顧客セグメントとは?必要性や作り方、事例までご紹介
公開日:2022.06.29 / 更新日:2022.06.29 / 営業ノウハウ

顧客志向のマーケティングが主流となった近年、「顧客セグメント」に応じて商品・サービスを開発したり、プロモーションを打ったりするのが主流となりました。一昔前のマーケティング手法は大きく変わり、企業マーケティングの考え方が根底から変化しています。
そこで今回は、現代のBtoBマーケティングにおける顧客セグメントの基礎知識をご紹介します。必要性や具体的な作り方、実在企業による活用事例もご紹介しますので、ぜひお役立てください。
目次
顧客セグメントとは?
顧客セグメントとは、年齢・性別・居住地域・消費行動などを「属性」として分類した顧客グループを指します。また、顧客セグメントを作成することを「セグメンテーション」といいます。
顧客セグメントを作成するメリットは、各グループに対して最適なマーケティング施策を行えることです。いわば、顧客のセグメンテーションはマーケティングの準備段階といえるでしょう。
顧客セグメントの必要性
顧客セグメントが重要視される背景に、マスマーケティングからの転換が挙げられます。マスマーケティングは、大量生産・大量販売・大量プロモーションを基本として、全消費者に同様の手法で商品・サービスを提供するのが特徴です。「非差別化マーケティング」ともいい、20世紀までは全世界でマーケティングの主流となっていました。
しかし、時代とともに消費者の価値観は変化します。市場トレンド・消費者動向が短期間でめまぐるしく変化し、従来のマーケティング手法では期待する効果が得られにくくなったのです。そのため、顧客セグメントを作成し、属性別にマーケティング施策を行うことが重要となりました。
STP分析とは
「STP分析」とは、「Segmentation(区分)」「Targeting(標的)」「Positioning(位置づけ)」の頭文字を取ったマーケティング・フレームワークです。アメリカの経営学者であり、“マーケティングの父”と称されるフィリップ・コトラーが提唱しました。
STP分析は、以下3つのプロセスを経て、事業戦略やマーケティング施策を検討します。
- セグメンテーション:顧客情報を属性やニーズで分類する
- ターゲティング:ユーザー属性を鑑みて参入する市場を選定する
- ポジショニング:市場において自社と競合他社の位置関係を把握する
最初のプロセスは、既存顧客のセグメンテーションです。自社が抱えるユーザー属性を確認した上で、商品・サービスの強みや魅力、課題を洗い出します。続いて参入する市場を選定し、競合他社との位置関係を踏まえて具体的な施策や、事業計画の方向性などを決めていきます。
STP分析を行うメリットの一つは、自社におけるユーザー属性を把握できることです。こうした分析データは、事業計画やマーケティング施策における重要な判断材料となります。また、市場内における競合他社との位置関係を整理することで、自社の優位性を把握できます。
いずれのプロセスも、データに基づいて意思決定を繰り返します。その都度、合理的な判断を下せるため、不要な競争やコスト投入を回避できるのがメリットです。
顧客セグメントの作り方
顧客セグメントは、STP分析におけるセグメンテーション・プロセスで作成されます。効果的な作り方は業種によるものの、一般的にセグメンテーションに用いられる属性は次の通りです。
ジオグラフィック変数
「地理的変数」とも呼ばれる分類法で、国や地域、生活圏の気候・生活習慣・人口密度・文化・宗教といった条件からユーザーをセグメンテーションします。もっとも大枠となるのは、世界規模で見た場合の地域です。たとえばヨーロッパ・北米・アジア・中東などの地域で分類します。日本においては、地方または都道府県で分類するケースが大半です。実際にSTP分析を行う際、ジオグラフィック変数に後述する変数を組み合わせ、分析精度を高めます。
デモグラフィック変数
「人口動態変数」といい、年齢・性別・学歴・職業・所得・家族構成・世帯規模など、パーソナル情報を用いる分類法です。比較的セグメンテーションが容易で、顧客ニーズとの関連性も高いことから、STP分析でもっとも多用されます。
たとえば、アパレル企業が新商品のジャケットを開発する場合、ターゲット層の年齢や性別により、好まれるデザインや機能性は異なります。具体的には、学生などの10代ならばファッショナブル重視、働く30代ならば機能性重視といったイメージです。マスマーケティング時代から活用されてきた手法ではあるものの、近年のデジタルマーケティングにも効果的とされます。
