CRMの成功事例と活用ポイントを解説!業界別に事例をご紹介
近年は多くの企業が顧客との関係性構築に注力しています。そんななかでも欠かすことのできない取り組みがCRMです。「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略であり、ツール・システムとしても普及しているCRM。こちらでは、CRMの導入成功事例と活用ポイントを紹介します。
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CRM導入成功事例【業界別】
CRMは多くの業界で活用できるツールです。自社にCRMを導入するとどんな効果が現れるのか、同じ業界での成功例を知るとイメージしやすいかもしれません。以下では、CRM導入の成功例を業界別にご紹介します。
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1. ネットビジネス支援事業
ネットビジネス支援BtoB事業を展開している企業Aの例です。
確度が低く、さらに精神的な負担が大きいアウトバウンド型の営業に課題感を覚えていたA社。成約したとしてもチームの力ではなく、営業マンの成果といえるため、属人化が懸念されていました。商材に関心がない顧客にまでアプローチしてしまうため、それぞれの顧客に時間をかけて向き合うことができない点も問題視されていたのです。
そうした状況のなか、アウトバウンド型の営業からインバウンド型の営業にシフトするために選ばれたのがCRMを導入するという方法でした。インバウンド型の営業とは、顧客の能動的なアクションを期待する営業スタイルのこと。自社が行うのは主に情報発信であり、その情報によって顧客に商材を見つけてもらうように働きかけます。代表的な情報発信の方法といえるのが、メルマガやSNS、検索エンジンで表示されるランディングページなどです。
A社はCRMの導入後、オウンドメディアを開設しブログやダウンロードコンテンツによる集客に着手。SEO対策の充実によるインバウンド型の営業をスタートしました。検索流入によって集客が増えるため、自社サービスに関心を持っている見込み顧客が集まります。情報を獲得した顧客に対しては、メルマガによる情報発信を行いました。
結果は、CRM導入前と比較して訪問可能な見込み顧客の数が50倍に増えるなど大成功しています。また、最初から商材の導入に前向きな顧客が集まるため、単価も2倍に増加しました。顧客とのコミュニケーションも強化されたことから、商材を購入した顧客から感謝のフィードバックが届くようになり、営業部門のモチベーションも増加しています。
当初の想定では営業スタイルの切り替えのみが目的でしたが、結果的には客単価の増加、営業のモチベーションアップという副次的な効果も得られたことになります。多くの顧客はA社が投稿していたブログの記事の内容からコンタクトすることを決めていたようです。自社の商材がソリューションとなることをイメージしやすい内容や、見込み顧客が持っている課題に寄り添った内容が効果的だと考えられます。
2. ネットワークサービス提供事業
B社は国内の中小企業向けにネットワークサービスを提供しています。
設置していた問い合わせフォームには1日数十件ほどの十分な問い合わせがありましたが、それらの内容をデータとして蓄積する体制が整っていませんでした。そのため、顧客がどういった経路で問い合わせに至っているのか、どういった広告による効果が出ているのか、把握できていない状況だったのです。また、問い合わせをしてきた顧客に対してのアクションも営業担当が個人の裁量で決めていたため、営業の属人化が懸念されていました。
かねてより営業体制の非効率性を自覚していたB社は、顧客情報をデータで管理する「デジタルマーケティング」に着手します。デジタルマーケティングとはWebにおけるユーザーの行動を把握し、その情報をもとにして顧客満足度につながるアプローチを探る手法です。デジタルツールを活用して膨大なユーザーの行動データを蓄積するため、B社が続けていたデータ蓄積を行わないスタイルとはまったく異なる手法といえます。
デジタルマーケティングはさまざまなチャネルでのユーザー行動を追跡する手法ですが、B社が主に実施したのは公式サイトやランディングページでの行動履歴収集です。さらに、問い合わせの情報を効率的に収集するため、すべてのフォームをCRMで作成しました。問い合わせした顧客の情報は、自動的にCRMへ格納される仕組みです。
B社はフォームから獲得した顧客情報と営業部門が独自で集めた顧客情報をCRMに集約しました。CRMを社内共通の顧客情報共有プラットフォームとしたのです。また、収集した顧客情報を属性によって分類し、商材との親和性が高いと思われる顧客へのメール配信を行いました。
