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【エンタープライズ営業とは?】実践で役立つ営業ポイントをご紹介!

更新日:2024.02.28 / 営業ノウハウ
【エンタープライズ営業とは?】実践で役立つ営業ポイントをご紹介!

エンタープライズ営業とは、大企業を相手に行う営業手法のことです。一般的には大企業や公的機関などが対象になります。契約となれば大きな売上が見込める点が特徴です。近年、SaaS界隈で注目され始めています。

本記事では、エンタープライズ営業の定義や特徴、営業のポイントなどをご紹介します。

エンタープライズ営業の定義

エンタープライズ営業とは、公的機関や大企業などをターゲットにした営業手法のことを指します。大企業や公的機関は多くの部署があるため、一度営業を行えば複数の部署で導入してもらえる可能性があります。

また、複数のプロジェクトが進行していることも多いため、自社で抱えている商材によっては一度に複数の商材を導入してもらえるチャンスです。

特にサブスクリプション型の商材は、ユーザー数によって売上が決まります。そのため社員数が多い大企業で売上が見込めるでしょう。

大企業の定義とは?

エンタープライズ(Enterprise)は、直訳すると「企業・事業」などを意味します。一般的系にはIT業界における大企業・公的機関や、大規模組織向けの製品を指します。

では、そもそも大企業とはどのように定義されているのでしょうか。

大企業は「中小企業以外の企業」を指します。

つまり明確な定義がないのです。一方で、中小企業は「中小企業基準法」によって明確に以下のような基準が設けられています。

・製造業・その他 3億円以下または300人以下
・卸売業 1億円以下または100人以下
・サービス業 5,000万円以下または100人以下
・小売業 5,000万円以下または50人以下

この基準に該当しない企業が大企業とされています。

大企業は日本の企業のうち約0.3%以内とされています。社数にすると11,000社ほどです。

これらの企業に向けた営業が「エンタープライズ営業」ということになります。

The Model型営業との違い

近年、他に注目を集めている営業手法として「The Model型営業」があります。

この営業手法は、まず営業プロセスをマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスに分担します。

そしてリレー形式で連携することで、成果につなげる営業手法のことを指します。

「顧客の認知拡大→リードの絞り込み→商談獲得→契約」というプロセスで行われるのが特徴です。

多数のリードを精査し、優先順位を決めてアプローチすることで、契約に至ります。つまり最初は広くアプローチをし、そこから顧客を絞っていく営業手法です。

一方でエンタープライズ営業は、最初からアプローチする企業を決めてから行います。

The Model型営業では見込み顧客を絞りますが、エンタープライズ営業では広げています。大企業では、意思決定に多くの人が関わります。そのため、一つの部署に営業するだけでなく、上司、現場部署、経理部など多くの部署の人に営業活動を行い、人脈を拡張させていくことが大切です。

また、商談段階でもThe Model型営業と異なる点があります。

The Model型営業は営業マンが単独で行うことが多いですが、エンタープライズ営業では自社全体で自社製品をアピールします。

これは数千人、数万人が使うものを、営業マン一人の言葉だけでは決められないからです。自社のホームページやメルマガ、顧客訪問、SNSなどあらゆるものを使って自社製品をアピールしましょう。

さらに契約をしたら終わりではなく、契約後が重要です。導入サポートや運用支援などアフターフォローを行うことで、エンゲージメントを高めます。そうすれば他の部署でも導入してもらえたり、新しい商材も優先的に導入してもらえたりする可能性があるのです。

エンタープライズ営業は、「最初にターゲットを絞り、そこから拡大していく」営業手法のため、「最初は広く、そこから絞っていく」The Model型営業とはそもそも手法が大きく違うことを理解しておきましょう。

エンタープライズ営業の特徴

エンタープライズ営業は大企業や公的機関など、あらかじめ絞った企業にアプローチします。

中小企業などとは違った特徴があるため、中小企業相手にしか営業したことのない人は困惑してしまうこともあるでしょう。

ここではエンタープライズ営業ならではの特徴をご紹介します。

リード数が少ない

大企業は日本の企業全体の0.3%ほどとされています。そのためそもそもリード数が少なく、接点を持つことすら難しいとされています。特に安定した売上が見込める大企業は競争率が高く、競合他社も常にアプローチをしている状態です。

