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ETLとEAIの違いとは?EDI・API・ELTとの比較と選定基準を解説

公開日: / 更新日: / データ活用/CDP
ETLとEAIの違いとは?EDI・API・ELTとの比較と選定基準を解説

複数のシステムからデータを集めて分析する「ETL」と、業務システム間をリアルタイムに連携する「EAI」。どちらも「データ統合」という文脈で語られることが多いため、自社の要件にどちらが適しているのか判断できず、技術選定に悩むケースは少なくありません。

結論から言えば、ETLは大量の履歴データをバッチ処理で集約し、BIツールでの分析に適した形式に整える技術であり、EAIは業務システム間でトランザクションをリアルタイムに同期させ、プロセスの自動化を実現する技術です。目的が「データ分析」ならETL、「業務連携」ならEAIが基本の選択軸となります。

本記事では、ETLとEAIの根本的な役割の違いを整理した上で、EDI・API・ELTといった周辺技術との比較、リアルタイム性とデータ量を軸にした選定マトリクス、そしてハイブリッド構成のベストプラクティスまで、実務的な判断基準を体系的に解説します。

ETLとEAIの根本的な役割の違い

ETLとEAIは、どちらも複数のシステムにまたがるデータを扱う技術ですが、その目的と処理方式は大きく異なります。

この章では、データ統合とプロセス統合という両技術の根本的な違いを明らかにし、技術選定を誤った際のリスクについても触れていきます。

ETLとは:データ統合による分析基盤の構築

ETLは「Extract(抽出)」「Transform(変換)」「Load(書込)」の3ステップで構成されるデータ処理の仕組みです。複数のデータソース(業務システム、SaaS、ログファイルなど)から必要なデータを抽出し、分析に適した形式に変換した上で、データウェアハウス(DWH)やデータレイクに書き込みます。

ETLの最大の特徴は、大量の履歴データを一括処理するバッチ型の処理方式にあります。夜間や週末など業務への影響が少ない時間帯に実行されることが多く、数百万件から数億件規模のデータを効率的に集約できます。

変換処理では、データのクレンジング(重複排除、欠損値補完)、正規化、集計、結合などを行い、BIツールやダッシュボードでの分析に最適化された状態でデータを格納します。

こうした仕組みにより、ETLは経営判断のためのレポート作成、トレンド分析、予測モデルの構築など、過去データの蓄積と分析を必要とする用途に適しています。

なお、もし目的が「顧客データの統合・活用」に特化している場合は、ゼロからETLパイプラインを構築するだけでなく、GENIEE CDPのような統合プラットフォームを活用することで、構築工数を大幅に削減できるケースもあります。

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EAIとは:アプリケーション間のプロセス統合

EAI(Enterprise Application Integration)は、企業内の異なる業務システム間をリアルタイムに連携させ、ビジネスプロセス全体を自動化する技術です。ハブ&スポーク型と呼ばれるアーキテクチャを採用し、中央のハブ(統合基盤)を介して各システム(スポーク)が相互にデータをやり取りします。

なお、EAIのハブ&スポーク型はハブへの処理集中が課題となるため、その後継としてSOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づくESB(Enterprise Service Bus)が登場しました。現在のクラウド環境では、EAI/ESBの機能をクラウドサービスとして提供するiPaaSが主流となっています。

EAIの処理方式は、イベント駆動型が基本です。たとえば、ECサイトで注文が確定した瞬間に在庫管理システムへ在庫引当の指示を送り、同時に出荷管理システムへピッキング指示を発行し、会計システムへ売上計上を通知する、といった一連の処理がトランザクション単位で即座に実行されます。

データの鮮度が重要な業務プロセスにおいて、システム間の情報を常に最新の状態に保つことができます。

こうした特性から、EAIは受発注処理、顧客情報の同期、在庫連携など、複数システムにまたがる業務フローの自動化と効率化を目的とする場面で力を発揮します。

両者の違いが生む技術選択の分岐点

ETLとEAIの根本的な違いは、「データの鮮度」と「処理するデータ量」のバランスにあります。

ETLは大量データの集約と分析に強みを持つ一方、リアルタイム性には限界があります。逆にEAIは即時性に優れますが、大量の履歴データを効率的に集計・分析する用途には向きません。

