ROAS(Return On Advertising Spend)とは、広告費に対してどれだけの売上を得られたかを示す指標です。
広告運用の成果を定量的に評価するために使われ、Web広告の効果測定を行う際に重要な指標となります。
本記事では、ROASの意味、計算方法、活用シーンや改善の考え方までを解説します。

目次
ROASとは

ROASとはReturn On Advertising Spendの略で、日本語では「広告の費用対効果」や「広告費用回収率」を意味します。
近年では、Google広告やYahoo広告だけでなく、XやInstgramなど、複数の広告媒体を活用することが一般的になってきました。
このような背景から、各媒体の成果を比較するために、ROASは広告運用における重要な指標として注目されています。
ROASの計算式

算出方法は以下の通りです。
ROAS(%)= 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100(%)
注意点として、単に売上で計算するのではなく、「広告経由の売上」で計算することです。
広告を経由せず受注した売上を追加してしまうと、広告の費用対効果を正確に計測できません。
そのため、必ず広告経由の売上で計算するようにしましょう。
ROIやCPAとの違い

Web広告の効果測定には、ROAS以外にも複数の指標があります。
中でもよく使われるのが、ROI(投資利益率)とCPA(顧客獲得単価)です。
これらの指標はすべて、マーケティングや広告施策の成果を評価するうえで欠かせませんが、それぞれの意味や計算方法、適した活用場面が異なります。
ここでは、ROIとCPAの基本的な意味を整理した上で、ROASとの違いや使い分けのポイントを解説します。
ROI(投資利益率)とは
ROIとは「Return On Investment」の略で、日本語では投資利益率を意味します。広告費を含めたすべてのコストに対して、どれだけ利益を得られたかを示す指標です。
計算式は以下の通りです。
ROI = 利益 ÷ 投資額 × 100
たとえば、商品1つ販売するのに1,000円の広告費と500円の原価がかかり、売上が2,000円だった場合、利益は500円となります。
総投資額が1,500円なので、ROIは「500 ÷ 1,500 × 100 = 約33.3%」となります。
CPA(顧客獲得単価)とは
CPAとは「Cost Per Acquisition / Cost Per Action」の略で、日本語では顧客獲得単価を意味します。
1件のコンバージョン(購入、資料請求、会員登録など)を獲得するのにかかった広告費を表す指標です。
計算式は以下の通りです。
CPA = 広告費用 ÷ CV数
たとえば、5万円の広告費で100件の購入があった場合、CPAは500円です。
CPAは、広告の効率性(単価)を評価したいときに使います。
ROAS・ROI・CPAの違いと使い分け方

目的に応じて指標を使い分けることで、広告施策の課題や改善点をより正確に把握できます。
- 短期的な広告成果を見たいなら、ROAS
- 利益ベースで全体の効率を測りたいなら、ROI
- 施策のコスト感や最適化に注力するなら、CPA
ROASを活用するメリット・デメリット

