【2024年最新】人事基幹システムとは?ERPとの違いや導入メリットを徹底解説
人事領域に関する会社の経営資源を管理するのに長けた「人事基幹システム」は、近年多くの企業で導入・活用されているシステムです。従業員の個人情報や給与・勤怠、人事評価や採用活動など、さまざまな情報を集約し一元管理できるため、人事管理を効率的に行える魅力があります。
企業の中で人事情報を管理するのに長けているとはいえ、「人事基幹システムとは一体何をするツールなのか」と導入するメリットを掴みあぐねている方もいるかもしれません。
この記事では、人事基幹システムとは何か、導入目的から導入するメリット、ERPなどとの違いについて徹底解説します。人事基幹システムの導入を考えている方へ向けて、比較検討する際のポイントについても解説しますので、あわせてご参照ください。
人事基幹システムとは?
人事基幹システムとは、企業の人事業務を効率的に管理するためのソフトウェアです。従業員の入社から退社までの情報を一元管理し、「給与計算」「勤怠管理」「人事評価」など、人事部門のさまざまな業務をサポートします。
人事基幹システムを活用すれば、従来は手作業で行っていた煩雑な業務を半自動化できます。さらに、転記ミスなど情報入力のヒューマンエラーも起こらず、迅速に処理を進められるのが特徴です。
たとえば、退職や引っ越しに伴う従業員情報や、給与計算の変更もシステム上で一元管理できます。単純ながらも時間が取られてしまう作業を効率化することで、人事担当者はより戦略的な人事戦略に注力できるようになり、付加価値の高い業務へ注力できるのが魅力です。
上記のような背景から、近年では多くの企業で「人事基幹システム」の導入が進められています。
基幹システムとは?ERPや業務システムとの違い・導入メリットまで徹底解説
人事基幹システムを導入する目的
人事基幹システムを導入する目的は、企業の人事業務を効率化し、戦略的な人事マネジメントを実現する点にあります。具体的には、以下6つの業務を効率化するのが人事基幹システムを導入する目的です。
・従業員の基本情報 |
ここでは、人事基幹システムを導入する目的を解説します。
従業員の基本情報
人事基幹システムでは、従業員の基本情報(氏名、住所、連絡先、生年月日、所属部署など)を一元管理できます。人事異動や組織変更の際に、「迅速な対応ができるようになる体制づくり」が人事基幹システムを導入する目的のひとつです。
たとえば、従業員の住所変更があった場合に人事基幹システム上で情報を更新すれば、従業員の住所だけでなく給与明細や各書類の送付先を自動的に紐づけて変更できます。人事担当者は従業員の基本情報管理に費やす時間を削減できるのが魅力です。
さらに、すべてのシステム上で反映されるため、対応の入力漏れ・転記ミスを防ぐ効果も期待できます。
給与計算と給与明細書の作成
人事基幹システムによって給与計算や給与明細書の作成を自動化すれば、計算ミスを防ぎ、業務効率を大幅に向上させる効果が期待できます。従業員の基本情報や役職等の独自計算も考慮したうえで、給与計算を自動化し、ミスのない給与明細を発行できるのが魅力です。
データをもとに、残業分の給与や社会保険料の控除なども自動計算できるため、正確な給与計算をスピーディに行えます。
さらに、複雑な計算式や法改正への対応にソフトウェア上で追従できるのも魅力です。人事基幹システムの提供ベンダー側が法改正等に対応してくれるため、その都度細かい修正や計算式の変更をする必要もなくなります。
勤怠管理
人事基幹システムの導入背景に、勤怠管理を挙げる企業も多くなっています。
先述した給与計算と連動する勤怠管理システムによって、出退勤や残業時間を自動算出し、給与計算を完全に自動化できます。また、残業だけでなく休日出勤や特別手当など、会社ごとの勤怠報酬体系に沿った計算ができるのも魅力です。
ほかにも、今まで可視化できていなかった労働状況を客観的に把握しやすく、労働環境の改善や快適な職場環境作りに役立てられます。
採用プロセスの管理
人事基幹システムの導入目的に、採用プロセスの管理が挙げられます。人事基幹システムでは「応募者の情報管理」「選考状況の把握」「内定通知」など、採用活動の各段階を効率的に管理できるのが魅力です。
応募者の情報をデータベース化して選考状況をリアルタイムで共有できるため、採用担当者間の連携力を高めて、各評価やスピーディな意思決定、工程の効率化を実現できます。優秀な人材の効率的な採用によって、企業の成長力を高める効果も期待できます。
人材開発や人材教育
人事基幹システムは、個々の労働力やスキルを細かく管理できるのも特徴です。従業員のスキルや資格情報をデータベース化し、研修受講履歴や評価結果を紐づけて一元管理できます。
