ERPの導入費用とは?オンプレミス型・クラウド型の価格構成や導入手順を徹底解説
企業のヒト・モノ・カネを一元管理できる「ERP」には、いくつかの種類があり、タイプによって導入費用や価格相場は大きく異なります。そのため、事前にERPにかかる導入費用とは何か、種類ごとの価格構成を把握しておくことが大切です。
この記事では、ERPの導入費用について、オンプレミス型・クラウド型の価格構成を徹底解説します。オンプレミス型・クラウド型の費用感の違いについても解説しますので、購入価格が気になる方はぜひご参照ください。
ERPにかかる導入費用とは?
費用項目 | オンプレミス型 | クラウド型 |
初期費用(イニシャルコスト) | 高い (基本ライセンス、導入・開発、その他サーバー環境など) | 安い (初期費用、基本ライセンスなど) |
運用費用(ランニングコスト) | 高い (カスタマイズ費用、メンテナンス・保守費用など) | 安い (月額利用料、ユーザーライセンスなど) |
ERPの導入費用は、オンプレミス型とクラウド型で大きく異なります。オンプレミス型は初期費用が高額ですが、自社で自由にカスタマイズできる点がメリットです。一方、クラウド型は初期費用が安く、導入や運用に掛かる月々のコストを抑えられるものの、カスタマイズ性が低い点がデメリットです。
その理由に、オンプレミス型は自社でサーバーなどのハードウェアを購入する必要がある点が挙げられます。「ERP」のソフトウェア単体だけでなく、オンプレミスで稼働させるためのハードウェア購入費が必要不可欠です。
一方で、クラウド型はベンダーが提供するサーバーやソフトウェアを利用するため、初期費用が安く済みます。
また、導入や保守などの費用も、オンプレミス型は別料金として計算されることが一般的です。クラウド型のERPなら、基本的にソフトウェアの保守料金が月額利用料に含まれているため、追加のコストが発生する心配はありません。
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オンプレミス型ERPシステムの価格構成
オンプレミス型ERPシステムの価格構成は、主に以下の5つの費用で構成されます。
ここでは、オンプレミス型ERPシステムの価格構成についてそれぞれ解説します。
・1.ライセンス費用 ・2.導入サポート費用 ・3.開発費用 ・4.カスタマイズ費用 ・5.トレーニング費用 |
1.ライセンス費用
オンプレミス型ERPシステムには、ライセンス費用が価格構成に含まれます。ライセンス費用とは、ソフトウェアを利用するための基本費用で「買い切り型」が主流です。
基本的な価格として、ERPのライセンス費用に掛かる目安は100万〜1,000万円が相場です。
ただし、「ソフトウェア全体を含んだライセンス費用とする」「同時に利用できるユーザー数分をライセンス費用とする」など、実際の内訳はベンダーによって異なる点にご注意ください。
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2.導入サポート費用
導入サポート費とは、ERPをオンプレミス環境で構築する際のハードウェアや教育費用等を含めた価格です。また、データの移行サポートなども価格に含まれるケースがあります。
オンプレミス型ERPにおける導入サポート費用の具体的な相場は以下の通りです。
・基本的なシステム導入費用:10万~800万円ほど ・導入(移行)サポート費用:数千万円ほど ・教育費用:5万~50万円ほど |
実際にどの程度ERPの導入サポート費用が掛かるかは、ベンダーによって大きく異なります。自社ITリソースが十分な場合は、データ移行等のサポートを受けずに導入サポート費用を削減することが可能です。
3.開発費用
開発費用とは、オンプレミス型ERPを自社独自の環境に最適化する取り組みを含めた価格です。具体的には、「自社システムとの連携・適合化」や「独自要件に適したシステム開発」などが挙げられます。
しかし、すべての企業で開発費用が必須、という訳でもありません。場合によっては、開発費用を抑えて導入することもできます。特定の業界に特化した機能や、自社独自の業務プロセスに対応するための機能が不要であれば、価格構成から除外することが可能です。
