Web広告費が年々高騰する中、限られた予算で効果的に集客・売上を伸ばすには、「LPO(ランディングページ最適化)」が欠かせません。
本記事では、LPOの基本的な考え方や目的、具体的な改善ステップやテスト方法、活用できるツールまでをわかりやすく解説します。
Web集客の成果を最大化したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
LPOとは

LPO(Landing Page Optimization)とは、「ランディングページ(LP)」をユーザーのニーズに合わせて最適化し、コンバージョン率(CVR)の向上を目指す施策のことです。
主に1枚完結型で、商品・サービスの特徴や価格、ベネフィットなどがまとめられているのが一般的です。
このLPで、ユーザーが知りたい情報にすぐアクセスできるように設計することで、離脱率を抑え、資料請求・お問い合わせ・購入といったコンバージョンにつなげることが可能になります。
つまり、LPOとは、訪問者の行動を促すために「伝えるべき情報を、伝わる形で届ける」ためのページ改善プロセスのことです。
LPOを行う目的
LPOの主な目的は、コンバージョン率(CVR)の向上です。
ただし、それと同じくらい重要なのがページからの離脱率を下げること。ユーザーが知りたい情報にすぐたどり着けなければ、わずか3〜5秒でページから離脱すると言われています。
ユーザーに「このページは役に立ちそう」と感じてもらい、スムーズに次のアクションへと進んでもらうためには、LPOが不可欠です。

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SEOやEFOとの違い
LPO(ランディングページ最適化)とあわせて、よく聞くマーケティング用語に「SEO」や「EFO」があります。それぞれ目的やアプローチが異なりますので、違いを理解して、適切に使い分けましょう。
SEO(検索エンジン最適化)
SEO(Search Engine Optimization)とは、検索エンジンで自社サイトを上位表示させ、自然検索からのアクセスを増やす施策です。
ユーザーがGoogleやYahoo!などで検索した際に、自社のページが上位に表示されれば、より多くの訪問者を獲得できます。
つまり、SEOは「Webサイトへの集客」を目的とした施策です。
EFO(入力フォーム最適化)
EFO(Entry Form Optimization)とは、ユーザーがフォームに入力しやすくするための改善施策です。
例えば、入力項目が多すぎたり、使いづらいフォームがあると、ユーザーは途中で離脱してしまいます。
EFOはこうした離脱を防ぎ、入力完了率を高め、コンバージョン率を改善するために重要な施策です。
LPO施策の進め方

LPOに取り組もうと思っても、「何から始めればいいの?」と迷う方も多いと思います。
ここからは、LPOを効果的に進めるための手順をわかりやすく解説していきます。
LPの問題点を洗い出す
LPOを始めるうえで、まず最初に取り組むべきなのが現状のランディングページ(LP)の課題を明確にすることです。
どこでユーザーが離脱しているのか、なぜコンバージョンに至らないのかといった、ボトルネックを見つけ出す作業が欠かせません。
LPOでは、この初期の見立てが今後の施策の方向性を決めるため、主観ではなく客観的なデータに基づいて問題点を洗い出すことが重要です。
「デザインがイマイチ」「キャッチコピーが弱い」といった印象だけで判断するのではなく、アクセス解析ツールなどを活用して数値から現状を把握しましょう。
LP改善の仮説を立てる
問題点を洗い出したら、その問題点を改善するためにLPに対して何をすればいいか、仮説を立てたうえで具体的な対策方法を決定します。
たとえば特定の流入経路からユーザーの離脱が目立つ場合、LPの内容が検索キーワードやユーザーのニーズに合っていないのではないか、という仮説のもと、「デザインやキャッチコピーなどのファーストビューを含めたコンテンツの改善を行ってはどうか」という対策が立てられます。
取るべき対策方法は、問題点によって異なります。そのため、問題点が複数ある場合には優先順位をつけ、それぞれに対して順番に対策を検討することが必要です。
また、LP改善のための仮説を立て対策方法を検討する際には、実現可能性も考慮することが大切です。対策方法を決定してから技術的な問題に気付くというトラブルを避けるためにも、対策方法を検討する際には、ユーザーインターフェースなどの機能面に詳しいエンジニアやテクニカルエディターに同席してもらうと安心です。
LP改善施策を実行し検証する
次に、改善施策を実行し、あわせて効果を検証するためのテストを行います。
改善施策の効果を検証するためのおもなテストには、「A/Bテスト」「多変量テスト」「トータルエクスペリエンステスト」などがあります。
たとえばA/Bテストでは、改善前のLPと改善後のLPのコンバージョン率を比較し、改善施策の効果を検証します。
検証方法にはいくつか種類がありますが、一度に複数のテストを行わないように注意しましょう。複数のテストを同時に行ってしまうと、何が結果を左右する要因になったのか分かりにくくなります。
複数のテストを行う場合は実施時期をずらし、どの要因が成果につながっているのか、はっきり分かるようにすることが大切です。
検証結果を振り返る
LPO実施の最後のステップは、検証結果の振り返りです。
テストを実施しながらコンバージョン率にどのような変化が見られたかモニタリングし、結果を集計します。集計結果に基づき、効果があった施策は残し、再度はじめのステップに戻って問題点の発見と必要な対策の検討、実行を繰り返していきます。
LPOは、中長期的に取り組む必要があります。LPOの実施を繰り返すなかで当初は顕在化しなかった問題に気付くことができ、効果の上がるLP、いわゆる「チャンピオンページ」を作ることができます。
LPOにおけるPDCAは、1カ月程を目安に短いサイクルで回していきましょう。一度改善したコンバージョン率はその後もずっと維持できるとは限らないため、常にLPの効果をモニタリングし、PDCAを回し続けることが重要です。

