Googleやリクルートの営業という 看板なんて必要なし。 売れる営業マンが お客様に商品を売らない理由【前編】
小川 淳(おがわ・じゅん)
Kaizen Platform, Inc.
Head of Global Business
1995年に同志社大学を卒業後、リクルートでモバイルASP事業の立ち上げ、じゃらんでのエリアプロデューサーを担当。
その後、グーグルで広告営業部門の立ち上げ、業界営業部門の立ち上げから責任者、広告代理店事業の責任者を歴任。同社では、世界中でも限られたマネージャーにのみ与えられる“Great Manager Award”を当時日本で唯一受賞。2014年2月よりKaizen Platform に参画し、国内事業責任者を経て、現在グローバル事業の責任者を務める。
前編「お客様との良い関係を信頼で築くことが営業の本質」
Kaizen Platformで日本のカントリーマネージャーを経て現在グローバルビジネスの責任者を務める小川淳氏。リクルート時代から社内外に名を知られた同氏がパワフルに語る「営業」という仕事、そしてその極意とは?
啓蒙営業の難しさとポイント
小川
浅井さんとはリクルート時代に少しだけ一緒だったんですよね。2002年頃かな?
浅井
はい、小川さんが「じゃらん」に移る少し前です。だから異動になってからのことは、あまり存じ上げないんです。
小川
そうでしたか。「MO-ON」では僕は新規事業の立ち上げをやってました。当時はJフォン、ドコモ、KDDIと、キャリアごとにサイトを作らなくてはならなかったんですが、それを一気に作れるASPサービスを販売していたんです。その頃はまだ携帯サイトを持っている会社が少なくて、まずその必要性をお客様に知っていただくところから始めました。グーグルでの初期もそうでしたが、エバンジェリストです。まず商品を知っていただいて、それがどう役立つかを理解していただく。これは現職でも同じですね。ウチが扱っているA/Bテストって、まだご存じないお客様が多いんです。
浅井
啓蒙期の営業には難しいところがありますが、そのときに組織として成果を挙げるポイントはどこでしょう?
小川
良い質問ですね…ターゲットをどこに絞るかです。それもリアルに。「業界の上位何社」程度ではなくて「この会社のこの担当者に、こういう切り口で話をしよう」という、生々しいイメージを持つことです。どこの誰がどんなことで困っているか、悩んでいるか。そこに「こんなことでお困りではないですか?」と切り込む。啓蒙する。そうすると「やりましょう!」という話になるんです。どのお客様が喜んでお金を払ってくれるかという明確なイメージとボリューム感。それが大事でしょう。
自分自身を演出することも必要
浅井
営業マン個人としてはどうでしょうか?
小川
営業としての能力はもちろんですが、自己演出も必要です。たとえば白シャツとネクタイのお堅いスタイルで「これが最新のトレンドです!」なんて話しても、お客様にはピンとこない。だから僕の場合は、MO-ONの頃に見た目から変えました。まず白シャツの下の肌着、それもランニングシャツってのはまずい(笑)。ネクタイもやめて、もっと今風なスタイルにしないと。髪を伸ばしたりヒゲを生やしたり、いろいろやりました。
浅井
見た目から新しさを演出していくわけですね。
小川
営業とはいいながら、お客様に「新しいもの」を提供していくわけだから、見た目も尖ってないとダメなんです。商品そのものがまだ世間に知られておらず、必要だと考えている人もほとんどいない。だからまず、それを売る自分自身を際だたせるんです。そうして初めてお客様が話を聞いてくれる。「じゃらん」時代も、成績を伸ばしてた連中はみな見た目から尖ってましたね。
大切なのは準備とダイアログ、実行力
浅井
営業テクニックという点で、具体的なポイントというのはお持ちだったんですか?
小川
その頃僕が大事にしてたのは、まず準備。次にダイアログ、それと実行力ですね。尖ってた僕があまりお客様に嫌われなかったのは、準備に時間をかけてたからだと思います。たとえば、自分の持っている商品がお客様の役に立つかどうか、お客様のニーズに合ってるのか。そこも含めて調べてみて、あまり役に立てそうもないなと思ったら、そもそも営業に行かない。そうしたところも含めてきちっと準備する。これが第一です。
浅井
ダイアログというのは、お客様とのコミュニケーションですね。
小川
そうです。商品とお客様のニーズが合致して「じゃあやろう」ということになっても、そこで終わりじゃありません。その先のやりとりが大切になる。だいたいダメな営業マンというのは僕から見ると、肝心なところで言葉が足りない。できる人間は「ここ」というところで、きちんとお客様に声をかけられる。お客様が忘れているようなところを指摘して確認したり、逆にお客様が求めているものを聞き出したり、そういう部分でのお客様とのやりとりは大切です。
浅井
ダイアログというのは、お客様とのコミュニケーションですね。
小川
そうです。商品とお客様のニーズが合致して「じゃあやろう」ということになっても、そこで終わりじゃありません。その先のやりとりが大切になる。だいたいダメな営業マンというのは僕から見ると、肝心なところで言葉が足りない。できる人間は「ここ」というところで、きちんとお客様に声をかけられる。お客様が忘れているようなところを指摘して確認したり、逆にお客様が求めているものを聞き出したり、そういう部分でのお客様とのやりとりは大切です。
浅井
そして実行力でしょうか?
小川
実行力といっても、営業のその先の実行力です。大きな会社になると、ある程度システマティックにできあがっていて、業務は自然と流れていくものなんですが、そこまでの規模がない、あるいは新規事業の立ち上げなどの場合だと、ずいぶん変わってきます。僕が「じゃらん」で関わったのは「じゃらんnet」といって、各地の宿をネット予約できるサービスです。宿の情報を書き込めるASPがあって、僕らのお客様であるホテルや旅館の方々が自社の情報を書き込んでいく。
浅井
今ではごく一般的な仕組みですが、当時は新鮮だったのでしょうね。
小川
お客様にとっては初めて見るサービスですから。だから最初はASPの使い方、サイトの作り方をお教えするところから始まる。でも、そのままお客様任せにしてしまうと、いつまで経ってもサイトが立ち上がってこない。だから契約をいただいたあとでも、お客様のサポートは必要になる。営業とは違う業務ですが、そこまで実行しないと「売りっぱなし」になってしまう。
浅井
営業マンとしての売上は立っても、お客様の利益にはならないと。
小川
お客様にとっては初めて見るサービスですから。だから最初はASPの使い方、サイトの作り方をお教えするところから始まる。でも、そのままお客様任せにしてしまうと、いつまで経ってもサイトが立ち上がってこない。だから契約をいただいたあとでも、お客様のサポートは必要になる。営業とは違う業務ですが、そこまで実行しないと「売りっぱなし」になってしまう。
お客様が利益を上げることで僕らも利益を出せるのですから、契約のあともサポートをするのは当然。営業の実行力って、そこまで含んだものだと思うんです。いま扱っているサイト改善も似たところがあって、正直、あまり手離れは良くないんですよ。ただ、だからといってお客様に任せておいたら、あまり使いもせずに放置、ということになりやすい。だから時々はお客様を刺激して、ちゃんと使っていただく。そうして出てきた結果を評価して、次の展開を考える。そこまで関わっていくのが営業の実行力だし、営業の王道だとも思います。それを実感できたことが、自分にプラスに働いていますね。
下記のページでは、営業に関するお役立ち資料を公開しております。無料でダウンロードできるので、ぜひお気軽にご活用ください。