4.カスタマイズ費用
カスタマイズ費用とは、既存機能をさらにカスタマイズする際に求められる費用です。新規機能を追加するのではなく、現状の業務プロセスに合わせた変更などが挙げられます。
たとえば、請求書や納品書などの帳票レイアウトを自社のフォーマットに合わせるといった細かいカスタマイズも価格構成のひとつです。
5.トレーニング費用
トレーニング費用とは、従業員がERPのシステムを使いこなせるようにするための教育費用です。「導入サポート費用」に含まれている場合もあります。セミナー形式や集合研修形式など、多数の従業員に対して一斉に指導を行う形式が一般的です。
ほかにも、動画などのコンテンツを通してeラーニングできる仕組みも人気を集めています。オプションプランとして請求される事例も多いため、状況によっては価格構成から外すことも可能です。
クラウド型ERPシステムの価格構成
クラウド型ERPシステムの価格構成は、主に以下の4つの費用で構成されます。
ここでは、クラウド型ERPシステムの価格構成についてそれぞれ解説します。
・1.導入初期費用 ・2.ライセンス費用 ・3.月額利用費用 ・4.導入サポート費用 |
1.導入初期費用
クラウド型ERPの導入初期費用では、既存システムからのデータ移行支援などが含まれるケースが一般的です。ほかのシステムとの連携設定を支援して、自社の環境に合わせて最適化する取り組みが多くなっています。
ただし、初期導入費用は契約内容に応じて大きく増減します。コンサルティングなどのサービスを利用するかどうかによって、必要費用は大きく異なる点に注意が必要です。
基本的に、クラウド型ERPの「導入初期費用(イニシャルコスト)」はそこまで高額ではありません。
2.ライセンス費用
ライセンス費用とは、サービスを利用するうえで契約ごとに発生するロイヤリティを含んだ価格設定です。月々支払う必要のある「月額利用費用」とは別に、契約段階で請求されるケースが一般的です。
ライセンス費用自体はオンプレミス型よりも安価であるため、コストを抑えやすくなっています。
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3.月額利用費用
クラウド型ERPの価格構成に含まれる「月額利用費用」は、一般的にユーザー数・機能・ストレージ数などのプランに基づき決定されます。ほとんどが月額/年額払いのサブスクリプション形式で、ユーザー数や利用する機能が増えるほど、ライセンス費用が高額になることが一般的です。
そのため、多くのユーザーを抱えた大企業では月々のランニングコストが負担になるケースも珍しくありません。言い換えると、利用するユーザー数が少ない中小企業では、クラウド型ERPを選ぶことでコストを抑えて機能をフル活用しやすくなります。
月額利用価格にはベンダーによる「システム保守」なども含まれているため、常に最新のサービスを利用できるのがポイントです。
4.導入サポート費用
クラウド型ERPの導入サポート費用には、研修等の教育費用などが含まれます。また、導入前後に関するコンサルティングなども、オプションとして選べるケースが一般的です。
一部のクラウド型ERPでは、カスタマイズ・機能追加も含まれます。標準パッケージ以外に追加する機能が多ければ多いほど、高額になるため注意が必要です。
ただし、すべてのクラウド型ERPがカスタマイズに対応しているとは限りません。導入前後のカスタマイズに対応していないクラウド型ERPも多くなっています。
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オンプレミス型・クラウド型の費用の違いとは
オンプレミス型とクラウド型のERPシステムでは、費用構成が大きく異なり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
・オンプレミス型:初期投資費用が高い ・クラウド型:使用したリソースに対して料金が発生 |
オンプレミス型:初期投資費用が高い
オンプレミス型ERPシステムは自社でサーバーやネットワーク機器などのハードウェアを購入し、システムを構築・運用するため、初期投資費用が高額になります。
