CRMとは? ~基本的な意味から実践的な成功事例まで~営業力を押し上げる顧客関係管理のリアルな活用法
CRMとは「Customer Relationship Management」の略称です。1990年代にアメリカで提唱され始めた概念で、日本語では「顧客関係管理」と訳されています。その意味は「顧客との関係性やコミュニケーション履歴を管理すること」ですが、これはかなり限定的な定義です。現在の日本ではより広い意味で使われ、蓄積・管理されたデータを分析し、どのようなアクションにつなげていくかという部分までを含んだ概念として用いられています。
今回は、国産営業管理ツール「GENIEE SFA/CRM」を提供する弊社ならではの実践的な成功・失敗事例を織り交ぜながら、営業現場で役立つCRMの活用法を紹介します。
なお、CRMを実践するうえで必要なデータを蓄積し管理するツールとして「営業支援システム」(SFA=Sales Force Automation)がありますが、現在ではSFAはCRMの一部を成すものという見方をされており、それぞれを明確に区別することなく「CRM」あるいは「CRMツール」と呼ぶことも一般化してきました。そのため本記事ではこれらを総称して「CRM」「CRMツール」として解説しています。
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営業力を鍛えるCRM
ビジネスに欠かせないCRMの概念
どのような業種・業態であっても、ビジネスの基本はお客様との関わり合いです。
お客様が必要としているものを、必要なタイミングで、適価で提供できれば、お客様は喜んでお金を払ってくれるでしょう。そして「また次も頼むよ」という言葉とともに、より良い関係を築くことができるでしょう。
つまりお客様といかに良い関係を築き、それを継続していくかという点が、取引の継続性を左右し、業績に大きく影響していくのです。そして自社とお客様との関係を保つためには、双方の関わり合いの履歴を管理し、その内容を分析することが必要です。
お客様の要求に対して、適切に応えられているか。タイミングを逃してはいないか。必要なクオリティを維持できているか。多岐にわたる分析を行えば、取りこぼしを防ぐことができますし、それは顧客満足度の向上につながっていきます。お客様の事情を知り、それに合わせた提案をすることで、眠っていたニーズを掘り起こすことも可能です。さらにすべてのお客様の動向を見たうえで、潜在顧客がどこにいるのかを探り出すこともできるでしょう。
継続顧客との関係向上、休眠顧客の掘り起こし、新規顧客の開拓。あなたのビジネスを広げ、育てるためには、顧客との関係性をデータとして管理し分析できるCRMの概念が必要になるのです。
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メモ1枚でもCRMツールになる!
では、このCRMを実践していくうえで、どんなツールを使えばいいのかを考えてみましょう。
まず挙げられるのは売上集計表など、取引の金額や内容の履歴です。企業とお客様との関係とはすなわち「取引」ですから、売り上げの推移グラフなどは「いつ、どのくらいの取引があったのか」を明確に表すもの。つまりお客様との関係を表す情報であり、同時に管理するためのツールとなります。
営業日報も、有益なツールになり得ます。近ごろではその有用性について「必要ない」「やっぱり必要だ」などと、賛否両論が上がっていますが、営業日報には「いつ、どこへ行ったか」「お客様とどのようなやりとりがあったのか」「どのような要望、クレームを受けたか」といった、密度の高い情報が含まれています。これを時系列でまとめたら、まさしく「お客様との関わり合いをデータ化したもの」になるはずです。営業日報を単に「管理職への報告ツール」としておくのは、CRMの観点からすると非常にもったいない話だ、ということになるのです。
さらに言うなら、お客様からのメール1件、電話の伝言メモ1枚でさえ、立派なCRMツールになります。
たとえば、あなたがお客様に対して何らかのアクションを起こし、それに対するお礼がメールや電話で来ていたなら、それはお客様との関係における「プラス点」と見てよいでしょう。お客様があなたの行動に対して「嬉しい」「助かった」と感じ、わざわざメールや電話で謝意を知らせてくれたということは、それだけの好印象をお客様に与えることができたということになります。つまりはお客様との関係性が向上したということで、CRMの観点からはプラス要素であるとみることができます。
「○○社の△△様から『ありがとう』のお電話あり」という伝言メモ1枚であったとしても、それはお客様との関係性を物語る、立派なCRMツールとなるのです。
CRMがビジネスシーンのトレンドに