サイコグラフィック変数
「社会的心理的変数」と呼ばれる分類法です。顧客の価値観・性格・趣向などからセグメンテーションします。個人の心理的要因にフォーカスするため、セグメンテーションの精度はそれほど高くありません。そのため、サイコグラフィック変数のみでSTP分析を行うケースは希であり、通常はジオグラフィック変数やデモグラフィック変数と組み合わせます。
ビヘイビアル
「行動変数」のことで、顧客の消費行動に基づいてセグメントする分類法です。具体的には、購買頻度・経路・商品理解度・商品の使用シーン・顧客自身の反応など、行動パターンから分析します。近年はMA(マーケティングオートメーション)などのITツールを使い、WEB経由で顧客の消費行動を把握できるようになりました。
顧客セグメントと「4R」
セグメンテーションの評価基準に、「Realistic(有効性)」「Rank(優先順位)」「Reach(到達可能性)」「Response(測定可能性)」の頭文字を取った「4R」があります。4RはSTP分析における2つ目のプロセス、ターゲティングに活用する考え方です。それぞれの特徴を見ていきましょう。
Realistic(有効性/規模)
特定の顧客セグメントにターゲットし、商品・サービスを販売した場合にもたらされる収益・売上規模を指します。仮に確度の高い顧客セグメントであっても、一定の母数がなければ、期待する効果は得られません。ここでは「規模」が評価軸となることを覚えておきましょう。
Rank(優先順位)
収益性や獲得・維持コストなどのポイントから、顧客セグメントに優先順位をつけます。通常、優先順位の高いセグメントからターゲットしていきます。
Reach(到達可能性)
ターゲティングした顧客セグメントに対し、商品・サービスがスムーズに行き届くのかを確認します。到達可能性が低い場合は、商品設計や物流を含めた根本的な見直しが必要です。
Response(測定可能性)
顧客に商品・サービスを販売したり、広告宣伝などのプロモーションを行ったりした際、効果測定が可能か確認します。セグメンテーションおよびターゲティングの成果を検証する重要なファクターです。
顧客セグメントと関わりの深い「TPS分析の成功事例」
顧客セグメントを作成するメリットは、STP分析を活用した実在企業の成功事例からわかります。ここでは、アメリカ発祥のアイスクリームブランド「ハーゲンダッツ」のケースを見ていきましょう。
高級アイスクリームの象徴である同社ですが、日本に初上陸したのは1984年のこと。東京・青山に1号店がオープンしました。ハーゲンダッツが日本のアイスクリーム市場に参入する以前、「アイスクリーム=子どもの食べ物」という認識が広まっていました。一方、同社は素材や製法にこだわった高級アイスクリームにより、競合他社との差別化に成功しています。
同社はSTP分析において、デモグラフィック変数を用いて顧客をセグメント化。その内、経済的余裕があり、高級志向の人をターゲットにしました。「大人好みの贅沢なアイスクリーム」というコンセプトで、プロモーションを展開したのです。
また、コンビニやスーパーで販売されているハーゲンダッツですが、創業当時はアメリカ国内を中心に実店舗を構えていました。日本に進出するタイミングで実店舗をなくし、全商品をパッケージ化。全国の小売店で販売できるようにしました。これにより、「いつでもどこでも買える高級アイスクリーム」という魅力を作り出したのです。
ハーゲンダッツの日本進出は大成功でした。顧客セグメントを用いてアイスクリームのコンセプトを見直し、結果として競合他社との差別化につながったのです。現代において同社は、日本のアイスクリーム市場において不動の地位を確立しています。
まとめ
顧客セグメントは、マーケティング施策を検討する際に欠かせないファクターです。特にマーケティング領域での重要性が高く、現代のデジタルマーケティングにおいては、顧客のセグメンテーションが必須となっています。
近年、顧客セグメントの作成は、ITツールを活用するのが主流です。定着率99%の国産MA(マーケティングオートメーション)「GENIEE MA」には、カスタマー管理やラベル設計、スコアリングなど、セグメンテーションを自動化するさまざまな機能を備えています。顧客セグメントの作成・管理にお困りの場合、「GENIEE MA」の導入をおすすめします。
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