技術選定を誤ると、リアルタイム性が求められる業務にETLを適用してしまい「データ反映が遅すぎて使えない」という事態を招いたり、分析目的でEAIを使ってしまい「過去データの集計に膨大な処理コストがかかる」といった問題が発生します。

自社の要件が「過去データの蓄積と分析」なのか「システム間の即時連携」なのかを明確にすることが、最初の分岐点となります。

ETL・EAI・EDI・API・ELTの機能比較と使い分け基準

データ連携の技術は、ETLとEAIだけではありません。この章では、レガシーなEDIからモダンなAPI、クラウド時代のELTまで、周辺技術との違いを横断的に比較し、現代的な選択肢も含めた全体像を整理します。

EDI・API・ELTの定義と特徴

1. EDI(Electronic Data Interchange)

EDIは、企業間で受発注や請求などの商取引情報を、標準化されたフォーマット・通信手順(CII標準、流通BMS、全銀TCP/IP手順など)で電子的にやり取りする仕組みです。FAXや郵送に代わる手段として1980年代から普及し、製造業や流通業を中心に定型的な取引データの交換に利用されてきました。

EDIの特徴は、取引先との間で事前に決められたフォーマットとタイミング(夜間バッチなど)でデータを送受信する点にあります。柔軟性は低いものの、長年の運用実績があり、取引先との合意さえあれば安定した連携が可能です。基本的には「取引先との定型連携」という用途に特化した技術です。

2. API(Application Programming Interface)

APIは、システム間でデータや機能を呼び出すためのインターフェースです。REST APIやGraphQLなど、Web標準の技術を使って軽量かつ柔軟な連携を実現します。SaaSサービスの多くは公式APIを提供しており、他システムとの連携を前提とした設計になっています。

APIの最大の利点は、必要なデータを必要なタイミングで取得・更新できる点です。ETLのように大量データを一括処理するのではなく、1件ずつリアルタイムに処理するため、レスポンスが早く、ユーザー体験を損ないません。ただし、大量データの一括処理には向かず、API呼び出しの回数制限(レートリミット)にも注意が必要です。

3. ELT(Extract, Load, Transform)

ELTは、ETLと同じく「抽出・変換・ロード(格納)」の3ステップで構成されますが、処理の順序が異なります。ETLが「変換してからロードする」のに対し、ELTは「ロードしてから変換する」という処理フローを取ります。

この違いが生まれた背景には、クラウドDWH(BigQuery、Snowflake、Redshiftなど)の登場があります。クラウドDWHは高速な並列処理エンジンを持つため、生データをそのまま投入し、DWH内部で変換処理を実行する方が効率的です。

ELTは、クラウドDWHの計算リソースを最大限に活用できる処理方式として、モダンなデータ基盤で主流になりつつあります。

【関連記事】ETLとELTの違いとは?処理順序における違い・メリット・選定基準を解説

4技術の機能比較表と選定の判断軸

ETL、EAI、EDI、API、ELTの5技術を、目的・データ量・リアルタイム性・典型的なユースケースの4軸で比較します。

この比較表から、複数システムが絡む複雑なビジネスプロセスの自動化には、ハブ機能を持つEAIが優位であることが分かります。

一方、大量の過去データを蓄積して分析する用途では、ETLまたはELTが適しています。取引先との定型連携にはEDI、個別の軽量連携にはAPIが基本の選択肢となります。

モダンスタックにおける技術選択の変化

近年、SaaS中心の環境では、iPaaS(Integration Platform as a Service)やCDP(Customer Data Platform)といった新しいカテゴリのツールが台頭しています。これらは、従来のETL/EAIの境界を曖昧にし、GUIベースで複数システムの連携を実現する統合プラットフォームとして注目されています。

iPaaSは、SalesforceやShopify、Slackといった主要なSaaSサービスとの接続コネクタを標準で提供し、ノーコード/ローコードで連携フローを構築できます。クラウド・SaaS間の連携を得意とし、エンジニアリソースが限られた組織でも比較的容易にデータ連携を実現できます。