売上集計表や営業日報、さらには1枚の伝言メモでさえもCRMツールになりうる…とはいえ、それらの資料を常に持ち歩くことなど、現実には不可能です。おおまかなところは頭に入れておくこともできるでしょうが、そのすべてを詳細に記憶しておくことはかなりの難事でしょう。
ですが、ここ数年の間にそうした懸念もすっかり払拭されてしまいました。それが、タブレットやスマホといった携帯デジタル端末の普及、そしてクラウドサービスの充実です。
必要なデータを最適な形にまとめた状態で、いつでもどこででも取り出して、閲覧・加工することができる。このような環境が整えられたことで、CRMは大きな一歩を踏み出したと言ってよいでしょう。現場に出向く営業マンたちは常に最新の状態にアップデートされた情報をもとに、お客様と接することができるようになったのです。
そしてこうした状況の変化に合わせ、本格的な「CRMツール」が次々に登場し、多くの企業から注目を集め、使われるようになりました。現実に、いまCRMツールはあらゆる業界で急速に普及しており、現場の営業マンやセールスマネージャー、さらに多くの経営者たちが、その有用性を実感しているのです。
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CRMで何ができるのか
CRMツールでPDCAを高速化
現在使われているCRMツールは、それぞれにさまざまな機能を持ちますが、基本的には「お客様との関係を表すデータを集計・表示すること」です。
これまでの取引の内容はもちろんのこと、どのような商談があったか、それに伴ってどのようなアクションをとったのかという自社側の行動履歴も残すことができます。
さらにCRMでは、参加者全員がデータを閲覧することができます。たとえば営業チームのメンバーそれぞれの目標達成率がどの程度か、誰がいつまでに何をやらねばならないか、そうした行動までも含めた情報を、参加者全員で共有することができます。ツール上でチャット感覚でディスカッションすることもできますし、テキストだけでなく画像データなどもアップロードして共有することも可能です。
このように、CRMツールでは蓄積された多くの情報を参加者全員が共有し、それをさまざまな切り口で集計して評価することができます。それをもとに今後の予測を立て、行動計画を立てることができますし、さらにまたその結果を集計・評価し、次の行動プランに反映させる…といった行動が容易になります。
つまりCRMツールを有効活用すれば、計画・実行・評価・改善のPDCAサイクルを、より高速で回していくことができる、というわけです。
現場で何が変わっていくのか
CRMツールの導入・活用によって何が変わるのか。もう少し具体的に考えてみましょう。
まず、営業マン一人ひとりの、数字に対する意識が変わります。メンバー全員の成績がそのまま見えてしまうのですから、プレッシャーにもなりますが、それ以上に自分の成果に対するリアルな意識が生まれます。
また、それらの数字に関連するこれまでの自分の行動、顧客とのやりとりがもれなく見られますから、数字を意識したうえで行動の改善も図れるようになります。
「どうも、自分の行動が結果に結びついていないな」と判断できれば、「お客様へのアプローチの仕方を変えてみよう」というアクションにつながるでしょう。そのやり方で成果が出たなら、他のお客様に転用することもできるでしょうし、そうした変化を情報として残しておけば、セールスマネージャーが営業戦略を検討するための有用な情報にもなります。
どのお客様にどんなアクションを起こし、その結果がどのように数字に反映されてきたのか。個々のケースを検討すれば、そのお客様にどのようなアプローチをかければ良いかが見えてきますし、全体を俯瞰すれば、どこに無駄があるのかを見きわめ、どこにチャンスが眠っているのかを推測することができます。
これまで個人の経験則や勘などに頼っていた営業ノウハウを具体的な数字と関連づけて可視化・共有することで、チーム全体の営業効率をより高めることができるようになるのです。
お客様へ安心感を提供できる
「今度の担当さんは、どうもフットワークが鈍い…」担当者の入れ替えがあると、こうしたぼやきがお客様の口からよく漏れるものです。確かに、社内の事情を理解し、手の届きにくいかゆいところをかいてくれる担当者は、お客様にとっては重宝な存在です。それが異動になってしまっては、お客様としては不安を感じるのも無理はありません。たとえしっかりと引き継ぎをしたとしても、この不安をすぐに払拭することはできないでしょう。それが冒頭のぼやきにつながっていくのですが、この状況を放置してしまっては、お客様との関係性は悪くなるばかり。業績の低下や、お客様を失うことにもなりかねません。
