営業の効率化を促進させるインサイドセールスの基本と実践
「営業」の業務内容は「顧客とのコミュニケーション」ですが、その範囲は非常に広いものです。
ターゲットを設定し、彼らのニーズを調査し、アポを取り商談をする…。商談成立後も、顧客のサポートやアップセル、クロスセルの活動は欠かせません。
このように、従来の営業の流れでは、1人のセールスが担当する範囲は広く、業務は多岐にわたります。ですが営業マン自身のスキルが最も必要とされるのは、訪問商談からクロージングまでのプロセスです。ですからこれ以外の部分を分離し、個々の営業マンが訪問営業のみに専念するようにすれば、そのスキルを最大限に活かせます。
こうして生まれてきたのが、営業業務を分割するという発想の「インサイドセールス」です。
この記事では、インサイドセールスの基本から、営業をインサイド/フィ―ルドに分けるメリットまで解説します。
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インサイドセールスとは
インサイドセールスを直訳すると「内側のセールス」、つまり相手先を訪問せずに社内で行う営業活動全般を指します。DMや一斉配信によるメール営業、さらに電話での直接のアプローチなど、手段はさまざまです。一方、相手先を訪問して商談を進める営業業務は「フィールドセールス」などと呼ばれます。
インサイドセールスの担当範囲は、前項でお話ししたターゲット設定から始まり、商談につなげるまでです。また、商談が成立して顧客となった後は、フォローアップやアップセルの働きかけも行います。従来の営業プロセスの多くの部分を受け持ちますが、初期の段階ではマーケティング部門、また商談成立後のコミュニケーションはフィールドセールスと連携しながら行うことも多いでしょう。
ここまでの説明ですと、「アポインターとどう違うんだ?」と思われるかもしれません。ですが、アポインターが顧客接点の発掘と獲得という、ごく限られた範囲のみを扱うのに対して、インサイドセールスは関係構築やニーズ喚起まで行います。つまり、より営業的な領域で仕事をすることになります。
現在ではインサイドセールスに特化した人材派遣会社もありますが、このようなアウトソースはテレフォンアポインターと比べてかなりの高額です。これは、それなりのセールススキルを持った人材を擁していることの表れでもあります。
インサイドセールスが注目される理由
ここでは、インサイドセールスが注目される理由を2つ紹介します。
人手不足
日本は、少子高齢化による人材不足の問題が深刻化しています。生産年齢人口は毎年減少し続け、2060年には約4400万人にまで減少する見込みです。特に若年層の人材が不足し、即戦力となる人材の確保と採用コストの増大が大きな課題となっています。
大手企業ほどの知名度のない中小企業は、十分な人材を揃えることができないため、現状の人的リソースで営業を効率よく行い、成果を最大化していく必要があるのです。
このことから、飛び込み営業などのフィールドセールスを継続していくには人的リソースに限界があるため、近年はインサイドセールスに注目が集まっています。
新規顧客開拓の必要性
人口減少によって日本国内の市場が縮小し、また市場の成熟で成長が鈍化したことで、新規顧客の獲得競争は厳しさを増しています。
営業マンが努力して、リードのリスト作成やテレアポ、商談、顧客フォローを行っても獲得できる新規顧客の数には限界があり、従来の方法のままでは開拓が困難です。そこで、インサイドセールスがリードを獲得して、確度の高いリードレベルまで育成し、営業に引き渡すまでの役割を果たすことで、アプローチすべき対象を効率的に絞ることができます。インサイドセールスが人的リソース不足を補ってくれるので、戦略的な営業活動を少ない人員でも実施できるようになるのです。
また、インサイドセールスでリードナーチャリングができることは、遠方の顧客獲得にも積極的になれるというメリットをもたらします。営業手法がフィールドセールスだけだと、受注に至るかわからない相手に移動時間と交通費を費やして商談を行うのはなかなか難しいでしょう。しかし、インサイドセールスで購買意欲が最大限に高まった状態で商談を行えば、必要最低限のコストで確実な成果を得ることができます。
インサイドセールスがもたらすメリット
インサイドセールスは、人手不足の解消や新規顧客の開拓に役立つだけではありません。ここでは、インサイドセールスがもたらすメリットを2つ説明します。
インサイドセールスで、営業の効率化と拡大が可能
インサイドセールスを使うメリットはいくつかありますが、端的に言えば「営業業務を効率化して、最大の結果を得ることができる」ということでしょう。
