Salesforceのデータインポートウィザードとは?使い方を徹底解説

Salesforceのデータインポートは、日々の業務効率を大きく左右する重要な作業です。しかし、「データインポートウィザード」と「データローダ」という2つのツールが存在しているため、どちらを選ぶべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「データインポートウィザード」について、特徴から最適な使用場面まで詳しく解説します。データをインポートするための手順を解説するほか、データインポートを成功させるために欠かせない注意点についても触れていますので、あわせてご参照ください。
本記事では、以下の内容について解説します。
・Salesforceのデータインポートウィザードとデータローダの主な違い ・データインポートウィザードを使用したデータインポートの具体的な手順 ・データインポートの成功に欠かせない4つのポイント |
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データインポートウィザードとは?

データインポートウィザードとは、コーディング知識なしでデータの一括登録や更新を実現できるSalesforceの標準機能です。データインポートウィザードを使用すれば、一度に最大5万件までのレコードをSalesforceシステムに簡単に取り込めます。
追加アプリケーションのインストールが不要で、Salesforceにログインすればすぐに利用可能な点が大きな魅力です。ただし、主にデータの一括登録と更新に特化した機能であるため、データの削除や抽出といった操作はサポートしていません。
また、利用可能なオブジェクトには制限があり、取引先・取引先責任者・リード・ソリューション・キャンペーンメンバー・およびカスタムオブジェクトに対してのみ使用できます。商談などの他のオブジェクトには適用できない点に注意が必要です。
データローダとの違いとは?

インポートウィザード | データローダ | |
使用方法 | Salesforceのシステム内でブラウザを通じて利用 | 個人のPCに専用ソフトを設置して利用 |
画面表示の言語 | ログインしている利用者の設定言語 | 基本は英語(項目のラベルは設定言語に準拠) |
処理可能なデータ数 | 最大約5万件 | 最大約500万件 |
必要な権限 | システム管理者でなくても利用可能 | システム管理者の権限が必要 |
取引先と取引先責任者の登録 | 同時登録が可能 | 取引先を先に登録する必要がある |
対応データ種別 | 取引先、取引先責任者、ソリューション、リード、キャンペーン、独自作成のデータ種別のみ | ほぼ全てのデータ種別に対応 |
作業スケジュールの設定 | 即時実行のみ | 可能 |
データ重複のチェック | 取引先の会社名、取引先責任者とリードの氏名およびメールアドレスを基にチェック | なし |
データ間の関連付け | 名称項目を使用 | D番号を使用 |
Salesforceでデータ操作を行う際、データインポートウィザードとデータローダという2つの主要ツールを選択できます。それぞれ異なる特性を持っているため、用途に応じた適切な選択が重要です。
端的に言えば、「簡易的なデータインポート作業にはデータインポートウィザード」「大容量の複雑なデータインポート作業にはデータローダ」がおすすめです。ここでは、以下の違いを解説します。
データインポートウィザードを使うべき場合 データローダを使うべき場合 |
データインポートウィザードを使うべき場合
Salesforceのデータ管理において、以下のようなケースではデータインポートウィザードの使用をおすすめします。
・中小規模のデータ(5万件以下)をSalesforceに取り込む必要がある場合 ・基本的な標準オブジェクト(取引先や取引先責任者など)へのデータ登録を行いたい場合 ・複雑な設定なしで、シンプルかつ直感的なデータ取り込み操作を希望する場合 ・Salesforceの操作に不慣れなユーザーでもデータインポートを実施したい場合 |
データローダを使うべき場合
Salesforceのデータ管理において、より高度なデータ処理や大規模な操作が必要な場合は、データローダの利用がおすすめです。具体的には下記のような作業が挙げられます。
・大規模データセット(5万~500万件のレコード)を処理する必要がある場合 ・多様なオブジェクトタイプに対してデータ操作を実行したい場合 ・データのインポートだけでなく、エクスポートや一括削除など複合的な操作が必要な場合 ・定期的なデータ更新をスケジュール設定して自動化したい場合 ・外部システムとのAPI連携を通じてデータ交換を行いたい場合 |
データインポートウィザードの使い方

