リピート率は、顧客が再度購入する割合を示す重要な指標です。
新規顧客を獲得するよりも、既存顧客の維持にはコストがかからず、リピート率を高めることは売上アップと安定した成長に直結します。
本記事では、リピート率の意味や計算方法はもちろん、なぜ注目すべきなのか、そして向上させるための具体的な施策まで丁寧に解説します。
自社のリピート率を見直し、売上向上と顧客ロイヤルティ強化を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
リピート率とリピーター率の違い

ビジネスにおいて「リピート率」や「リピーター率」は、顧客の定着状況を把握するうえで欠かせない重要指標です。名前は似ていますが、それぞれが示す意味や計算方法は異なります。ここでは両者の違いを解説します。
リピート率
リピート率は、総購入回数に対して、同じ顧客が2回目以降に購入(利用)した回数がどの程度あるか示す指標です。
計算式: (2回目以降の購入回数) ÷ (総購入回数) × 100%
例:1か月間に100回の購入があり、そのうち30回がリピート購入だった場合、リピート率は30%になります。
リピーター率
リピーター率とは全体の顧客数に対して、2回以上購入した顧客の割合を示す指標です。
計算式: (2回以上購入した顧客数) ÷ (全顧客数) × 100%
例:ある月に100人の顧客がいて、そのうち25人が2回以上購入した場合、リピーター率は25%になります。
リピート率の定義と計算方法
リピート率とは、一定期間内に商品やサービスを繰り返し利用・購入した割合を示す数値です。たとえば、先月に購入した顧客のうち、今月も再び購入した人の割合を測る際に活用されます。
ECサイトや実店舗など、業種を問わず安定した収益を支える重要な数値であり、リピーターの存在はビジネスの成長に直結します。
前述のとおり、一般的には「(2回目以降の購入回数) ÷ (総購入回数) × 100%」という式で算出します。
ただし、この指標は「いつからいつまでの期間を対象とするか」や「どこからを『再購入』とみなすか」といった定義づけによって結果が大きく変わる可能性があります。そのため、自社のビジネスモデルや商品特性に応じて、測定条件を明確に設定することが非常に重要です。
また、リピート率は単なる数字ではなく、顧客がどれだけロイヤルティを持っているかを示すヒントにもなります。ただ数字を追うのではなく、その背景にある顧客との関係性や満足度にも目を向けることが、効果的な改善施策につながります。
リピート率の目安

リピート率に「これが正解」といえる一律の目安はありません。業種・事業規模・商材の特性・顧客層によって、適正なリピート率は大きく異なります。
たとえば、化粧品や日用品など購入頻度の高い商材では、リピート率が高くなる傾向があります。一方で、家具や高級家電など単価が高く購入頻度の低い商品の場合は、同じ数値でも売上へのインパクトがまったく異なります。
それでも、ひとつの参考値として、ECサイトではリピート率が30〜40%に達すると安定感があり、50〜60%を超えると優秀な水準とされています。実際、多くの企業がこのラインを目標に、さまざまなリピート施策を行っています。
重要なのは、自社の現在のリピート率を正しく把握し、業界平均や競合と比較することです。そのうえで、自社ならではの課題や改善ポイントを見極めることが、効果的な戦略設計につながります。
単に数字を上げることを目的とせず、その背景にある顧客行動やロイヤルティの変化に目を向ける姿勢が、継続的な成長のカギとなります。
リピート率が重要な3つの理由

リピート率は、ビジネスの成長と安定性に直結する非常に重要な指標です。なぜ多くの企業がこの数値を重視するのか。その理由は大きく分けて次の3つにあります。
新規獲得コストと既存顧客の比較をし最適化を図ることできる
新規顧客の獲得には広告費やキャンペーンなど、多くのコストがかかります。さらに、せっかく獲得した顧客も一度の購入で離脱してしまえば、その投資は無駄になってしまいます。
一方、すでに購入経験のある顧客に再度アプローチするためのコストは、新規顧客獲得と比べて比較的安価で済む傾向があります。リピート率が上がるほど安定して売上が見込めるため、広告予算の削減や経営基盤の強化につながります。

LTV(顧客生涯価値)との関係が把握できる
顧客が繰り返し購入してくれるということは、その顧客が長い期間にわたって事業に貢献してくれることを意味します。これはLTV(顧客生涯価値)の向上に直結し、ビジネス全体の収益構造を底上げする要因となります。新規顧客を獲得するたびに大きな費用がかかるビジネスモデルは、ある程度の規模になると限界が見えやすいものです。既存顧客のリピート購入を促せば、顧客獲得コストを短期間で回収しやすくなるため、利益率の改善にも期待できます。つまり、LTVとリピート率は相互に影響し合う重要な指標だといえるでしょう。

