保険営業DX最前線!AI搭載・地図連携可能なSFA/CRM比較9選

保険業界における働き方改革とデジタル化の潮流
Summary
- 保険業界は生命保険、損害保険、代理店で構成され、市場規模は大きく成長中。
- デジタル化が進み、業務自動化やハイブリッド営業、柔軟な働き方が広がっている。
- 属人的な顧客管理やシステム連携不足など、構造的・過渡期の課題が依然存在。
- MA/CRM/SFAツール導入で営業効率化や顧客管理の高度化が可能で、適切な選定が重要。
- 適切なツール選定には基本機能、連携性、コスト、セキュリティ、サポート体制など多角的評価が必要。
- 段階的導入と現場ニーズ把握、効果測定・組織変革が成功の鍵となる。

1.1 保険業界について
保険業界は、私たちの生活に密接に関わる金融サービスを提供する産業です。主に以下のような事業者で構成されています
業界の主要プレイヤー
- 生命保険会社(生保)
死亡保障や医療保障など、人の生命に関わる保険を提供。
日本生命、第一生命などの大手生保が代表的。42社が事業展開(2023年6月時点)。 - 損害保険会社(損保)
自動車保険や火災保険など、財物の損害に対する保険を提供。
東京海上日動、損保ジャパンなどが代表的。55社が事業展開(在日支店を含む、2023年6月時点)。 - 保険代理店・保険ショップ
保険会社の商品を販売する窓口として機能。
複数の保険会社の商品を比較検討できる。
市場規模
- 生命保険市場:保有契約高790.7兆円、保有契約の年換算保険料28.2兆円(うち第三分野7.2兆円)(2023年度)
- 損害保険市場:約9.92兆円(2023年度、元受正味保険料ベース)
- 少額短期保険業者:120社(2023年6月時点)
1.2 保険業界を取り巻く環境変化
デジタル化の進展
保険業界は現在、かつてない変革期を迎えています。IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の「DX動向2024」によると、金融・保険業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)実施率は97.2%と、全業種の中で最も高い水準です。
また、総務省の「令和5年通信利用動向調査」では、金融・保険業のテレワーク導入率が81.3%に達し、情報通信業(93.4%)に次ぐ高い水準となっています。
デジタル時代の新たな挑戦
業界のデジタル化は、以下の3つの側面で大きな変化をもたらしています。
- 業務プロセスの革新
バックオフィス業務の完全デジタル化、AI・RPA活用による業務自動化、クラウドサービスの積極活用。 - 営業スタイルの進化
対面・非対面のハイブリッド営業モデル、データ分析に基づく顧客アプローチ、デジタルマーケティングの強化。 - 組織体制の最適化
場所や時間に縛られない柔軟な働き方、デジタル人材の育成・確保、新しい評価・報酬制度の導入。
【出典】
- IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「DX動向2024」https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2024.html
- 総務省「令和5年通信利用動向調査」https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin02_02000169.html
- 生命保険協会「2023年版 生命保険の動向」https://www.seiho.or.jp/data/statistics/trend/
- 日本の損害保険「ファクトブック2024」https://www.sonpo.or.jp/report/publish/gyokai/0003.html
- 金融庁「2023年 保険モニタリングレポート」https://www.fsa.go.jp/news/r4/hoken/20230630-2/20230630.html
このように、保険業界は着実な成長を遂げつつ、デジタル技術を活用した新しいビジネスモデルへの転換を積極的に進めています。高いテレワーク導入率はその一例であり、今後も業界全体でデジタル化の波が加速すると予想されます。