例えば、レストランの厨房をイメージしてみてください。
オーナーみずから厨房に立つような小さな店舗は別として、それなりの規模のレストランならば、広い厨房で何人ものスタッフが作業しています。彼らは経験やスキルによって、それぞれ役割分担が決められています。
食器の洗浄や片付け、素材の下ごしらえ、煮物・焼き物担当のコンロ前など。こうすることで1つの料理を最初から最後まで担当するよりも効率が上がり、作業に無駄がなく、それぞれの作業に集中できますから、仕上がりにもむらがなく、すばらしい一皿を作ることができます。
営業業務の分担もこれと同じで、インサイド/フィールドそれぞれの領域に専念することで、業務の効率化を図れます。
また、フィールドセールスが外回りに出ている最中にも、インサイドは電話などでのアプローチをかけるわけですから、ターゲット層との接点が増え、商談につながるリード層がそれまで以上に厚くなります。見込みの薄い相手からは早々に手を引き、有望な相手先だけを選別して確保することができますから「有望見込客」で全体の分母が大きくなり、当然のように商談からクロージングへ至る件数も増やすことができます。
営業業務の効率を高め、さらに生産性を高める。これがインサイドセールスを活用するメリットです。
インサイドセールスがもたらす、有益な情報の数々
また、インサイドセールスを使えばデータの蓄積がしやすくなるという利点もあります。外を動き回るフィールドセールスと違い、社内の自分のデスクで電話をかけていくわけですから、その都度PCからデータベースの情報を更新できます。
いつ、どの会社の誰に電話を掛けたのか。そこでどんな話をし、反応はどうだったか。インサイドは単に「リストに従って電話をかける」だけの仕事ではなく、相手先との関係構築まで担当します。そのため何度かアプローチするうちに、相手先のさまざまな情報を得ることもできます。
自社の商材にどの程度の興味や必要性を感じているか。比較対象となっている競合はあるか。あるとすれば、どこが比較されているのか。こうした情報はフィールドが訪問するときに重要な要素になりますし、競合との比較という部分については、商品開発にも関係してきます。
さらに、Webを絡めたオンラインでの情報収集も、インサイドの作業分野です。
例えば、特定の個人が自社のWebサイトを訪れた際の閲覧ログをとれるツールを活用すれば、顧客の興味の対象を知ることもできます。こうした個人に紐づけたデータはとても有用なものです。
また、商談に至らなかった場合でも「何がネックだったのか」が分かれば、それを次に活かすこともできます。顔を合わせての商談ではなかなか見えない、相手の本音が聞けることもあるでしょう。
コストの点で折り合いがつかなかった、特性が合致しない、あるいは機能が不充分だと認識されている、すでに同様の製品やサービスを使っており、乗り換えの必要を感じていない…などなど。
このような情報は営業のみならず、マーケティングや商品開発など自社の企業活動に広く活用することができます。
インサイドセールスに向いているのは?
インサイドセールスに向いているのは、価格帯が安くて説明がしやすい商品・サービスです。また、価格設定が高めの商品・サービスであっても、価格設定に納得感のあるポジショニングができている商材であればインサイドセールスでも成果を上げることが可能です。
さらに、アップセル・クロスセルが期待できる商品・サービスは、継続的に関係性を構築するインサイドセールスに最適です。時間をかけて顧客のニーズを把握し、自社商材への深い理解を促すことができるので、1人もしくは1社あたりの単価を引き上げることができるでしょう。
インサイドセールスをどのように活用するか
インサイドセールスを活用するには、まずベストと思われる営業シナリオを作るところから始めます。
この図ではターゲットの選定からアフターフォローまでを7つのステップに分けていますが、これは自社の状況に合わせて増減してかまいません。ただ、あまり細分化してしまうと分かりにくくなるので、大まかにざっくりと分けるのが良いでしょう。そして、それぞれのステップをインサイドとフィールドで切り分ければ良いのです。
ただし、ここで重要なのは、インサイドとフィールドの担当範囲をしっかり線引きしておくことです。そこが曖昧では、責任の所在も不明瞭になってしまいます。ですから、上の図のように、商談のアポイントを取るところまでインサイドが担当し、それまでのコミュニケーションで得られた情報を全てそろえてフィールドに渡す、というフローを作っておくことです。