ですがCRMを活用すれば、お客様と過去にどのようなやりとりがあったのか、すべてを明確に知ることができます。お客様からどのような要望を受け、前任者がどのような対応をとったのか、容易に知ることができるのです。過去のクレームの内容やその処置についても把握しておくことができますから、これまでと変わらない、そのお客様が望むお付き合いをすることができます。
これはお客様にとって大きな安心感でしょう。お客様との関係性を維持し、さらに高めていくことが、CRMによって可能になります。
まだある、CRM導入のメリット
このように、CRMを導入することで得られるメリットは大きく、また数多くあります。営業の効率化が進むことでお客様ごとにアプローチを選択したり、タイミングを計りながら最適なアクションを起こすことができます。それは受注率を上げることにつながり、結果として売り上げ全体の底上げにもつなげることができます。
チームメンバーで共有する情報をもとにツール上でディスカッションを行い、営業プランを練っていくこともできます。
予期せぬアクシデントやクレームが発生したときにも、過去に同じ事例はなかったか、その時にどのように対処したのか、その結果お客様からどのような評価を得たのかといった情報を、一瞬で手にすることもできます。
スマホやタブレットを使えば、出先で急なトラブルに遭遇しても、リアルタイムで対応することができますし、営業日報を書くために会社に戻る必要もありません。お客様との商談の前には最新の情報を仕入れておくことができ、ミーティングが終われば、その結果と内容を書き込み、チーム全員ですぐに共有することができます。
このように、CRMという概念、さらにその実践システムであるCRMツールは、さまざまなメリットを発揮して営業効率を高め、お客様との関係性を維持し、さらに向上させていくことを可能にするのです。
「エクセルCRM」はどこまで使える?
あらゆる場所で、さまざまな使い方をされているマイクロソフト・エクセル。家庭からビジネスユースまで、広く普及していますが、これをCRMツールとして使っているという企業は意外と多いようです。
エクセルは本来表計算ツールですので、数字を扱うのは得意中の得意です。入力したデータをさまざまな切り口で集計・表示することができますし、そのデータをもとに予測を立てることもできます。
テキストも使えますし画像を貼り込むこともできますから、営業日報に書き込むような文字情報…いつ、どこで、どのようなことがあったのかということもデータとして記録し、時系列で取り出すようなこともできます。
インターフェイスは使いやすく、またほとんどの人が基礎的な使い方を知っているということもあって、CRMツールとしては導入のハードルが低いといえます。
ですがエクセルはあくまで表計算などを目的として作られたツールです。もともとCRMの概念を踏まえて作られたものではありません。CRMツールとして役立てるためにはシートや関数、マクロなどを複雑に組み合わせなくてはなりませんし、できることにも限りがあります。ことに「お客様との関係の管理」という目線で見ると、機能的にも見劣りしてしまいます。そのため「今までエクセルを使ってきたが、そろそろ限界を感じてきた」という理由で本格的なCRMツールを導入した…という事例は多く見られます。
エクセルはあくまでエクセル。導入しやすいというメリットはありますが、CRMツールとしての機能は決して十分とは言い難いでしょう。
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CRMツール選定のポイントとは
数あるCRMツールの選び方
さて、ここからはCRMの導入について、実際に注意すべきポイントを中心としてお話ししていきましょう。まずは数あるツールの中からどれを選ぶかというところからです。
CRMツールはさまざまなものが登場していて、それぞれに違いがあります。価格でいえば1ユーザーあたり500円程度のものから、15,000円程度のものまで、かなりの幅があります。ユーザー数によってコストが大きく変わってきますから、ここは要注意でしょう。また契約期間もいろいろで、長いものも短いものもあります。
また機能についてもかなりの違いがあります。ここは価格とも関連しており、高機能のものはそれなりに高価ですが、営業活動とお客様との関係性をデータ化するという点では、それこそ「何でもできる」ほどの機能を持っています。逆に機能を絞り込み、必要十分なレベルにとどめて、安価で使用できる…というものもあります。
このような違いはありますが、CRMとしての基本的な機能はどのツールにも当然ながら実装されていますから、導入直後から機能的な不満を感じることはないでしょう。機能と価格のバランスを見て、自社に最適と思われるものを選べば良い…ということになりますが、実はここにちょっとした落とし穴があるのです。
機能よりも使い勝手が重要
