【顧客満足度の必要性とは?】具体的施策と活用すべきツールまでご紹介!
ライバルが多くいる中で自分が物をたくさん売るにはどうしたらいいでしょうか?
「質の良い商品を安く売る」というのがどんな人にも思いつく解決策です。しかし、20世紀後半からは、技術が大幅に進歩し、高性能な商品を簡単に大量生産できる時代がやってきてしまいました。このような状況下では、「自分たちだけが作れる質の良い商品」というものを開発するのは極めて困難だといわざるを得ません。
この記事では「質の良いものを大量生産できる現代において、どうすれば自分の商品が売れるのか」ということを考える上で重要な「顧客満足度」という概念を解説していきます。まず顧客満足度の概念を整理したうえでなぜこれが重要なのか、高めるための施策を解説していきます。
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顧客満足度とは?
顧客満足度とは、顧客が商品やサービスを購入した時に感じる満足度の度合いを示す指標のことです。英語では「Customer Satisfaction」と表し、略してCSと呼ばれることもあります。顧客が商品やサービスの購入に至るのは、それらに満足を感じた時であるという考え方から、企業が定期的のその度合いを調査・評価して、新商品の開発に結び付けるといった使われ方をします。また、顧客満足度の向上は自社の従業員の満足度を高めるうえでも重要なものです。
公益財団法人の日本生産性本部の組織の1つであるサービス産業生産性協議会(SPRING:Service PRoductivity & INnovation for Growth)では、顧客満足度を顧客期待、知覚品質、知覚価値、推奨意向、顧客満足、ロイヤルティの6つの項目で示しています。
近年では顧客推奨度(NPS:Net Promoter Score)という指標を用いてより正確に顧客満足度を測る取り組みもなされています。これは、単に顧客満足度を測るだけではなく、顧客が自社に対してどれだけ愛着や興味・関心を抱いているかを把握し、本質的な価値をあぶり出す指標です。
顧客満足度向上の必要性
ここでは、顧客満足向上がなぜ必要なのかについて解説します。
売上に直結する
顧客満足度が向上すると、企業のリピーター増加にもつながるので、売上に直結し収益性が上がります。これはアメリカの大手コンサルティング会社、ベイン・アンド・カンパニーの調査でも証明されています。
誰でもお気に入りのお店やサービスを1つか2つは持っているものです。そして、人はいい商品やサービスを提供するお店や企業は何回も利用したくなります。反対に、顧客は商品やサービスに対して満足感を持っていなければ再び購入しようとは思いません。したがって、売上に直結する顧客満足度の向上が大切になります。
経営学者のピーター・ドラッカーは「顧客は満足を買う」という言葉を著書の中で残しました。つまり、売上そのものが顧客満足度の総量であるという考え方です。顧客満足度の向上によって繰り返し利用する人の頻度が高まると、客単価が上昇します。また、特定のお店を継続的に利用していなかった浮動客も固定客となり、売上増加に貢献します。施策が成功すれば、これまでは競合他社の商品も購入していた浮動客が自社の商品しか買わないようになることもあるのです。
LTV(顧客生涯価値)の向上につながる
新規顧客に対して商品やサービスを販売するためのコストは、既存顧客に対して販売するコストの5倍かかるという1:5の法則が、前述のベイン・アンド・カンパニー社のフレデリック・ライクヘルド氏によって提唱されています。長期的に会社の収益性を上げていくためには、新規顧客の開拓・獲得はもちろん大切ですが、同時に既存顧客の満足度を高い水準で維持し、LTVをどのように向上させていくかが課題になります。LTVとはLife Time Valeueの略で、日本語では顧客生涯価値と訳されており、顧客がその一生涯を通して企業にもたらせてくれる価値や利益を指します。
LTVが高いほど顧客が生涯に渡って商品やサービスに費やす金額が増え、企業の業績向上に寄与するといわれています。従来のように売った段階で関係が終わるのではなく、現代は売ってから関係が始まる取引へと顧客と企業の関係が変化している中で、LTVの向上は重要性が増しています。
1度取引をした顧客との関係を重視する背景には、昨今の市場は成熟化しており、新規顧客の獲得が難しくなっていることが挙げられます。そのような状況下では、新規顧客獲得だけのために大きなコストをかけるのは得策ではありません。したがって、既存顧客と長期的に良好な関係を継続することに務めるのは必然の方策といえます。
