SPIN営業とは?質問の目的と具体例を解説

更新日:2024.02.09 / 営業ノウハウ 

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SPIN営業とは、4つの質問を通じて顧客の潜在的な課題や問題を明らかにし、商談につなげる営業手法です。

顧客といっしょに潜在ニーズを引き出していくため納得感が得られやすく、スムーズに受注までたどり着きやすいというメリットがあります。しかし、どのように営業に取り入れるべきかわからないという人もいるでしょう。

今回はSPIN営業とは何か、具体的にどのように進めればいいのかについて、詳しくご紹介します。

SPIN営業はSPIN話法を使った営業テクニックのこと

SPIN営業とは、「SPIN話法」を取り入れた営業テクニックを指します。SPIN話法は、英国の行動心理学者であるニール・ラッカム氏が提唱した、潜在ニーズを引き出すフレームワークです。

 

顧客のすべてが、自社が抱えている課題や問題を正しく認識できているとは限りません。課題や問題に気づいていても、その原因が何か、どのような対策が効果的なのかに思いが至っていないこともあります。SPIN話法を利用して潜在ニーズを引き出し、課題を明確化した上で解決策を提案することで、より効率良く受注につなげられるでしょう。

 

SPIN営業は1980年代の終わりに登場しましたが、現在でもBtoB営業の基盤として、多くの企業で活用されています。

SPIN話法を構成する4つの要素

SPIN話法は、「Situation(状況)」「Problem(問題)」「Implication(示唆)」「Need payoff(解決)」の4つの言葉の頭文字から取られました。この4つを順番に質問することで、顧客が潜在的に抱えている課題と解決の必要性、そのための方策を、顧客自身に気づいてもらうことがSPIN話法の目的です。

 

企業でも個人でも、すでに顕在化している課題や問題を解決することは、難しくはありません。しかし、潜在的な課題やニーズに対しては、まず顧客自身が「気づく」ところから始めなくてはなりません。SPIN話法は、そのための有効な手段です。

SPIN営業のメリット

SPIN営業の活用には、いくつかのメリットがあります。これは営業する側だけでなく、顧客にとってもプラスに働きます。SPIN営業で得られる主なメリットは、下記のとおりです。

潜在的なニーズを掘り起こせる

SPIN話法は、顧客自身が気づいていない、潜在的なニーズや課題を明らかにするものです。顧客に顕在ニーズを聞き出すことは、そう難しくないでしょう。しかし、顧客が自分たちのニーズや課題に気づいているとは限りません。

 

SPIN話法を利用することで、会話の中で顧客から自然に潜在ニーズを聞き出すことができ、顧客自身も抱えていた課題に気づけます。さらに、ニーズが顕在化しているように見えた顧客でも、SPIN話法によって本質的な課題が別にあるとわかるケースもあります。

スムーズに商談につなげられる

営業にはさまざまなスタイルがありますが、自社製品やサービスの特長や、導入のメリットをプッシュするだけでは、商談をうまく進めることはできません。興味のない商品やサービスについてのセールストークに対して、顧客が心を開くことはないでしょう。

 

SPIN話法によって潜在ニーズに気づけた状態であれば、顧客は課題を解決しようという前向きな気持ちで話を聞いてくれます。スムーズに商談につなげることができ、受注率の向上が期待できます。

信頼関係を構築できる

営業において重要な要素のひとつに「信頼関係」があります。信頼関係を構築するために、SPIN営業は有効な方法です。

 

商談の際、「売り込みに来た人」として、営業担当者に身構える人は少なくありません。しかし、SPIN話法によって、顧客が自分たちの抱えている課題に気づき、解決しなければならない問題と認識できていれば、営業担当者を「解決策を考えてくれる人」と信頼を寄せてくれるでしょう。

商談についても、「必要なものを提供してくれる機会」と捉えてくれる可能性があります。

SPIN営業とは?質問の目的と具体例を解説1

SPIN営業の核となるSPIN話法は、4つの質問を順に顧客に投げかけることで進めていくものです。

それぞれの質問をどのように行い、それによってどのような効果が得られるか、また、具体的にどのように質問すべきか、例を挙げて解説します。

Situation:状況質問

最初の質問は、業務の状況や業務の遂行方法、使用しているツール・サービスなど、顧客の現状を把握するための状況質問です。

提案したい商材に関連したテーマを選び、顧客の現状を確認しましょう。また、ここでの質問数が多すぎると不快感を与えるおそれがあるため、内容はシンプルにまとめて数を絞ります。状況質問だけで相手を理解しようと思わず、事前に顧客についてリサーチし、ポイントを絞って質問することが重要です。

 

<状況質問の例>

・業務の◯◯をどのように管理されていますか?

・ツールやサービスの使用頻度はどのくらいですか?

・それぞれのタスクにかかっている時間はどのくらいですか?

Problem:問題質問

どのような課題や問題が潜んでいるかを引き出す問題質問は、「はい」「いいえ」で端的に答えられるような、クローズドクエスチョンが適しています。ポイントは、営業担当者が課題を指摘するのではなく、顧客が自分で気づくことです。顧客自身が課題を認識することで、「売り込まれている」という意識を持ちづらくなります。

 

焦点が合わない質問を繰り返すと次のステップに進めないため、状況質問の答えを踏まえて、顧客が抱えている課題について仮説を立てて質問してください。自社の顧客が、どのような課題や問題を抱えていたかを整理しておくと、問題質問の内容が見つかりやすくなります。

 

<問題質問の例>

・専任の管理者はいらっしゃいますか?