データインポートウィザードは、段階的なガイダンスに従って操作できる、ユーザーフレンドリーなツールです。以下では、基本的な使用方法を順を追って説明します。
1.データインポートウィザードの起動 2.インポートするデータの種類を選択 3.インポートするCSVファイルを選択 4.データの対応付け 5.インポートオプションの設定 6.インポートの確認と開始 |
1.データインポートウィザードの起動
- ステップ1: Salesforceにログインし、設定メニューへアクセス
- 画面右上の歯車アイコンをクリック
- [設定]を選択
- ステップ2: クイック検索で[データインポートウィザード]を検索
- 左側のクイック検索ボックスに「データインポートウィザード」と入力
- 検索結果から[データインポートウィザード]をクリック
- ステップ3: ウィザードを起動
- 表示される初期画面の案内情報を確認
- [ウィザードを起動する]ボタンをクリック
オブジェクト固有のホームページのツールリスト、または個人設定からも起動が可能です。
2.インポートするデータの種類を選択
- ステップ1: インポートするデータの種類を選択
- 標準オブジェクトまたはカスタムオブジェクトを選択
- 取引先、取引先責任者、リードなどの標準オブジェクトを選択可能
- ステップ2: レコード操作の選択
- 新規レコードの追加、既存レコードの更新、または両方を選択
- ステップ3: オプション設定
- 一致条件やその他の条件を指定
- ワークフロールールとプロセスのトリガーを選択
- ステップ4: 次へ
- [次へ]ボタンをクリック
3.インポートするCSVファイルを選択
- ステップ1: CSVファイルを選択
- コンピューターからCSVファイルをアップロード。ただしSalesforceの項目名と一致するヘッダー行へ1行面を変更する必要あり
- CSVファイルをページのアップロード領域にドラッグ
- または、CSVカテゴリーをクリックし、ファイルに移動
- ステップ2: オプション設定
- ファイルの文字コードを選択。通常は変更不要だがUTF-8が推奨
- 値の区切り文字(カンマまたはタブ)を選択
- ステップ3: 次へ
- [次へ]ボタンをクリック
4.データの対応付け
- ステップ1: フィールドのマッピング
- CSVヘッダーとSalesforceフィールドを対応付け(自動対応)
- 自動マッピングを確認し、必要に応じて内容を手動で修正
- [対応付け]ボタンをクリックし、対応を確定する
- ステップ2: 未対応フィールドの確認
- 未対応のフィールドがないか確認
- ステップ3: 次へ
- [次へ]ボタンをクリック
5.インポートオプションの設定
- ステップ1: インポート情報確認
- インポート情報を確認(重複レコードや所有者割当などの確認)
- 未対応項目があれば、前のページに戻り対応を行う
- ステップ2: 次へ
- [次へ]ボタンをクリック
6.インポートの確認と開始
- ステップ1: 最終確認
- インポート設定の設定や概要をあらためて確認
- ステップ2: インポート開始
- [インポートを開始]ボタンをクリック
- ステップ3: 結果の確認
- 成功したレコード数とエラー数を表示
- 「最近のインポートジョブ」グラフ、または「一括データ読み込みジョブ」で結果を確認
- エラーログをダウンロードして分析
以上で、データインポートウィザードを活用してSalesforceにデータをインポートする手順は終了です。成功件数とエラー件数をチェックして、問題がないかしっかりと確認するのをおすすめします。
データインポートウィザードを使用する際の4つの注意点