1年間のCRM運用の結果として、4万件以上の顧客情報獲得に成功。さらに、Webサイト上での顧客行動の見える化に成功しています。CRMの導入によってそれまで得られなかった多くの情報、またアプローチの策定がしやすくなる貴重な情報を蓄積できるようになりました。
多くの顧客に確度の高いアプローチができるようになり、大幅な受注量の増加に成功しています。デジタルマーケティングに着手後、2年連続で受注量が前年比の2倍に増加しました。また、外注していたランディングページの作成や各種フォームの作成などをCRMによって自社完結できるようになったため、大きなコストカット効果も生まれています。
また、大きな成果を挙げたことによりデジタルマーケティングに関して社内全体でオープンな風土も生まれました。ツールの導入などに関して他部署から相談を寄せられることも多くなったそうです。
3. 小売事業
C社は日用品の小売業を展開しています。顧客が雑貨との出会いを楽しめるような実店舗を運営する設計から、2020年にブランドをリニューアルしました。
一方で、店舗の設計以外の部分では課題も少なくありませんでした。最もたる課題が顧客対応です。顧客とつながるチャネルとして電話やECサイトを設けていましたが、顧客情報を蓄積していない、情報の全社共有を行っていないなど、管理の面で十分ではない点が多かったのです。結果として、複数回問い合わせをしてくる顧客に対してその都度ゼロから内容のヒアリングを行っており、問い合わせ対応の非効率さが懸念されていました。
C社が当時規範して掲げていたのが「顧客絶対主義」です。この規範と現実との乖離を解消すべく、CRMの導入を決断。期待値を超える接客を実現するため、顧客との対応履歴をCRMに残す取り組みをスタートさせました。具体的には、すべてのチャネルで寄せられた問い合わせの内容と対応の履歴をCRMで一元管理し、顧客からの問い合わせ時には過去の履歴をすぐに確認できる仕組みづくりを行っています。
結果的に、問い合わせ対応を担当したスタッフのスキル・知識に関わらず均一な対応ができるようになりました。また、それまで顧客対応にかかっていた時間が大きく短縮されました。窓口での一時解決率が上がり、他の部署に引き継ぐケースが少なくなった点も大きな変化です。
さらに、顧客の購買履歴から商品のレコメンデーションも可能に。顧客の購買行動に合った商品を提案することで、従来と比較して約3~4倍の売上増に成功しました。顧客からの信頼も厚くなり、リピーターの増加にもつながっています。
また、スタッフの意識面の変化も。顧客から感謝などのフィードバックが得られたスタッフに対して表彰する制度を設けました。顧客を第一に考える風土が以前よりも根付き、当初掲げていた規範へさらに沿うことができるようになりました。
4. 人材紹介事業
D社は主に人材紹介事業を行っています。
複数の事業部で営業を行っていましたが、部署をまたいだ情報共有は十分にできていませんでした。このことから、1人の顧客に対して複数人がアプローチをしてしまうなど、リソースの無駄が生じていたようです。特に顧客情報と営業状況の進捗は、情報共有の方法を変える必要があると考えられていました。
それまで情報共有のために使用していたのがスプレッドシートです。事業が拡大される以前から使用されていたシンプルな方法ですが、情報が増えた状況では管理に手間がかかるようになってしまったようです。最新のファイルがわからない、情報を誤って更新してしまう、といったトラブルが発生するようになりました。
D社はCRMを導入し顧客情報の一元管理・営業進捗の管理の実現を図ります。各事業部が蓄積している顧客情報をすべてCRMに取り込み、さらにCRMを社内全体の顧客情報プラットフォームとして利用することで、情報の共有を目指すことにしました。
CRMによる情報共有は成功し、各顧客へのアプローチを営業部内の全員が確認できるように。結果として、以前のように同じ顧客に複数回アプローチしてしまうような状況がなくなり、リソースの最適化が実現されています。また、購買履歴や傾向などの情報が可視化されたため、確度の高いアプローチが明確になりました。
上述したとおりスプレッドシートで行っていた業務管理も、CRMに移行することで大幅に効率化されています。単純に入力作業が簡単になったほか、確認作業も容易になりました。情報のバージョン管理機能により、意図せずして更新してしまうようなトラブルも減少しています。
D社はこうした効率化によって生まれたリソースの余裕を、顧客とより深いコミュニケーションをとるために利用しています。顧客との信頼関係が強化され、業績が安定するようになりました。当初の予定では顧客情報管理の不備をなくすことがD社のCRM導入の目的でしたが、顧客に最適なアプローチの明確化、顧客とのコミュニケーション効果につながることもわかります。
5. 飲食事業
E社は、ピザの宅配事業を展開している大手の企業です。
