求人媒体の成長を支えるのは、「求職者数 × 掲載企業数」です。中でも、求職者の集客力が媒体の価値を左右します。
しかし、自然流入には限界があり、多くの媒体が広告に力を入れています。
実際、大手の求人媒体は、「転職」などの検索ワードで常に上位に広告を出稿しています。そのため、月数千万円〜億単位の広告費を投じているケースも珍しくありません。
一方で、市場の競争激化やクリック単価の上昇などにより、数年前に比べて費用対効果が下がってきたと感じる担当者も多いのではないでしょうか。
このような環境下で、いま問われているのは、広告に「いくら使うか」ではなく、広告を活用して「どれだけ効率的にCVにつなげるか」です。
本記事では、大手求人媒体の広告費の実態とチャネル戦略やCVRを改善する具体的施策など、広告費を無駄にしないための考え方を解説します。
広告運用の成果を上げたい方は、ぜひ参考にしてください。

求人媒体の広告費規模

ご存知の方も多いかもしれませんが、大手の求人媒体では、テレビCMや検索連動型広告、YouTube、SNSなど複数チャネルで広告を展開しており、月間で数億円規模の広告費を投じているケースもあります。
会社名 | 広告宣伝費(億円) | 売上高 広告費率 |
---|---|---|
リクルートホールディングス | 2122 | 6.2% |
パーソルホールディングス | 202 | 1.5% |
エン・ジャパン | 192 | 28.4% |
ディップ | 93 | 17.3% |
[出典:東洋経済オンライン「広告宣伝費が多いトップ300社【2024年最新版】」]
求人媒体の広告費は投資であるという視点
求人媒体において、広告費は単なるコストではなく「求職者を獲得するための仕入れ原価」とも言えます。
つまり、媒体にとってCV(会員登録や応募)は「在庫」のようなものです。これがなければ企業に求人を出してもらうことができません。
実際、1件あたりのCV獲得単価が数千円〜数万円にのぼることもあります。それでもビジネスとして成立するのは、1人の求職者が複数の案件に応募・マッチングする可能性があるためです。
費用対効果の最大化は当然重要ですが、広告は媒体を成長させるための戦略的投資と捉えるべきでしょう。
求人媒体の広告費が高騰する背景
先程触れた通り、求人媒体では1件あたりのCV獲得単価が高騰する傾向にあります。そのため、大手の企業は多額の広告費用を投じています。
これほど広告費が大きくなる背景には、いくつかの要因があります。
「転職」や「求人」などの検索キーワードはCPC(クリック単価)が高い
主要キーワードのクリック単価(CPC)が数百円〜数千円に上ることもある。
広告出稿の競争が激しい市場
求人市場は通年で人材獲得競争が起きています。そのため、大手媒体を中心に広告出稿量が非常に多く、競争も激化しています。
成果課金型モデルの影響
求人広告市場では、「クリック課金型」「応募課金型」など、成果ベースの掲載方式が主流になりつつあります。そのため、掲載企業の成果を支える責任が増し、自社で求職者を継続的に集客する必要性が高まっています。
広告チャネルの種類と特徴

では、実際にどのような広告が活用されているのでしょうか?
求職者を集めるために、求人媒体は複数のチャネルを並行して展開するのが一般的です。
それぞれのチャネルには特性があり、リーチできるユーザー層、費用対効果、CVまでの導線に違いがあります。
チャネルの選定を誤ると、広告費だけが膨らみ、成果につながらないという事態にもつながりかねません。
ここでは、求人媒体でよく使われる主要な広告チャネルについて、特徴・メリット・デメリットをまとめました。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット | 活用例 |
---|---|---|---|---|
リスティング広告 | ・顕在層へのアプローチが可能 ・転職意欲が高いユーザーを直接狙える |
CVRが高く、登録/応募につながりやすい | CPCが高騰しやすく、予算消化が早い | 「転職サイト 比較」「求人 ○○(職種)」などのキーワードで出稿 |
SNS広告 | ・若年層や地方層への訴求が可能 ・ビジュアル訴求が強み |
興味関心ベースでのターゲティング精度が高い | 商材理解が浅いとスルーされやすい | 職種別のストーリー広告、エリア採用のブーストなど |
動画広告 (YouTube/TikTokなど) |
・幅広い認知拡大に強い ・潜在層へのリーチが可能 |
印象に残りやすく、ブランディング効果が高い | 直接的なCVにはつながりにくい(CVR低め) | TVCM素材の再活用、職種別ターゲティング |
リターゲティング広告 | ・ユーザーの再訪や回遊を促すチャネル | 一度接触したユーザーへの再アプローチでCVRが上がる | 追いすぎると逆効果 | LPを訪れたが登録しなかったユーザーに数日以内にSNSで広告を再配信 |
オフライン広告 (TVCM・交通広告など) |
・大手媒体がブランディング目的で活用 | 大規模な認知獲得が可能、信頼性向上 | 運用や効果測定が難しく、投資ハードルが高い | 都市部の主要駅にポスターを掲出し、通勤層に広くリーチ |
広告の「費用対効果」をどう判断すべき?
求人媒体において、広告は「出稿すること」が目的ではありません。
どれだけ多くのユーザーに広告が表示されても、登録や応募につながらなければ意味がありません。そのため、定量的に効果をみていく必要があります。
広告の費用対効果を判断する際は、ROAS(費用対効果)、CPO(1件あたりの獲得単価)、CVR(コンバージョン率)といった指標を活用することが一般的です。
中でもCVRは「広告費を活かせているかどうか」を左右する最重要指標と言えます。
なぜかというと、どの広告チャネルを使ったとしても、最終的に問われるのは「どれだけ成果に結びついたか」だからです。
つまり、CVRの改善は、すべてのチャネルに共通する課題であり、費用対効果を高めるための最大の鍵となります。
求人媒体におけるCVRの重要性