保険営業における5つの重要課題

保険業界全体でデジタル化が加速する中、実際の営業現場ではまだ様々な課題が残されています。金融庁の調査によると、保険業界のDX化は97.2%の企業で実施されているものの、その取り組みの深度には大きな差があります。DXに未着手の企業(2.7%)はもちろん、すでにデジタル化を進めている企業でも、以下のような課題に直面しているのが現状です。
2.1 デジタル化以前からの構造的課題
長年培われた従来型の営業スタイルには、効率化を妨げる構造的な課題が存在し、特にデジタル化が遅れている企業では業績向上の大きな障壁となっています。
具体的な課題
これらの構造的課題は、単なる業務の非効率性だけでなく、営業担当者の離職率上昇や顧客満足度の低下にも直結しています。デジタル化による解決は、もはや選択肢ではなく必須の経営課題といえるでしょう。
2.1 デジタル化以前からの構造的課題
長年培われた従来型の営業スタイルには、効率化を妨げる構造的な課題が存在し、特にデジタル化が遅れている企業では業績向上の大きな障壁となっています。
具体的な課題
- 属人的な顧客管理
個人の手帳やスマートフォンでの顧客情報管理、担当者交代時の引継ぎ困難、ベストプラクティスの共有不足。 - 不規則な営業時間
顧客都合による夜間・休日対応、労務管理の複雑化、ワークライフバランスの確保困難。 - 紙ベースでの契約手続き
契約書類の作成・保管の手間、印鑑取得のための訪問負担、書類不備による再訪問。
これらは業務の非効率だけでなく、営業担当者の離職率上昇や顧客満足度低下にもつながっています。デジタル化による解決は必須の経営課題です。
2.2 デジタル化の過渡期における課題
デジタル化移行期には、システムの重複や運用ルールの複雑化など過渡期特有の問題が発生しています。
具体的な課題
- システム間の連携不足
契約管理システムと顧客管理システムの分断、データ入力の重複、リアルタイムな情報連携の欠如。 - データの分散管理
複数ツールでの情報管理、データ整合性の確保困難、分析に必要なデータ収集・統合の手間。 - 新旧ツールの混在
従来業務フローとの整合性、運用ルールの複雑化、現場での混乱。
計画的な移行戦略と現場の声に基づく柔軟な対応が求められます。
2.3 人材と組織の変革課題
デジタル時代の適応には、ツール導入だけでなく組織全体の変革が必要です。特に人材育成と組織体制の整備が成功の鍵となります。
具体的な課題
- デジタル人材の育成・確保
ITリテラシーの世代間格差、デジタルツール活用研修の時間確保、新しい営業スキル習得の負担。 - 評価制度の見直し
デジタル活用度の評価基準、オンライン営業の成果測定、新しい働き方への対応。
変革は一朝一夕には実現しませんが、多くの先行企業の事例が投資の重要性を示しています。
2.4 顧客接点の変化への対応
コロナ禍を経て、対面とオンラインのハイブリッド化が進み、一貫した顧客体験と効果的なコミュニケーションが求められています。
具体的な課題
- チャネル管理の複雑化
対面・非対面の使い分け、コミュニケーション品質の均一化、顧客情報の統合管理。 - デジタルコミュニケーション
オンライン商談スキル向上、非対面での信頼関係構築、デジタルツールの使いこなし。
顧客接点の変化は新たな営業機会の創出にもつながります。
2.5 コンプライアンスとセキュリティ
デジタル化の進展に伴い、コンプライアンスとセキュリティ要件は一層厳格化しています。特にオンライン取引の増加に伴うリスク対応が重要です。
具体的な課題
- 法令遵守とセキュリティ
個人情報保護法対応、オンライン取引のセキュリティ、なりすまし防止対策。 - 説明義務の履行
非対面での商品説明品質、説明履歴の記録管理、適合性原則への対応。
これらは必要経費ではなく、顧客との信頼構築のための重要投資です。
これらの課題は企業のデジタル化進展度合いによって異なりますが、適切なツールと戦略的アプローチで解決可能です。次章では具体的な解決アプローチを解説します。
MA/CRM/SFAの導入で実現できる営業改革

