投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります、また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示することとしております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、その発生の予防・回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社グループ株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日(平成29年11月13日)現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
当社グループの主たる事業を展開するインターネット広告業界は、市場規模が過去10年足らずで急速に拡大いたしました。インターネットに限らず、広告事業は一般的に景気動向の影響を受けやすい傾向があります。今後、景気の悪化、広告予算の減額、または市場規模が想定したほど拡大しなければ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、依然として激しい競争環境の中で、当社グループは競合優位性を確立し競争力を高めるべく様々な施策を講じております。しかしながら、必ずしもこのような施策が奏功し競合優位性の確立につながるとは限らず、その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのアドテクノロジー事業の売上は、広告主の広告予算により構成されるため、広告主による月ごとの予算配分に影響を受け、12月及び決算月(主に3月)に集中する傾向にあります。
このため、安定的に月次業績が推移する業種に比べ、売上及び利益の変動が起こりやすいほか、繁忙期に業務が継続するような労働力を確保しておく必要があるため、変動が大きく下振れ幅が顕著な場合には当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
第7期連結会計年度の四半期会計期間の各業績は、次の通りであります。
(単位:千円)
第7期連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
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第1四半期連結 会計期間 |
第2四半期連結 会計期間 |
第3四半期連結 会計期間 |
第4四半期連結 会計期間 |
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売上高 | 2,446,399 | 2,647,345 | 3,168,689 | 3,468,466 |
営業利益又は 営業損失(△) |
28,411 | △13,799 | 124,602 | 118,396 |
(注)
1. 売上高には消費税等は含まれておりません。
2. 上記の四半期連結会計期間の数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく四半期レビューは受けておりません。
当社グループのサービスは、インターネット関連技術に基づき事業展開しておりますが、インターネット関連分野は新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、非常に変化の激しい業界となっております。また、広告を表示するデバイス面においては、スマートフォンやタブレットなどの端末の普及が急速に進んでおり、新技術に対応した新しいサービスが相次いで展開されております。
このため、当社グループは、エンジニアの採用・育成や創造的な職場環境の整備、また特にスマートフォンに関する技術、知見、ノウハウの取得に注力しております。
しかしながら、係る知見やノウハウの獲得が困難な場合、また技術革新に対する当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。更に、新技術への対応のために追加的なシステム、人件費などの支出が拡大する可能性があります。このような場合には、当社グループの技術力低下、それに伴うサービス品質の低下、そして競争力の低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの成長を支えている最大の資産は人材であり、優秀な人材を採用し育成することは当社にとって重要な課題であると認識しております。したがって、優秀な人材の確保と育成については最大限の努力を払っておりますが、事業内容の急速な変化、事業規模の急拡大に伴う業務量の増加、及び人材マーケットの需給バランスやその他何らかの要因により、必要な人材の確保や育成ができなかった場合、若しくは重要な人材の流出や想定以上の退職者が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業は、そのサービスを、サーバーを中心とするコンピュータシステムからインターネットを介して顧客に提供しております。これらのサービスにおいては、システムの増強やバックアップ体制の強化など安定稼動のために常に対策を講じておりますが、機器の不具合、自然災害、想定を超える急激なアクセス増、コンピュータウィルス等によりコンピュータシステムや通信ネットワークに障害が発生したり、不正なアクセスによりプログラム等の内容が改ざんされた場合、サービスの停止を余儀なくされる他、状況によっては顧客からの信用が低下したり損害賠償を請求されたりするなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの収益は、当事業年度時点において、創業期から経営資源を集中してきた主力事業である「GenieeSSP」に依存しております。現在、アドテクノロジー領域からマーケティングテクノロジー領域へ、「GenieeSSP」の持つ膨大な広告配信関連データや顧客基盤、これまで培ってきた広告運用ノウハウを活かし、「GenieeDSP」や「GenieeDMP」、マーケティングオートメーション「MAJIN」等へ事業領域の拡大を図ることで収益基盤の強化・拡大を図っております。今後につきましては、それら新事業の市場シェア拡大を図るとともに、新機能・新規サービスの開発にも取り組んでまいります。
しかしながら、事業環境の変化等により、当社グループの上記施策が想定通りに進まない場合や、取引先における配信ポリシーの変更又はシステム障害等により取引量等が減少した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
本書提出日現在において、当社グループは、当社議決権を34.89%所有するソフトバンクグループインターナショナル合同会社を含むソフトバンクグループに属しております。ソフトバンクグループは、「国内通信事業」「スプリント事業」「ヤフー事業」「流通事業」「ARM事業」「その他事業」を行っており、そのなかで当社は、「ヤフー事業」に持分法適用会社として属しております。また、当社の取締役5名のうち1名は、その豊富な経験に基づく経営体制の強化等を目的として、ソフトバンクグループから招聘したものであります。その者の氏名ならびに当社、ソフトバンクグループにおける主な役職は以下のとおりであります。
当社における役割 | 氏名 | ソフトバンクグループにおける主な役割 |
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取締役(非常勤) | 藤平 大輔 | ソフトバンク株式会社 法人事業統括 法人事業戦略本部 デジタルマーケティング事業統括部 統括部長、SBギフト株式会社 代表取締役、 SBアド株式会社 取締役、株式会社ジェネレイト 代表取締役CEO |
当社における役割 |
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取締役(非常勤) |
氏名 |
藤平 大輔 |
ソフトバンクグループにおける主な役割 |