そもそもCVR(コンバージョン率)とは、広告などから流入したユーザーのうち、どれだけの人が所定のアクションを完了したかを示す指標です。
求人媒体におけるCVとは、媒体の設計によって異なりますが、一般的には以下のようなアクションが該当します。
- 会員登録完了
- 求人応募完了
- スカウト返信 など
つまり、「どれだけ集客できたか」ではなく、「集客したユーザーをどれだけ成果に変えられたか」を測るのがCVRなのです。
CVRが重要な理由
CVRが1%から2%に上がるだけで、同じ広告費で得られる成果が2倍になる計算です。
つまり、獲得単価(CPO)が半分になるということです。広告費が高騰しやすい求人業界において、この違いは非常に大きなインパクトを持ちます。
広告費を増やすには予算の確保や上申が必要です。しかし、CVRの改善は今の予算のまま成果を増やせる唯一の施策です。
特に予算に制約のある中小求人媒体にとっては、CVR改善こそが競争力を維持・強化するカギになります。
CVRを放置すると、広告費は「垂れ流し」に
「クリックはされるけれど、登録されない」「LPでの離脱が多い」といった場合、CVRの問題によって広告効果が損なわれていると考えられます。
特に「転職」「求人」などの高CPCキーワードで集客している場合、CVRが低いままだと1件も登録が取れず、広告費だけが消えていくという事態になりかねません。
つまり、CVRを軽視したまま広告を出し続けるのは、穴のあいたバケツに水を注ぎ続けるようなもので、成果が漏れ続ける状態とも言えます。
CVR改善は媒体価値そのものを高める
CVRを改善することで、会員登録者数が増え、結果として求人への応募数も増加します。
それにより、掲載企業の満足度が向上し、継続出稿や紹介・口コミによる拡大にもつながる、という好循環が生まれます。
実際、大手求人媒体では、このCVR改善に非常に多くのリソースを投じており、LP改善・UIUX改善・ABテスト・フォームの最適化などが継続的に実施されています。
目立たないけれど、CVR施策は確実に媒体全体の成果と価値を底上げする重要な投資先なのです。
広告費を無駄にしないためのCVR向上テクニック

広告の成果を最大化するうえで、「どれだけ多くの人を集めるか」だけでなく、「その流入をどれだけCVにつなげるか」が重要です。
特に求人媒体においては、広告経由の流入数が多くても登録や応募につながらなければ意味がなく、CVRの改善こそが広告費の最も効率的な使い方となります。
ここでは、求人媒体において実践すべきCVR改善テクニックを具体的に紹介していきます。
CVポイント前後の導線改善
CV直前のページ、つまりLPや登録ページの導線改善は、最も直接的にCVR改善が期待できます。
特に以下の観点から見直しましょう。
- LPの構成や情報設計
① ファーストビュー(FV)にあるキャッチコピーや、CTA(登録ボタン)の位置・色・文言をテスト
② 「読まれない」「分かりづらい」「長すぎる」「迷わせる」構成は即離脱につながるので改善する
- スマホ対応
読みにくいフォントやボタンの位置、読み込み速度などもCVRに直結するので注意
会員登録フォームの最適化
会員登録フォームは離脱の温床になりがちな重要ポイントです。
- 入力項目が多すぎないか?
氏名・フリガナ・電話番号・メールアドレスに加え、「パスワードの条件が厳しすぎる」などもストレスの要因となる
- フォームアナリティクスを活用
どの項目で離脱しているか、どのステップで手が止まっているかを可視化し、ピンポイントで改善する
クリエイティブの改善で「刺さる率」を上げる
広告のCTR(クリック率)だけでなく、「誰に、どのような訴求が響くか」を継続的に調整していくことがCVR向上につながります。
- ペルソナごとの訴求軸の変化
例えば、「20代・未経験歓迎」と「子育て中・時短勤務可」では、響くワードもデザインも全く異なります
- ABテストを繰り返す
文言・画像・CTAの配置など、少しずつ変えて「勝ちパターン」を継続的に見つけていく姿勢が重要
リターゲティング広告の活用
一度サイトを訪れたユーザーへのリターゲティングも有効です。
ただし、やりすぎには注意が必要です。
- 頻度や表示回数の制御
過剰な追いかけは逆効果。一定回数にとどめ、好印象を損なわないようする
- CVRが高くなりやすい条件を意識
「訪問から数日以内」「スマホからのアクセス」などは効果が出やすい傾向にある
データに基づいた継続改善がCVRを伸ばす
改善は一度やって終わりではありません。
PDCAを回し続けることが、CVを押し上げるポイントです。
- 改善精度を高めるために、データを蓄積する
- ユーザー行動やCV率の変化を定期的にチェック
CVR改善が生み出す「好循環」
CVRが上がることで、CPA(1件あたりの獲得コスト)は下がります。
それにより、限られた広告予算内でも多くの成果を得られるようになります。
- 会員登録数の増加 → 応募数増加 → 企業の成果向上
- 掲載企業の継続率・満足度も向上
- 長期的に見て媒体の価値が上がり、広告効率も改善する「好循環」に!
まとめ
求人媒体において、求職者を集めるための広告施策は必要不可欠です。しかし、単に「広告費を投じること」が成果に直結するとは限りません。
広告運用の本質は、いかに費用対効果を高められるかにあります。特に、流入を成果につなげるCVRの改善は、広告チャネルを問わず共通して重要な課題です。
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