ERPの機能とは?基本機能の一覧を徹底解説
企業の経営資源を統合的に管理するERPは、業務効率化やコスト削減に役立つシステムです。ITシステムの駆使によって、「生産管理」「販売管理」「会計管理」など幅広い業務を効率化する仕組みが搭載されています。
ERPは企業経営の意思決定スピードを高速化するのにも役立つため、目まぐるしく変動する市場や顧客ニーズを見える化し、対応できるのも大きな魅力です。言い換えれば、ERPの機能を活用できていないと、競合の企業に先手を取られてしまうかもしれません。
この記事では、ERPの機能について初心者でもわかりやすく解説します。基本的な機能から業務に関連する機能、ERPの種類まで一挙に解説しますので、「ERPの具体的な機能を誰かに教えて欲しい」と頭を悩ませている方はぜひご参照ください。
ERPの4つの基本機能とは?
ERP(Enterprise Resource Planning)とは、複数の基幹システムがパッケージ化され、統合的に自社業務を効率化できるシステムです。ERPには、大きく分けて4つの基本機能が搭載されています。
・生産管理:生産計画~出荷までの一元管理 |
ERPの4つの基本機能について、それぞれの内容を解説します。
1. 生産管理機能
ERPの生産管理機能とは、主に製造業向けの「生産計画の立案~製品出荷」までを一元管理する機能です。需要予測に基づいた生産計画を立案、調達資材の管理、製造工程や品質管理までを含めた生産に関わるすべての業務を統合的に管理できます。
具体的に、ERPの生産管理機能では以下のようなシステムを利用できます。
・需要予測:過去の販売実績や市場トレンドを分析し、需要を予測する |
2. 販売管理機能
ERPの販売機能とは、商談や製品販売をはじめとしたさまざまな受注・売上を管理できる機能です。売上管理だけでなく顧客情報を管理できるシステムもあり、顧客の購買履歴を一元管理して、効果的なマーケティング施策につなげられる製品もあります。
具体的に、ERPの販売管理機能では以下のようなシステムを利用できます。
・受注管理:見積書作成や受注登録、納期回答から売上計上まで管理する |
3. 会計管理機能
ERPの会計管理機能は、仕訳入力や伝票処理、決算処理など、会計に関わる全ての業務を統合的に管理する機能です。会計管理機能は、スピーディかつ正確な会計処理を実現できるため、企業の経営状況をリアルタイムに把握できます。
その結果、自社の経営状況をリアルタイムで可視化しながら、素早い意思決定を行えるのが魅力です。
具体的に、会計管理機能では以下のようなシステムを利用できます。
・仕訳入力:会計伝票の入力・管理できる |
4. 人事管理機能
人事管理機能は、社員情報管理や勤怠管理、給与計算や人事評価など人事に関わるすべての業務を統合的に管理する機能です。人事管理機能を活用すれば、社員の情報を一元管理できるため、人事戦略の立案や人材育成の効率化を実現できます。
たとえば、社員のスキルや経験をデータベース化し、最適な人材をプロジェクトごとに配置することも可能です。
具体的に、人事管理機能では以下のようなシステムを利用できます。
・社員情報管理:社員の基本情報(氏名、住所、生年月日など)や人事異動情報を管理できる |
ERPの業務機能一覧
ERPには、各業務を効率化するための機能が多数搭載されています。具体的なERPの業務機能は以下の通りです。
・生産管理 |
ここでは、各工程でどのような業務を効率化できるのか、ERPの業務機能について解説します。
生産管理
ERPの生産管理機能には、効率的な生産を行うために欠かせない機能が多数搭載されています。具体的には、「いつ、何を、どれだけ作るかの生産計画書の作成」「製品コストの原価や変化推移を一元管理」「受注から納品までの進捗状況を一元管理」「歩留まり率や異常品など、品質に関するデータを管理」などの業務を効率化できます。
特に受注生産型の企業では、顧客の要望に応えつつ、効率的な生産を行うために欠かせない機能です。ERPの生産管理機能を活用することで、製造現場の課題を解決し、生産性を向上させられます。
販売管理
ERPの販売管理機能は、製品やサービスの販売活動を効率化し、売上向上をサポートするための機能です。具体的には、「受注から出荷、請求までの見積書作成を自動化」「売上実績を計測して地域別・商品別の多角的データ分析」「販売予算等の管理」などの業務を効率化できます。
さらに、BIツールと連携すればより詳細な分析や、見やすいレポートを作成できます。ただし、販売業務の進め方は業界や企業によって異なる場合があります。ERPの業務機能が自社のやり方に合っているか、事前に確認することが重要です。
会計管理
ERPの会計管理機能は、財務報告や経費管理など、企業の財務状況を正確に把握して経営判断を支援するための機能です。具体的には「賃借対照表や損益計算書など決算書の作成」「経費の支払いから販売実績の自動仕訳」「経費申請等の管理」「会社の売上や在庫等の経営状況をグラフ化」などの業務を効率化できます。
たとえば、決算書等の作成では会社法や金融商品取引法に基づいた書類を簡単に作成できます。経費の申請者や承認などのワークフローも一元管理できるほか、会社の売上・在庫状況のデータを集約してグラフ化できるのもポイントです。
従来ではデータの集計・グラフ化に時間がかかっていた経営分析の作業も、ダッシュボードひとつで可視化できるため、経営状況を可視化してスピーディな意思決定・財務状況の健全化を目指せます。
予算管理
