2021年03月18日プレスリリース
株式会社ジーニー(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:工藤 智昭、以下ジーニー)は、早稲田大学山名研究室(所在地:東京都新宿区、代表:理工学術院基幹理工学部教授 山名早人)、株式会社富士通研究所(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:原 裕貴、以下富士通研究所)と連携し、デジタル広告効果の可視化、新しい広告配信手法の検証を目的とした実証実験を2021年3月8日より開始いたしました。
■背景と目的
近年オンライン広告の市場規模は年々拡大しており、2020年度には2兆円を超える見込みです。(※1)
顧客の行動情報をもとに、よりよい広告を提案し広告効果を最大化するには、多数のパラメータから構成される組合せを瞬時に最適化する必要があります。そのために日々新たなデータ分析手法の構築、プラットフォームの開発が行われています。
ジーニーはアドテクノロジー事業において、国内外ユーザー20,000社以上、国内シェアNo.1のプラットフォーム「GENIEE SSP」(※2)と、「GENIEE SSP」が保有する国内最大規模の広告在庫を活用した「GENIEE DSP」(※3)を自社で開発・運用しています。1日のデータ量は国内屈指の15テラバイト、1秒間に数十万リクエストが可能な高難度のビッグデータ処理技術を保有しています。
早稲田大学山名研究室と富士通研究所は、金融、デジタルマーケティング、物流など様々な分野で「デジタルアニーラ」を用いた研究を進め、得られた研究開発成果を、実社会の問題解決の促進に活用しています。
2020年12月、ジーニーより個人情報を削除したログデータの提供を受けた早稲田大学山名研究室の研究成果が、世界最高峰の計算機学会であるIEEE Computer Society(Institute of Electrical and Electronics Engineers, Computer Society)が主催するIEEE BigData 2020(※4)にて発表されました。この論文において、DSPのデータをデジタルアニーラを利用して最適化することで、短期間で定期的に広告を最適化する新しい手法、デジタルアニーラメソッドが提案されました。これを受け、2021年3月8日よりジーニーはGENIEE DSPを利用した、デジタルアニーラメソッドのパフォーマンスを検証するため、オンラインでの実証実験を開始いたしました。
(※1)出典:矢野経済研究所「インターネット広告市場に関する調査」(2019年12月3日発表 注:市場規模は広告主による広告出稿額を合算し算出)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2228
(※2)SSP:Supply Side Platformの略。メディア側の収益を最大化するプラットフォーム。インプレッションが発生するたびにDSPと連携、最も収益率が高い広告をDSPより選択し、自動的に配信する
(※3)DSP:Demand Side Platformの略。広告主側の収益を最大化するためのプラットフォーム。広告在庫の買い付け、広告配信、掲載面・オーディエンスのターゲティングを一括管理する
(※4)IEEE BigData 2020 https://bigdataieee.org/BigData2020/
【実証実験の概要】
◇開始時期:2021年3月8日
◇実証実験における連携各機関の役割
・ジーニー:広告配信プラットフォームGENIEE DSPの提供、運用
・早稲田大学 山名研究室:実施主体、イジングマシン(※5)活用拡大の手法開発、実験モデルの提案
・富士通研究所:イジングマシン「 デジタルアニーラ」の提供、モデリング、デジタルアニーラでの求解の支援
◇実験内容:イジングマシン「デジタルアニーラ」を利用したGENIEE DSPのCV率計測、推移観察
(※5) イジングマシン:イジングモデルで表現された組合せ最適化問題を解くマシン
■富士通「デジタルアニーラ」について
「デジタルアニーラ」は、イジングモデル(※6)をもとに表現された組合せ最適化問題を高速に解く計算機アーキテクチャーです。新たな並列探索技術を適用した「デジタルアニーラ」の大規模求解システムにより、イジングマシンでは世界で初めて1Mbit(メガビット)規模の実用問題での求解を実証しました。富士通は、本技術を活用した「デジタルアニーラ」の大規模求解システムを様々な分野の組合せ最適化問題に適用することで、実社会の課題解決に貢献します。
「デジタルアニーラ」とは:https://www.fujitsu.com/jp/digitalannealer/superiority/
(※6) イジングモデル:統計物理学の分野で使われる強磁性体の振る舞いを、スピンの上向き下向きの状態と隣接するスピン間の相互作用を用いて説明する物理モデルのこと。組合せ最適化問題はスピン状態を0か1の情報と見ることでイジングモデルを用いて表現することができます。この時、イジングモデルのエネルギーが最小となるスピン状態が組合せ最適化問題の最適解と対応しています。
■今後について
実証実験の結果は、早稲田大学 山名研究室より発表される見込みです。
これからもジーニーは早稲田大学 山名研究室、富士通研究所とともに、実社会の課題解決につながるサービスを提供できるよう努めてまいります。
■ジーニーについて
ジーニーは、「テクノロジーで新しい価値を創造し、クライアントの成功を共に創る」というミッションのもと、企業の収益拡大・生産性向上など様々な課題解決につながるソリューションを開発・提供するマーケティングテクノロジーカンパニーです。
<会社概要>
代表者:代表取締役社⾧ 工藤 智昭
本社:東京都新宿区西新宿6-8-1 住友不動産新宿オークタワー6 階
設立:2010 年4月
資本金:1,546百万円(連結、2020年9月末現在)
従業員数:273名(連結、2020年9月末現在)
海外拠点:シンガポール、ベトナム、インドネシア、タイ
事業内容:マーケティングテクノロジー事業
U R L:https://geniee.co.jp/
■早稲田大学山名研究室について
山名研究室では、ビッグデータ解析を中心に、その高速化と高度応用に取り組んでいます。基礎研究に留まることなく、データ解析技術をWebの信頼性判定、推薦システム、ユーザインタフェース、教育の各分野に応用し、実社会の課題解決に取り組んでいます。
代表:早稲田大学 理工学術院基幹理工学部教授 山名早人
URL: https://www.yama.info.waseda.ac.jp/ja/research
■富士通研究所について
富士通研究所は、富士通グループのグローバルな研究機関として、他社に先駆けて開発した画期的な技術をコアとし、事業部門と連携してお客様・社会のデジタル革新を促進する「ビジネスバリューチェーン」の実現を追求しています。
URL: https://www.fujitsu.com/jp/group/labs/
■関連プレスリリース
・2018年9月19日 株式会社富士通研究所
「富士通研究所と早稲田大学、『デジタルアニーラ』に関する包括的連携活動協定を締結」
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2018/09/19-3.html?_fsi=LSaeTayv&_fsi=LSaeTayv
・2020年11月9日 株式会社富士通研究所
「メガビット級の大規模組合せ最適化問題に対応した『デジタルアニーラ』を開発」
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/11/9.html?_fsi=LSaeTayv