データインポートウィザードを使用する際の注意点を守れば、スムーズなデータ取り込みと潜在的な問題の回避が可能です。効果的なデータインポート作業を行うには、以下の重要なポイントに注意する必要があります。
1.インポートする項目とSalesforceの項目名が一致しているか確認する
2.インポートするレコードの数量を確認する
3.インポートするデータが重複しないように整理しておく
4.オブジェクト関連図の上流からデータを取り込む
1.インポートする項目とSalesforceの項目名が一致しているか確認する
データインポートの成否を左右するもっとも重要なステップが、インポートするCSVファイルの列とSalesforceの項目名の正確な対応付けです。
データインポートウィザードのマッピング機能を使用する際、CSVファイルの各列がSalesforceのどの項目に対応するかを一つひとつ丁寧に確認する必要があります。
特に、カスタム項目を使用している場合は、標準項目と名前が似ていることがあるため注意が必要です。もし、対応付けが不完全な状態でインポートを実行してしまうと、本来取り込みたかったデータがSalesforceに取り込まれず、データの欠損につながる可能性があります。
インポートを開始する前に、すべての項目が正しくマッピングされているかを再度確認する取り組みは、データインポートウィザードを使用するうえで非常に大切です。
2.インポートするレコードの数量を確認する
データインポートウィザードでは、一度に最大50,000件のレコードをインポートできます。しかし、大量のデータを一度にインポートすると、Salesforceのシステムリソースを消費し、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。
特に、多くのユーザーが同時にSalesforceを利用している時間帯に大規模なインポートを行うと、システムの応答速度が低下し、業務に支障をきたすかもしれません。
そのため、大量のデータをインポートする場合は、システムの負荷が比較的低い時間帯、例えば早朝や夜間、または週末などを選んで実行することをおすすめします。
また可能であれば、インポートするデータを分割し、複数回に分けて実行することで、システムへの負荷を分散させる取り組みも有効です。
3.インポートするデータが重複しないように整理しておく
データインポートをスムーズに進めるためには、インポート前にデータの品質を高めておくデータクレンジングが不可欠です。
CSVファイルに重複したレコードや不整合なデータが含まれていると、インポート時にエラーが発生したり、Salesforce内でデータが重複したりする可能性があります。
インポート前に、CSVデータを丁寧に確認し、重複レコードの削除やデータの修正を行いましょう。また、CSVファイルのヘッダー行には、Salesforceの項目名と完全に一致する名前、またはそれに近い分かりやすい名前を使用することで、マッピング作業が容易になり、人的なミスを減らせます。
4.オブジェクト関連図の上流からデータを取り込む
Salesforceのオブジェクト間には、親子関係などの関連性があります。そのため、データをインポートする際には、オブジェクト間の関連性を考慮した適切な順序でインポートを行う必要があります。
例えば、取引先責任者(子オブジェクト)をインポートする場合、その取引先責任者が関連付けられる取引先(親オブジェクト)がSalesforceに存在している必要があります。もし、取引先が存在しない状態で取引先責任者をインポートしようとすると、エラーが発生し、インポートに失敗します。
オブジェクト間の関連性を事前に確認し、オブジェクト関連図の上流、つまり「親」となる上流オブジェクトから順にインポートしていくことで、このような問題を回避できます。
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Salesforceのデータインポートウィザードのまとめ

Salesforceのデータインポートは、ビジネスの効率化に不可欠なプロセスです。5万件未満の簡易的なデータ管理を行いたい場合は、「データインポートウィザード」を活用するのをおすすめします。
データインポートウィザードなら、中小規模のデータ(5万件以下)を基本的な標準オブジェクトへ手軽にインポートしたい場合に最適です。一方で、より高度&大容量のデータ処理を求める場合は、データローダも選択肢に上がります。
とはいえ、どちらも正確なデータ管理で欠かせないのが、「データの正確性を保つための取り組み」です。Salesforceでデータ管理を行おうと思っても、肝心のデータ元が重複していたり、不完全な形式だったりすると、効率的に業務を進めるのは難しくなってしまいます。
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