顧客のニーズを正しく把握する方法とは?「ニーズを満たす」の本当の意味
マーケティング用語として使われる「ニーズ」。普段から見聞きするのはもちろん、自身で使われている方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ「ニーズとは何か詳しく説明して欲しい」といわれると、自信を持って答えることができる人は少ないのではないでしょうか。
今回は、「ニーズを満たす」の意味や、ニーズを正しく把握する方法をご紹介していきます。今まで何となく使っていた「ニーズ」を正しく理解し、今後のマーケティング戦略に活かしていきましょう。
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顧客の「ニーズ」について
マーケティングにおける「ニーズ」とは、必要・欲求・需要などを意味する”need(s)”が語源とされており、「人間生活上必要なある充足感が奪われている状態」のことを表します。
人は日常生活や仕事をするうえで、「リッチな生活がしたい」「後輩に慕われる上司になりたい」などの理想があります。しかし、現実では「節約生活の毎日」「なかなか後輩と打ち解けられない」などのギャップがあるでしょう。ニーズとはつまり、この理想と現実とのギャップを埋めたい「欲求」を指します。ニーズを満たすということは、この欲求を満たすことを意味するのです。
「顧客ニーズ」とは?
ビジネスの現場で頻繁に使用される「顧客ニーズ」は、先ほどのニーズの説明にしたがって、要約すると、顧客が抱えている欲求や需要を意味することになります。
しかし、「顧客が欲しがっている商品やサービス=顧客ニーズ」と捉えがちですが、「〇〇が欲しい」はあくまで解決するための手段であって、「なぜ〇〇が欲しいのか」目的を突き止める必要があります。
「〇〇が欲しい理由」こそが本当のニーズであり、単純に商品やサービス自体を「顧客ニーズ」と捉えてしまうと、認識のズレが生じてしまう恐れがあるのです。
「ウォンツ」との違い
「ニーズ」と混同してしまう言葉に「ウォンツ」があります。ニーズが”目的”であるのに対し、ウォンツは”手段”を意味します。先ほどの「〇〇が欲しい」がまさに「ウォンツ」であり、顧客の最初の要望は「ニーズ」ではなくこの「ウォンツ」である場合が多いです。
例えば、ある顧客がパソコンの購入を検討しているとします。その場合、買うという手段である「パソコンが欲しい」という動機が「ウォンツ」となり、「仕事の効率を上げたい」などというパソコンを買う目的が「ニーズ」となるのです。
顧客のニーズが「仕事の効率を上げたい」にも関わらず、「パソコンが欲しい=ニーズ」と捉えてしまうと、スペックが低い格安パソコンなど、ニーズと合わない商品を紹介してしまう恐れが考えられるでしょう。これでは、顧客のニーズを満たすどころか、さらに理想からかけ離れてしまい、満足度は低下してしまうはずです。
一方、ニーズが「仕事の効率を上げたい」ことだとちゃんと掴めていれば、処理速度がはやいパソコンなど、顧客が望む商品を紹介することができます。
顧客の「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」
顧客のニーズには、「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の2種類が存在します。
顕在ニーズとは顧客が自身のニーズを”自覚している”状態のことで、潜在ニーズとは”自覚していない”状態のことを表します。
顕在ニーズを把握することは比較的簡単で、顧客の「ウォンツ」をベースに「なぜ」を繰り返し質問することで、答えが導かれる場合が多いです。具体的には以下の通りです。
A:「新しいパソコンが欲しいです」
B:「なぜ、新しいパソコンが欲しいのですか?」
A:「今使っている古いパソコンは動作が遅いので」
B:「なぜ、動作がはやいパソコンが欲しいのですか?」
A:「仕事の効率を上げたいからです」
この会話から、顧客の顕在ニーズは「仕事の効率を上げたい」であると分かります。このように、顕在ニーズは相手との関係性が浅くても、簡単なヒアリングだけで表面化できるという特徴があります。
しかし、顕在ニーズだけをベースに商品を紹介しても、顧客にヒットしない場合もあるため注意が必要です。 その場合は、顧客自身も自覚していない「潜在ニーズ」を探る必要が出てきます。潜在ニーズは、顧客の属性や過去に購入した商品などを参考にしながら分析することで把握できます。
例えば、顧客のニーズが「仕事の効率を上げたい」と分かったので、仕事をするのにおすすめなパソコンを紹介したものの、なかなか顧客が購入に至る商品がありません。そういった場合は、過去の購入履歴や属性を調べ分析を行うことで、その顧客が「最新家電好き」や「デザイン性の高い家電の購入履歴が多い」など、お客さん自身では自覚していない傾向の把握が可能となるのです。
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顧客のニーズを把握する方法とは?