新規顧客の獲得につながる
顧客満足度が高ければ口コミで家族や友人に商品やサービスを紹介してくれるようになり、高い評価が広まって信頼を得られ、その評判を聞いた人々を取り込んで新規顧客の獲得につながります。実際、商品やサービスを初めて購入する人は、商品やサービスを利用したことがある人からの口コミを参考にするケースが多いのです。ネットで口コミを見たら高評価だった、友人が美味しかったと評価していた、ランキングを調べたら上位だったといった口コミが購入の動機になることが多々あります。
近年は、SNSで商品やサービスの評判はあっという間に広がり、口コミの評価は非常に大きな影響力を持っています。個人の感想が世間で注目されて、その結果それが宣伝になることも多々あります。
新規顧客を獲得した後でも、その人たちを固定客にするために顧客満足度の向上を図ることは大切な取り組みです。新規顧客を一時的に大量に獲得しても、商品やサービスの改善を怠れば顧客は離れていくことでしょう。企業が継続的に成長し続けるには、顧客満足度の向上の努力を続け、商品やサービスの品質のたゆまぬ向上を継続し、市場の需要に即応した経営をすることが欠かせません。
顧客満足度の向上につながる具体的施策
ここでは、顧客満足度の向上につながる具体的施策をご紹介します。
顧客満足の定義を決める
顧客満足度の定義は、商品やサービスに直接関わる技術部門や顧客に直接接する営業部門だけが理解すればいいというものではありません。顧客満足の定義を関係者全員の間で統一し共有することで、商品やサービスに一貫性を持たせることができます。それによって価値の向上を継続的に行うことができ、一貫性のあるものに対して顧客は信頼し安心して利用できるようになります。
顧客はどうしたら満足し、あるいは不満足になるのかは顧客の主観にもよりますが、一般的には顧客が期待以上のものを享受することを顧客満足と定義していいでしょう。つまり、顧客が期待したものと提供された商品やサービスによって得られた差がプラスであれば満足であり、マイナスであれば不満足です。
したがって、顧客満足は絶対的な数値で定義できるものではなく相対的なものです。例えば、価格は期待の度合いを決める大きな要素であり、顧客満足度は商品やサービスの質よりもむしろ価格に見合ったものかどうかの指標だともいえます。ただし、その場合は顧客満足度が高いのは価格の設定が低すぎただけという可能性もあるため、顧客満足の定義は単純な数値だけで決めないことも大切です。
現状の顧客満足度を測る
自社の商品やサービスが市場で顧客にどのように評価されているか、満足しているか、不満を持っているかを明らかにするためには、現状の顧客満足度を測る必要があります。顧客満足度の調査・測定が適切に行われれば単に商品やサービスの現状の満足度を知るのみだけではなく、満足度の向上のために改善すべき点も分かってきます。
購入の動機、利用頻度、利用方法、満足している点、不満を抱いている点といった多角的な視点で分析することにより、売上額の数値だけでは分からない商品やサービスの強み、弱み、課題が見えて次に取るべきアクションはどんなものであるべきかが明確にしましょう。
顧客満足度の調査・測定を行う方法は、大きく分けてインターネットを用いてアンケート調査を行う定量方法と、グループインタビュー調査を行う定性調査の2種類があります。前者はメールアドレスが分かっている自社の顧客やウェブサイトを訪れた人を対象に行い、後者は顧客を会場に集めて満足度を質問して回答してもらいます。
やるべきことをしっかり行う
顧客満足度を向上させるうえではまず、「衛生要因」が何なのかを把握し、それを満たしてから「動機付け要因」を満たすように心がけるべきです。「衛生要因」と「動機付け要因」という2つの言葉は、顧客満足度を考えるうえで大切なものです。
「衛生要因」とは満たされても満足度が上がらない一方で満たされないと満足度が下がるものを指し、「動機付け要因」とは満たされなくても満足度は下がらないものの、満たされると満足度が上がるものを指します。
実績のある組織が実践した華々しいサービスの事例を知って「うちの組織もこういうことやりたい!」という気持ちになるのは分かりますが、まず組織として第一に求められていることを理解し、その仕事について継続的にミスなくサービスを提供し実績を積み上げていくことが重要です。華々しくて話題になるような顧客満足度向上策も、「やって当然」と思われているサービスで手を抜いていると思われてしまえば骨抜きになってしまいます。