ROASは広告の費用対効果を測るうえで非常に便利な指標です。一方で、過信や誤解を招くリスクもあるため注意が必要です。
ここでは、ROASを活用するメリットとデメリットを整理し、どんな場面で有効か、注意すべきかをわかりやすく解説します。
ROASを使うメリット
ROASの大きなメリットは、広告媒体ごとの費用対効果を定量的に比較できる点です。
例えば、Google広告やSNS広告など複数のチャネルを活用している場合でも、それぞれの広告費に対してどれだけの売上を生み出せているかを数値で把握できます。
これにより、費用対効果の高い媒体にリソース(予算・人員)を集中させる判断がしやすくなり、Webマーケティング全体の効率化が期待できます。
ROASを使うデメリット
ROASは売上ベースで効果を判断する指標のため、利益や原価を考慮できない点がデメリットです。
たとえば、高額な商品を販売していて売上は大きく見えても、原価や固定費が高い場合には利益がほとんど残らないケースがあります。
それでもROASの数値だけを見ると「成果が出ている」ように見えてしまうため、誤った判断につながるリスクがあります。
ROASは他の指標と併用して活用するのが重要
ROASは広告の費用対効果を把握するのに役立つ一方で、「売上」だけに注目するため、利益や獲得効率といった側面をカバーできません。
そのため、より正確な判断をするには、ROI(投資利益率)やCPA(顧客獲得単価)などの指標と組み合わせて分析することが重要です。
たとえば、ROASが高くても利益が出ていない場合にはROIの確認が必要ですし、コンバージョン単価が高騰している場合にはCPAを併せて見ることで、課題の特定が容易になります。
また、長期的な顧客価値を見たい場合には「LTV(顧客生涯価値)」などを併用することで、短期的な広告成果に偏らないバランスの取れた判断が可能になります。
つまり、ROASは便利な指標ではあるものの、意思決定の精度を高めるためには、目的に応じて他の指標と組み合わせて使うべきであると考えられます。
ROASをうまく活用するには

ROASは広告の費用対効果を測る上で便利な指標ですが、数値を見るだけでは根本的な改善につながるとは限りません。
しかし、ROASを他の指標と組み合わせて分析し、広告の成果やユーザー行動を読み解くことで、改善の方向性を見つけるヒントになります。
ここからは、ROASをうまく活用するために意識すべきポイントを解説します。
目的に合ったROASの目標値を設定する
まず重要なのは、ビジネスやキャンペーンの目的に応じて適切なROASの目標値を設定することです。
たとえば、利益率が高い商品と低い商品では、求めるROASの基準が大きく異なります。また、ブランド認知を目的とする広告と、短期的な販売促進を目的とする広告でも、目指すROASは変わってきます。
明確な目標値があれば、ROASが高いのか低いのかを正しく判断でき、施策の振り返りや意思決定もしやすくなります。
他の指標と併用して効果を読み解く
ROASだけで広告の成果を判断するのは危険です。なぜなら、ROASは売上ベースの指標であり、利益やユーザーの質は反映されないからです。
そこで、以下のような指標と併せて確認することが大切です。
- ROI(投資利益率):実際に利益が出ているかどうかを判断
- CPA(顧客獲得単価):新規獲得にかかっているコスト
- LTV(顧客生涯価値):長期的に見た顧客の価値
これらの指標と組み合わせて分析することで、表面的な数値では見えない課題や改善ポイントを明確にすることができます。
ROASから見える課題と改善の方向性
ROASの数値が低下している場合、それが「何に起因しているのか」を掘り下げることで、改善の糸口が見えてきます。
以下は、ROASの低下時に考えられる要因と、対応の方向性です。
- CVR(コンバージョン率)の変化に注目する
広告のクリック数はあるのにコンバージョンが少ない場合、LP(ランディングページ)の改善やオファーの見直しが必要かもしれません。
- リピート率やLTVの低下を確認する
一度きりの購入で終わっている場合、商品やサービスの満足度、CRM施策の不足が課題として浮かび上がります。
- 顧客単価の変化を分析する
単価の低い商品ばかり売れているなら、アップセルやクロスセルの設計を見直すことで、ROASの改善につながる可能性があります。
- 広告費の過剰配信に注意する
成果が出ていない媒体やターゲットに過剰に費用がかかっている場合、配信設定や入札単価の調整を検討しましょう。
まとめ

ROASは、広告費に対してどれだけの売上が得られたかを示す重要な指標です。特に複数の広告媒体を運用している企業にとっては費用対効果を比較・最適化する上で欠かせません。
ただし、ROASの数値だけを見て判断するのではなく、目的に応じた目標設定や他の指標との併用、ユーザー行動の分析を通じて、的確な改善策を導き出す視点が求められます。
特にコンバージョン率(CVR)の改善は、ROASを向上させるための大きな鍵となります。
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