LPOの主な検証項目

まず、どこを見直すべきか、LPOの基本となる検証ポイントを7つに絞ってご紹介します。
LP全体の情報設計
ユーザーの興味を引き、共感や納得を得ながらCVへ導く構成になっているかを確認します。
興味喚起→共感→メリット提示→信頼獲得→CTAという基本の流れが、自社の商材やユーザーに合っているかが重要です。
FV(ファーストビュー)
ユーザーが最初に目にするキャッチコピーやビジュアルは、離脱率に大きく影響します。検索キーワードと内容にズレがないか、直感的に魅力が伝わるかをチェックしましょう。
コンテンツ内容
読み進めたくなる情報があるか、ユーザーにメリットが伝わっているかがカギです。比較情報やクチコミ、受賞歴など、信頼性を補強する情報があるかも重要です。
ページデザイン
色やフォント、レイアウトがサービスの世界観やターゲットに合っているかを検証しましょう。違和感のあるデザインは、ユーザーの離脱要因になります。
CTA(Call to Action)
テキストの内容やボタンの色・配置場所が適切かを見直しましょう。わずかな文言の違いや配置でも、CV率に大きな差が出ることがあります。
入力フォーム
項目が多すぎないか、使いにくくないかを確認しましょう。少しの手間やエラーで、購入意欲の高いユーザーも離脱する恐れがあります。
表示スピード
表示が遅いと、ファーストビューに到達する前に離脱されるリスクがあります。
Googleの「PageSpeed Insights」などを活用して、スピード改善にも取り組みましょう。
PageSpeed Insights:
https://developers.google.com/speed/pagespeed/insights/
PageSpeed Insightsでは、ページの表示スピードを0~100点で評価し、点数に応じてLow/Medium/Goodの診断をしてくれます。
LPO改善施策の検証方法

