営業のトークスクリプトは作成すべき?活用時の注意点まで解説!
営業のトークスクリプトとは、顧客に対して「どんな内容の話をするのか」をまとめたマニュアルのことを指します。営業のトークスクリプトがあることで、教育時間の削減や営業トークの改善などにつながるなど、さまざまなメリットがあります。
本記事では、営業のトークスクリプトを作成するメリットや作成の際の注意点やポイントなどをご紹介します。
営業のトークスクリプトとは?
営業のトークスクリプトとは、営業活動の際に、顧客に対して話す内容や順番を決めたマニュアル(台本)のことです。営業のトークスクリプトをもとに、顧客に電話をかけたり、現場で話をしたりなどの営業活動が行われます。
たとえば、会話の始め方や商品やサービスに関する説明、顧客への質問方法、クロージングの方法などが記載されています。
トークスクリプトを見ることで会話の流れがわかりやすくなるため、営業活動に慣れていない人にとっては心強い味方となるでしょう。
テレワークによって注目されるように
営業のトークスクリプトは以前から使用されていましたが、近年テレワークが浸透したことから、再び注目されています。
営業活動も、直接対面して商談する従来の方法から、オンライン商談という新しい方法が増えてきました。
オンライン商談における課題の一つが「情報の共有」です。チームメンバーの営業活動状況が見えにくくなり、成果を出しているメンバーのノウハウが共有されない状況になっていることも多くあります。また、新人教育も進め方が難しくなっています。
そのため、トークスクリプトによってトーク内容の均一化を図ったり、新人教育を行いやすくしようという動きになっているのです。
営業のトークスクリプトを作成するメリット
営業のトークスクリプトはさまざまなメリットがあります。ここでは、そのメリットについて詳しくご紹介します。
教育時間の削減につながる
トークスクリプトがあれば、教育時間の削減が期待できます。初めて営業活動をする人は、何から話したらよいのか、何を話せばよいのかわからない状態です。
トークスクリプトがあれば、営業活動が初めての人でも、何から話せばよいのかわかりやすくなります。一から教育する時間を削減できるでしょう。
また、指導内容の均一化も図れます。複数の新人に教育を行う場合、見本となるトークスクリプトがなければ、指導する社員ごとに内容にばらつきが出る可能性があります。トークスクリプトがあれば、指導内容を均一化・統一化できるので、スムーズに新人教育が進められるでしょう。
営業トークの改善につながる
営業マンは、個々のスキルの差が出やすい職種です。トークスクリプトがないと、それぞれの知識や経験などで話を進めるため、人によって営業活動に差が出てしまいます。
また、アピールポイントがズレることで、成果や失敗などの判断がしにくい可能性もあるでしょう。
トークスクリプトがあれば、営業マンが営業活動をする際に、自社製品やサービスに関して統一したトークが可能になります。営業マン全員が同じ基準を持って話をすることで、アポイント獲得や成約につながるポイントを見つけやすくなるのです。
その結果、営業トークの均一化や改善が図れ、チーム全体の成績アップにつながります。
さらに、自信を持って話すことにもつながるでしょう。トークスクリプトは、営業トークに必要な状況を想定して作られています。そのため、「このときはこう答える」「こうした反応はこう答えればいい」など、状況に応じた対応方法をあらかじめ準備しておけます。
営業活動に慣れていない営業マンにとって、こうした心の準備はとても重要です。準備をしっかりしていることが心の余裕を生み、自信を持って話せるようになるでしょう。
自信を持って話しているかどうかは、顧客もすぐにわかります。顧客の立場に立って考えると、自信なさそうに話す営業マンよりも、自信を持って話す営業マンのほうが信頼をおきやすいでしょう。自信を持って話すことは、とても重要なのです。
トラブルの防止につながる
トークスクリプトはトラブル防止につながります。
たとえば、「Aさんは〇〇と言っていたがBさんは××と言っていた」など、営業マンごとにトークの内容に齟齬があると、トラブルにつながる恐れがあります。
