最新|セキュリティ対策強化に最適なSFAツール4選
昨今、企業を取り巻く情報セキュリティ対策における社会環境は日々厳しさを増しています。
企業を取り巻く情報セキュリティ関連法案
情報セキュリティ関連の法規制や関連法案は多岐に渡りますが、国民の関心も高く政府も重要視している分野が個人情報です。
個人情報の取り扱いについては専門知識とセキュリティ対策が企業側にも求められています。
先ず国内企業が遵守しなければならない法律が個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)です。
行政機関や自治体だけでなく、民間企業など個人情報を取り扱う全ての事業者や組織に対して適用されている法律となります。
個人情報保護法は、個人情報の適正な取り扱いを確保するための基本法であり、個人の権利利益を保護することを目的としています。
この法律は、個人情報の収集、利用、保存、提供に関する基準を定めており、情報漏洩や不正利用の防止を図るための指針を企業に提供しています。特に、個人情報の第三者提供に関しては、本人の同意を得ることが原則となり、これを怠った場合には厳しい罰則が科されることもあります。
さらに、欧州連合(EU)が制定した「一般データ保護規則(GDPR)」も、一部日本企業に影響を与えています。「GDPR」はEU域内の個人データの保護を目的とした法律ですが、EU市場で事業を展開する日系企業もその適用対象となります。このため、国内企業は国際的な基準に基づいたセキュリティ対策を講じる必要があります。
実際に2019年1月には米検索大手GoogleがGDPRに違反したとしてフランス当局より制裁金を課される事態に発展しました。その金額はなんと約62億円(5,000万ユーロ)です。
また、情報セキュリティの観点から重要な法律として「サイバーセキュリティ基本法」があります。この法律は、国の安全保障や経済活動の基盤を守るために、サイバー攻撃から情報システムを防御することを目的としています。企業は、サイバーセキュリティ基本法に基づき、情報システムの防護体制を整備し、適切なセキュリティ対策を講じることが求められています。
このように、企業を取り巻く情報セキュリティ対策関連法案は多岐にわたり、法律によって様々な側面から情報の保護の強化を求められる傾向にあります。企業はこれらの法令を理解し、遵守することで、情報漏洩のリスクを最小限に抑える必要があるのです。
従来は大量のデータを取り扱うこととなる一部のエンタープライズ企業に求められていたセキュリティレベルを今や中堅中小企業までが同じレベルでの対策強化を求められる時代に突入したと言えるのではないでしょうか。
厳格化する情報セキュリティ関連法
更にセキュリティ関連法案は年々厳格化する動きにあります。
例えば、企業が今最も対策を求められていると言われる「個人情報保護法」については定期的に以下のような改正がなされています。
①本人の請求権の拡大
②事業者の責務の追加
③事業者の自主的な取り組みの推進
④データ利用活用の推進
⑤ペナルティの強化
⑥域外適用等の拡充
更に2024年においては、漏えい等が発生した場合の個人情報保護委員会への報告義務と本人への通知義務の対象が、「個人データ」から一定の「個人情報」にまで拡大しました。
以上のように情報セキュリティ関連法案は当初設計された内容に加え順次罰則強化や利用者側の権利拡大などを厳しくなる一方であり、個人情報等重要情報を取り扱う企業にとってはセキュリティ対策を都度最新情報にキャッチアップしながら対策強化を行う必要があります。
高まるセキュリティ対策強化ブランディングの重要度
セキュリティ対策を社内で推進していくだけでは実は十分ではありません。取り組みを行いながらもその信頼性を対外的に示していく必要があります。
つまり、取引先を始めとする外部企業やサービスを利用する消費者に対して、自社が提供するサービスが強固な情報セキュリティ対策をとっており、顧客から預かっている情報の管理や運用の安全性が担保されている点や日々アップデートする最新のセキュリティ関連法案に準じた対応ができている点などを第三者機関の認証(お墨付き)を受けることでマーケットに対してもPRしていくことが重要です。
今やその企業の商品を取り扱う、サービスを利用する側にとってセキュリティ対策有無とその対策レベルが採用にあたっての重要な判断基準となるためです。
国の入札資格要件には以前からISMSやPマーク保有が条件として確認できていましたが、最近では一般企業でも外注や製品を導入する前の審査項目に各種セキュリティ対策に関する認証資格有無が含まれていることも増えてきました。
つまり、セキュリティ対策への取り組み如何が大きなアドバンテージになるというよりは、それが標準であり、逆にないことで事業に与えるマイナス影響が懸念される時代といえるでしょう。
セキュリティ対策ブランディングに効果的な認証制度