従業員に合わせた人材教育プランを立案しやすくなるほか、個々のスキルを的確に把握・評価しやすくなるのも特徴です。効率的な人材開発・育成に加えて、努力が客観的に評価される仕組みにより、従業員の仕事に対するモチベーションを生み出す効果も期待できます。
労働法や規制への準拠と労務管理
従業員の勤務時間や休暇情報を管理し、労働時間管理や有給休暇の取得状況を正確に把握するのも人事基幹システムを導入する目的のひとつです。2019年4月に施行されたガイドラインでは、「客観的な労働時間の把握」が企業の法的義務となりました。
出典元:厚生労働省「客観的な記録による労働時間の把握が法的義務になりました」
人事基幹システムでは、労働法をはじめとする法令遵守に必要な情報も一元管理できます。たとえば、「残業超過間近の社員がいる」「有給が取得できていない社員がいる」などを本人・上長・人事部にアラート通知する仕組みも人事基幹システムで実現できます。
今まで見落とされていた労務リスクを取り払って、適正な労務管理により、従業員が働きやすい労働環境を構築できるのが魅力です。
人事基幹システムとERPの違い
人事基幹システムとERP(Enterprise Resource Planning)は、どちらも企業の基幹業務を支援するシステムです。しかし、その対象範囲や機能には違いがあります。具体的な違いは以下のとおりです。
システム | 対象領域 | 機能の範囲 | 利用目的 | 主な業務機能 |
人事基幹システム |
人事部門 |
人事管理、給与計算、勤怠管理、採用管理、人材開発など |
人事業務の効率化、戦略的人事マネジメントの実現 |
・従業員情報管理 |
ERP |
企業全体(人事、会計、販売、生産など) |
人事管理、給与計算、勤怠管理、会計管理、販売管理、生産管理、在庫管理など |
企業全体の業務効率化、経営資源の最適化、経営戦略の策定・実行 |
・会計管理 |
ここでは、人事基幹システムとERPの違いを解説します。
対象領域
システム | 対象領域 |
人事基幹システム |
人事部門 |
ERP |
企業全体(人事、会計、販売、生産など) |
人事基幹システムは、人事部門の業務に特化したシステムであるのに対し、ERPは企業全体の経営資源を一元管理するシステムです。
そのため、対象領域はERPの方が幅広くなっています。言い換えれば、生産管理など業種によっては不要な領域もあり、人事に特化した機能を求めている場合は人事基幹システムがおすすめです。
機能の範囲
システム | 対象領域 |
人事基幹システム |
人事管理、給与計算、勤怠管理、採用管理、人材開発など |
ERP |
人事管理、給与計算、勤怠管理、会計管理、販売管理、生産管理、在庫管理など |
人事基幹システムは、人事部門に必要な機能に特化しているのに対し、ERPは企業全体の業務を網羅する幅広い機能を備えています。
ERPは幅広い機能を搭載しており、特に大企業で導入が進められているシステムです。人事基幹システム以外にもさまざまな基幹システムの導入を検討している場合は、ERPがおすすめです。
利用目的
システム | 対象領域 |
人事基幹システム |
人事業務の効率化、戦略的人事マネジメントの実現 |
ERP |
企業全体の業務効率化、経営資源の最適化、経営戦略の策定・実行 |
人事基幹システムは、人事部門の業務効率化を主軸に置いているのに対し、ERPは企業全体の経営効率化と戦略策定を支援することを目的としています。企業全体のヒト・モノ・カネ・情報を一元管理したい場合はERPがおすすめです。
主な業務機能
システム | 主な業務機能 |
人事基幹システム | ・従業員情報管理 ・給与計算 ・勤怠管理 ・採用管理 ・人材開発 ・評価管理 ・労務管理 |
ERP | ・会計管理 ・販売管理 ・債権管理 ・生産管理 ・在庫管理 ・人事管理など |
人事基幹システムは、人事部門の業務に必要な機能に特化しているのに対し、ERPは人事以外にも、会計、販売、生産、在庫などの幅広い業務機能を備えています。その多機能さから、人事基幹システムに比べるとERPは導入コストが高額になりがちです。
一部のERPは個別に搭載機能を選別できる製品も登場しているものの、人事領域に限定して業務を効率化したい場合は、比較的コストを抑えて導入できる人事基幹システムがおすすめです。
人事基幹システムを導入する4つのメリット
人事基幹システムを導入すれば、企業は以下4つのメリットを得られます。
・業務効率の向上 ・従業員データを一元管理できる ・法令遵守とリスク管理の強化 ・組織全体の競争力強化 |