かねてよりリピート率の向上を目指していたE社。提供しているピザという商品の性質上、よく利用している顧客でも年2、3回程度の注文にとどまっていました。オンラインでの注文を多く承っていたため、顧客のメールアドレスを数多く所有しています。このことから、集客の手法としてメール配信を利用していました。
一方で、メール配信でのリピート率アップに限界を感じていたのも事実です。当時使用していたメール配信ソフトでは1通のメール作成に3時間ほど要していました。さらにABテストでは倍の時間がかかるため、メール配信の効果測定ができない状況が続いていたのです。
ABテストとは、メール配信、Webサイト、バナーなどの広告手法を最適化していくための手法のこと。一部を変更したAパターン・Bパターンの広告を用意し、同じ条件で展開することで効果的なクリエイティブの発見を目指します。シンプルながら効果的なメールの内容を見つけられる有益な方法ですが、信頼できる結果を得るためには何度も繰り返す必要があるため、一回あたりの実施に時間がかかる場合は現実的ではありません。
E社はアプローチ検討のためにMAツールを導入。まずはツールを利用して、顧客がどういった経路でピザを注文しているか把握することにしました。結果的に、保持しているチャネルのなかでもアプリによる注文が大多数を占めていることがわかったのです。
この検証結果から、E社はアプリのプッシュ通知を積極的に行うアプローチにシフト。この変更が功を奏し、コンバージョンはおよそ1.4倍に増加しました。結果として、売上にも大きな影響が現れています。
さらに、E社は効果が頭打ちと思われていたメール配信の最適化にも取り組んでいます。多くのMAツールはメール配信の機能を搭載しており、システム上で効率的にメールを作成可能です。E社も導入したMAツールにより、3時間かかっていたメール作成は1時間で終わるようになりました。
さらに、時間がかかることからほとんど機能していなかったABテストも、ツールにより3分程度で完了できるようになりました。これにより、訴求力の高いメール配信を以前より少ないリソースで実現可能に。メールの開封率が向上したことからメール経由での注文数が増加し、アプリのプッシュ通知とともに期待値が高いアプローチとなりました。
CRMでもメール配信は可能です。顧客情報としてメールアドレスを蓄積しておけば、システム上に取り込むことで資産となります。E社の場合は新商品のリリース時などに販促メールを送っていましたが、セミナー終了後のフォローメール、購入後のサンキューメールなども実施可能です。低コストで効果検証も容易なことから、業界を問わず利用できるアプローチといえます。
6. 球団運営事業
F社は球団を運営していますが、観客動員数の低迷に悩んでいました。
一方で、開設からの長い歴史を持つファンクラブがあったことから、豊富な顧客情報を有しています。さらに、会員とは強力な信頼関係を築いているといえる状況です。まずはCRMを導入し、こうしたファンクラブ会員へのアプローチを実施することを決断しました。
具体的には、駅・デパートなどの屋外広告、SNSでの情報発信を駆使し、各施策の効果検証を行っています。PDCAを回すことで地道に効果を上げていくことを目指した試みです。着実に動員数を上げ続け、2018年にはCRM導入前と比較して約150%の動員増を実現しました。
また、あまりアプローチできていなかった女性ファンの獲得にも着手。CRMから女性ファンに有効と考えるアプローチを策定し、同じくPDCAを回して増加を試みています。レディースのユニフォームをプレゼントする施策が好評を博し、対象となった試合は女性ファンによるチケット購入が目立ちました。
7. 家電開発・販売事業
G社は、国内で家電の開発・販売を行っている大手企業です。
家電業界は、近年実店舗よりもECサイトが主戦場になりつつあります。競合他社との比較が容易なECサイトでは、ブランド力を強めることが重要です。G社もこの流通形態の変化に対応すべく、ブランド力強化の必要性に直面していました。
ブランド力を強くするためには顧客との強い関係性を構築し、家電メーカーとして想起してもらうことが大切です。そのための施策として、G社は蓄積していた顧客情報を活用したデジタルでのアプローチを着想しました。一方で、実店舗でのアプローチが主流だった当時は、デジタルでのアプローチの効果を懸念する声も少なくなかったようです。
まずは、デジタルによるアプローチの有用性を社内に周知する必要がありました。そのために採用されたのが「NPS調査」です。
「NPS」とは「Net Promoter Score」の略語のこと。調査方法はとてもシンプルです。「○○を友人や家族にすすめたいと思いますか?」という質問をユーザーに投げかけ、その度合を0~10点の11段階で評価してもらいます。NPSでは、9~10点と回答した対象者を「推奨者」、7~8点と回答した対象者を「中立者」、6点以下と回答した対象者を「批判者」として定義します。全体に対する推奨者の割合から批判者の割合を差し引いた数字が、そのNPS調査でのスコアです。