「せっかく導入するのだから、高機能のものを…」
CRMを導入しようというとき、こう考える企業は多いものです。もちろん価格との兼ね合いはありますが、導入コストが同程度ならば、少しでも高機能のものを求めるのは当然でしょう。
ですが必要以上の高機能を追い求めてしまうと、そのためにかえって「使いづらい」ということにもなりかねません。これはCRM導入にあたっての落とし穴です。
高機能なCRMツールは設定・入力できる項目が豊富です。項目そのものをより多く追加していくこともできますから、「何でもできて、何でもわかる」というようなツールにカスタマイズすることもできます。ですが機能や設定・入力項目があまりに多くなってくると、それを入力する手間も増えていき、入力そのものに時間がかかるようになってしまいます。
また、たとえ高機能であったとしても、インターフェイスに難があれば「見づらく、使いにくい」ということになります。これではやはりツールとしては優秀とはいえないでしょう。
高価な製品を導入すると、その機能をすべて使いこなそうとして、つい「あれもこれも」と欲張ってしまいがちです。でもあまりに欲張りすぎたためにかえって使い勝手が悪くなり、入力作業が滞ってしまうようでは本末転倒というものです。
そのツールに「柔らかさ」はあるか
高機能過ぎると、かえって使いづらい…であれば、機能を絞ったシンプルなもののほうが良いのでしょうか? これには必ずしも「イエス」とは言い切れません。自社の規模に見合っているか、求めている機能を備えているかが判断基準となるからです。
もちろん、どの製品を選んだとしてもすぐには機能不足だと感じることはないでしょう。これは先にお話しした通りですが、「拡張性は十分か」という点は、見逃せないポイントです。
CRMツールを導入し、その使い方に慣れてくると「こんな情報も入れ込みたい」「こんな機能がほしい」という欲が出てきます。そうしたニーズに応えられる拡張性があるかどうかは、製品を選ぶ際の理由のひとつとなります。営業戦略は常に改善されていくものですし、それに合わせて拡張していける柔軟性は、CRMツールの大切な要素です。
自社の規模に見合った必要十分な機能と拡張性を持ち、短時間で直観的に操作できる使い勝手の良いもの。そうした目でツールを選ぶことが、導入に失敗しないコツです。
CRMツールは「使う前にまず使う」
使う前に使う…妙な日本語ですが、これはツールの選定にあたっての大切なポイントです。
先にお話ししたように、CRMツールは機能や価格もさることながら「使い勝手が良い」というのが重要です。そのため製品によっては、導入前に使い勝手が確かめられるよう、無料体験期間を設定しているものがあります。
残念ながら、すべてのツールで無料体験ができるわけではありません。また試用できる期間が短かったり、機能制限がかけられていたりするケースもあります。ですが導入前に実際に使ってみれば、その機能や使用感がわかります。導入してから「こんなはずでは…」と後悔することもないでしょう。
必要な機能は備わっているか。操作のしやすさ、使い勝手はどうか。自社の規模に見合っているか、拡張性は十分か。コストとの兼ね合いはどうか。1カ月ほど試用できれば、これらの項目を実地にチェックすることができますし、使い方に慣れることもできます。
CRMツールは導入して使う前に試用してみる。これも、スムーズな導入を成功させる秘訣です。
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CRM導入を成功させるために
CRMツールの成功例
CRMツールの選定から導入で注意するべきポイントまでをお話ししてきました。ここで、弊社のクライアントから実際に国産営業管理ツール「GENIEE SFA/CRM」を導入して成功したという企業の声をご紹介しましょう。
★株式会社Nextdoor(竹中和彦様)
インターネットでのプロモーションに特化した企画・開発を行う株式会社Nextdoor。顧客情報管理について試行錯誤しつつエクセルでマクロを組んでやっていたが、かなり複雑になり、いつしか「マクロを組む」ことが仕事になってしまったことが課題としてありました。CRMを導入する際には文字が少なく、直観的に操作できるものが良いと考え、無料体験で試したうえで製品を選定。
導入前は受注した仕事をこなすことに追われ、先々の数字が見えなくなってしまうこともあったようですが、導入によって受注活動を前向きに、継続的に行えるようになったとの声もあがっています。
具体的には、営業会議で見込み顧客、あるいは目標の数値を的確に共有できるため、実績をどうやってあげていくかをすり合わせ、to doへと明確につなげることができているようです。
★株式会社リアルメディエーション(佐竹亮様)