トークスクリプトがあれば、トーク内容や自社製品に関する理解も深まっているため、話す人物によって内容が違うということがなくなります。
そのため、未然にトラブルを防ぐことができるのです。
営業品質の安定化につながる
営業のトークスクリプトは、営業品質の安定化につながることが期待できます。トークスクリプトを確認しながら営業活動をすれば、誰でも同じように業務が行えます。
トークススクリプトを確認することで業務に必要な作業をこなせるようにすれば、社員ごとにバラつきが出るのを防げるでしょう。レベルを一定化させることで、営業品質の安定にもつながります。
個人依存のリスクが避けられる点もメリットです。営業活動は属人化しやすく、「担当者しか知らない」という事態が発生することもあるでしょう。また、その社員しかもっていない独自のノウハウがある可能性もあります。
営業活動が属人化していると、その社員が休んだり、異動したりすれば誰も対応できなくなってしまいます。さらに、優秀な営業マンのノウハウが失われてしまうこともあるでしょう。
営業のトークスクリプトがあれば、そうした事態を解決できるようになります。トークスクリプトに営業活動の流れが記載されているので、誰でも同じノウハウを獲得できます。
組織で働くには、社員の足並みを揃える必要があります。仕事とは1人で行うものではなく、メンバー全員が協力して行うものです。営業トークスクリプトによって自社の営業トークの流れを社員全体が理解することで、足並みを揃えることにつながります。
新人でも自信をもってトークできる
誰でも初めての営業活動は緊張するものです。特に、営業トークは事前に研修があっても、実際に顧客と話すとなると緊張する人が多いでしょう。
台本がないままテレアポや商談を行うのが不安なあまり、自信のないトークになってしまうこともあります。それでは、顧客に「頼りない」「あまり一緒に仕事をしたいとは思わない」と感じさせてしまうでしょう。
トークスクリプトがあれば、トークの大まかな流れがつかめます。対処法なども記載してあるので、いざというときも安心して対応できるでしょう。
また、トークの流れをつかむことで自信が湧き、ハキハキと喋ることもできます。自信を持った姿で顧客からの好感度を上げることで、アポや契約をとれる可能性が高くなるでしょう。
営業のトークスクリプトの流れ
では、実際に営業のトークスクリプトはどのようなものが記載されているのでしょうか。ここでは、トークスクリプトに盛り込んでおきたい流れをご紹介します。
挨拶
最初の挨拶は特に重要なポイントです。淡々と会社名や担当者名を名乗るのではなく、相手に印象づけるような挨拶をしましょう。そうすることで、次の話につなげやすくなります。
たとえば、以下のような挨拶があります。
・〇〇の売上アップをお手伝いしている株式会社〇〇の〇〇と申します
・〇〇のサービスを提供している〇〇の〇〇と申します
慣れないうちは、いくつかのパターンをトークスクリプトに盛り込んでおくとよいでしょう。
メリットを伝える
挨拶が終わったら、次に自社製品の紹介を行いましょう。そして、自社製品を使えばどのようなメリットがあるのかを伝えます。
簡潔で伝わりやすいトークになっているかが重要です。ついメリットを多く伝えようと文章が長くなりがちですが、電話でだらだらと話されても、印象に残らないことが多いです。
たとえば、以下のようなパターンがあります。
・月間の売上が〇〇円アップした事例をご紹介しております
・Webマーケティング効果を高める方法をご紹介しております
声に出しながら、簡潔かつわかりやすいかどうか確認しながら行いましょう。
質問をする/答える
こちらからする質問や、相手からされるであろう質問を想定してまとめておきます。Q&A式でまとめておくとわかりやすいでしょう。
・私もそう思います。どこかで〇〇についてのお話を聞かれたことはございますか?(違う視点から話をする)
・(「今は忙しい」と断られた場合)お忙しいところ申し訳ございません。5分で結構ですので、お時間を頂戴できないでしょうか
