防いで成果向上を目指しましょう。

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