インターネット広告への出稿やSEO対策での集客が当たり前となり、Webサイトへの集客数を増加させることは、年々難しくなってきています。業績を向上させるための施策について、課題を感じている方も多いのではないでしょうか。

そんな中、注目されているのが「EFO(入力フォーム最適化)」です。

今回は、Webマーケティングにおいて効果的な手法であるEFO(入力フォーム最適化)の基礎知識や対策が必要なフォームの特徴、ツールを活用した対策のポイントなどを紹介します。EFOについての理解を深め、課題の解決に役立ててください。

EFO(入力フォーム最適化)とは?

EFO(入力フォーム最適化)とは?

EFOとは、Entry Form Optimizationの略で、日本語では「入力フォーム最適化」と訳すことができます。Webサイトにある申し込みフォーム(以下、フォーム)の入力完了率を高めるために、ユーザーがフォームに情報を入力しやすいように改善をすることです。

フォームへの入力の途中で離脱をするユーザーの割合は、株式会社ファインドスターが行った調査によると、化粧品・健康食品などの単品ECでは84%にも及ぶそうです。フォームの離脱率はWebサイトによってばらつきがありますが、平均で50~80%のユーザーが情報入力を完了しないまま、フォームを離脱をしているといわれております。

フォームに情報を入力し始めるユーザーが100人いるとすると、離脱率が50%のWebサイトは、50人から申し込みがあります。仮に離脱率を10%改善すると、申し込みをする人が60人に増えます。このように離脱率の改善は、入力完了率を高め、申し込み数を増やすことに繋がります。

BtoCやBtoBの形態に関係なく、多くのビジネスではWebサイトからの購入や申し込み、問い合わせの数を増やすことは、事業の成長に欠かせません。EFO対策を行うことで、事業の業績向上に貢献することができます。

なぜWebマーケティングのプロがEFOに注力するのか?

Webマーケターにとって「集客数を伸ばすこと」は、業績向上に直結する重要な指標の1つといわれてきました。

個人でも簡単にWebサイトを活用し、商品やサービスを販売できるようになった今、数え切れないほどの選択肢の中から、ユーザーに自社の商品やサービスを見つけてもらうことは至難の業です。さらに最近では、Web広告への出稿やSEO対策などの集客手法が当たり前になり、競合企業においてもWebサイトへの集客を強化しているため、集客数を伸ばすことの難易度が高くなっています。Webサイトに流入するユーザー数が減ることで、購入や申し込みの数が減少したり、数を維持するための広告費が増えてしまったりと、事業の業績に打撃を与えることになりかねません。

そこで多くのWebマーケターが、購入や申し込みの数を増やすために、流入数の増加に頼るのではなく、流入したユーザーを囲い込み、「購入や申し込みを完了してもらうこと」に重きを置き始めました。その結果、Webサイトのユーザビリティ改善やコンテンツマーケティングと並び、Webマーケティングの有効な手法として注目されるようになったのがEFO対策なのです。

EFO対策は購入や申し込みの数の増減に直接的に影響がある施策であるため、ほんの少しの改善で購入数や申し込み数が何倍にもなることも珍しくありません。

EFO対策の効果とは?

実際にEFO対策に成功した事例をご紹介します。

1コンバージョン数を1.67倍にした求人サイトの事例

保育士・幼稚園教諭専門の求人サイトを運営する株式会社ウェルクスは、会員登録フォームにて、フリガナや住所の自動入力支援などのEFO対策を行いました。入力項目数はそのままに、EFO対策をしたことで会員数を1.67倍にすることに成功。

2オンラインショップのCVR(※)を前月比134.1%改善した事例

株式会社カインズは、オンラインショップの新規会員登録フォームを中心に、ユーザの入力負担を軽減する入力支援やフォーム離脱を防ぐためのEFO対策を行いました。その結果、CVRを前年比134.1%改善することに成功。

3CVRを12%→25%に改善したコーポレートサイトの事例

コーポレートサイトでの会員登録フォームにおいてEFO対策を行った結果、12%→25%のCVR改善に成功。

※CVR=コンバージョン率。購入や申し込みなどにどれくらい至っているかを示す指標。CVR向上させるための施策の一つとして、EFO対策がある。

EFO(入力フォーム最適化)対策をするべきダメなフォームの3つの特徴

EFO(入力フォーム最適化)対策をするべきダメなフォームの3つの特徴

EFO対策を行うことで、申し込み数や購入数などの増加に効果的であることがわかっていただけたかと思います。

この章では、「具体的に何をすべきか」を解説するために、ユーザーが離脱してしまうダメなフォームの特徴とその改善方法をお伝えします。ぜひご自身が運営しているWebサイトのフォームを確認しながらお読みください。