・今、お使いの〇〇についてご不満な点はございませんでしょうか
声に出しながら、簡潔かつ分かりやすいかどうかを確認しながら行いましょう。
次のステップへ促す
こちらから商談など次のステップを提示すると、「断りにくくしているのではないか」と身構えてしまうこともあるでしょう。心理的ハードルを下げるために、あくまで「判断はそちらでして欲しい」という気持ちを伝え、やんわりと次のステップへ促します。
・ぜひ〇〇様にご判断いただきたいのですが……
・最終的にご判断いただくのは〇〇様ですので、ご不要と思ったらお断りいただいても構いません
こうした提案を行い、顧客側の反応が悪くなければ商品の日時のすり合わせを行いましょう。
営業のトークスクリプトの作成ポイント
営業のトークスクリプトを作成する際は、いくつかのポイントに気を付けましょう。
ここでは、作成のポイントをご紹介します。
目的別に作成する
まずは何のためにトークスクリプトを作成するのか明確にしましょう。テレアポなのか、インサイドセールスなのか、目的によってトークスクリプトは変化するためです。
アポイント獲得までが目的なのか、顧客の購買意欲をもたらすことが目的なのかにより、内容や流れが変わります。
ペルソナを意識する
次に、対象となる顧客のペルソナを意識しましょう。ペルソナとは商品やサービスの対象となる顧客像のことです。
商品やサービスを利用する顧客像をできるだけ詳細にイメージします。たとえば、年齢、性別、職業、年収、趣味、家族構成、休日の過ごし方などです。実際にいるかのようなリアリティのある顧客像を描くことで、その人物にマッチするような施策や営業トークを展開できるようになります。
また、ペルソナを設定すれば、「誰に話すか」を想定しやすくなります。「相手はどんな企業なのか」「役職や担当している業務は何か」「どんな課題を抱えているのか」などをイメージしやすくなります。そして、自社製品やサービスが、課題解決のために具体的にどのよう役立つのかがイメージしやすくなるでしょう。
できるだけ詳しくペルソナを設定することで、トークスクリプトも作りやすくなります。
さらに、商品の説明を一方的に行うのでなく、相手から会話を引き出すことも大切です。相手に質問することで、状況や問題点を聞き出せます。
たとえば以下のような質問パターンがあります。
・「〇〇でお困りではありませんか?」
・「〇〇に関してどのような対策を行ってらっしゃいますか?」 など
こうした質問を入れ込むことにより、相手の現状や問題点を引き出すことができるでしょう。
また、相手からの返答も複数パターン想定してきましょう。トークスクリプトは相手の返答によって答えが違います。あらかじめ相手の返答パターンを予想しておくことで、焦らず質問への回答ができます。
さらに、単なる返答や質問だけでなく、ネガティブな言葉に対してうまく返せるようなトークも必要です。いざというときに答えに詰まらないように、あらゆる方面への返答パターンを考えておきましょう。
おおまかな形ができたら、会話に不自然さがないか確認します。実際に会話をしてみて不自然な部分があれば、随時調整を行いましょう。
具体的な数字を用いる
トークスクリプトは、具体的な数字やデータを用いることも大切です。
「便利になります」「効率的になります」など曖昧な言葉だけでは、顧客は興味を持ってくれません。
また、アポイントがとれたとしても、実際に使用する具体的なイメージが湧かなければ、契約まで結びつけることは難しいでしょう。
曖昧な表現でなく、具体的な数字やデータを用いることが大切です。
たとえば、「同業他社では、売上が1年間で25%アップしました」と言われたほうが、単に「売上向上が期待できます」と言われるより、より興味関心を引きやすいでしょう。
売上向上やコスト削減、業務効率化など、多くの企業で課題となっている事例とそれに対する解決策を提示することで、相手が「もっと聞きたい」を思えるようなトークが展開できるようになります。
フローチャート形式で考える
相手からどのような返答があるかあらかじめ想定しておきましょう。事前に想定していないと、顧客から質問を返されたときに焦ってしまいます。