ここでは、人事基幹システムを導入するメリットについてそれぞれ解説します。
1.業務効率の向上
人事基幹システムを導入するメリットに、人事に関する業務の効率化が挙げられます。給与計算や勤怠管理など一部工程は自動化できるため、担当者の負担を軽減し、より戦略的な業務に注力できるのがポイントです。
さらに、一部工程の効率化は、ミスの抑制や作業品質の向上にも貢献します。手作業によるミス・ヌケモレを防いで、業務のスピードアップと正確性を向上させられるのは大きなメリットです。
ダブルチェックなどの時間もカットできるため、業務効率化で生み出した時間でより付加価値の高い業務に集中できます。
2.従業員データを一元管理できる
人事基幹システムを導入すれば、従業員のデータをすべて一元管理できるのは魅力的なメリットです。たとえば、従業員の入社手続きから人事異動に伴う情報更新まで、すべてを人事基幹システムで一元管理すれば書類作成・データ入力・情報共有の手間を大きくカットできます。
従来では、異動があると「従業員の管理システム」「給与計算ソフトウェア」など複数のシステム間でそれぞれ修正する手間がかかっていたのも事実です。人事基幹システムならすべてのデータが一元管理されているため、1箇所の修正ですべてのデータを変更できます。
3.法令遵守とリスク管理の強化
ベンダーの提供する人事基幹システムなら、労働基準法をはじめとする法改正に自動的に対応できるのもメリットです。法令遵守やリスク管理の強化に取り組めるため、コンプライアンス違反のリスクを低減します。
たとえば、「残業時間の上限規制」「有給休暇の取得数」などを法令で定められたルールに基づいて管理することが可能です。基準値に近づくと自動的に本人・上長・人事部にアラート通知が届く仕組みを構築すれば、出勤数の調整や有給取得の催促によって、健全な企業経営を実現できます。
4.組織全体の競争力強化
人事基幹システムを導入すれば、各人事評価を細かくデータとして蓄積できるため、組織全体の競争力強化につながるのもメリットです。適切に管理された人事評価は、昇進・昇格の判断基準として活用しやすくなり、適切なスキルの評価で従業員のモチベーションを高める効果が期待できます。
また、従業員のスキルやキャリアパスを可視化して、適切な研修を促せるのもポイントです。従業員一人ひとりの能力を高めて、優秀な人材の育成・活用により組織全体の競争力を高められます。
さらに、従業員のスキルやキャリアパスを可視化することで、人材育成や配置の最適化を図りやすいのも魅力です。プロジェクトごとに最適な人材を割り当てやすくなる効果も期待できるメリットがあります。
人事基幹システム選定ポイント6選
人事基幹システムには多種多様な製品が登場しているため、自社に合っているかどうか、比較基準を設けて選定することが大切です。人事基幹システムを選ぶときのポイントは以下の通りです。
・外部ツールとのデータ連携に対応している |
ここでは、人事基幹システムを選定するときの6つのポイントを解説します。
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外部ツールとのデータ連携に対応している
人事基幹システムを導入するときは、「外部ツールとのデータ連携」に対応しているかよく検討する必要があります。ほかの人事関連ツールや会計システムとの連携機能は、データの一元管理で得られる業務効率化の効果を最大限に発揮するためにも必要不可欠です。
具体的には、API連携やCSVファイルのインポート・エクスポート機能に対応しているか確認するのをおすすめします。
基幹システムと連携して業務プロセスの効率化をするならGENIEEがおすすめです。
GENIEEは、人事基幹システムと連携できる仕組みを搭載したツールです。顧客情報や営業支援を行える「GENIEE SFA/CRM」や、マーケティング業務を効率化できる「GENIEE MA」、自社データを深堀りできる「GENIEE BI」などさまざまなシステムを提供しています。
GENIEEはそれぞれAPI連携を用いた基幹システムとも連携しており、従業員情報を連携できるのも魅力です。たとえば、顧客情報管理システムで営業担当の成績を蓄積して、人事基幹システムと連携すれば、営業一人ひとりの成績を可視化できます。
営業担当一人ひとりの成果を元に賞与なども計算しやすくなるため、従業員のモチベーション向上につなげられるのが魅力です。
SFAとCRMを兼ね備えた国産営業管理ツール「GENIEE SFA/CRM(ちきゅう)」
組織ニーズとマッチしている