ソフトバンク株式会社 法人事業統括 法人事業戦略本部 デジタルマーケティング事業統括部 統括部長、SBギフト株式会社 代表取締役、 SBアド株式会社 取締役、株式会社ジェネレイト 代表取締役CEO |
平成29年3月期における当社グループのソフトバンクグループ(注)との取引総額は、3,084,430千円(当社グループの売上に占める割合は26.3%)、費用に係る取引総額は227,474千円(当社グループの売上原価と販売費及び一般管理費に占める割合は2.0%)であります。ただし、ソフトバンクグループの事業方針等によりこれらの取引条件が変更された場合、今後大幅な取引条件等の変更が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)「ソフトバンクグループ」は、ソフトバンクグループ株式会社とその子会社のヤフー株式会社及びソフトバンク株式会社を意味しております。
当社グループは、シンガポール、ベトナム、インドネシア、タイ等に子会社を有しており、アジア地域でインターネット広告事業を展開しております。海外事業は、当社グループの将来の成長投資と位置づけており、今後も適宜事業を展開してまいりますが、各国特有の商習慣や政府規制等に対応できない等により事業の推進が困難になった場合には、投資を回収できず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは事業方針に則り、インターネット関連の企業に対して、主に投資先企業と当社グループとの事業上のシナジー効果等を期待して投資を実行しております。なお、当社グループは、投資先の財政状態の悪化により、第7期に、貸倒引当金繰入額33,657千円、投資有価証券評価損59,850千円及び減損損失46,664千円を計上、また、第8期第2四半期連結累計期間に、投資有価証券評価損275,653千円を計上するに至っております。これに対し、当社グループは、投資管理規程を制定し、投資意思決定及び投資先モニタリングに係る社内管理体制を整備・強化し、損失発生リスクの低減を図っております。しかしながら、投資先企業の今後の業績の如何によっては、これらの投資が回収できなくなることや減損会計適用による評価損が発生することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、第三者の知的財産権侵害の可能性については調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループのサービスにおいて、知的財産権侵害の可能性を完全に把握することは困難であります。何らかの事情により当社の保有する知的財産権について、侵害があった場合もしくは他社の知的財産権を侵害し、差止請求もしくは損害賠償請求を受けた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
インターネットを規制する国内の法律として「個人情報の保護に関する法律」があります。当社グループは、SSP、DSP、DMP等のサービスのプラットフォームを通じて、Cookie(クッキー)技術を利用し、当社と提携するウェブサイトを閲覧したユーザーの行動履歴(アクセスしたURL、コンテンツ、参照順等)等を取得することがあります。
現時点では当社グループの事業の阻害要因になっておりませんが、今後、インターネット広告に関するサービスを提供するうえで新たな法律の制定や既存の法律が改正されたり、自主規制が求められたりした場合には、サービスの提供が制約を受け、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しており、内部管理体制の充実に努めております。しかしながら、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、内部関係者の不正行為等が発生しないよう、国内外の法令・ルールの遵守及び定期的な内部監査等で遵守状況の確認を行っております。しかし、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為が発生する可能性は皆無ではないため、これらの事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、顧客に提供する価値を担保するために、当社が配信する広告に係る品質管理の徹底が重要な課題であると認識しております。具体的には、不正な広告表示、錯誤を誘発する広告表示及び違法コンテンツを掲載するインターネットメディアへの広告配信の監視、また、成人向け広告の取り扱いに関する社内方針を定め、該当する広告取引の減少に努めております。しかしながら、万一、予期せぬ要因により、これらの対応に不備が生じた場合、顧客への損害補填が必要となる等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の代表取締役社長である工藤智昭は、当社の創業者であり、創業以来の最高経営責任者であります。同氏は、インターネット広告におけるサービスの開発技術及びそれらに関する豊富な経験と知識を有しており、技術的判断、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。
当社グループでは、取締役会や経営会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は平成22年4月に設立された社歴の浅い会社であります。現在まで、収益について成長を継続しておりますが、インターネット広告業界を取り巻く環境はスピードが速く流動的であるため、当社グループにおける経営計画の策定には不確定事象が含まれざるを得ない状況にあります。また、そのような中で過年度の財政状態及び経営成績からでは今後の業績を予測するには不十分な面があります。
当社グループの事業活動に必要なサーバーについては、自然災害、事故等が発生した場合に備え、外部のデータセンターの利用や定期的バックアップ、稼働状況の監視等によりシステムトラブルの事前防止又は回避に努めております。万一、当社本社の所在地である東京都において大地震や台風等の自然災害や事故等により、設備の損壊や電力供給の制限等の事象が発生した場合、当社が提供するサービスの継続に支障をきたす場合があります。また、損害を被った設備等の修復や被害を受けた従業員に対する補償等の費用が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が計画している公募増資による調達資金については、既存事業の拡大に係る人件費、その採用費、広告宣伝費及びサーバー関連費用に充当する予定であります。
しかしながら、当社グループが属する業界においては変化が著しく、環境変化に柔軟に対応するため、調達資金を現時点における資金使途計画以外の使途へ充当する可能性があります。
また、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定していた投資効果を上げられない可能性もあります。
当社は、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。
しかしながら、現時点では配当を行っておらず、また今後の配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。今後の株主への剰余金の配当につきましては、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針です。
当社は、当社取締役及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとしてストック・オプションを付与しているほか、今後も優秀な人材確保のためストック・オプションを発行する可能性があります。
これらのストック・オプションが権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する1株当たりの株式価値を希薄化させる可能性があります。なお、平成29年10月末現在、これらのストック・オプションによる潜在株式数は1,052,250株であり、発行済株式総数(自己株式を除く)16,124,000株の6.5%に相当しております。