・ツールの機能やサービスに不足はありませんか?

・業務の属人化が起こってませんか?

Implication:示唆質問

示唆質問は、課題を解決することの重要性を知ってもらうものです。顕在化したニーズや問題をそのままにしておくことで、具体的に何が起きるかを考えてもらいます。示唆質問はSPIN話法の中でも最も難しい部分とされており、重要な部分でもあります。

 

課題が明らかになっているため、結論を指摘したくなりますが、焦らず顧客と共に解決策を考えるパートナーとしての姿勢をとりましょう。一方的に解決を迫るのではなく、あくまで顧客の思考を解決する方向に向かわせることが大切です。

 

<質問例>

・業務品質のばらつきによって、見えない損失が生まれていませんか?

・この状態が続くと、生産性が頭打ちにならないでしょうか?

・属人化がこれ以上進むと、業務効率が低下しませんか?

Need payoff:解決質問

解決質問は、明らかになった課題や問題に対し、顧客が積極的に解決する姿勢を表明する段階です。課題を解決する効果やメリットに気づかせる質問により、顧客は問題解消後のイメージを膨らませることができるでしょう。顧客みずからが、「課題を解決して◯◯したい」「問題が解消したら◯◯できる」など、積極的な姿勢を見せたところで商材のプレゼンや提案を行います。

 

その後の具体的な提案までには時間がかかりますが、顧客が最も前向きなタイミングで商談に進める点はメリットです。商材の利用に対しても、「すすめられたから」ではなく、「みずから選んだ」という意識を持ってもらいやすくなります。

 

<質問例>

・◯◯が自動化できれば、専任者なしでも業務品質が均質にできるのではありませんか?

・時間と労力を節約できれば、作業効率が高まりませんか?

・属人化が避けられれば、組織全体のパフォーマンスが向上しませんか?

SPIN営業のポイント

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SPIN営業は、質問に対する顧客の回答から、潜在的ニーズを引き出す営業手法です。ただし、手順どおりに質問を重ねたからといって、必ずうまくいくわけではありません。また、成功率を高めるためには、コツを押さえることも必要です。

ここでは、SPIN営業を成約に結び付けるために、知っておきたいポイントを見ていきましょう。

事前に顧客情報を収集しておく

SPIN営業は、質問を重ねながら顧客の状況や隠れたニーズを探っていきます。顧客の情報がまったくない状態では、現状の把握や課題の抽出に時間がかかったり、本質に迫れなかったりという可能性もあります。

 

ヒアリングに入る前は、顧客の情報をできるだけ多く収集しておきましょう。公式サイトはもちろん、公式SNSや業界紙などもチェックして、できるだけ多くの情報を集めてください。

事前に得られる情報が多いほど課題や問題の推測がしやすくなりますし、限られた時間でより有効な質問ができます。

顧客自身が課題に気づける質問をする

繰り返しになりますが、SPIN営業で発する質問は、顧客自身の気づきを促すためのものです。顧客が抱えている課題や問題をある程度想定しておき、顧客自身がそこに気づけるような誘導を心掛けてください。

 

他人から指摘されるのではなく、顧客みずから課題に気づき、その解決の必要性を理解すれば、顧客はより真剣に、積極的に課題に向き合うようになります。その上で解決策を提示すれば、商談の成約率をより高められます。顧客が課題に気づき、解決に積極的な姿勢を見せるまでは、商材の提案はしないほうがいいでしょう。

ヒアリングシートを用意する

事前にヒアリングシートを作っておくこともSPIN営業を成功させるポイントです。4つの項目それぞれに関して、何を聞くかをリストアップしておけば聞き漏れがなく、話の脱線を防げます。

また、ヒアリングシートがあると「次に何を尋ねるべきか」と考え込むことも少なくなり、時間を有効活用できるでしょう。

 

ヒアリングシートにどのような項目を入れ込むかはケースバイケースですが、少なくとも次のような項目は必須です。

 

<ヒアリングシートの項目>

・競合を含む業界の現状

・顧客が現在認識している課題

・スケジュール

・意思決定のプロセスと部署

・予算

・疑問点、懸念する点

 

※ヒアリングシート 作り方にリンク

実施後にヒアリングの内容を共有する

SPIN営業におけるヒアリングは、顧客との共同作業であり、その結果として顧客はそれまで潜在化していた課題や問題に気づき、理解することができます。終了後は顧客の「課題を解決したい」という熱意が冷めないうちに内容を簡潔にまとめ、お礼とともにメールなどで共有しましょう。

 

営業の仕事は「売ったら終わり」ではありません。むしろスタートであり、顧客との良好な関係を続けていくことが大切です。そのためには、お互いの信頼感を常に良好に維持し続けることが重要です。好ましい関係構築のためにも、早めのフィードバックを心掛けてください。

課題や問題の原因を掘り下げ、真の解決に導こう

SPIN営業は、顧客と信頼関係を築き、潜在的なニーズを把握するために有効な方法です。商談に至るまでのプロセスが長く、状況を理解した上で質問を見つけるため難度も高いですが、SPIN営業のスキルを身につけることで成約率の向上が期待できるでしょう。

 

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