人事基幹システムを導入するときは、自社の規模や業種、従業員数など組織ニーズとマッチしたシステムを選ぶことが大切です。たとえば、中小企業ではシンプルかつ低コストで導入できるシステムがおすすめです。
一方で、大企業では多様な機能を揃えて、セキュリティ対策が万全なシステムが求められます。拡張性やカスタマイズ性も比較要素に加えると、将来的なニーズの変化に追従できるのもポイントです。
特に、大企業ではすでに活用している自社システムが多いため、既存システムとの連携力もしっかり確認する必要があります。
言い換えれば、将来を踏まえて人事基幹システムを導入することが大切です。自社のニーズをしっかりと把握したうえで、最適なシステムの選定をおすすめします。
簡単な操作性
人事基幹システムの選び方に、システムの操作性が挙げられます。人事評価システムは人事部だけでなく従業員も操作するケースがあり、簡単に操作できるかどうかで導入後にスムーズな運用ができるかどうかが変化します。
従業員の習熟度を求めず、直感的に操作できるシステムかどうか、事前にデモ版やトライアル版で確認するのもおすすめです。操作が複雑でわかりにくいと、従業員の負担を増やすばかりか、システムが思ったよりも利活用されないリスクが高まります。
直感的に操作できるシンプルなインターフェースを重視して、自社に定着するかどうか、簡単な操作性を有しているかどうかで比較検討するのをおすすめします。
十分なサポートが提供されている
人事基幹システムを導入するときは、導入時のサポート体制や、運用中の問い合わせ窓口の有無を確認することが大切です。あわせて、マニュアルやFAQが充実しているかどうかも確認するのをおすすめします。
人事基幹システムは、導入後も定期的なバージョンアップや法改正への対応が求められます。その際、ベンダーがアップデートなどのフォローアップを行ってくれなければ、せっかく業務効率化を目的に導入したシステムがムダになってしまうかもしれません。
また、導入時のサポートだけでなく、運用中の疑問やトラブルに対応してくれるかどうかも大切です。サポート体制の整っているシステムを選べば、安心してシステムを利用できます。
セキュリティ対策が万全か
人事基幹システムは個人情報や機密情報を扱うシステムのため、セキュリティ対策は非常に重要です。アクセス制御やデータ暗号化など、セキュリティ機能が搭載されているか確認するのをおすすめします。
特に、従業員の個人情報など気密性の高い情報が漏洩してしまうと、企業の信頼を損なうリスクが高まります。場合によっては訴訟問題にも発展するため、強固なセキュリティ対策の施された人事基幹システムを選ぶことが大切です。
他のツールやアプリケーションとの相性
既存ツールやアプリケーションとの相性も、人事基幹システムを比較検討するうえで大切です。ツールやアプリを連携できれば、データの二重入力といった手間を防ぎ、業務効率をさらに向上させられます。
たとえば、既存の勤怠管理システムと連携できる人事基幹システムなら、給与計算や残業日数管理なども大きな手間を掛けず効率化できます。個別にデータ入力をする手間を省けるだけでなく、各データの正確性も向上するのがメリットです。
ほかにも、既存のチャットツールやメールシステムと連携して、各アラートの情報伝達をスムーズに伝えたり、給与明細の送付まで自動化したりできます。
人事基幹システムごとに連携できるツールやアプリケーションの幅は異なるため、冒頭に触れたAPI連携とあわせて比較検討するのを、おすすめします。
まとめ
人事基幹システムは、人事部を主軸にバックオフィス業務を効率化できるツールです。企業全体の資産を管理するERPとは違って、主に人事部の業務効率化に長けています。人材のスキルを詳細に把握して、プロジェクトごとに最適な人材をアプローチできるのが大きな魅力です。
適切な人事基幹システムを導入すれば、「従業員データの一元管理」「二重入力・ヌケモレ・ミスの抑止」「法令遵守やリスク管理の強化」「組織全体の競争力強化」など、さまざまなメリットを得られます。
その際は、ほかシステムとの連携力やサポート力、カスタマイズ力を確認するのもポイントです。たとえば、営業支援システムの「GENIEE SFA/CRM」と連携すると、営業担当の成績を細かく蓄積したうえで適切な人事評価を行えます。
細部まで対象となった人事評価は営業担当のモチベーションを高められるほか、成績の優れた営業担当を見つけてノウハウの共有を促せるのもポイントです。人事部だけでなく、営業部の業務効率化・成約率向上といった効果も見込めます。
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