しかし、オンプレミス型ERPシステムは、自社でシステムを管理するため、カスタマイズ性が高く、セキュリティ面でも安心して利用できます。また、長期的に見ると、クラウド型よりも運用費用が安くなる場合があります。
ハードウェア費用: サーバー、ストレージ、ネットワーク機器などの購入費用が必要です。いずれの機器も高額かつ、定期的なメンテナンスや更新も必要なため、長期的なコストも考慮する必要があります。 ライセンス費用: ERPソフトウェアのライセンス費用は、ユーザー数や機能によって変動します。買い切り型と年間サブスクリプション型があり、買い切り型は高額ですが、一度購入すれば永続的に利用できます。年間サブスクリプション型は比較的安価ですが、毎年費用が発生します。 運用・保守費用: システムの運用・保守を自社で行う必要があるため、専門のIT人材の確保や教育、システムの監視・メンテナンス、セキュリティ対策などに費用がかかります。必要に応じて、ベンダーへの外注が可能です。 |
クラウド型:使用したリソースに対して料金が発生
クラウド型ERPシステムは、ベンダーが提供するクラウド環境でERPシステムを利用するため、設備投資等のコストを含む初期費用を抑えられます。ただし、初期費用は抑えられるものの、毎月発生する利用料は長期的に見て多額なコストが掛かります。
一方で、利用したストレージや処理の実行回数など、使用したリソース分だけ料金が発生するよう調整できるため、費用対効果を最大化しやすいのがメリットです。
ベンダーに依存してしまうものの、システムメンテナンスやセキュリティ対策もサービスに含まれており、リソースを割かずに安定したシステム稼働を期待できます。
初期費用: サーバーやネットワーク機器などのハードウェアを購入する必要がないため、初期費用は比較的安価です。ただし、初期設定やデータ移行などに費用がかかる場合があります。 月額利用料: クラウド型ERPシステムは、月額利用料を支払うことで利用できます。利用料は、ユーザー数、利用機能、ストレージ容量などによって変動し、長期的にはランニングコストが積み重なります。 導入サポート費用: 導入コンサルティングやデータ移行、システム設定などをベンダーに依頼する場合は別途追加で費用が発生します。 |
ERP導入の6つの手順
ERPは、適切なステップを踏んで導入しなければ失敗に終わり、イニシャル・ランニングコストだけが無駄に掛かってしまう事例も珍しくありません。企業の将来を左右するため、以下の6つの手順を踏まえることが大切です。
ここでは、ERPの効果的な導入に欠かせない6つの手順についてそれぞれ解説します。
・1.自社の課題を整理する ・2.ERPの選定をする ・3.ERPの運用体制を整える ・4.導入計画を立てる ・5.ベンダーを選定する ・6.ERPの運用テストを行う |
1.自社の課題を整理する
はじめに、ERPを導入する目的を明確にしたうえで、現状の業務プロセスやシステムの課題を洗い出すことが大切です。経営層から現場担当者まで、関係者全員が参加できる環境を整えて、自社がどのような課題を抱えているか確認・共有するのをおすすめします。
その際は、業務フロー図やシステム構成図を作成して、現状の業務プロセスを可視化するのもポイントです。既存システムのデータ量や種類を把握し、ERPへのデータ移行に必要な作業を洗い出します。
自社の課題を明確にしておけば、KPI設定などもしやすくなるため、ERPを導入したあとの定量的な効果測定も行いやすくなります。
2.ERPの選定をする
ERPの選定をするときは、価格はもちろん、機能や使い方など、さまざまな切り口で比較検討する必要があります。自社の課題や導入目的に合致するERPを選定するために、「クラウド型かオンプレミス型か」「業種特化型か汎用型か」など、さまざまな切り口で比較するのをおすすめします。
また、ERPは導入規模ごとに価格設定が異なっているため、中小企業向け、大企業向けなどの違いから選定するのもポイントです。必要以上の機能を搭載したERPを選定してしまうと、使いこなせないばかりか、高額なランニングコストを支払わなければなりません。