情報セキュリティ認証制度は単なるセキュリティ対策強化の証明にとどまらず、企業の信頼性やブランド価値を高める強力なツールとなり得ます。
消費者や取引先は、信頼性のあるブランドと取引を行いたいと考えており、その信頼性の根拠となるのが、強固なセキュリティ対策です。特に、デジタル化が進む現代においては、顧客の個人情報や企業の機密情報が狙われやすくなっています。これに対する防御策を強化することで、企業は顧客からの信頼を得ることができ、結果的に新たなビジネスチャンスや市場拡大の可能性を広げることができます。
さらに、セキュリティ対策を積極的にアピールすることは、他社との差別化を図るための有効な手段でもあります。競争が激化する環境において、セキュリティ意識の高い企業としてのブランドイメージを確立することは、競争優位性を確保するためにも重要です。
顧客は、安心してサービスを利用できる企業を選びたいと考えており、セキュリティ対策がしっかりしていることを示せれば、選択肢の一つとして大きな影響を与えることができます。
このように、セキュリティ強化施策とブランディングの重要性は密接に関連しており、企業の持続可能な成長には欠かせない要素と言えるでしょう。
国内には主に2つの情報セキュリティ認証制度があります。
Pマーク
プライバシーマーク(Pマーク)とも呼ばれ、個人情報の取り扱いに関する適切な管理体制を持つ企業に対して付与される認証制度です。
これは、日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が運営しており、個人情報保護法に基づき、企業が個人情報を適切に取り扱うための基準を満たしているかどうかを第三者が評価します。
Pマークを取得することで、企業は顧客に対して個人情報の保護に関する信頼性を示すことができ、取引先や消費者からの信用を得る大きな要因となります。
ISMS
情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)は、組織が情報資産を保護するための体系的なアプローチを提供します。
ISMSの導入により、企業は情報セキュリティのリスクを特定し、評価し、管理することが可能となります。
その他、ISO/IEC 27018は、クラウドサービスにおける個人情報保護に特化した国際規格です。
クラウド環境での個人情報の保護が求められる現代において、この規格を取得することで、企業はクラウドサービスの利用に関する信頼性を示すことができます。
これらの認証制度は、企業が情報セキュリティの強化を図るだけでなく、顧客や取引先に対する安心感を提供し、ビジネスの信頼性を高めるための重要な手段となります。企業はこれらの認証を取得することで、セキュリティ意識の高い顧客層へのアピールを強め、競争優位を築くことができるのです。
これらの認証資格は取得すること自体はそこまで難しいことではありませんが、都度アップデートする法案へのキャッチアップや数年に一度の更新審査をクリアし、資格保有を維持していくことは実はそう簡単なことではありません。
多くのチェック項目に準拠するよう社内の情報取り扱い方法の変更と同時に都度入れ替わる社員への教育と浸透などを外部コンサルやツールを使わずに自社だけで1つ1つ対応していくことはもはや物理的に不可能と言えるのではないでしょうか。
顧客情報の取り扱いに潜む大きなリスクとは?
EXCEL・スプレッドシートによる顧客情報管理のリスク
日々企業にはホームページの問い合わせフォームから採用関連から製品、サービスの問い合わせまで様々な種別の情報が否応無しに入ってきます。
対応するために一時的にでもEXCELやスプレッドシートで管理している企業は多いのではないでしょうか。
また、毎月営業マンが新規顧客から獲得する名刺情報も重要な顧客情報ですが、同様に営業マン単位、部署単位でバラバラに管理されていたりはしないでしょうか。
それらは全て個人情報となり、企業においては厳格且つ慎重な取り扱いが必要となります。
意図せぬデータ消失や社員の持ち出しによる社外流出、情報漏洩などのリスクも考えられます。
実際に国内有数の大手企業でも1社員のヒューマンエラーによって甚大な損害賠償額や補償が必要となったというニュースも珍しくありません。
SFAツールの重要性とセキュリティの関係性
こうしたリスクを軽減するためには、情報の集中管理とアクセス制御が不可欠です。
そこで顧客情報の管理に最適なツールとして注目を集めているのが、SFA(Sales Force Automation)です。SFAはその機能を通じて顧客情報を安全に管理し、適切な権限を持つユーザーのみが設定することが可能です。
これにより、情報の漏洩や紛失のリスクを大幅に低減できます。また、SFAツールはデータのバックアップ機能を備えているため、システム障害やデータの損失に対する備えも充実しています。