ただし、大量データのバッチ処理や、オンプレミスの複雑なシステム連携が主目的の場合は、専用のETL/EAIツールの方が適している場合があります。

ETL的なデータ集約機能とEAI的なリアルタイム連携機能の両面を持ち、特にマーケティングツール群との標準連携が充実しているため、顧客データ活用に特化した用途では、汎用的なETL/EAIツールよりも導入効果が高いケースがあります。

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データ統合に関するシステムの選び方(リアルタイム性×データ量×目的)

ここまで各技術の定義と特徴を見てきましたが、実際の技術選定では「自社の要件がどのセグメントに該当するか」を判断する必要があります。

この章では、リアルタイム性・データ量・目的の3軸で整理したマトリクスを提示し、最適な技術を逆引きできる形で解説します。

リアルタイム性×データ量のマトリクス表

以下の表は、リアルタイム性(即時/準リアルタイム/バッチ)とデータ量(小量/中量/大量)の2軸で、推奨される技術と代表的なユースケースを整理したものです。

リアルタイム性 \ データ量小量(〜数百件)中量(数千〜数万件)大量(数十万件〜)
即時API・モバイルアプリ連携・SaaS間の個別データ同期EAI・受発注リアルタイム連携・在庫即時同期ストリーミング処理・IoTセンサーデータ処理・リアルタイム異常検知
準リアルタイム(数分〜数時間)API / Webhook・チャット通知連携・軽量な定期同期EAI / iPaaS・顧客情報の定期同期・マスターデータ連携マイクロバッチETL・時間単位のログ集約・準リアルタイムダッシュボード
バッチ(日次・週次)API / スクリプト・日次レポート送信・週次データバックアップEDI / ETL・日次受発注データ交換・夜間マスター同期ETL / ELT・全社売上分析・データウェアハウス構築

このマトリクスから、データ量が増大するほどETLのバッチ処理が安定し、リアルタイム性が増すほどEAIの真価が発揮されることが分かります。たとえば、「即時×小量」のセグメントではAPIが最適であり、「バッチ×大量」のセグメントではETL/ELTが基本の選択肢となります。

目的別の技術選定パターン

次に、ビジネスの目的に応じた技術選定のパターンを整理します。

1. データ分析・経営判断

過去の売上データや顧客行動データを蓄積し、BIツールで可視化・分析する目的では、ETLまたはELTが基本です。クラウドDWHを利用する場合はELTが効率的であり、オンプレミスDWHやレガシーシステムとの連携が必要な場合はETLが選ばれます。

なお、「データ分析」の中でも特に顧客理解やマーケティング活用が主眼である場合は、分析・可視化機能までパッケージ化されたGENIEE CDPを選択することで、汎用ETLツールを構築するよりも工数対効果を高められるケースが多くあります。

2. 業務プロセスの自動化

受発注、在庫管理、顧客情報同期など、複数システムにまたがる業務フローを自動化する目的では、EAIが適しています。ハブ&スポーク型のアーキテクチャにより、システム追加時の影響範囲を最小化でき、保守性も高まります。

3. 取引先との情報交換

取引先との間で受発注や請求情報を定型的にやり取りする目的では、EDIが長年の実績を持ちます。ただし、取引先がAPI対応している場合は、APIベースの連携に移行することで柔軟性とリアルタイム性を高めることができます。

ELT+EAILのハイブリッド構成という選択肢もある

実際のエンタープライズ環境では、ETLとEAIのどちらか一方に絞るのではなく、両者を適材適所で組み合わせるハイブリッド構成が主流です。

この章では、分析基盤と業務連携を共存させる設計思想と、データフロー設計・運用監視のポイントを解説します。

ハイブリッド構成の典型パターン

ハイブリッド構成の基本的な考え方は、「分析基盤はETL、業務連携はEAI」という役割分担です。夜間バッチでETLが過去データをDWHに集約し、日中はEAIが業務システム間をリアルタイムに連携させる、という構成が典型例です。