LPOにおいて、改善施策の効果を検証することは大切なステップです。
検証に使用されるおもなテストには、「A/Bテスト」「多変量テスト」「トータルエクスペリエンステスト」の3つがあります。それぞれのテスト方法について、テストの内容や目的をご紹介します。
A/Bテスト
A/Bテストとは、特定の要素が異なるAパターン、BパターンのLPを作成してユーザーにランダムに表示し、それぞれの効果を測定、検証するテストです。3種類以上のLPを用意してテストを行うこともあります。
たとえば、まずはメイン画像の比較、次にキャッチコピーの比較などというように、さまざまな要素でテストを行い、それぞれ効果が高い要素をLPに実装させることによって、コンバージョンの改善を期待することができます。
A/Bテストのメリットは、同時期に複数のパターンをテストできるため、時期に起因する外的要素の影響を受けにくいことです。季節によって売上が大きく変動する商品では、テストする時期によっては評価が正しく行えなくなる懸念がありますが、A/Bテストの場合こういった心配がありません。
多変量テスト
多変量テストは、ある特定の要素が異なるパターンの検証を行うA/Bテストと違い、複数の変更箇所を持つさまざまなパターンを用意し、その中からもっとも効果がある組み合わせを検証するテストです。
たとえば、ファーストビューのキャッチコピーのフォントサイズを2パターン、コピーの文言を3パターン、フォントの色を3パターン用意する場合、2×3×3=18通りのパターンが作られます。これらをユーザーに提示して効果を測定し、最適な組み合わせパターンを見つけるテスト方法です。
例では少なめのパターン数で説明しましたが、組み合わせが何万通りに及ぶテストを行うこともあります。ただし、パターン数が多ければ多いほど、テストを行うユーザー数も多く必要になります。このため、LPへのアクセス数が少ないケースではテストが長期化してしまう場合があります。
トータルエクスペリエンステスト
トータルエクスペリエンステストとは、LPを含めた複数のページにおけるユーザーの体験(ユーザーエクスペリエンス)を検証し、最適化を目指すテストです。テストを実施するには、ウェブサイトにシステムを実装させ、サイト全体でのユーザーの動きを解析する必要があります。
たとえば、「自社サイトを訪問する」「リターゲティング広告をクリックする」「LPにたどり着く」といった一連の流れに対して、それぞれのステップに複数のパターンを用意し、もっとも効果が高い組み合わせはどれか、最適なユーザーエクスペリエンスを検証します。
システム導入にコストがかかることやテストに多くの時間が必要なデメリットはあるものの、広範囲のマーケティング施策の改善につながるとして、近年注目されている手法です。
LPOに必要なツール

LPOを実施する際に必要となるのが、アクセス解析を行ったり、A/BテストやLPの表示速度改善に役立つLPOツールです。LPOツールは、活用することでLPの最適化がスムーズに行えるだけでなく、LP作成にかかる費用を抑えることにもつながります。
ここでは、主なLPOツールの種類を3つご紹介します。
アクセス解析ツール
アクセス解析ツールは、LPに訪問したユーザーのアクセスログを確認できるツールです。既存のLPの問題点を洗い出す際や、改善施策の効果を検証する際にはログデータが必要です。
アクセス解析ツールにはさまざまな種類がありますが、なかでも多くのウェブサイトで使われているのがGoogleが提供する「Googleアナリティクス」です。Googleアナリティクスは、無料で簡単にアクセス解析がはじめられるツールです。
ユーザーのLPにおける滞在時間や直帰率、コンバージョン数などを調べることが可能です。
A/Bテスト用ツール
A/Bテスト用ツールは、A/Bテストを簡単、スピーディーに行うことを目的としたツールです。活用することで、A/Bテストを実施する手間を軽減させることができます。
A/Bテスト用ツールにもさまざまな種類があり、各ツールによって機能は異なりますが、具体的には、ツール上で簡単にテストページを作成できたり、目標設定することでテスト結果をレポートにまとめてくれたりします。
代表的なツールのひとつが、アメリカで開発された「Optimizely」というツールです。日本語にも対応しており、A/Bテストだけでなく多変量テストなどの多彩な機能を搭載しています。
無料のツールでは、Googleが提供する「Google optimize」というツールがあります。有償版と比較すると機能に制限はあるものの、Googleアナリティクスとの連携もでき便利です。
LPの表示速度改善ツール
LPの表示速度改善ツールは、広告や他のページからユーザーがLPに遷移した際、「遅い」と感じて離脱することがないよう、LPが表示される速度を改善するためのツールです。
前述のとおり、LPの速度改善にはGoogleが提供するツール「PageSpeed Insights」を使うのが便利です。ツールにLPのURLを入力するだけでLPの表示スピードを計測し、表示速度のスコアを測定してくれます。また、改善項目も示してくれます。
LPOに効果的な施策