そのため、「自社の課題を解決できるか」「不要な機能を搭載していないか」「求めている拡張性があるか」などの違いからERP製品を選定するのがベストです。その際は、各製品の特徴や機能を比較検討するのはもちろん、デモ製品などを通して、製品の使い勝手・操作性の確認をおすすめします。
3.ERPの運用体制を整える
ERPシステムを円滑に運用するための体制を構築します。ERP導入プロジェクトチームを編成し、「プロジェクトマネージャー」「システム管理者」「運用担当者」などを決定します。
各メンバーの役割と責任を明確にし、円滑なコミュニケーションを図れるようにしておくことが大切です。各部署や部署内によって異なる意見・要件が出ることも珍しくないため、関係部署の業務に熟知したリーダーを立てる必要があります。
そのうえで、ERPの運用ルールを策定し、データの入力方法から承認フローなどのマニュアルも作成します。従業員への教育計画も含めたうえで、トラブルを最小限に抑えて運用するためにヘルプデスクなどの設置も必要です。
従業員からの問い合わせに迅速かつ適切に対応できる運用体制を構築すれば、導入効果を最大化しやすくなります。
4.導入計画を立てる
ERPは価格構成やシステムを問わず、実際に導入するうえで一定の期間が求められます。導入前後で思わぬトラブルに遭遇しないよう、導入前の流れを把握したうえで、どのようなフローで進めるか具体的な計画が大切です。
製品の選定から求められるカスタマイズ内容の伝達はもちろん、自社内に導入目的を周知するなどの準備期間も求められます。上記の運用体制や導入プロジェクトチームをもとに、各部署の意見を活かしながら、運用・操作手順の教育を含めた導入計画の立案が必要です。
一部開発などをベンダーに委託する場合は、要件定義からシステム開発、テストやデータ移行にどの程度の時間が必要なのか、事前に打ち合わせするのをおすすめします。
5.ベンダーを選定する
導入するERPの傾向を絞ったあとは、どのようなベンダーに依頼するか選定することが大切です。アフターフォローや導入前のサポート、カスタマイズまでベンダーによって対応内容は大きく異なります。
システムの導入支援等を求めてベンダーを選定する場合は、過去にどのような企業へERPを導入した実績があるのか、同業界での実績有無についてチェックするのもポイントです。同業界で導入した経験があれば、より安心してベンダーにシステム導入を任せられます。
また、自社の要件をまとめたRFP(提案依頼書)を作成し、複数のERPベンダーに提案を依頼するのも大切です。提案内容を比較検討したうえで、自社に最適なERPを選定するのをおすすめします。
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6.ERPの運用テストを行う
ERPの本格的な導入を始める前に、運用テストを行います。単体・結合テスト、総合・運用テスト、データ移行テストなど、さまざまなテストを行って本格的な運用前に問題がないかチェックすることが大切です。
ERPは、業務の基幹部分を支えるシステムのため、万が一のトラブルが起きると大きな問題に発展するおそれもあります。そのため、ERPの運用テストを経て問題がないか確認し、まずは一部の部署から試験的にテスト運用する、スモールスタートするのもオススメです。
その後、問題がなければ適応範囲を広げることで、培ったノウハウと共に安定したシステム運用を実現しやすくなります。
まとめ
ERPの導入は、企業の業務効率化や経営改善に大きく貢献します。しかし、導入費用や価格構成、導入手順が複雑なため、慎重に進めなければ導入効果を最大化できないかもしれません。
そのため、自社に合ったERPシステムを選び、適切な導入計画の立案をおすすめします。その際は、他のシステムとの連携ができるかどうかも重要なポイントです。
たとえば、「GENIEE SFA/CRM」は柔軟なカスタマイズ性・データ連携に強みを持つ営業支援ツールです。定着率99%を誇る使い勝手の良さに加えて、優れた機能により、数々の営業部門でDX化の成功を実現してきた実績があります。
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