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【なぜ人はモノを買うのか?】経済学の間違いから抜け出す

更新日:2024.02.09 / マーケティング
【なぜ人はモノを買うのか?】経済学の間違いから抜け出す

3部構成でお伝えしてきました
マーケティングオートメーションのシナリオ設計。
本稿がラストとなります。

数年前から心理学の知見を入れるマーケティングが
ビジネスの場で成功してきたこともあり、
本格的に顧客心理の重要性が説かれてきました。

もちろん以前から顧客の立場を理解しようと、来店アンケート調査を実施したり、
インターネット調査をしたりといったことはたくさん行われてきました。

そこで「なぜその商品を買ったのか?」
そう問われると、「〇〇だから買った」と
論理的理由が整然と並んでいました。

「このアンケート回答をマーケティングに活かすことができれば、
もっとたくさん商品が売れるぞ!」と・・・

しかし、本当にそうでしょうか?
その答えは限りなくNoに近いのではないでしょうか。

本当のところ買う買わないを決めた理由に、
顧客自身も気がついていない無意識の判断がございます。
これら従来のアンケート調査では顧客が認識していること、
意識して回答した結果に過ぎません。

本稿では「なぜ人はモノを買うのか?経済学の間違いから抜け出す」
と題して無意識がビジネスに与える影響力をご紹介します。

慣れ親しんだマーケティングの盲点

本質的に私たち人間は合理的かつ論理的理由ではなく、
遺伝的欲求、感情的な側面で99%、買う買わないを決断しています。
(その理由は後述します)

ということは顧客に「なぜその商品を買ったのか?」と聞いて得た回答から、
コアとなる理由は見えてこないのです。

ではどうしたらいいのか?
そこで登場したのがマーケティングオートメーションです。

マーケティングオートメーションツールを利用することで、
顧客が買う買わないを決めた無意識の領域を知ることができます。

そのポイントは行動履歴です。
購入決断の真実は“言葉よりも行動”に宿ります。

マーケティングオートメーションはこの顧客行動に焦点をあてたツールです。
顧客行動を可視化・蓄積し、
OnetoOneの個別コミュニケーションを自動化。
ステップバイステップで購買感情をモチベートしていく仕組みです。

OnetoOneコミュニケーションの結果、
この人はなぜ購入したのか?この人はなぜ購入しなかったのか?
顧客行動データに基づいて議論できるようになります。

これにより、マーケティングが机上の空論ではなく、
顧客中心のもっとリアリティのあるマーケティングへと進化していきます。

何がお客様の心をつかんだのか?共感を生んだのか?
MAによって本当の答えが見えてきます。

「無意識の心理」に目を向ける企業が急成長していく

ダニエル・カーネマンをご存知でしょうか?
行動経済学者で2002年にノーベル経済学賞を受賞した人物です。

彼の発表したプロスペクト理論をご紹介します。

Aさん:年収が1000万円だったが、800万円に減給となった。
Bさん:年収が400万円だったが、600万円に昇給となった。

もし自分がAさんBさんだとしたら、いったいどちらが幸せでしょうか?
これは明らかにBさんではないでしょうか。

でも、なぜでしょうか?
合理的・論理的には受け取る年収(800万円)の多いAさんが幸せなはずです。

プロスペクト理論はこの受け取る絶対額の「状態」ではなく
「変化」に焦点をあてた理論です。

幸せ・満足は、今の状態からの変化であり、
商品を売るには、顧客の今の状態を定義し、そこからどれだけ変化できるか?
をわかりやすく伝達することです。

絶対量ではなく変化の幅。
どう変化するかを中心にマーケティングコミュニケーションを設計していきましょう。

例えば、お客様事例インタビューなどに
“過去からどれだけ変化したか”を見えるようにする。

これとは逆に従来の経済学では「人間は合理的に意思決定をする」と
いうことが前提でした。
また従来の計量経済学もGDPや物価のような
数量的なデータを研究対象にしてきました。

しかし、この経済学の前提条件はプロスペクト理論だけでなく、
数々の認知科学の分野でも“人間には通用しない”ことが証明されてきました。

そもそも経済は経済学では成り立たず、経済は人によって動き、
個人の経済行動、企業の経済行動も、全て人が決めている。
よってマーケティングは経済理論ではなく心理理論で考えることが望ましく、
経済学は認知心理学の一部となってきたと言えるのではないでしょうか。

こういった流れは2002年のノーベル賞ダニエルカーネマンの
研究結果で広く知られ、その後の経済理論でも、
ほとんどが心理学から説明されていることから明白でしょう。

今後はますます認知科学全般(心理学・脳科学)が経済に影響を与えていき、
ビジネスの現場でも数字だけでは見えない顧客の「無意識の心理」に
目を向ける企業が急成長していくことでしょう。

ダニエル・カーネマンをはじめ、
60年代、70年代から行われてきた認知科学の研究実績が、
だんだんと世の中に認知されてきました。
これらを受け入れられない経済学者もたくさんいますが、
本質的なマーケティング研究者からすれば、やっと認知されてきた。
そういった感触でしょうか。

ここからはどうして人はモノを買うのか?
“売れるモノと売れないモノ”
そこにある2つの欲求、論理的理由の裏側にある
「遺伝的欲求」と「心理的欲求」を読み解いていきましょう。

遺伝的欲求 ①自己顕示欲

事例:メルセデス・ベンツ

ベンツに乗っている人は富裕層というイメージ。
多くの人が「ベンツに乗っている人=富裕層」といった無意識の判断をします。
ということはベンツのオーナーは同時に富裕層であるというイメージも付帯
=自己顕示欲が満たされます

ただ「移動する乗り物」といっただけでなく、
自己顕示欲という高揚感もセットとなっているのです。

「移動手段+遺伝的欲求」を同時に満たす車。
だから価格が高くても買ってしまう。

この事例をマーケティングに活かにはどうしたらいいでしょうか?
この商品で解決できるニーズ+その他自己顕示欲を満たすポイントはないか?

意外と見えていなかった盲点が見えてくるのではないでしょうか。

心理的欲求 ①損失を避けたい欲求

第一に利益よりも損失がないことを証明することがポイントです。

何かにチャレンジするとき、新しいモノを購入するとき、
顧客の心理は「もし、失敗したら・・・」ということが先立ちます。

心配がないということを全面的に信頼・理解した後、
利益はどの程度なのか?
といった順番で感情が移行します。

心配を払拭せずに、利益だけをPRした場合、
「本当に大丈夫なのか?」と懐疑的感情が強くなっていきます。

また、ここでのポイントは間接的にアプローチすることです。
紹介された記事、お客様の実例などを活用し、
事実・実績・ストーリーで信頼を得ていきます。

このように顧客が持つ心配・恐れを意識的に解消することで、
第一の心理的障壁を突破していきましょう。
あなたの商品がどんなに良くても、
相手側があなたのビジネスに馴染みがない場合、
恐れを持ちます。

誰もが失敗したくないのです。
誰もが間違っていないことを確認したいのです。

他にも遺伝的欲求と心理的欲求はたくさんございますので、
また次回にご紹介させていただきます。

最後に、マーケティングオートメーションの
リードナーチャリング(シナリオ配信)では
顧客感情の育成・動機づけがポイントです。

本稿でご紹介した内容から何かヒントが得られれば幸いです。

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