さらに、SFAツールはリアルタイムでのデータ更新と共有を可能にします。これにより、営業チームは常に最新の情報に基づいて活動でき、顧客対応の迅速化や精度の向上につながります。情報が一元管理されることで、重複データの発生を防ぎ、データの整合性を保つことができます。
SFAは単に営業の業務効率化を図るだけでなく、企業の情報資産を守るためにも不可欠です。
ツールによっては名刺管理機能も実装されており、営業マン個人での名刺情報の管理が不要となることで情報はセキュリティが確保された環境内で一元管理されることとなります。
特に、顧客情報を取り扱う企業にとって、SFAツールのセキュリティは経営リスクの軽減に直結します。セキュリティが不十分なツールは、情報漏洩や不正アクセスのリスクを孕んでおり、これが顧客の信頼を損なう要因となります。したがって、SFAツールの選定においては、そのセキュリティ機能がどれほど充実しているかを慎重に評価することが求められます。
情報漏洩防止のためには、データの暗号化やアクセス制御機能が備わっていることが基本です。また、定期的なセキュリティパッチの提供やログの詳細な管理が可能なツールを選ぶことが重要です。これにより、万が一のインシデントが発生した際にも、迅速な対応が可能となり、被害を最小限に抑えることができます。
このように、SFAツールは単なる営業支援の枠を超えて、情報セキュリティの観点からも企業にとって重要な役割を果たします。顧客情報を安全に取り扱うことは、企業の信頼性を高め、ブランド価値を向上させるためにも欠かせない要素です。
そういった背景を受け、最近ではセキュリティレベルを確保されたSFAやCRMツール等を導入しデータの一括管理を行うことで対策を取っているという企業も増えているのです。
ツール自体のセキュリティレベルを満たしているかが重要
ただ、SFAツール自体のセキュリティ対策が万全でないがために情報漏えいやセキュリティチェック要件を満たせず認証資格の審査を通過できないといった例も見受けられます。
セキュリティレベルの低いSFAツールでは、部署ごとや取り扱う情報レベルによる閲覧権限の設定や、社外からのアクセス制限、閲覧履歴等のログの管理ができず注意が必要です。
SFAツールで顧客情報の一括管理を行っていたとしても、ツール自体のセキュリティレベルが低いがあまりISMSやPマークの審査はクリアすることができず、結局は社外への信頼度を示すことができないといった例もあります。
ツール選定を見誤り、コストだけを優先した結果、セキュリティ対策レベルの万全ではないツールを導入し、結局導入コスト以上の代償を払うこととなったという自体だけは避けたいものです。
万全なセキュリティ機能を実装したSFAやCRMを導入し、顧客情報を一元管理することでISMSやPマークの審査もクリアし社外にも安心感を与えられる事業運営をしていくことが望ましいといえます。
それではどういった観点でセキュリティ強化に役立つSFAツールを選定すればよいのでしょうか。
セキュリティ強化に役立つSFAツールの選び方
セキュリティ機能が充実したSFAツールの特徴と確認すべき点
まずSFAツール提供を行っている企業自体がPマークやISMSの認証資格を保有しているかは最低限チェックする必要があります。
また、ツールのセキュリティ機能がどの程度充実しているかを確認することが重要です。
具体的には、データの暗号化、IPアクセス制御、監査ログの取得といった基本的なセキュリティ機能が実装されているかや、クラウドベースのSFAツールを選ぶ場合は、データセンターのセキュリティ対策やサービスプロバイダーのセキュリティポリシーについても確認し、信頼性の高いプロバイダーを選定することが求められます。
また、ツール選定時には、企業のセキュリティポリシーや業界の規制に適合しているかも重要なポイントです。
特に、金融や医療業界など、厳格なデータ保護規制が存在する業界では、業界基準に対応したSFAツールを選ばなければなりません。情報セキュリティ取り扱いレベルが高いとされる金融業界や製薬業界への導入事例有無も参考になるでしょう。
さらに、データ移行の際には、機密情報の保護がなされていることを確認し、暗号化された通信プロトコルの使用を徹底することが求められます。加えて、定期的なセキュリティ監査を実施し、ツールの運用状況やセキュリティ対策の有効性を評価することも欠かせません。
最終的に、SFAの導入は単にツールを使うだけでなく、セキュリティの観点からも全社的な意識向上を図る機会と捉えることが重要です。
社員研修やセキュリティポリシーの見直しを通じて、組織全体で情報セキュリティの強化を推進し、信頼性の高いビジネス環境を構築することが求められます。
最新版セキュリティ重視SFAツール4選
企業が顧客情報を安全に管理し、競争力を維持するためにセキュリティ重視のSFAツールを選択することがますます重要になっています。