MA/CRM/SFAの導入で実現できる営業改革
保険営業の現場で活用できるデジタルツールは主に3つのカテゴリーに分かれます。それぞれのツールについて簡単に説明します。
MA(マーケティングオートメーション)
見込み客の発掘から育成まで、マーケティング活動を自動化するツールです。
例:保険セミナー参加者への段階的なフォローメール配信、資料請求者の保険種類別関心度分析、見込み客の育成状況に応じた営業担当者へのアラート通知など。
最近ではMA単体だけでなく、SFAやCRMに同等の機能を持つものもあります。
CRM(顧客管理システム)
契約者情報や対応履歴を一元管理し、長期的な顧客関係を築くためのツールです。
契約者の家族構成変化や満期更新時期の管理、世帯単位での加入状況把握、保険金・給付金の請求履歴管理など、保険契約特有の情報を管理できます。
また、ライフイベントに応じた追加提案のタイミング管理も可能です。
SFA(営業支援システム)
日々の営業活動をサポートし、商談プロセスを効率化するツールです。
保険種類別の提案プロセス管理、適合性確認・意向把握などのコンプライアンス対応、提案書や設計書の作成履歴、契約手続きの進捗共有が可能です。
これらのツールは単独でも効果的ですが、連携して使うことでさらに大きな効果を発揮します。例えば:
- MAで発見した保険セミナー参加者情報をSFAに連携し、最適なタイミングで保障の見直し提案を実施
- SFAで記録した設計書の提案履歴をCRMに統合し、世帯単位で保障状況を一元管理
- CRMで把握した契約満期時期をMAに連携し、更新案内の自動メール配信を実行
本章では、これらのツール導入によって保険営業現場で実現できる改革を、機能説明ではなく実務視点でご紹介します。
保険業界向けSFA選定の7つのポイント

前章で解説したMA/CRM/SFAの効果を最大限に引き出すためには、適切なツール選定が不可欠です。ここでは、特にSFAを中心に、システム選定時の具体的なチェックポイントをご説明します。
【SFA選定 7つのポイント一覧】
優先度 | 選定ポイント | 主なチェック項目 | 特徴 |
---|---|---|---|
◎ | 4.1 基本機能 | ・商談管理基盤 ・レポーティング機能 | システムの根幹となる必須機能。 これなしには始まりません |
◎ | 4.2 システム連携 | ・基幹システムとの接続 ・外部サービスとの統合 | 既存の業務フローを活かすための重要要件 |
○ | 4.3 コスト | ・初期費用 ・ランニングコスト | 投資対効果の判断基準として重要 |
◎ | 4.4 セキュリティ | ・情報管理体制 ・コンプライアンス対応 | 保険業界では譲れない必須要件 |
○ | 4.5 サポート体制 | ・導入時サポート ・運用時サポート | 現場定着のための重要な成功要因 |
△ | 4.6 拡張性 | ・機能拡張の可能性 ・規模拡大への対応 | 将来を見据えた発展的な要件 |
◎ | 4.7 AI活用 | ・音声認識・自動入力 ・予測分析・アラート | 現場の利用率を大きく左右する重要機能 |
優先度:◎=必須、○=重要、△=状況に応じて検討
これら7つのポイントは相互に関連しており、特に◎(必須)の項目については、導入検討の初期段階でしっかりと評価することをお勧めします。以下、各ポイントの詳細について解説していきます。
4.1 基本機能の評価ポイント
- 商談管理基盤
保険種類別の商談プロセス設定、成約確度の段階的管理、AIによる次のアクション提案、商談履歴の時系列管理。 - レポーティング機能
リアルタイムKPI可視化、営業活動分析、カスタマイズ可能なレポート作成、チーム単位での実績集計。
これらは保険営業のデジタル化の土台です。実際の画面を確認しながら丁寧に評価しましょう。
4.2 システム連携の実現性評価
- 基幹システムとの接続
契約管理システムとのAPI連携、顧客データベース同期方式、データ更新頻度、エラー対処方法。 - 外部サービスとの統合
Web会議システム、電子署名サービス、保険料試算システム、スケジュール管理ツールとの連携。
