トラッキングとは

トラッキングは、ユーザーがWebサイトやアプリ内でどのような行動を取っているかを追跡・分析する技術です。これにより、どの広告経由でサイトに訪れたか、サイト内でどの情報を閲覧したか、どのような行動(コンバージョン)に結びついたかなど、ユーザーの行動パターンを把握できます。

トラッキングの活用

トラッキングはマーケティング戦略において重要な役割を果たします。サイト内でのユーザー行動を分析することで、マーケティング施策の効果を測定し、最適化を図ることができます。また、コンバージョンに至らなかった場合の分析を通じて、サイト内の問題点を特定し、施策を最適化できます。
特に「広告施策」とは相性が良く、トラッキングした情報に合わせて、興味関心の高い広告を表示することで高い効果を期待できます。

トラッキングは企業だけでなく、ユーザーにとってもメリットがあります。

トラッキングにより、ログイン情報などを記録しておけば、ユーザーは自動ログインが可能になり、サイトに訪れるたびにIDやパスワードを入力する手間が省けます。
また前述の通り、ネットやサイト閲覧時に表示されるweb広告がユーザーの趣味や嗜好に合ったものになり、効率的な情報収集を手助けします。

トラッキング手法

トラッキングには主にCookieが使用されます。Cookieとは、ユーザーがWebサイトを訪れた際に、その閲覧情報を記録するテキストファイルです。これにより、サイトはユーザーの訪問履歴や行動パターンを追跡できます。Cookieは2種類に分かれます。

ファーストパーティーCookie

ファーストパーティーCookieは、ユーザーが訪れたWebサイト自体のドメインによって発行されます。これは、サイトの機能性向上やユーザーエクスペリエンスの改善に役立ちます。例えば、ログイン情報の記憶やショッピングカートの内容の保存など、サイトの利便性を高めるために使用されます。ファーストパーティーCookieは、サイト(ドメイン)を越えたトラッキングは行わず、ユーザーからの信頼を得やすいという特徴があります。

サードパーティーCookie

一方、サードパーティーCookieは、訪問サイト以外の第三者のドメインによって発行されます。これは主に広告目的で使用され、ユーザーが異なるサイトを横断しても追跡できます。
その中でも、サードパーティーCookieを活用し、自社サイトの訪問履歴があるユーザーを追跡し、広告を表示できる仕組みが「リターゲティング広告」となります。

しかし、ユーザーのプライバシーに対する懸念から、ブラウザによる規制やブロックが強化されています。Googleは、2024年にChromeでサードパーティーCookieの利用を段階的に廃止する計画を発表しました。

また、Cookie以外にも「広告識別子」や「SensorID」などのトラッキング手法もあります。

広告識別子

広告識別子は、特にモバイルアプリ内でのトラッキングに利用されるIDです。これにより、端末ごとの使用履歴や閲覧履歴を基に、ユーザーの興味や関心に合わせた広告を表示することができます。iOSの「IDFA」とAndroidの「AAID」がその例です。広告識別子は、Cookieと異なり端末単位でのトラッキングを可能にし、アプリマーケティングにおいて重要な役割を果たしています。

SensorID

SensorIDは、スマートフォンに搭載されているセンサー(ジャイロスコープ、磁力センサー、加速度計など)から得られるデータを利用して、端末を特定・追跡する技術です。これにより、広告識別子と同様に、端末単位での詳細なトラッキングが可能になります。

トラッキング規制の流れ

Cookieによるトラッキングは、Webサイトの利便性向上に貢献する一方で、ユーザープライバシーに関する懸念を引き起こしています。特にサードパーティCookieは、ユーザーの同意なしに広範なデータ収集と追跡を可能にするため、近年、規制の対象となっています。

海外では、EUの一般データ保護規則(GDPR)やアメリカ・カリフォルニア州の消費者プライバシー法(CCPA)など、世界各国でプライバシー保護のための法整備が進んでいます。これらの規制は、ユーザーのデータ保護を強化し、企業に透明性とユーザー同意の重要性を強調しています。

同様に日本でも、2022年4月に個人情報保護法が改正され、Cookieを含むオンライン識別子が個人関連情報として扱われるようになりました。これにより、企業はCookieの使用にあたって、より慎重な対応が求められるようになっています。

またAppleやGoogleでもトラッキングに関する規制が進んでいます。

Appleは、ユーザープライバシー保護のために、ブラウザとアプリの両方でトラッキングを制限する仕組みを導入しています。ブラウザでは、ITP(Intelligent Tracking Prevention)を通じて、サードパーティCookieの即時無効化や、ファーストパーティCookieの使用制限を行っています。
また、アプリケーションでは、ATT(App Tracking Transparency)フレームワークを通じて、IDFAの利用にユーザーの明示的な同意を必要としています。

一方Googleでは、2025年を目途にサードパーティCookieの使用を完全に廃止する予定です。これは、ユーザーのプライバシーを尊重し、より安全なオンライン環境を提供するためのものです。現時点で、Googleはアプリケーションにおけるトラッキング防止については発表しておりません。しかし、ブラウザにおけるサードパーティCookieの廃止は、アプリケーションにおけるプライバシー保護にも影響を与える可能性があります。今後、アプリケーションにおけるデータ収集とトラッキングの方法にも変化が見られるかもしれません。

まとめ

トラッキングはマーケティングにおいて有効な手段ですが、ユーザーのプライバシー保護という観点から規制が強化されています。企業は、法規制に適合するとともに、ユーザーのプライバシーを尊重したトラッキング対策を講じることが重要です。これにより、ユーザーとの信頼関係を構築し、持続可能なビジネスを展開していくことができるでしょう。

GENIEE CX NAV1 編集部

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