ユーザーが離脱してしまうフォームの特徴
①「とにかく長い」

EFO対策を行うときに最も大切なことは、「ユーザーがストレスなくフォーム入力できる」ようにすることです。

ユーザーにストレスをかけている代表的なフォームは、入力項目が多すぎるフォームです。実際に、ある専門業者がフォームからの離脱経験があるユーザーにアンケートを実施したところ、最も回答が多かったのが「項目数が多いから」という結果だったそうです。

ユーザーの情報をたくさん取得し、マーケティング活動に活かしたいという思惑から、多くの入力項目を設定しているフォームが散見されます。しかし入力項目が増えるほど、フォームから離脱するユーザーが増えてしまい、購入や申し込みの数が減少し、本末転倒になってしまいます。

フォームには本当に必要な入力項目だけを設定するように見直しましょう。

ユーザーが離脱してしまうフォームの特徴
②「情報を入力しにくい」

次に考えるべきは、ユーザーのデバイス環境です。業種業態にもよりますが、近年はスマート端末からのWebサイトへの流入するユーザーが増えてきています。

formisimo社の調査によると、パソコンのフォームへの入力完了率が17.5%であるのに対し、タブレットは16.9%、スマートフォンは12.7%という結果が出ています。つまり、スマートフォンのフォームは適切に設計されていないWebサイトが多い可能性があります。

スマートフォンのフォームの入力完了率が低い原因は、「入力項目の枠が小さい」「スクロールが煩わしい」などの使い勝手が悪いことが考えられます。スマートフォンのフォームを改善するためには、マルチステップフォームを取り入れることがおすすめです。

マルチステップフォームとは、1つの項目を入力すると画面が切り替わり、次の入力項目が出てくるタイプのフォームです。マルチステップフォームは、それぞれの入力項目がスッキリと見え、スクロールの手間がないため、スマートフォンなどの小さい画面での入力に向いています。

ただし注意点として、ステップが多くなると離脱率も高くなるので、必要な入力項目だけに絞り、できるだけ少ないステップで構築することが重要です。

ユーザーが離脱してしまうフォームの特徴
③「半角全角などの入力ミスを起こしやすい」

THE MANIFEST社の調査によると、離脱したユーザーの81%は、フォームに入力し始めたにもかかわらず、その後に離脱していることがわかっています。 フォームに入力を始めてから離脱してしまうことを「途中離脱」と言いますが、この 「途中離脱」に至ったユーザーは、入力を開始するだけのモチベーションこそあったものの、入力中に煩雑さや困難を感じたり、なんらかのアクシデントが発生したユーザーだと推測できます。

様々なWebサイトのフォームでよく見受けられますが、入力エラーが生じたためユーザーに再入力を求めることも離脱の原因になります。

したがって、例えば半角のみでの入力、電話番号にはハイフンが不要など各項目での入力条件を明示したり、フリガナや住所などの自動入力支援をしたりすることで、ユーザーの入力ミスを軽減する必要があります。

EFOツールによる入力フォームの改善ポイント

EFOツールによる入力フォームの改善ポイント

EFO対策を行うべきフォームの特徴とその改善方法をお伝えしましたが、入力支援などの効果的な施策を行う際に役立つのが、EFOツールです。

EFOツールとは、その名の通り入力フォームを最適化するためのツールのことで、ユーザーがより快適に、ストレスなく情報を入力できるようフォームを改善し、ユーザーの途中離脱を防ぐ効果があります。

ユーザーの離脱を防ぐためのさまざまな工夫を自社のフォームに施すには、元来フロントエンドの技術に精通した専門家の手を借りる必要がありました。しかし、EFOツールを活用することで、専門的な技術者の手を借りなくても、最新の技術を取り入れた機能をフォームに実装させることが可能です。

たとえば、入力支援機能以外にも、フォームの項目の中で特に離脱率が高いもの、入力エラーが多いものを特定する機能によって、ユーザーが離脱する原因を把握することができます。その他、チャットボット機能がついたものなら、離脱したユーザーに対し、チャットバナーをリマインド表示することでアプローチすることも可能です。