連携方式の詳細確認と導入実績のある企業の声を参考にしましょう。
4.3 導入・運用コストの評価
- 初期費用
システムライセンス、カスタマイズ開発、データ移行、導入支援費用。 - ランニングコスト
月額利用料、保守・サポート費用、システム改修・アップデート、教育費用。
長期的視点で総合的に判断しましょう。
4.4 セキュリティと運用管理
- 情報管理体制
アクセス権限管理、操作ログ記録、データ暗号化、バックアップ体制。 - コンプライアンス対応
個人情報保護法対応、金融庁ガイドライン準拠、監査証跡保管、セキュリティ認証取得。
ベンダーの情報管理体制と自社ポリシーの整合性を必ず確認してください。
4.5 サポート体制の評価
- 導入時サポート
導入計画策定支援、データ移行支援、現場教育プログラム、マニュアル充実度。 - 運用時サポート
問い合わせ対応時間、担当者の業界知識、活用提案の有無、アップデート頻度。
夜間・休日の営業が多い保険業界ではサポート品質の確認が重要です。
4.6 将来的な拡張性
- 機能拡張の可能性
カスタマイズ自由度、新機能開発ロードマップ、AI・RPA連携、モバイル対応計画。 - 規模拡大対応
ユーザー数拡張、データ容量拡張、複数拠点利用、グローバル展開可能性。
頻繁な商品改定や制度変更に柔軟に対応できるシステムを選びましょう。
4.7 AI活用による業務効率化への対応
- 音声認識・自動入力
商談内容の自動テキスト化、重要キーワード抽出、次のアクション自動設定、商談記録の自動分類。 - 予測分析・アラート
契約更新予測、解約リスク検知、最適商談タイミング提案、クロスセル機会検出。 - 業務支援機能
商品提案書自動生成、顧客質問回答候補提示、コンプライアンスチェック自動化、営業報告書自動作成支援。
AI機能選定時の注意点
- 精度と使いやすさのバランス(方言対応、業界用語理解、修正容易性)
- 学習・進化の仕組み(自社データ追加学習、定期精度向上、フィードバック反映)
- プライバシーとセキュリティ(音声データ保管、個人情報管理、暗号化レベル)
- コストパフォーマンス(追加料金体系、従量課金、効果測定、無料トライアル)
AI機能は業務効率化に大きく貢献しますが、コスト増加には効果を見極めながら段階的導入を推奨します。
システム選定の進め方
- 要件の優先順位付け
自社にとって重要な機能を明確化し、現場の意見を反映。予算と照らし合わせて現実的な要件を定義。 - 複数ベンダーの比較評価
評価項目に基づく客観的比較、デモ環境での検証、導入実績企業へのヒアリング。 - 段階的な導入計画策定
優先度の高い機能から着手し、現場の受容度に応じて展開スピードを調整。効果測定と改善サイクルを確立。
次章では、これらの選定ポイントを踏まえた具体的なツール比較と保険業界での活用事例をご紹介します。
おすすめCRM/SFAツール比較と活用事例

おすすめCRM/SFAツール比較と活用事例
保険業界のDX化は97.2%の企業で進んでおり、CRM/SFA導入は業務効率化の重要施策です。ただし、業務プロセスや組織規模によって最適なツールは異なり、高機能=高価とは限りません。機能と価格のバランスを見極めることが重要です。
本章では、保険業界での活用実績が豊富な9つのSFAツールについて、基本機能の共通点と特徴的な強みを紹介します。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
5.1 SFAツール選定の基本的な考え方
基本機能の共通性
主要なSFAツールは以下の基本機能をほぼ標準装備しています。
- 顧客管理機能
- 商談進捗管理
- 案件管理
- 集計・分析機能
- 地図連携機能
- モバイル対応
機能実現方法の違い
各ツールの違いは主に以下に表れます。
- 標準機能として搭載
- プラグインやアドオンでの提供
- 外部サービスとの連携
- カスタマイズによる実装
重要なのは「どのように実現できるか」であり、「標準機能かどうか」だけではありません。ただし、外部連携の場合は以下に注意が必要です。
- コスト(追加開発費用、連携ツールの月額料、保守費用増加)
- 運用(問い合わせ窓口の複数化、トラブル切り分け、アップデート対応)