以下では、特に国内でEnterprise企業中心に導入社数が増えているセキュリティ機能が充実したSFAツール4つを紹介します。
※最新情報は各社へお問い合わせいただきご確認されることをおすすめします。
1,Salesforce
世界的シェアを誇るSFAのパイオニア。各国のセキュリティレベルに適応するため高いセキュリティ機能を提供しています。
端的にその詳細をまとめると
・Shield Platform Encryption による高度なデータ暗号化
・SSL技術によるサーバー認証とデータ暗号化
・カスタマイズ可能な暗号化ポリシー
・項目レベルでの暗号化設定が可能
・多要素認証(MFA)対応
・監査ログ機能
など
参考
Salesforceのセキュリティについて
2,kintone
サイボウズ社による信頼性の高いセキュリティ基準を保持しています。
・IPアドレス制限機能
・SSO(シングルサインオン)対応
・アプリケーションレベルでのアクセス権限設定
・データベース暗号化
・監査ログ機能
など
参考
kintoneのセキュリティについて
3,GENIEE SFA/ CRM
世界規模の大量データを取り扱う国内No1のSSPプラットフォームを提供する株式会社ジーニーが開発、販売する「GENIEE SFA/CRM」。導入事例にも多くあるEnterprise企業の高いセキュリティレベルにも耐え得るセキュリティ審査にもクリアしているのが伺えます。企業としてもPマークを取得し情報セキュリティ管理体制も充実しています。
・Pマーク認証
・IPアドレス制限機能
・SSO(シングルサインオン)対応
・ユーザー権限管理
・アクセス制御
・SSL暗号化通信
など
セキュリティ機能含めた詳細情報はこちらまで。
4,ZohoCRM
Salesforce同様世界規模でCRMを導入する同社ではGDPR(欧州一般データ保護規則)にも準拠したセキュリティレベルをクリアしていますいるのが特徴です。
・データ暗号化
・AES-256暗号化プロトコルを使用
・保存データと通信時のデータ両方を暗号化
・機密情報フィールドの個別暗号化が可能
・アクセス制御
・二要素認証(2FA)対応
・ユーザー権限の詳細な管理
・Vaults機能による重要データの保護
・リアルタイムでの複数サーバーへのバックアップ
・GDPR(欧州一般データ保護規則)準拠
・サードパーティトラッカーを使用しないプライバシー保護
など
Zohoのセキュリティについて
SFAは企業のセキュリティ戦略の中核を担う存在
SFAツールの導入により、情報漏洩防止とリスク管理の面でも大きなメリットが得られます。
これらのツールは、リアルタイムでの脅威検出と異常行動の監視を可能にし、未然にセキュリティインシデントを防ぐことができます。また、ユーザーごとのアクセス権限を細かく設定できるため、内部からの情報漏洩リスクを大幅に低減します。
さらに、監査ログを活用することで、誰がいつどの情報にアクセスしたかを追跡可能にし、問題発生時の迅速な原因特定と対応を支援します。これにより、企業はコンプライアンス要件を満たしつつ、信頼性の高いセキュリティ体制を構築でき、顧客や取引先からの信頼も向上します。SFAツールは、単なる営業支援の枠を超え、企業全体のセキュリティ戦略強化に寄与する重要な要素となっています。企業はこれらのツールを活用し、強固なセキュリティ体制を築くことが求められています。
SFAはいまや単なる営業支援を超えて、企業のセキュリティ戦略の中核を担う存在です。選定にあたっては、セキュリティ要件の確認と、自社のビジネスニーズに合致するかどうかを慎重に検討することが重要です。
まとめと今後の展望
セキュリティとSFA(Sales Force Automation)の関係は、今後ますます重要性を増していくでしょう。企業がデジタル化を進める中で、顧客情報の安全性を確保することは必須です。これにより、SFAツールは単なる営業支援システムとしてだけでなく、情報セキュリティの強化においても重要な役割を果たすことが求められています。
技術の進化に伴い、新たなセキュリティ機能やプロトコルが導入されることで、より堅牢なデータ保護が実現されることが期待されます。例えば、AIや機械学習を活用した異常検知技術は、リアルタイムでの脅威対応を可能にし、データ漏洩のリスクを大幅に軽減するでしょう。また、ブロックチェーン技術を活用した分散型のデータ管理が、改ざん防止や透明性の向上に寄与することも考えられます。
今後の展望としては、これらの技術革新を積極的に取り入れたSFAツールの開発が進むことが予想されます。企業はこれにより、より高度なセキュリティ対策を講じることができ、顧客との信頼関係をさらに強化することが可能になるでしょう。今後のSFAツール選びでは、セキュリティ機能の充実度とその将来的な拡張性も重要な選定基準として考慮する必要があります。