スコアが高いほど、顧客のロイヤルティが高いことを意味します。シンプルながら商品やブランドへのロイヤルティを把握する方法として評価されている調査です。
G社はデジタル相談窓口を利用した顧客とそれ以外の窓口を利用した顧客の満足度をNPSで調査。その結果が、デジタルの窓口のほうが遥かに満足度が高いことがわかりました。この結果を根拠に、デジタルでのアプローチ強化が顧客満足向上につながることを社内に証明したのです。
デジタルのアプローチに力を入れやすくなったため、得られた投資をもとにCRMを導入。蓄積していた顧客情報や新たに蓄積した顧客情報を利用し分析を開始しました。特に、会員に対するデジタルアプローチを積極的に実施しました。特典やキャンペーンを案内するメール配信を行ったところ、会員からはとりわけ好意的な反響が得られました。
CRMの導入では、G社の例のように社内の理解がネックになることがあります。この例のように、調査の結果をエビデンスとして提示すると、社内の理解が得られやすいでしょう。
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CRM活用のポイント
CRMの活用例は業界によってさまざまです。具体的には直面している課題や状況によって活用方法が変わってきます。CRMの導入後に、当初予想していた用途とは異なる活用法がわかり、副次的な効果が得られることもあるでしょう。
しかし、どの企業・業界でも、CRMを導入する際に意識すべきポイントに大きな違いはありません。以下では、CRM活用の一般的なポイントをご紹介します。
導入の目的・解決すべき課題の明確化
CRMの導入を検討しているということは、顧客情報の管理方法や顧客との関係性構築に課題感を覚えているはずです。まずは、何のためにCRMを導入するのか目的を明確にしましょう。
CRMでできることは顧客情報管理、営業の業務効率化、蓄積したデータの分析など多岐にわたります。そのため、運用次第で効果は大きく変わってくるのです。導入目的が明確になっていない場合、適切な運用ができなくなってしまうでしょう。
またCRMは製品によって細かく機能が異なります。目的を達成できる機能を搭載したCRMを見つけるためにも、ユーザー側で目的を明確にしておくことは大切です。不要な機能を搭載したCRMを選択肢から外せるため、コスト削減にもつながります。
多くの企業が導入していることから、CRMに対する注目度は高まっています。しかし、CRMは導入したことで成功が約束されるツールではありません。導入に成功している企業はもれなく直面している課題を明確にし、そのソリューションとなるツールを選んでいます。
目的がはっきりしていると、導入後の運用もスムーズです。優先的に取り扱うべき顧客情報や、自社がその時点でアプローチしなければならない顧客層がわかり、無駄な施策を防ぐことができます。特に重要な顧客にフォーカスすることになるため、なるべき短期で確実な効果を挙げるためにも、CRM導入の目的をはっきりとさせておくことは大切です。
探すスピードを意識して顧客情報を管理する
CRMは顧客情報を管理できるツールですが、管理方法にはユーザーによる工夫が求められます。理想は顧客情報が一か所にまとまっており、情報を活用するメンバーがどこを確認するべきなのかわかっている状態です。実際に顧客情報を活用する際にはスピードが求められることもあるため、そうしたシーンを想定する必要があります。
例として、商談中に過去の対応履歴から提案する商材を決めたい場合などは、顧客情報を見つけるのに時間をかけられません。問い合わせ対応の際に過去の対応履歴を確認したい場合も、すぐに情報を参照できる状態が望ましいでしょう。このように、顧客情報は見つけやすい状態にしておくことが前提といえます。
多くのCRMには検索機能が搭載されています。テキストを入力することで希望のデータをすぐに引き出し可能です。案件情報などほかの情報と顧客情報を紐付けできるCRMもあり、他の情報と連携させて管理したい場合はこうした機能を利用することで効率化につなげられるでしょう。
ユーザーとなる社員がスムーズに情報を見つけられるように、ルールを定めることやノウハウをまとめることも大切です。また、実際に運用を開始した後もこうしたルールは定期的に見直し、より効率的に顧客情報を管理できる体制を目指しましょう。
コミュニケーションの手法を顧客に合わせて工夫する
顧客との信頼関係を構築するためには、それぞれの顧客に対してOne to Oneのマーケティングを実施することが大切です。