具体的には、以下のようなアーキテクチャが考えられます。

  • 基幹システム(ERP)からのマスターデータ(商品、顧客、取引先)は、EAIで各業務システムに即時同期
  • トランザクションデータ(受注、出荷、売上)は、EAIで業務システム間をリアルタイム連携
  • 夜間バッチでETLが全トランザクション履歴をDWHに集約し、翌朝のダッシュボードで可視化

この構成により、業務現場では常に最新のデータで業務を遂行でき、経営層は過去データを含めた分析結果をもとに意思決定を行えます。

データフロー設計の考え方

ハイブリッド構成では、「どのデータをどちらの経路で流すべきか」を明確にする必要があります。判断基準として、以下のポイントが重要です。

1. マスターデータはEAIで即時同期

商品マスター、顧客マスター、取引先マスターなど、複数システムで共通利用されるマスターデータは、EAIで即時同期することで整合性を保ちやすくなります。

基幹システムで更新されたマスターデータが、瞬時に全システムに反映されるため、データの不整合によるトラブルを防げます。

2. トランザクション履歴はETLで集約

受注履歴、出荷履歴、売上履歴など、時系列で蓄積されるトランザクションデータは、ETLで夜間バッチ処理によりDWHに集約します。リアルタイム性は求められないため、バッチ処理で効率的にデータを集約し、分析用途に最適化された形で格納します。

3. リアルタイム分析が必要ならストリーミング処理

在庫状況のリアルタイムダッシュボードや、異常検知アラートなど、即座にデータを分析・可視化する必要がある場合は、ストリーミング処理基盤(Apache Kafka、AWS Kinesisなど)を組み合わせます。

EAIとETLの中間的な役割を果たし、リアルタイム性とデータ蓄積の両立が可能です。

運用上の注意点とモニタリング設計

ハイブリッド構成では、ETLとEAIという異なる処理方式が共存するため、運用監視の設計が重要です。バッチ処理の失敗とメッセージ遅延という異なるエラー特性に対し、統合的に監視する仕組みが求められます。

1. ETLのバッチ監視

ETLのバッチ処理は、処理時間、エラー件数、データ件数の推移を監視します。処理時間が通常より大幅に長い場合や、エラー件数が急増した場合は、データソースの異常やネットワーク障害の可能性があります。

バッチ処理の開始・終了時刻をログに記録し、失敗時には自動でアラートを発報する仕組みを構築します。

2. EAIのメッセージ監視

EAIでは、メッセージキューの滞留状況、処理レスポンスタイム、エラーメッセージの発生頻度を監視します。メッセージキューが滞留している場合は、連携先システムの処理遅延や障害が疑われます。

リアルタイム性が求められるため、異常検知から復旧までの時間を短縮する運用体制が必要です。

3. 統合監視ダッシュボード

ETLとEAIの両方を統合的に監視するダッシュボードを構築し、データフロー全体の健全性を可視化します。各処理の成功率、処理時間、エラー発生箇所を一元的に把握できるようにすることで、障害発生時の原因特定と復旧作業を迅速化できます。

ETLとEAIの違いと選定基準まとめ

本記事では、ETLとEAIの根本的な違いから、周辺技術との比較、ユースケース別の選定マトリクス、ハイブリッド構成のベストプラクティス、そして導入時のチェックリストまで、実務的な判断基準を体系的に解説してきました。

改めて整理すると、目的が「データ分析」ならETL、「業務連携」ならEAIを軸に、リアルタイム性とデータ量の要件マトリクスで絞り込むのが近道です。大量の過去データを蓄積して分析する用途ではETL/ELTが適し、複数システム間でトランザクションを即時に同期させる用途ではEAIが優位です。

また、実際のエンタープライズ環境では、ETLとEAIを組み合わせたハイブリッド構成が主流であり、分析基盤と業務連携を共存させることで、経営判断と業務効率化の両立が可能になります。

自社の要件を整理し、本記事で示したマトリクスやチェックリストを活用することで、最適なデータ連携基盤の構築に一歩近づくことができるでしょう。

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GENIEE's library編集部
執筆者

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