対象となる企業は、わざわざ自分から資料請求などの行動を起こさなくても、情報が入ってくる状態になっています。そのためアプローチ方法をかなり工夫しないと、リードとして獲得することは難しいでしょう。

リードタイムが長い

大企業は利用するユーザー数が多いため、一度購入・導入したら解約することが難しくなります。そのため商品・サービスの選定や購買プロセスも慎重です。

ユーザー数が多ければ費用負担も大きくなります。予算設定を前年に行う企業も多いため、その年度内で契約をとれない場合もあるでしょう。

また大企業は社内に複数の部署があります。一つの部署に新しい商品やサービスを導入したとしても、関連する他の部署にも影響が及ぶ可能性があるのです。

そのため、導入部署以外にも導入を検討してもらう必要があるでしょう。

さらに経理部や法務部などに稟議を通して認めてもらわなくてはいけません。これらのプロセスを経るため、どうしてもリードタイムが長くなってしまうのです。

それだけに、中小企業などよりも営業担当者の負担が大きいといえます。

売上が大きい

エンタープライズ営業は、一度契約をとれば大きい売上を獲得できる点が特徴です。

大企業は複数の部署から成り立っているため、一つの部署が新しい商品やサービスを導入すれば、他の部署もすべて合わせなければ業務が滞ってしまう可能性があります。

組織が大きくなれば、部署ごとで異なった製品やサービスを使っていることも多くあります。そこで他部署とツールを統一することによる利便性をアピールできれば、他の部署も一気に導入してもらえる可能性が高くなります。そのため一度契約を獲得できれば、多くの発注を得る場合が多いのです。

また大企業では、一度運用すれば多くの社員がそれを使うことになります。複数かつ複雑なプロセスを経ての契約・導入となっているので、契約すれば解約することはほとんどないでしょう。そのため継続して大きな売上が確保できるのです。

決裁者にたどり着きにくい

決裁者とは、製品・サービスの購入を決定する権利を持っている人物のことです。

この決裁者は大企業の規模によって変わります。中小企業であれば、社長が決裁権を持っているケースが多いでしょう。しかし、大企業の場合、社長ではなく役員や担当部署の部長などが決裁者となっていることがほとんどです。

そのため、アプローチする部署を間違えると、なかなか決裁者までたどり着かない可能性があります。

ライバル企業の登場

エンタープライズ企業は一度契約が決まると、多大な利益をもたらします。そのため、ライバル企業が多いのが特徴です。

通常、エンタープライズ企業は、1社だけなく複数社を比較検討して決めるケースがほとんどです。

そのため、ライバル企業に勝つために、無理して価格で勝負するというケースも出てしまいます。こうしたケースは結果として「価格でしか勝負できない企業」と見なされ、取引につながらないケースもあります。

こうした事態に陥らず、強力なライバル企業に勝つため、アプローチ作戦をしっかり練る必要があるでしょう。

エンタープライズ企業向けの営業は、中小企業向けの営業とはまた違ったスキルが必要です。ここでは、エンタープライズ営業を行うにあたり、強化しておきたいスキルをご紹介します。

情報収集力

エンタープライズ企業向けの営業では、ライバル企業よりも先にハイレベルなアプローチを行う必要があります。そのため、従来の営業のように「新製品が出たら訪問する」などのスタイルでは、成果を上げるのは難しいでしょう。

また、ホームページなどを見て情報収集をするだけでは不十分です。相手のニーズを満たすようなアプローチを行うには、ライバル企業に負けない「情報収集力」がカギとなるでしょう。

たとえば、以下の点をチェックします。

・顧客の商品の基本(どのような商品を売っているのか、どのような対象に向けて売っているのか など)
・顧客の保有資産(利用サービスなど)
・企業の組織情報と各組織の方針(どのような戦略をとっているのか、どのような課題があるのか)
・購買に至るまでのプロセスとそれに関わる部署(決裁者など)

特に、エンタープライズ企業は決裁者までたどり着くのが難しいとされています。適切かつ効果的なアプローチを行うには、決済者を知っておく必要があるでしょう。

決裁者を見極める方法の一つとして、組織の構成をチェックする方法があります。組織図を確認すれば、ある程度の指揮系統がわかるでしょう。

ただし、検討に関わる部署が多い場合は、決済者が担当部署のトップではない可能性があります。役員が複数人いる場合は、その内の誰かが決裁権を持っている可能性が高いでしょう。