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ビジネス全体への影響を把握できる
リピート率が高いということは、リピーターが増えるだけでなく、企業やブランドに対する顧客の信頼が強まっていることを示します。満足度の高い顧客がSNSで商品やサービスを紹介すれば、無料の宣伝効果も期待できます。
そうしたポジティブな循環が広がるほど、自社のブランドイメージは高まり、新規顧客の獲得もしやすくなります。
このようにリピート率は、ロイヤル顧客の育成、口コミによる自然な集客、ブランド価値の向上といった形で、ビジネス全体に波及効果をもたらします。単なる数値ではなく、「顧客との関係性の深さ」を示す重要なKPI(重要業績評価指標)として活用すべきです。

リピート率を上げるための主要施策6選

リピート率を上げるための主要施策には以下の6つが挙げられます。
- 顧客データ分析とセグメンテーション
- 購買体験の最適化(UI/UX・サイト改善)
- コミュニケーション強化(メール・SNS・LINE)
- ロイヤリティプログラム(ポイント・ランク制度)
- サブスク・定期購入モデルの活用
- キャンペーンやクーポン活用時の注意点
それぞれに施策について、以下でそれぞれ解説します。
顧客データ分析とセグメンテーション
施策を効果的に打ち出すには、顧客データの分析が不可欠です。すべての顧客に同じアプローチをするのではなく、購入金額や購入頻度、利用チャネルなどをもとに複数のセグメントを作り、各セグメントに合わせた施策を行うことでリピート率を向上させやすくなります。離脱率の高い顧客を引き留める施策と、ロイヤルティが高い顧客への特典強化など、きめ細やかな対応が可能になるでしょう。
購買体験の最適化(UI/UX・サイト改善)
ECサイトやオンラインサービスを利用する際、フォーム入力やページの読み込み速度など、UI/UXの要素が再購入の意思決定を左右します。カートまで商品を入れても、手間が多いと感じて離脱してしまう顧客は少なくありません。画面レイアウトや決済フローを簡潔にし、スマートフォンからでもスムーズに操作できる環境を整備することで、顧客が再び利用したいと思う確率が格段に高まります。
コミュニケーション強化(メール・SNS・LINE)
リピート率を上げるには、顧客との継続的なコミュニケーションが重要です。メールマガジンやSNS、LINE公式アカウントを活用して定期的に情報発信を行い、新商品やキャンペーン、既存顧客限定の特典などを告知します。ただし、配信量を増やしすぎると逆効果になる場合もあるため、顧客の興味や購入サイクルに合わせたタイミングで適切な内容を届けることが求められます。
ロイヤリティプログラム(ポイント・ランク制度)
顧客が「また購入したい」と思うきっかけを与えるには、ロイヤリティプログラムの導入が効果的です。購入金額に応じてポイントを付与し、累計額が増えるとランクが上がり、特典も充実していくといった仕組みを整えると、顧客は継続的に利用する動機を得やすくなります。過度な還元は利益を圧迫する恐れがありますが、還元率が低すぎると顧客に十分な魅力を感じてもらえません。自社の収益モデルと照らし合わせながら、最適なバランスを追求しましょう。
サブスク・定期購入モデルの活用
日用品や化粧品など、一定のスパンで消費される商材にはサブスクリプションモデルや定期購入モデルが有効です。顧客にとっては、自動的に商品が届く便利さがある一方、企業側としても安定的な売上を確保しやすくなります。ただし、一度退会すると再獲得が難しくなるリスクもあるため、利用頻度に合ったプラン設定やお試し期間の設計などを慎重に行うことが重要です。
キャンペーンやクーポン活用時の注意点
割引キャンペーンやクーポン配布は、即効性のある販促手法として広く使われていますが、安易に乱発すると「割引がなければ買わない」層を増やし、ブランド価値を下げる恐れがあります。短期間のセールや特定顧客向けの限定クーポンなど、目的を明確にして計画的に実施すると効果的です。長期的にリピート率を向上させたい場合は、キャンペーンによる副作用も考慮し、利益を圧迫しないかどうか見極める必要があります。
まとめ:リピート率を上げるための施策を実行しよう!
リピート率とは、総購入回数に対する2回目以降の購入回数の割合を示す重要なビジネス指標です。
新規顧客を獲得するには多大な広告費やセールスコストがかかる一方で、既存顧客の維持は比較的コストを抑えられるため、リピート率を高めることは売上の安定化やブランド力の向上に直結します。目標数値を設定し、PDCAサイクルを回しながら小規模テストを繰り返すことで、確実に成果を積み上げられるでしょう。また、顧客データの分析やUI/UXの改善、ロイヤリティプログラムなど、多様な施策を組み合わせることでリピート率をさらに向上させることが可能です。
今回ご紹介した方法を参考に、自社の課題や状況に合わせたリピート率向上施策を始めてみてはいかがでしょうか。