たとえば、「必要ないから」「うちは困っていないから」と相手に断られたときや、鋭い返しがあったときでも、次につなげられるようなトークパターンを考えておきましょう。
作成する際は、フローチャート形式にすると会話の流れがわかりやすいのでおすすめです。
断る理由を与えない
テレアポでは「顧客に断られる」という経験をすることも少なくないでしょう。顧客から見れば、電話の相手は顔も知らない人です。仕事の手を止めてまで話を聞くには、それなりのメリットが必要でしょう。
そのため、断る理由を与えないような話し方を心がけます。
たとえば、「イエスバット(YES/BUT)話法」があります。相手が言ったことに共感しつつも、違う意見を唱える話法です。この話法であれば、相手に不快感を与えずこちらの意見を伝えられます。
顧客「興味があるが価格が高いので難しい」
営業マン「確かに価格がネックとなる方も多いです。しかし、実はこれよりもお得なプランもご提示できますよ」
と話せば、自然に断る理由を否定できます。断る理由を一つひとつつぶせば、クロージングの精度も上がるでしょう。
営業でトークスクリプトを活用するときの注意点
営業のトークスクリプトはさまざまなメリットがありますが、活用する際は注意するポイントもあります。ここでは、注意点についてご紹介します。
「読んでいる」ようにならないように
トークスクリプトの内容は、必ず口に出してチェックしましょう。慣れていないと、台本を読んでいるかのようになってしまいます。声に出すことにより、文字だけでは分からなかった改善点に気づけます。抑揚をつけたり、会話の間を取ったりすることに気を付ければ、相手も聞きやすくなるでしょう。
また、声に出したものを録音して、自分で聞いてみることもおすすめです。客観的に聞くことにより、自分のクセに気付きやすくなります。他の人に聞いてもらうことで、問題点を指摘してもらうというような使い方もできます。
客観的に聞くことにより「相手がこの話を聞いたらどう思うだろう」と考えるきっかけになるでしょう。
トークスクリプトの内容は改善を続ける
トークスクリプトは、一度作成したら終わりではなく、改善を続けることが大切です。何度も作成し直して、ブラッシュアップを続けましょう。
トークスクリプトは台本なので、実際に運用するまでは、自分が一方的に話しているかどうかわかりにくいものです。営業トークにおいては情報を伝えることも大切ですが、相手の立場を考えることも大切です。
自社の良さを伝えるだけでなく、相手の立場に立って作成しましょう。専門用語や聞き取りにくそうな言葉、曖昧な言い回しなどは、できるだけ避けるようにします。誰が聞いてもわかりやすいものであることを念頭に置きましょう。一方的なトークは相手に悪印象を与えてしまいかねません。
実際の営業活動で使用して、「この言い方だと相手にわかりにくそうだった」「ネガティブに受け取られた」「言い方を変えたら反応が良くなった」など、問題点や改善点が見えることも多いでしょう。
こうしたサンプルを集めながら、必要に応じてトークスクリプトの改善を図ります。常に改善を図ることで、より良い内容にすることができるでしょう・
取引先を装うのはNG
話を聞いてもらいたいからといって、取引先を装うことはやってはいけません。虚偽の申告は相手からの信頼をなくしてしまい、今後取引ができる可能性がまったくなくなってしまうでしょう。
あくまで正直に伝えて勝負します。
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営業のトークスクリプトを作成することは、トーク品質の均一化や教育時間の削減など、さまざまなメリットがあります。また、トークスクリプトがあることにより、自信を持って話せるようになるでしょう。
ただ、型にはまったトークは相手の興味関心を引きにくいでしょう。あくまでトークスクリプトはマニュアルであるということを念頭に置いて、自分なりの営業トークをつくり上げていく必要があります。
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