また、注意したい点として、決裁者が「役職とは無関係のケースがある」ということです。経験を積ませるため、上司ではなくプロジェクトリーダーに決裁権を持たせるケースがあります。

営業マンは、事前に収集した情報に合わせて会話に注意し、決裁に関わっている人物が誰なのか、しっかり確認しましょう。

交渉力

営業マンにとって、コミュニケーション能力や交渉力は不可欠です。初対面の方と話す機会が多い営業マンは、高いコミュニケーション能力と交渉力が求められます。

営業においての交渉力は、一般的な社交性や対話能力とは違うものです。顧客といかに早く信頼関係を築けるかがカギとなるでしょう。

また、エンタープライズ企業は、担当者と商談を行うだけでは不十分なことも多いです。購買検討に関わる多くの人とできるだけ面会をすることで、可能性を高めていきます。

さらに、並みいるライバル企業との競争に勝たなくてはいけません。そのためにまず、以下のようなスキルを重点的に鍛えましょう

・ライバル企業より先に商談を進められる交渉力・計画立案力
・ライバル企業よりもハイレベルなアプローチ など

エンタープライズ企業は、一般的な企業のような営業計画を立てるだけでは不十分です。エンタープライズ企業に合わせた計画を立案し、交渉に臨む必要があります。

また、エンタープライズ企業と取引関係を構築するには、営業部門だけでは難しいでしょう。マーケティング部門、エンジニア部門など、他部門とチームを組み、ライバル企業よりもハイレベルなアプローチ方法を考える必要があるでしょう。

適切なアプローチを行い、顧客と信頼関係を早めに築ければ、相手のニーズを引き出せるようになるでしょう。

関係構築力

提案・商談機会を得たあと、いかにして関係を構築するかという能力も求められます。

大企業の購買担当者は数千人から数万人が使うことを想定しています。新しいものを導入する際は、慎重になる必要があるでしょう。あらゆる情報、あらゆる製品を検討したうえで選択しなくてはいけないため、営業マン一人の話を聞いただけでは決めない傾向にあります。そのため、営業マンはいかに「信頼関係を構築できるか」という部分が重要なのです。

また、信頼関係を構築するうえで目指すのは「仲が良い担当者」ではなく「支援者」です。ビジネス上で「仲が良い」というのは、営業マンが質問したら答えてくれる存在です。たとえば「上司はどう考えているか」という質問に対し「この数値を重要視している」と回答してくれる人です。

一方で「支援者」とは、「この商品・サービスを買おう」と積極的に購入に向けて社内で取り組んでくれる人を指します。ライバル企業が多いエンタープライズ企業営業においては、この支援者の有無が大きく影響を及ぼします。

エンタープライズ企業は、複数の企業の中から利用する商品やサービスを決定します。複数の企業から提案された内容、効果、価格を比較検討し、最終的な1社を選びます。この最終的な1社を決めるプロセスは、企業内の会議で決定されています。

意思決定の会議の中に支援者がいれば優位になるでしょう。意思決定の会議の中に営業マンが入ることはできないため、「今回は〇〇社にしましょう」と票を投じてくれる支援者の存在がとても大切なのです。

支援者をつくり出す関係構築能力が、営業マンにとっては必須のスキルといえるでしょう。

エンタープライズ営業のポイント

エンタープライズ営業は一度獲得すると大きな売上を獲得できますが、契約までの道のりは大変です。そのためエンタープライズ営業のポイントを押さえておきましょう。

ここではエンタープライズ営業で実践したいポイントをご紹介します。

ABMを実践する

ABM(Account Based Marketing)とは、特定の企業に最適なアプローチを行うマーケティング手法です。エンタープライズ営業は、特定の企業に営業活動を行うため、ABMの実践は必須といえるでしょう。

まず自社に蓄積されている顧客情報や購買履歴を確認します。SFA、CRM、MAツールなど、顧客のあらゆるデータが含まれたツールを利用することがおすすめです。

これらのデータを用いて、自社のターゲットとして適している業界や部署などの属性を考えましょう。

そして属性に適している企業を絞り込み、企業情報や財務状況などを分析します。

選定基準は、まず自社で重要と位置づけているものから検討しましょう。

ただし属性を広げすぎると、ターゲティングが薄まる可能性があります。「規模・地域・業界」などのデータのみで分析を行うと、実態と合わない可能性があるので注意しましょう。