定期的に顧客満足度の調査を実施する
顧客満足度の調査・評価にあたっては、顧客が自社の商品やサービスに抱いている満足している点と不満を感じている点の把握の他にも、カスタマーサポート部門に寄せられた意見やアフターサービス対応といったことでも満足度を把握できます。
これらの結果を分析することにより顧客体験の向上につながり、リピーターの創出に結び付きます。そして、定期的に調査し、結果を時系列に整理して分析し、顧客のニーズや声の変化を確認します。顧客満足度は、明確な目的を掲げてそれを元に仮説を立て、そのうえで結果を検証し、次のステップへ繋げていくものなので、1回限りの調査では検証はできません。
また、定期的に顧客満足度の調査を実施する際には、最初に顧客の現状の把握、次に顧客が抱いている自社に対する期待の洗い出し、そして顧客が期待している以上の改善の実施という3つのポイントに注意します。目標を立てて改善を行い、再度結果を調査するというサイクルを何度も回すことによって、顧客満足度の向上が得られるようになります。
顧客のニーズを正しく把握する
顧客は商品やサービスを利用しているとき、なんとなく感じる不快感や違和感、使いにくさがあっても顧客自身はそれを認識していないものです。そのような潜在的にニーズに応えたものを提供されたときに初めて「これが求めていたものだ」と認識します。そのため、顧客の本当のニーズを探り出して正しく理解・把握し、それに合った訴求を行っていく必要があるのです。顧客の心の奥深いところに秘められている潜在的なニーズを掘り起こすためには、顧客に視点に立って自社の商品やサービスを評価することが求められます。
しかし、顧客の視点に立つ、顧客の視点で考えるというのは難しいものです。自社の商品やサービスについて考えようとするとどうしても企業の視点になってしまいがちです。そこで、顧客視線・視点で考えるのにフレームワークを利用すると効果的です。
フレームワークは、顧客にとっての価値(Customer Value)、コスト(Cost)、利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)の4つについて分析するもので、英語の頭文字を取って4Cと呼ばれており、これらを分析することで顧客の潜在的なニーズを探ります。
また、顧客のニーズを正しく理解するには、顧客に関する情報を管理・分析する必要があります。それにはCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)が役に立ちます。CRMは顧客満足度と顧客ロイヤルティを向上させることによって売上を伸ばし収益を向上させる経営手法です。
顧客満足度の向上に役立つツール「CRM」
前述したようにCRMは顧客情報を管理・分析して顧客満足度の向上に役立つ手法で、顧客を中心に据えて考えて事業を展開し、利益を最大化させることを目指す経営手法として知られています。
顧客がさまざまな価値観を持つようになって市場が細分化された現代の状況において、顧客の実態を正確に理解し最適な経営戦略の実施を打って行く取り組みですが、人が全ての情報を管理するのには限界があります。
そこで、CRMを運用する最適なシステムである「GENIEE SFA/CRM」という営業管理ツールが役立ちます。「GENIEE SFA/CRM」は日本の会社によって日本国内の企業向けに開発されたため、UIがシンプルで直感的に分かりやすく、機能も絞り込まれていて使いこなすのが簡単なので導入にかかるコストが低いのが特徴です。
顧客の情報や案件進捗状況、予実管理、売上とその予測といったデータを共有し、報連相にかかるコストを大幅に削減できます。機能が多すぎて使いこなせない・少なすぎて複雑な業務に対応できないというどちらの声にも対応し、特に「規模のあまり大きくない企業がとりあえずCRMを導入してみてどれくらい便利なのか知りたい」という声にぴったりのツールになります。
まとめ
この記事では、顧客満足度について、その必要性や具体的な施策について解説しました。また、CRMの実行を助けるツールとして「GENIEE SFA/CRM」を紹介しました。これからは自社の商品やサービスの認知、購入、アフターサービスの各段階における顧客体験の向上が固定客、リピーターの創出につながるという考え方が大切になります。
顧客一人ひとりのニーズを踏まえ、ツールの力を生かしてきめ細やかなサービスを継続的に提供することを目指しましょう。