例として適切なタイミングでのコミュニケーションは重要です。セミナーに参加した後のフォローメールや商品を購入後のサンキューメールはタイミングに着目したコミュニケーションの方法といえます。来店がない顧客に対してキャンペーンの案内を送るメール配信も一般的です。
顧客の購買履歴から組み合わせて使える商材やメンテナンス用品、代替品などを提案することもあります。また、過去のコミュニケーションからわかった顧客の傾向に沿った商品の提案も効果的です。これまでの接点をしっかりと記録している企業だと顧客に認識してもらうと、ロイヤルティの向上が期待できます。
CRMは顧客情報の蓄積・分析が可能でありOne to Oneマーケティングをサポートするツールです。CRMのユーザー側も、コミュニケーションの手法を顧客に合わせて変えるという視点を持っておく必要があります。
中長期的な視点で成果を期待する
CRMは顧客との関係性を育成するためのツールです。多くの企業に評価されていることから即効性が期待されることもありますが、実際には効果が出るまでに少なからず時間がかかります。単発、もしくは数回の分析・アプローチで成果が出るわけではありません。
強固な顧客との関係性を作るためには、分析・アプローチの改善・アプローチの実施を繰り返していく必要があります。アプローチを実施した結果に関しては、その都度効果検証を行いましょう。大前提として、長いスパンで導入の効果を検証する姿勢が重要です。
PDCAを回しながらコミュニケーションを改善していった後には、競合やトレンドに影響されづらい顧客との関係性を築くことができるでしょう。短期的な戦略では、こうした成果を出すことはできません。
十分なPDCAを回さずにCRMの導入効果を判断してしまうのはよく見られる失敗例です。また、コストについてもこの点を踏まえる必要があります。結果が安定して導入コストを回収できるようになるまでには、ある程度の期間を要することを意識しておきましょう。
社内におけるCRMに対する理解を得ておく
業界によっては、まだデジタルのチャネルやツールに関する理解が十分ではないケースもあるでしょう。営業部の独断でCRMの導入を強行すると反発が起こる場合や十分な予算を獲得できない場合があります。すぐにCRMを導入したい場合も、こうした懸念を払拭するために理解を得なければなりません。
上述した活用例では、デジタルでのコミュニケーションによって顧客満足度が高まることをNPS調査によって証明したケースをご紹介しました。このように、何らかの根拠をもとにCRMの導入を呼びかける方法は有効です。大企業で決済者を説得したい場合は、売上目標などを明記した資料が必要になることもあります。
予算が限られている場合は、まずその予算内でCRMを導入してみるのもひとつの選択肢です。運用していくなかで出た効果については、積極的に社内へ公開しましょう。少しずつデジタル施策に対する理解を得ていくことを目指します。
導入規模を限定するスモールスタートは新しいツールやシステムを取り入れる際の常套手段です。予算が少ない場合やツール・システムによる効果が不透明な場合も、リスクを抑えて導入できます。
また、社内の理解を得るためにもCRM導入の効果は中長期的な視点で考えましょう。複数回PDCAを回した後に成果が出てくるツールであると周知することが大切です。
自社に合ったツールを選ぶ
現在は多くのベンダーがCRMを提供しています。また、それぞれの機能が多様化している状況です。各CRMに得意な業務があるため、自社が効率化したい業務にあった製品を選ぶ必要があります。
必要な機能は、CRMの導入を検討するに至った目的からあぶりだしていきます。顧客情報の管理機能はCRMの代表的な機能ですが、売上アップにつなげたい場合は分析機能が必須です。また、分析機能に関しても「時系列分析」「シェア分析」「商品分析」などいくつかの種類に細分化されます。自社が求めている機能が搭載されているか、細かく確認しましょう。
また、すでにツールを導入している場合は自社の既存システムとの連携確認も大切です。利用しているSFAなどと連携可能なCRMであれば、スムーズに導入できるでしょう。連携にこだわらないのであれば、SFAの機能を含有したCRMを導入し、システム全体を刷新するという選択肢もあります。
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まとめ
CRMの成功事例と活用ポイントについてご紹介しました。顧客情報は企業にとって資産であり、適切に管理できれば多くのメリットがあります。今回ご紹介したように、CRMの導入によって顧客情報の管理が最適化され、売上の増加を実現した企業は少なくありません。また、情報管理の効率に課題を感じている場合も、CRMによって解決できます。解説したCRMの活用ポイントについては業界を問わず参考にしていただける内容になっているため、CRMの導入を検討している場合は意識してみてください。