顧客のニーズを把握するにはいくつか方法があります。インターネット上の情報を参考にする方法や、顧客にアンケートを取る方法、RFM分析・CTB分析など顧客データを分析する方法が一般的に知られています。
これらの方法にはそれぞれ特徴があり、長所もあれば同時に短所も存在します。そのため、複数の方法を組み合わせることで、より顧客のニーズを正しく理解することが可能になるのです。
以下で、それぞれの方法を詳しくご紹介していきましょう。
インターネット上の情報を参考にする
SNSが普及した今日では、「ソーシャルリスニング」と呼ばれる分析に注目が集まっています。ソーシャルリスニングとは、人々がSNS上で投稿した日常的な会話や行動データを収集し分析する方法です。
ソーシャルリスニングのメリットは、顧客の生の声が聞けることです。企業側で設定した質問に答えてもらうアンケートとは異なり、顧客は自由な内容を投稿する形であるため、企業側では考えもしなかった顧客目線での意見を発見できる可能性があります。
インターネット上の情報を集計するため、あらかじめ準備することも少なく、手軽に行えることがメリットですが、発言者の性別や属性などを把握することが難しく、データの信頼性が低い部分がデメリットとして挙げられます。
顧客にアンケートをとる
アンケート方式は、企業側が知りたい情報に対して回答してもらうことができ、回答者の属性も把握することができます。そのため、顧客のニーズを把握する方法として1番実施しやすい方法です。
1度アンケート票を作ってしまえば、定期的に同様の内容でアンケートを取ることができ、最近ではクラウドソーシングを利用してアンケートを取る企業も増えてきました。
アンケートの最大のメリットは、顧客の評価を聞ける点です。しかし、デメリットとしてアンケート設計や集計に手間がかかり、回答に対して深堀することが難しい点が挙げられます。
また、アンケートに回答する動機が「景品が欲しい」「ポイント稼ぎ」などの場合、無回答や本当の意見ではない可能性もあるため、アンケートだけ実施するのはあまり好ましくないでしょう。
顧客データを分析する
先ほどご紹介した口コミやアンケートは、「顕在ニーズ」を知るための方法でしたが、次は「潜在ニーズ」を探るための方法をご紹介します。
潜在ニーズを知るための方法として、顧客の基本データや購買情報などを分析する方法があります。そして、顧客データを分析する際は、フレームワークを組む必要があるのです。
フレームワークとは、枠組みや骨組みの意味を持った英単語で、IT分野では問題を解決するための概念や方法を体系化したものとして使われています。取得した膨大な顧客データを闇雲に分析するのではなく、あらかじめ決められた手順と枠組みに沿って分析を行うことで、効率化することができるのです。
有名なフレームワークとして、ロジックツリーやMECE(ミーシー)などがありますが、ここでは顧客分析に効果的なフレームワークを3つご紹介します。
RFM 分析
RFM分析とは、「Recency (最近の購入日)」「Frequency (利用頻度)」「Monetary (金額の大きさ)」の3つを指標にして分析する方法です。
RFM分析では、新規顧客、休眠顧客、優良顧客など、顧客のロイヤルティを基準にグループ分けして分析できます。全ての顧客に同様のアプローチをしていては無駄なコストが生じるため、RFM分析を用いて顧客を分類することで、商品を購入してくれる可能性が高い顧客にアプローチすること可能となります。
CTB 分析
CTB分析とは、「Category(カテゴリ)」「Taste(テイスト)」「Brand(ブランド)」の3つを指標にして分析する方法です。今後、顧客がどのような商品を購入するのか購入予測を行います。
「Category(カテゴリ)」では、大カテゴリ(ファッション、グルメなど)、小カテゴリ(ファッションの中でも、トップスや靴など)などで分類し、顧客の大まかな趣向を把握。「Taste(テイスト)」では、色や模様など、どういった風合いを好むのか把握します。そして、「Brand(ブランド)」では、ファッションブランドやキャラクターなど、好みのブランドを把握でき、CTB分析を用いて顧客を分類することで、次に購入しそうな商品をおすすめできるようになるのです。