EFO改善のためのチェックポイント
【項目の削除】
1.ふりがなの削除
2.任意項目の削除

【入力サポート】
3.不要な項目分割をしない
4.入力形式は柔軟に
5.必須項目は明示
6.入力エラーはその場で指摘
7.郵便番号を使った住所入力の活用

【誤認・誤操作の対策】
8.CTAボタンのテキストとフォームの見出しは統一
9.不要なリンクの削除
10.離脱時のポップアップ作成

ここからは、EFOツールを活用して入力フォームを改善する際に特に意識したい3つのポイントをご紹介します。

入力必須項目を提示する

フォームを最適化するには、入力必須項目を提示することが効果的です。

多くのフォームでは、入力必須項目のすべてを入力しない状態で「次へ」「申し込む」などをクリックすると、入力エラーとなり警告が表示されます。エラーになると、メールアドレスの確認入力欄やパスワードなどを、再度入力しなければならなくなるフォームもあります。

フォームの入力過程でエラーになってしまうとユーザーの購買意欲は下がり、離脱につながりやすくなります。このためツールを導入する際には、入力必須項目を提示させることが欠かせません。

具体的には、入力ナビゲーションを表示させて入力必須項目残数を提示したり、入力必須項目や未入力の項目のフィールドをカラーリングしてわかりやすくする方法があります。

入力の手間を少なくする

入力の手間を少なくすることもポイントです。ユーザーは商品を購入したい、サービスを利用してみたいといった目的のもと必要に迫られてフォームに入力しており、フォームの入力自体が目的ではありません。このため、フォームの入力を面倒に感じたり、できれば簡単に済ませたいと思っていたりするケースがほとんどです。

したがって、入力に手間がかかるフォームも離脱の原因となるため、ツールの導入によってできるだけユーザーの手間を少なくすることが課題となります。

たとえば、郵便番号から住所を自動入力する、利用履歴のあるクレジットカードの番号を表示するなどの機能の実装が効果的です。住所は入力必須項目の中でも比較的文字数が多いため、多くのユーザーが入力を面倒だと感じるポイントです。また、クレジットカードの番号も、番号を覚えていない人の場合、実際のカードを確認しなければならないなど入力が面倒です。これらの項目の入力を少しでも省略できるような工夫をすることで、ユーザーのフォーム入力に対するストレスを軽減させることができます。

エラー警告の表示を回避する

フォームのエラー警告は、ユーザーのモチベーションを低下させる要因のひとつです。せっかく商品やサービスを試したいと思っても、そのためのフォームの入力がスムーズにいかないと、途中で諦めて離脱されてしまいます。

たとえば、氏名のカナや住所の番地など、入力文字に指定がある場合には、ポップアップで「全角カタカナのみ入力」などと表示させ、ユーザーに入力規則をわかりやすく伝えると効果的です。入力文字の間違いによるエラーを回避することができます。

また、未入力の項目があるにも関わらず送信ボタンを押下した場合にエラー警告が表示されるのを回避するには、入力必須項目をすべて入力完了するまで送信ボタンの機能を制限する仕様にする方法があります。

EFOツール導入時の確認項目

EFOツール導入時の確認項目

EFOツールには、さまざまな種類があります。これからツールの導入を検討している人の中には、フォームを最適化するためにどのようなツールを選べばいいかわからないという人もいるでしょう。

そこで、EFOツールを選定する際に確認しておきたい3つの項目をご紹介します。

ログ機能

ログ機能とは、フォームに訪れたユーザーの行動を記録として残せる機能です。ログを取得することにより、フォーム全体の離脱率を知ることができるだけでなく、入力項目ごとのエラー率や離脱ポイントを正確に測定することができるようになります。

フォームの離脱率を下げコンバージョン率を上げるには、フォームのどこに問題があるのか明らかにし、改善点を明確にすることが大切です。

例えば、取得したログにより住所の入力過程で離脱するユーザーが多いことがわかれば、郵便番号から住所を自動入力できるようなフォームに改善します。あるいは、電話番号の入力過程でエラーの発生率が高く、文字数、文字種両方のエラー率が同じくらい発生している場合、「ハイフンなしで入力すべき電話番号欄に、ハイフンありで入力するユーザーが多いことで、文字数、文字種両方のエラーが頻発している」と推測し、電話番号の入力欄の形式を改善したり、入力形式を知らせるメッセージをより目立つように表示させたりするなどの対策をとることができます。