ITシステムによってWebとサービス現場とを結ぶソリューションを提供する株式会社リアルメディエーション。エクセルを使っていたが自社内ではマクロを組めず、同じオフィス系ツールであるAccessも使えていないという事情がありました。顧客情報管理を目的として無料のCRMツールを使ってみたものの操作性が悪く、サポートもなかったために思ったような効果が得られなかったようです。そこでCRMの中でもよりコストが安くシンプルで分かりやすいツールに乗り換えることになりました。
「いいCRMツールはお客様の情報がひと目でわかるうえに情報の共有も精緻にできる。問い合わせから商談へとつながる割合、さらに成約にまで至る割合を把握して分析していけば、さらにPDCAを高速化できるだろう」と手応えを感じていらっしゃいます。
いずれのケースもエクセルに限界を感じての導入です。
見込み顧客・休眠顧客へのアプローチ、成約率の向上、これらを実現するには「そのために何をするのか」というプランニングが必要ですが、そのためにはお客様との取引に関わる情報、さらにそれに紐付けされた営業実績を正しく把握することが前提となります。こうした「行動するための情報」を整理して見せてくれるCRMツールは、営業の効率化を図り、業績を向上させる強力な味方になります。
また、クローズに至らなかったお客様とのやりとりの履歴…問い合わせから商談、受注にいたるまでのプロセスをたどることで、どこに問題やつまづきがあったのかを探り出し、改善していく手がかりをつかむこともできます。
こうしたアクションへと導いてくれることも、CRMツールを活用する大きなメリットです。
★株式会社紬(桑原憂貴様)
「暮らしを手作りする人の国産DIYブランド」を掲げる株式会社紬(KUMIKIプロジェクト)。顧客情報管理をエクセルで行っていましたが、メンバー間での共有がしづらく、パッと見て状況を理解できないといった課題がありました。商談の進捗管理をきちんと行い、売り上げの向上やマーケティングデータの収集につなげたいということと、現状の営業実績とその数値を共有し、ひと目でわかるようにしておきたいという要望から、CRMツールを導入することにしました。
ビジネスそのものが立ち上がったばかりなので、大きな予算は組めない。そのため手軽に始めることができ、事業の発展に合わせて拡張していける柔軟さを持つもの…という視点から製品を選ばれました。
「履歴をきちんと残せて、データを自由に抽出できるのがいい。どのように集客するか、マーケティングをどうするか…具体的な数字を基に『次の一手』を決めやすくなり、考える時間が減ってスピードが上がったように思う」とよい感触をつかまれているようです。
CRMツールを導入する目的が明確で、「どのような製品が必要なのか」を見きわめたこと、また「営業メンバーみんなが、ひと目で理解できる」というインターフェイスや、導入後の拡張性などを考慮して製品を選定したことで、スムーズな導入と運用が実現した好例といえます。
CRM導入の失敗例とは
さて、成功するばかりではなく、中にはCRMの導入に失敗してしまうケースもあります。それは製品そのものに欠陥があるという場合もゼロではないでしょうが、大抵は「製品の仕様が自社のニーズに合致していない」「運用方法に不備がある」など、使用する側の問題であることがほとんどです。そうした例も、ここで紹介しておきましょう。
★株式会社リペアワークス(門垣伸哉様)
住宅やビルの外装から内装、さらに家具や看板、車のキズまであらゆるものの復元や塗装を行う株式会社リペアワークス。会社の重要課題として休眠顧客の掘り起こしが掲げられた際に、CRMツールを定着させる良い機会だと考え、導入に踏み切りました。
ところが実際に使い始めてみると、「高機能な製品であったがゆえに、いろいろなことをやろうと欲張りすぎてしまった。入力項目が増えるばかりで、メンバーが使いづらく、それを使いやすいものに変えていくための設計に苦労した。営業のプロセス管理のみに的を絞れば良かったと思う」といった課題がありました。
高機能に目が行ってしまい、入力項目を増やしすぎて使い勝手が悪くなってしまった例です。その後、使いやすさを重視してツールの再選定を行い、「GENIEE SFA/CRM」に乗り換えることで状況は改善されました。今は新しいCRMツールを使いこなし、さまざまな個性を持つ顧客群に対して、それぞれどのようなアプローチをとるべきかという戦略を、チーム内で議論できるようになっているそうです。
一度は導入に失敗しつつも、その教訓を活かし、効果的な運用へとつなげることができた例です。
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CRMの対策は導入前から! 5つの失敗事例から学ぶ効果的な対策方法
CRMが企業を変える
何のためにCRMを使うのか?