セグメンテーション分析
セグメンテーションとは、企業側がどの市場を狙っていくのか戦略を立てる際に、市場全体を細分化して顧客を分類化(セグメント)することを意味します。
TVや新聞などのマスメディアを利用して、全ての消費者に同じ手法でアプローチする方法をマスマーケティングと呼びます。「作れば物が売れる時代」であれば、コストが高くても効果的であったかもしれません。しかし、インターネットやスマホの普及により、TVや新聞から離れる世代が増えて顧客のニーズが多様化している現在では、年齢、職業、ニーズなど特定の基準を基に市場を細分化し、ターゲット顧客を絞るマーケティングが主流です。
例えば、商品が口紅であれば女性の方が購入する可能性が高く、商品がネクタイであれば男性のほうが購入する可能性が高いと考えられます。商品を使用しない人達に向けてのアプローチは、無駄な労力とコストがかかってしまいます。
そこで、セグメンテーション分析によって年齢や性別、職業などを基準にし、その基準を基に市場を分割(細分化)することで、狙うべきターゲットや新たなニーズを発見することができるのです。
顧客データの分析で役立つツール
顧客のニーズを把握する方法として、さまざまな分析方法をご紹介してきました。しかし、膨大な顧客データを管理・分析するには手間と時間がかかり、データは随時更新されていくため、従来のExcel管理では限界があります。そこで役立つツールが「CRM」です。
CRMとはCustomer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネージメント)の略で、「顧客関係管理」を意味します。
人手では膨大な時間がかかる作業も、CRMツールを使用すれば、顧客のデータを簡単に収集・管理できるだけではなく、集めたデータを基に分析して自動でグラフ化もしてくれます。
これにより、従来の経験や勘に頼っていた戦略ではなく、データを基にした根拠ある戦略を立てることが可能となり、顧客一人ひとりに適切なアプローチができるようになるのです。
以下のコラムでは、CRMについて詳しくご紹介しています。ぜひ、こちらもチェックしてみてください。
CRMとは?メリット・デメリットや導入の流れ、効果的な活用方法を紹介
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顧客のニーズを満たすための心得
顧客が求める価値基準は、主に以下の4段階に分かれているといわれます。
1.取引の基本となる不可欠な「基本価値」
2.取引で顧客が当然期待する「期待価値」
3.期待はしてないが、あれば高く評価する「願望価値」
4.期待・願望を超えて喜びに値する「予想外価値」
「基本価値」と「期待価値」は取引をするうえで当然求められる対価で、市場活動に最低限必要なラインです。そして、顧客のニーズを満たすための心得として最も重要なのが、「願望価値」と「予想外価値」です。
ただ顧客のニーズを満たすだけでは、いつ顧客が競合他社に取られてしまうか分かりません。したがって、顧客のニーズが多様化している現代社会では、従来の「ただ、顧客ニーズを満たす」だけでは不十分なのです。ニーズのその先にある顧客の「願望価値」と「予想外価値」を考えて訴求していくことが、顧客との継続的な信頼関係を築く第一歩です。
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顧客データの分析に、ぜひ「GENIEE SFA/CRM(ちきゅう)」をご活用ください。「GENIEE SFA/CRM(ちきゅう)」はクラウド型のCRMツールで、顧客管理や商談管理、データ分析等の機能が一体となっており、どこにいてもどんな方でも正しい情報をリアルタイムで確認できるのが特徴です。
モバイルアプリがあるため、外出先でも利用できます。Gmailとの連携が可能なので、メールの本文や添付ファイルを「GENIEE SFA/CRM(ちきゅう)」に取り込み、社内で共有することも可能です。初期費用なし、月額3,480円~と導入や維持がしやすい料金設定で、初めてCRMツールを導入する企業でも使いやすいでしょう。
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