ASP型

ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)とは、インターネットを介して提供されるアプリケーションやサービスのことです。ASP型のシステムは、EFOツールだけでなくサイト構築やECカートなど、あらゆる分野に存在しますが、システムを個別開発するのに比べて導入までのスピードが短く、コストも抑えられるという特徴があります。

専用のタグをウェブサイトに貼り付けるだけで導入できるため、専門的な知識を持つ担当者がいない場合でも簡単にツールを実装できます。また、フォームの改善に欠かせないログ集計ができることも、ASP型ツールの特徴のひとつです。

サポートサービス

サポートサービスとは、EFOツールの導入から安定運用までサポートしてくれるサービスのことです。EFOツールは導入して終わりではなく、正しく運用することで期待する効果を得ることができます。多様な業界におけるEFOツール導入の知見と実績に基づいたアドバイスは、フォームの最適化に役立ちます。

ツールを提供する会社によってサポート内容はさまざまです。自社の運用体制に不安がある場合には、分析レポートを作成してもらえるような、サポートサービスが充実しているツールを検討するとよいでしょう。

EFO(入力フォーム最適化)対策を行うには?

EFO(入力フォーム最適化)対策を行うには?

ここまで、ユーザーが離脱しやすいフォームの例や、改善方法、EFOツールによる改善ポイントや、ツールを導入する際に確認すべき項目についてお伝えしてきました。「自社にWebエンジニアがいないからフォームの改修は難しい」「そもそもフォームに到達するユーザーが少ない」などの理由から、EFO対策の実施が難しいと感じている方こそ、EFOツールを活用した対策が有効です。

近年、さまざまな特徴を持ったEFOツールが開発されています。そんな中、EFO対策を実施できていない多くの企業が抱える人材などのリソース不足や、フォームへの到達率が低く改善効果が見込めないなどの課題を解決するために開発されたのが「チャットボット型EFOツール」です。

チャットボット型EFOツールとは?

チャットボット型EFOツールとは、その名の通り、チャットボットにEFO機能を組み込んだツールです。

具体的には、Webサイトに訪問したユーザーに声かけを行い、メールアドレスや名前などの入力項目を対話形式でユーザーに回答させることができます。Web接客という概念が広まった昨今、ECサイトをはじめ、多くのWebサイトで設置されはじめています。

チャットボット型EFOツールの強み①
ページ離脱を防ぐことができる

Webサイトでは、1ページで必要な情報取得が完結することは稀で、それぞれのニーズによってページ遷移を繰り返し、その過程でユーザーは離脱していきます。これはフォームへ遷移する際にも同じことが言えます。チャットボット型EFOツールを設置すると、ページを移動せずにフォームの入力を開始することができるので、フォームへ遷移する際のユーザーの離脱を減少することができます。

チャットボット型EFOツールの強み②
ストレスを感じさせないコミュニケーション

チャット形式は、フォームの入力完了率を飛躍的に改善します。

数年前までは、ユーザーにチャット形式での回答の習慣がなく、チャットボットを設置してもユーザーに活用されないこともありました。しかし、LINEやFacebookメッセンジャーなどのチャットアプリが生活の中に溶け込んでいる最近では、フォームよりもユーザーがストレスなく入力できるといわれております。

また、全自動チャットボットを導入することで人的コストを削減することもできます。専門的な回答が必要な場合には、オペレーター対応に切り替えて、一人ひとりに合わせたより密なコミュニケーションを行うことで、ユーザーの満足度を向上させることもできます。

チャットボット型EFOツールの強み③
Webエンジニアがいなくても設置が可能

チャットボット型EFOツールの多くは、Webエンジニアリングの知識がなくても設置ができます。また、他のITツールに比べ比較的安価な価格設定のものが多く、加えて効果測定機能やWeb接客の機能など、購入や申し込みを完了させるまでの過程も同時にカバーできるので、非常にコストパフォーマンスがよいツールです。

まとめ:チャットボット型のツールを活用して明日からEFOをスタート

まとめ:チャットボット型のツールを活用して明日からEFOをスタート

いかがでしたでしょうか?

「EFOなんて全然知らなかったかった」「知っていたけど難しいと思っていた」という方々にEFO対策の効果や導入方法をご理解いただき、課題解決のお役に立てたのであればとても嬉しいです。

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GENIEE CX NAV1 編集部

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