重要機能は、標準搭載か同ベンダーの連携ツールか公式サポートの有無を優先検討しましょう。
5.2 保険業界におすすめのCRM/SFAツール比較9選
保険営業の現場では訪問管理、商談記録、コンプライアンス対応など業界特有の要件があります。以下の9ツールは特に保険業界との親和性が高いものを選定しています。
公式サイトでご確認ください。
ツール名 | AI機能 | 地図連携 | 特徴 | 公式サイトリンク |
---|---|---|---|---|
Salesforce Sales Cloud | Einstein AIによる営業機会予測、生成型AI(Unlimitedプラン以上) | Googleマップ連携(プラグイン、別途料金) | 世界的に保険業界での導入実績豊富。生命保険・損害保険の複雑契約管理に強み。Financial Services Cloudも提供。グローバル展開向け。初期・月額費用は高め。専門的カスタマイズが必要。 | 公式サイト |
GENIEE SFA/CRM | 商談音声自動文字起こし、AI要約、受注予測、次のアクション提案(オプションで安価に追加可能) | 標準搭載。自動チェックイン、ピン色変更表示可能 | 国産で使いやすく、初めてのSFA導入に適する。音声入力・要約で外勤負担軽減。保険特有の複雑契約管理は別途カスタマイズ必要。中小規模代理店に導入しやすい。 | 公式サイト |
eセールスマネージャーRemix Cloud | AI商談分析、音声認識商談記録、営業活動提案(オプションで安価に追加可能) | 地図表示および登録データ表示可能 | 国内保険代理店での導入実績豊富。満期管理や契約更新通知が充実。中小規模代理店に適する。 | 公式サイト |
Microsoft Dynamics 365 Sales | Copilotによる商談サマリー作成、商談確度予測、次のアクション提案 | Bing Maps標準連携 | Microsoft製品との親和性高く、Office365利用者に最適。日本語対応充実。保険特有機能はカスタマイズ必要。導入コストはやや高め。 | 公式サイト |
HubSpot CRM | Breeze Copilot、AI商談分析、メール文面提案、顧客対応優先順位付け(上位プランから) | Google Mapsプラグイン連携可能 | 無料プランでも十分な機能。Web経由の見込み客獲得に強み。保険特有機能は上位プランでカスタマイズ必要。日本語対応はやや劣る。 | 公式サイト |
Zoho CRM | Zia AIによる商談予測、音声アシスタント、異常検知(エンタープライズプラン以上) | Google Mapsプラグイン連携可能 | コストパフォーマンス良好。小規模代理店に適する。保険特有機能は追加カスタマイズ必要。サポートはやや弱い。 | 公式サイト |
Sugar CRM | SugarPredict AIによる予測分析、顧客行動分析、リード評価(Sell Premierプランから) | Sugar Mapsプラグイン使用可能 | 高いカスタマイズ性で保険業務特化可能。技術力が必要で導入・運用は専門知識必須。中小規模代理店にはハードル高い。 | 公式サイト |
cyzen(サイゼン) | 特になし | リアルタイムGPS連携、訪問ルート最適化、エリアマーケティング機能 | 地図連携特化。訪問営業の行動管理・訪問計画最適化に強み。保険商品管理は別途カスタマイズ必要。 | 公式サイト |
UPWARD(アップワード) | UPWARD INSIGHT(訪問予測分析、顧客訪問優先度判定、ルート最適化AI) | 高精度GPS連携、動態管理、エリア分析機能 | 地図情報活用に特化しSalesforce等とセット使用。訪問営業の行動把握・計画立案支援。保険特有機能は追加カスタマイズ必要。 | 公式サイト |
5.3 MA/CRM/SFAツール選定・活用のポイント
- 経営課題と現場ニーズの明確化
- 経営層と現場の認識合わせ
- 組織の優先課題、営業社員構成、具体的課題の把握
- 機能面での確認
- 現在必要な機能と将来活用したい機能の両方を検討
- AI機能の業務フロー組み込み可否の検証