LPOを成功させるには、構成やデザインだけでなく、「どんなコンテンツを掲載するか」も非常に重要です。
ここでは、LPOにおいて実践したい代表的な施策を3つご紹介します。
クチコミやUGCの掲載
LPOで特に効果が高いと言われているのが、ユーザーのクチコミやUGC(User Generated Contents)の掲載です。UGCとは、InstagramやX(旧Twitter)などで投稿された、ユーザー自身による体験談や写真、レビューなどを指します。
これらは企業の一方的な訴求よりも信頼されやすく、共感や安心感を与える効果があります。ただし、クチコミやUGCは「ただ載せればいい」というものではありません。どの媒体のどんな内容が最も効果的かをテストし、検証しながら掲載することがポイントです。
スマホ最適化
モバイルファーストの時代において、LPのスマホ対応は必須です。現在、Google検索の半数以上がモバイルから行われており、スマホに最適化されていないLPは、表示の遅さや読みにくさが原因で離脱率が高くなる傾向にあります。
BtoB商材ではPCからのアクセスも少なくありませんが、それでもモバイル対応を行っていないLPは、直帰率が最大5倍になるとも言われています。レスポンシブ対応や、スマホ画面での見やすさ・操作のしやすさをきちんと検証しましょう。
EFO(入力フォーム最適化)
ユーザーがLPの最後まで到達し、いざ申し込みや購入をしようとした際に「入力フォームが使いにくい」だけで離脱してしまうのは非常にもったいないです。
EFO(Entry Form Optimization)は、まさにそのような離脱を防ぐための施策です。入力項目の見直しやエラーメッセージの改善、リアルタイムでの補助表示など、ちょっとした改善がCVRの大幅アップにつながることもあります。
LPOと並行してEFOにも取り組むことで、LP全体の完成度を高め、より多くのコンバージョンを実現できるでしょう。
Web接客に必要なEFO施策として、以下の4つがあります。
①わかりやすいデザイン
ユーザーが入力で迷うこと無いように、下記項目などわかりやすいデザインを心掛けることでユーザーはストレスなく入力することができるでしょう。
- フォームにあらかじめ入力例を記載する
- 必須項目にはマークを入れる
- 入力完了ボタンを目立たせる
②ユーザーの入力の手間を減らす
ユーザーの手間と感じることを取り除いてあげることで入力完了率が改善します。
例えば、フォームの項目数を減らしたり、住所を自動入力にしたり、自動でフリガナを入れたりするとユーザーはスムーズにフォーム入力を行うことができます。
③オンライン決済サービス
商品やサービスの販売を行っている企業は入れておくとコンバージョン改善に確実につながります。
④チャットボット
チャット形式で名前や住所、電話番号などを順番に対話形式でユーザーの情報入力をアシストするため、スムーズに入力完了を促します。ユーザーが入力をスムーズに完了させることが、コンバージョン改善の重要なポイントとなります。
他にもLPO施策はありますが、まずはこれらの施策でPDCAを回してみると良いでしょう。
LPO施策の成功事例
ある化粧品ブランドのECサイトでは、新商品の購入率が低迷していたため、LPOを通じた改善に着手しました。
主な施策は以下の通りです。
- ユーザーの声(UGC)の活用
SNSで投稿されたお客様の使用レビューやビフォーアフター画像をLPに掲載。特にInstagramで話題になった投稿を埋め込むことで、リアルな使用感が伝わり、安心感を与えました。 - モバイルファーストの設計に変更
アクセスの約7割がスマホ経由であることが判明していたため、モバイルでの読みやすさ・操作しやすさを最優先にリデザイン。ボタンを親指で押しやすい位置に配置するなど、UX改善に注力しました。 - チャットボットで商品選びをサポート
「自分に合う商品が分からない」という声に応える形で、チャット形式の簡易診断機能を導入。肌質や悩みに応じておすすめ商品を提案することで、離脱率を大幅に改善しました。
これらの取り組みにより、新商品の購入率は従来の約2倍に向上。特にUGCによる「共感の創出」と、スマホ最適化による「スムーズな導線」が成果につながったポイントです。
まとめ

LPOを成功させるには、ユーザーの信頼を得るクチコミの掲載や、スマホ対応、使いやすい入力フォームの設計など、細かな工夫が欠かせません。
これらの施策を組み合わせて改善を重ねることで、コンバージョン率の向上につながります。まずは自社のLPを見直し、できるところから取り組んでみましょう。
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