前章で取り上げてきたように、ツール選定のめどがつき、いよいよ導入…となった段階で、CRMツールの利用を成功させるために押さえておくべきポイントをいくつかお話ししましょう。
まずひとつは「何のためにCRMを導入するのか」という目的を、明確にしておくことです。
CRMは、導入しただけで営業実績をアップさせる「魔法のツール」ではありません。情報をきちんと入力し、さまざまな切り口で抽出して、それを分析・実行することではじめて威力を発揮するのです。ですからツールの機能や使い方ばかりに気を取られることなく、「ツールによって蓄積・集計したデータを正しく分析し、ブランニングに活かし、行動に移す」ということ、つまりはCRMの概念そのものをきちんと実践すべきだということを認識しておかなくてはなりません。
また、導入当初から欲張って、いろいろなことをやろうとするのも、あまり褒められたものではありません。すでにお話ししたように、最初から手を広げすぎても機能を使い切ることができず、入力作業だけが繁雑になり、時間もかかるようになってしまいます。これでは情報を入力する作業が、営業マンの負担を増やすことだけにしかなりませんから、注意が必要なところです。
導入には経営者が積極的に関わるべき
お客様との関係に関わるあらゆる情報を、チーム全員でリアルタイムに共有できる。それがCRMツールの特徴です。ですがそれは、参加者全員が常に最新情報を入力できていることが大前提です。そうでないと、CRMツール導入のメリットは大きく損なわれてしまいます。
たとえば前項でお話ししたような「負担増」のために、営業マンの何人かの入力作業が滞りがちになってしまったらどうでしょう? 本来なら反映されているはずの情報が入力されておらず、大切な情報も共有することができなくなります。各種の集計を行っても、そこに未入力の数字がある以上、「不正確な数字」を基に営業プランを立てることになってしまいます。これは営業戦略そのものを誤らせることにもつながってしまいます。
そうしたことを避けるためには、前項でお話ししたことのほかに、経営者自身が導入へと積極的に関わることです。「CRMツールは初めて」という企業では、特にその点についての注意が必要でしょう。
メンバーに導入のメリットを理解させ、入力作業を習慣づけるよう啓蒙する。導入前には実際にデータを入力する営業マンに説明会を行うなどして、準備に手間と時間をかける。最初は入力項目を少なめにしておき、ツールそのものに「慣れる」ことを目標とする。
経営トップ自らがこのような作業を推進し、ステップを踏んで導入・運用していけば、トラブルはできるだけ小さく少なく、短い期間で効率の良い運用を図ることができ、CRMツールのメリットを早期に実感することができるはずです。
責任者を立ててスムーズな運用を
CRMツールの導入は、スタートに過ぎません。その後の運用を誤ってしまったら、せっかくのツールが無用の長物になってしまいます。
たとえば「1ユーザーあたり月額15,000円」のCRMツールを40人で使うとしたら、そのコストは月に60万円。これだけのコストをかけても運用がうまくいかず、情報入力や評価・分析、その後のアクションの立案などが立ちいかなくなってしまったら、無用の長物どころか、マイナスだけを生む「お荷物」になってしまいます。
そんな事態を避けるためには、導入の前に運用責任者を立てておき、導入後の運用管理に責任を持たせることです。
事前にどれほどの準備を重ねても、また無料体験で使い方に慣れていたとしても、実際に導入すれば小さな問題は起こるものです。入力項目が多すぎる、あるいは不足している。つい入力作業をさぼりがちになる。結果を評価し、分析する手法が明確でない。いずれも使う側に原因がある問題なのですが、それらを一つひとつ解決していけば、より効果的な運用が可能になりますし、CRMツールの恩恵を存分に享受することができます。そのために責任者を置き、運用に関する窓口とするのです。
まずは少人数で始めるのも効果的