ターゲットとなる企業を特定したら、次はアプローチを行いましょう。

たとえばインサイドセールス手法の一つである、BDR(Business Development Representative)という方法があります。

BDRは、ターゲットに決めた企業に対して能動的にアプローチする手法です。

ABMで企業を特定するだけでなく、他部署との商談の機会をつくり出したり、既存顧客へのアップセルやクロスセルも進めたりしていきましょう。

接点をつくる

大企業は既に契約先が決まっていることも多く、新規開拓は難しい面もあるでしょう。

テレアポや飛び込みで営業を行おうとしても、「新規営業はお断りします」と案内すらさせてもらえないことも多くあります。

さらにマーケティング施策からのアプローチも難しいでしょう。エンタープライズ営業はもともと数が少ないため、集客施策には適しません。

そのため「とにかく接点をつくる」という心構えが大切です。

さまざまな手法を試し、可能性のあることなら何でも行いましょう。

エンタープライズ営業は、事前に「この会社と契約する」と決めてから営業活動を行う手法です。そのため、接点をつくるためにできることをとにかくやるしかないのです。

たとえば以下の方法があります。

・テレアポ
・飛び込み営業
・メール
・DM
・手紙
・SNS
・企業のイベントやセミナー
・知人からの紹介
・クライアント企業からの紹介

とにかく可能性があるなら、どんな小さなことでもやるという気概を持つことが大切です。

「企業」ではなく「その企業に勤める誰か」と接点を持つだけでもよいのです。

人脈と情報を手に入れることができれば、営業活動は一歩前進したといってよいでしょう。

情報提供の形にレパートリーを持たせる

自社や自社製品・サービスを紹介するための方法に、レパートリーを持たせることも大切です。

たとえば近年では、オンラインで開催されるセミナーである「ウェビナー」が増えてきました。ウェビナーは、企業の所在地を問わずにアプローチできる方法です。

こうしたオンライン上の情報提供方法を含めて、さまざまな手段を増やすことで、紹介しやすくなるでしょう。

またアポイントをとることは難しくても、資料送付やセミナーの案内だったら可能というケースもあります。そのため、自社製品・サービスの情報提供できる形を増やしておくことが大切です。

具体的には以下の方法があります。

・オンラインでのアポイント
・対面でのアポイント
・セミナー
・ウェビナー
・資料送付
・メールマガジン
・ブログ
・交流会

など、まずは自社を知ってもらうことが重要です。こうしてレパートリーを増やすことで、ハードルを下げることができるでしょう。

また営業マンの負担も減らすことにつながります。

相関図を考える

企業の相関図を考えることも大切です。組織は大きくなるほど、部署や関わる人間も増えていきます。最初にターゲットとしている部署が他部署と連携していることも多いですし、購入する部署と利用する部署が違う場合もあります。

実際に購入を検討する担当部署と、現場の部署、現場と連携する部署など多くの部署、人と接点を持つ必要があるでしょう。

しかし、部署や人数が多くなれば「次に誰に会って何を案内すればいいのかわからない」という事態に陥りかねません。

部署やその部署のキーマンなどを含めた相関図を考えることで、企業の全体像を把握することにつながります。相関図があれば「何から始めればいいのか」「次に何をすればいいのか」がわかりやすくなり、混乱が起きにくいでしょう。

エンタープライズ営業は、契約の終わりではなく始まりです。一つの部署で導入してもらえたら、他部署でも使ってもらえるように契約を広げるための営業を行います。

そのために必要なことが、自社製品に好意的な感情を持ってくれているエンタープライズ企業の社員です。導入して大きな効果が出れば、導入担当者は社内で評価されることもあるでしょう。そうすれば、他部署に社内営業してもらえる可能性が高くなります。

こうした社員を増やすためにも、導入後の丁寧なアフターフォローがとても重要です。製品・サービスの定着支援や活用支援なども、営業活動と考えるくらいの意識を持ちましょう。

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エンタープライズ営業は通常の営業とは異なり、最初にターゲットを定めてから営業活動を行います。ただしエンタープライズ企業は数が少なく、すでに契約先が決まっていることが多くあります。そのため、あらゆる手段を用いてアプローチする必要があるでしょう。

時間とコストはかかりますが、契約がとれれば継続的に大きな売上が見込めます。通常の営業活動ではなく、エンタープライズ企業向けの営業活動を行うようにすることが大切です。

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