- 運用面での確認
- 運用管理者の確保、ユーザーITリテラシー、教育体制
- ベンダーサポートの充実度、マニュアル提供、障害対応
- コストと投資対効果
- 初期費用、月額利用料、追加オプション価格、保守費用
- 段階的導入の検討、プラン変更時の移行容易性
選定時の重要なポイント
- 現状分析重視:組織課題と営業ニーズの明確化
- 段階的展開想定:必要機能から段階的導入、利用状況に応じたプラン見直し
- バランス判断:機能・使いやすさ、コスト・効果、現状・将来性のバランス
CRM/SFA選定は営業組織変革の重要な意思決定です。現状と将来のバランスを見据え慎重に検討しましょう。
まとめ:成功する導入のために

6.1 保険営業に合わせた段階的導入
保険営業は商品説明から契約締結、長期フォローまで複雑なプロセスです。SFA導入は一気に進めず、段階的アプローチが重要です。
- Step1(1-3ヶ月)
顧客情報登録、日報電子化、基本商談管理の定着 - Step2(4-6ヶ月)
AI機能段階的活用、商談プロセス標準化、情報共有促進 - Step3(7ヶ月以降)
データ分析による戦略立案、予測分析本格活用、システム連携最適化
期間は目安で、ベンダーと相談し自社に合ったスケジュールを設定しましょう。
6.2 よくある失敗パターンと対策
- デジタルとリアルの不適切なバランス
→ 対面信頼構築とデジタル併用。重要事項説明は対面で丁寧に。 - システムと業務フローの不整合
→ 保険業法・監督指針準拠のワークフロー設計。オンライン面談の本人確認・意向把握の確実な記録。 - デジタル化による顧客接点希薄化
→ データ活用による適切タイミングの能動的アプローチ。ライフイベントに応じた保障見直し提案。
6.3 保険営業ならではの効果測定
保険商品は長期的な顧客関係が特徴。効果測定は短期効率化だけでなく、顧客満足度や契約継続率も含め多角的に行います。
- 業務効率化指標
商談記録入力時間、移動時間削減率、ペーパーレス進捗 - 営業力強化指標
商談件数変化、成約率推移、クロスセル率向上 - 顧客満足度指標
契約継続率、紹介件数、苦情件数変化
定期モニタリングで運用見直しを行い、質の高い営業を目指しましょう。
6.4 最後に
保険は「安心」を提供するサービスです。営業活動も単なる商品説明にとどまらず、きめ細かなコミュニケーションが求められます。
CRM/SFA導入では以下を意識しましょう。
- 長期的な顧客関係構築を支える仕組み作り
- コンプライアンスと顧客本位の業務運営の両立
- 営業職員・代理店の活動を支える機能実装
本記事を参考に、貴社に最適な導入計画を立ててください。具体的な導入は保険業界実績豊富なベンダーへの相談をお勧めします。
補足:主な用語解説
(50音順)
IT・システム関連用語
- API(エーピーアイ)
異なるシステム間でデータをやり取りする仕組み。 - DX(デジタルトランスフォーメーション)
デジタル技術を活用した業務やサービスの変革。 - KPI(重要業績評価指標)
業績を評価する具体的な指標。 - RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
定型業務をソフトウェアロボットが自動化する仕組み。
保険業界特有の用語
- 意向把握・確認プロセス
顧客の保険加入意向を正確に把握し、提案商品が合致しているか確認する手順。 - 元受正味保険料
保険会社が契約者から直接受け取る保険料から解約返戻金等を差し引いた金額。損害保険会社の収入規模指標。 - 高齢者募集ルール
70歳以上契約者への特別配慮規定。家族同席や複数回説明機会設定が求められる。 - 適合性原則
顧客の知識・経験・財産状況・契約目的に照らし適切な保険商品を提案する原則。 - 第三分野
医療保険や介護保険など、生命保険と損害保険の中間に位置する商品群。 - 特定保険契約
変額保険など投資性の高い保険商品。金融商品取引法の規制対象。 - 募集関連行為
保険契約締結の勧誘・募集行為。
マーケティング・営業用語
- クロスセル
既存顧客に追加で別商品を提案・販売すること。 - リテンション
既存顧客の維持・つなぎとめ。