なにが自動?マーケティングオートメーションの実態
マーケティングオートメーションを導入すると、いったい何が自動化されるのでしょうか?
「オートメーション」という言葉のイメージから、どのマーケティングオートメーション(MA)でも「すべてのマーケティングプロセスが自動化できる」と思い違いをしてしまうことがあります。
本稿ではその不透明な部分としての「自動化」について、
どこまで自動化できるのか?
また、それによって得られるビジネスへの貢献度などをご紹介します。
まず、マーケティングオートメーションのベンダー各社が伝えている
『MAとは何か?』について、下記に並べてみました。
・マーケティングの各プロセスおける実行作業を自動化することで効率化するツール。
・オンライン、オフラインのマーケティング活動全般を統合管理をして、
顧客に最適なコミュニケーションを自動化する手法、および
それを可能にするプラットフォーム。
・マーケティングの各プロセスおけるアクションを自動化するための仕組みや
プラットフォーム。
顧客や見込み顧客に対して、どんなアクションをとってきたかを記録し、
「最適なコンテンツを、最適なタイミングで、最適な方法で届ける」ことを
目的に利用。
これらに共通する項目は「自動化」です。
では、自動化とは具体的に何を自動化するのでしょうか?
シナリオ設計が成果最大化のポイント
見込み客の成約・購入意欲を高める販促活動「リードナーチャリング」。
集めた新規ユーザーを効率的かつ自動的に育成していく、マーケティングオートメーションの主要な要素です。
それぞれの見込み客が持つニーズや、今後発生するであろう検討要素などを予測し、
それに応じた解決案を段階的な情報として、メール等で自動配信していきます。
自動配信するためには、事前にプロセスを整理・設計しておくことが必要になります。
この一連の設計をマーケティングオートメーションでは 「シナリオ」と呼びます。
簡単に言えば、映画の脚本作りのようなものです。
「いつ」「誰に」「どんな内容を」「どんな方法で」とシナリオ設計すると、
シナリオに沿って事前に設定した情報が見込み客に送られます。
自動配信する情報は、製品の活用方法や製品が紹介された記事、実際に製品を使用している顧客の声など、 受け取る側の意識や立場に合わせて想定したものを、いくつか用意します。
さらに、設計したシナリオ通りに情報が自動配信された後、その結果をレポートで分析し、 PDCAサイクルを回しながら、シナリオをより良く改善していきます。
これによりマーケティングオートメーションで得られる成果が最大化されます。
ユーザーのサイト来訪履歴・閲覧状況を自動収集
マーケティングオートメーションでは、
どんな属性のユーザーはどのような趣向を持っていて、
何のページ(情報)を重点的に見ているか?といった
属性・行動に関する情報を自動収集することができます。
自社サイトのページ閲覧履歴や時間などのWeb行動を、
個別のユーザーごとに自動収集できるので、
離脱しやすいページなど、顧客属性ごとのWeb導線パターンを可視化し、
ロイヤリティの高い優良顧客にとって快適なサイト導線へ改善したり、
より効果が出るようクリエイティブも最適化することが可能です。
これにより、今までWebコンサルタントやWeb制作会社に依存していた
集客に関するクリエイティブや導線設計について、
自社で明確な指標を持って運用することが可能になります。
メール配信の自動化 リードナーチャリング(見込み客育成)
特定の条件に合致した見込み客に対し、
事前に設計していたシナリオに沿って自動的にメールを配信します。
あらかじめ決めたタイミングで、そのタイミングに最適なメールを配信し、
メールの開封確認、リンククリック確認も自動的に収集します。
例えば、メール文面からランディングページ(LP)に誘導。
配信したメールに対するレスポンスを自動収集し、
どの顧客属性には、どのメールタイトル、本文が最適なのか、
PDCAをまわしながらリテンション促進をすることが可能になります。
これにより、広告配信時のLPへのコンバージョンを
事前に想定しておくこともできます。
意欲の高いホットリードを自動通知 スコアリング機能
マーケティングオートメーションには、
見込み客の製品に対する購入意識や興味の度合いを知るための
「スコアリング」機能があります。
製品サイトのページごとに、あらかじめ点数を設定しておき、
見込み客がそのページに来訪した際に加点していきます。
〇〇点以上のスコアに達したら、担当営業へ自動通知することが可能になります。
営業は意欲の高いホットリードの通知を受け取り、
最適なタイミングでアプローチ電話ができます。
また、見込み客自身も「ちょうど今」探していたタイミングで、
興味のある電話を受けるため、 商談・成約までスムーズに進められます。
電話をすべき最適なタイミングが分かるだけでも、
時間的負担やストレス負担が大幅に低減されます。
自動化しないほうが良い聖域領域 シナリオ設計
ここまでご紹介したことは自動化の一部機能であり、
マーケティング活動におけるもっと多くの部分を自動化することができます。
しかし、すべてを自動化するよりも「人」がやったほうが良いこともあります。
それは、シナリオ設計の土台づくりです。
どのようなタイミングで、どのようなアクションをすべきか、
戦略面に関してはマーケティング担当者がシナリオ設計を行うのがベストです。
その製品の素晴らしさをどのようにユーザーに伝えるのか?が
本来のマーケティング担当者の仕事。
マーケティングオートメーションを利用することで
工数のかかっていた煩雑な作業が自動化され、
今まで以上に戦略面に集中することができます。
ユーザーとの間にどのような橋をかけるのか、シナリオ設計を通じて考察することに
マーケティング担当者の醍醐味があるのではないでしょうか。