また情報については、正確な情報が少しでも多くほしいところです。前項でお話ししたような「他社製品との比較検討中」という状況であれば、訪問するときにそれなりの準備が必要です。「導入や運用についての不安がある」ということであれば、そこをどのようにフォローできるか、ケアプランの準備も必要でしょう。
フィールドセールスが万全の準備を整えられるような情報を用意することも、インサイドセールスの大切な役割です。そしてこうした情報を整理・管理し、フィールドに受け渡すためには、SFAツールやCRMツールといったツールをはじめとした営業支援システムが必須となります。
SFA/CRMツールの活用
SFAツール(営業管理システム)や、CRMツール(顧客管理システム)と呼ばれる営業支援システムの多くには、商談管理の機能が備わっています。商談管理の機能を使うことで、いつ、誰に、どのような話をし、どんな反応だったかを記録でき、インサイドセールスとフィールドセールスの情報共有ができます。
例えば、顧客側で問題が発生した際に、インサイドセールスが速やかに情報をつかみ、SFA/CRMツールを用いて、発生した問題の解決策を過去の事例から抽出し、連携しているチャットから、フィールドセールスに対応を依頼することも可能になります。
SFA/CRMツールはマネージャーと営業の管理システムに思われがちですが、インサイドセールスとフィールドセールスや、営業部門と開発部門や制作部門との情報共有のデータベースとしても活用可能です。管理という観点を外してみても、これまでの行動の履歴を残すことは、業務改善や時間短縮に大いにつながります。また、SFA/CRMツールを導入することで、営業活動において、より一層インサイドセールスの効果が発揮されます。
SFA/CRMツールを導入する前にすべきこと
ここでは、SFA/CRMツールを導入する前にすべきことを3つ紹介します。
顧客中心の営業戦略を立てる
SFA/CRMツールを導入する以前に、自社の営業戦略の見直しを行いましょう。自社の技術や強みばかりを強調した営業戦略は、顧客のニーズに寄り添うことはできません。このような戦略を維持したままでは、いくら優れたSFA/CRMツールであっても成果を出すことはできないでしょう。
そこで取り入れるべき戦略は、顧客中心主義の営業戦略です。顧客中心主義とは、顧客のニーズを読み取り、スピーディに問題解決することで顧客の幸福度を引き上げるようなアプローチをしていく考え方です。
技術の発達が加速度的に進歩したことで、顧客は企業に対して抱く期待が大きくなる一方、不満も抱きやすくなり、より良い商品やサービスを求めて頻繁に乗り換えるようになりました。また、SNSの発達により顧客が企業のサービスや商品の体験を共有しやすくなったことで、企業は商品・サービスの質だけでなく、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上が課題となっています。
これらの課題を解決するためにも、企業は顧客中心の営業戦略を考える必要があります。その際、ポイントなる10個の習慣は以下の通りです。
・継続的にVoC(顧客の声)に耳を傾ける
・フィードバックに確実に対応する
・顧客ニーズを見越した、先回りした行動をする
・顧客との共感を自社のポリシーやプロセスに組み込んでいる
・顧客のプライバシーを尊重する
・顧客の日常生活や業務に貢献できる価値を提供する
・従業員のモチベーションの向上させる
・具体的なビジョンを構築して実行する
・CX向上の責任者を明確にする
・世の中の状況や顧客のニーズに適応する
運用体制を整える
SFA/CRMツールを導入する前に、まずは社員に導入目的を理解してもらうようにしましょう。ツールを導入すると、営業担当がそれぞれに持っていた顧客情報やノウハウが全社員に共有されることになります。スキルや成績で優位な営業担当者から心理的抵抗や反発が生まれることがあるので、なぜツールを導入するのか、現在の課題と実現しなくてはならないことの認識を統一しておきましょう。
また、カスタマーサービスやマーケティングなどの他部門との連携も必須になってくるため、ワークフローの変更をしなくてはならないケースもあります。ツールの運用を取り仕切るマネージャーを配置し、強い推進力を持って運用ルールを決定しましょう。
必要な機能を洗い出す
SFA/CRMツールの必要な機能を具体的に洗い出しましょう。ツールの基本的な機能は同じでも、特徴的な機能を搭載していたり、特定の機能に特化して差別化を図っていたりします。また、既存のシステムと連携して運用していきたい場合は、連携が可能かどうか導入前に必ず確認しておきましょう。
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