すでにCRMの運用経験がある企業であれば、メンバーたちはその基本的な使い方とともに有用性を十分に認識していることでしょう。ですがCRMを初めて導入する企業では、それがいかに業務に役立つものかということを、まずは使用するメンバーにしっかり認識してもらわねばなりません。そのためには導入前だけでなく、導入後も勉強会・説明会を行うなどして、CRMの意義を繰り返し啓蒙していくことが重要です。
また運用がスタートした後には、入力項目や拡張機能の追加など、自社の状況に合わせてツールそのものをカスタマイズする必要も出てきます。
さらに、日々蓄積されていくデータをどのように抽出して評価・分析するのか、どのタイミングでそれを行うのかといった、運用ルールも作っていかねばなりません。
こうしたことを運用責任者が率先して行えるようにすれば、混乱を避け、早期に安定した運用を実現することができるでしょう。
場合によっては、最初から営業メンバー全員、全社一斉に導入するのではなく、少人数の規模でスタートさせ、運用ルールが定まってきたところで参加者を増やしていく、というのも賢い方法かもしれません。
CRMツールを活用してビジネスに発展を
さて、CRMツールとその導入・運用について、ひと通りお話ししてきました。CRMがどういうものか、何ができるのか。どのように運用し、活用すれば良いのか。導入に当たってのポイントは何か…。ここまでお読みいただいたあなたは、すでにこれら多くのことを理解されたものと思います。ですが本稿の最後にあらためて念押ししておきたいのは「CRMツールは、活用してこそ意味がある」ということです。
繰り返しになりますが、CRMツールは「魔法のツール」ではありません。導入しただけで営業成績がアップするというものではないのです。日々、行われているお客様とのコミュニケーションを記録・管理し、それをさまざまな切り口で集計する。シンプルに言ってしまえば、CRMツールの機能とは、たったそれだけのものでしかありません。
そうして得られた情報を分析・評価したうえで、どのようなアクションを起こすのかを決定するのは、使い手である営業チーム…つまりは人間が行うことです。そしてまた、CRMツールの運用ルール…蓄積された情報を「いつ、どう使うのか」ということも、使う人間が決めておかなくてはなりません。そして運用ルールに沿ってツールを活用し、それに沿った行動を起こすことも、やはり私たち人間が行うことです。
これら一連の行動が適確に行われないと、CRMツールはその力を発揮することができません。CRMツールを導入しながら、それが結果となって表れてこないという状況があるとすれば、それは多くの場合、うまく運用できておらず、ツールを活用しきれていないということになるのです。
ですが、試行錯誤を繰り返しながらであっても、CRMツールを適切に運用することができれば、そこから得られる情報は、あなたのビジネスを発展させる大きな力となります。無駄を省き、効率を高め、スピーディーな意思決定を可能にするでしょう。現場の営業マンにとっては顧客対応以外の作業に費やす時間と労力をカットすることができますし、それによって営業活動にさらに専念することができます。
彼らを管理するセールスマネージャーにとっても、膨大な情報をさまざまな切り口で抽出し、お客様ごとに、あるいは時系列に沿って一覧することができますから、より精密な営業戦略を構築することができるでしょう。
そしてお客様との関係をしっかりと管理することができれば、あなたの会社は「多くの顧客と末永く、良好な関係を保つことができる」会社へと、体質改善することができるのです。これこそCRMの本質といえるものです。
もしも今、あなたがCRMの導入に当たり、何らかの迷いがあるのなら、ここでお話ししたことを忘れずにいていただきたいと思います。そして導入からその後の運用に至るまで、ツールを最大限に活用することを、常に心がけていてほしいと思うのです。
そうすれば、CRMツールの導入は必ずやあなたのビジネスを発展させ、あなたの会社を成長させる大きなチャンスとなることでしょう。
国産営業管理ツール「GENIEE SFA/CRM」の公式サイトでは、製品資料を無料でダウンロードすることができます。ぜひ、チェックしてみてください。