ERPの予算管理機能は、予算の策定や執行状況の管理、実績分析を行って経営目標達成に向けた予算管理を支援するための機能です。具体的には、「部門別やプロジェクト別の予算計画書の作成」「予算の差異分析やシミュレーションで正確性を高める」「予算配分の実績や目標の達成状況確認」などの業務を効率化できます。
部門別やプロジェクト別など、さまざまな切り口で予算を設定し、実績との差異を分析することで、予算の効率的な活用や問題点の早期発見につなげられます。また、予算シミュレーション機能を活用すれば、将来の経営状況を予測して戦略的な予算策定を実現できるのも魅力です。
データに基づく適切な予算配分で、効率的に企業としての成長力や競争力を高められます。
顧客関係管理
ERPの顧客関係管理(CRM)機能は、顧客情報の管理や顧客分析を行い、顧客ニーズに応じたマーケティング戦略や営業活動の立案を支援するための機能です。具体的には、「顧客の属性や購入履歴を一元管理」「問い合わせ履歴を一元管理して顧客対応の質向上」「顧客のセグメントに分けて最適なアプローチを実施」などの業務を効率化できます。
顧客関係管理の業務をERPで効率化すれば、顧客一人ひとりに最適なアプローチができるようになるため、成約率アップや企業成長につなげられるのが魅力です。顧客の満足度を向上する効果も期待できるため、LTV(顧客生涯価値)を最大化できるなど、売上拡大にも貢献します。
人事管理
ERPの人事管理機能は従業員情報の管理や給与計算、人事評価など、人事情報の一元管理・戦略的な人材活用を支援するための機能です。具体的には、「従業員のスキルや評価履歴を一元管理する」「役職等に基づく給与計算の効率化」「勤怠状況を把握して労務環境の改善」「プロジェクトごとに適切な人材のアサイン」などの業務を効率化できます。
勤怠情報を一元管理すれば残業時間等を元に給与計算を自動化できるため、人事担当者の負担も軽減できます。また、採用人材や各種人材のスキルを一元管理することで、情報共有をスムーズに行い、プロジェクトに適した人材を配置できるのも魅力です。
ほかにも、「有給取得ができていない」「残業時間が超過しそう」などの社員がいれば本人・上長・人事担当にアラートが通知されるなど、労務状況を改善する業務も効率化できます。
ERPのシステム管理機能一覧
ERPの機能には、これまで紹介した仕組み以外にも、システムやセキュリティ面を効率化するためのさまざまな機能が搭載されています。幅広い業界で活用できる仕組みのため、ERPを活用する際はシステム管理機能も有効活用するのが理想的です。
具体的に、ERPのシステム管理機能で活用できる仕組みは以下の通りです。
・セキュリティ機能 |
ここでは、代表的なERPのシステム管理機能を詳しく解説します。
セキュリティ機能
ERPは企業の機密情報や個人情報を扱うシステムのため、強固なセキュリティ機能が充実しています。ERPの代表的なセキュリティ機能は以下の通りです。
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上記以外にも、ERP製品によっては、二段階認証やワンタイムパスワードなどの高度な認証機能が搭載されています。また、ウイルス対策ソフトとの連携機能など、さまざまなセキュリティ対策機能が搭載されている場合があります。
ERPを選ぶ際には、自社のセキュリティ要件に合った機能を備えているか、しっかりと確認することが重要です。
バックアップ機能
ERPのバックアップ機能は、企業の命綱ともいえるデータを守り、安心してビジネスを継続するための重要な役割を果たします。ERPの代表的なバックアップ機能例は以下の通りです。
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人的ミスやシステムトラブル、災害などからデータを保護して、データ損失のリスクを軽減できます。業務の継続性を高めるBCP対策としても、ERPのバックアップ機能は必要不可欠です。
CRM/SFAの連携機能
ERPとCRM/SFAの連携機能を活用すれば、顧客情報や営業情報をシームレスに共有し、より効果的な営業活動や顧客対応を実現できます。
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ERPは、すべてのツールにCRM/SFA機能が搭載されているとは限りません。場合によっては、自社で活用しているCRM/SFAに非対応の可能性があるのも事実です。
そのため、自社のシステムに対応しているかどうか、必要に応じて新しいCRM/SFAを導入するなどの選択が求められます。
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ERPの種類一覧
ERPにはさまざまな機能があるものの、実際にすべての機能が搭載されているとは限りません。製品によっては、大きく分けて「コンポーネント型ERP」「統合型ERP」と2つの種類が存在します。具体的な違いは以下の通りです。
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ここでは、ERPの種類について、機能性の違いを解説します。
コンポーネント型ERP
コンポーネント型ERPは、必要な機能だけを選択して導入できるのが魅力です。それによって、「初期費用を抑えられる」「自社の業務プロセスに合った機能だけ導入できる」「ある程度の柔軟性でカスタマイズできる」などのメリットが得られます。
企業規模に関係なく、中小企業でも導入しやすいのが魅力です。一方、システムを追加していく過程でいくつかの機能が重複してしまったり、管理コストが肥大化してしまったりする点が懸念点としてあげられます。
統合型ERP
統合型ERPは、企業経営に必要なすべての機能が統合されているのが特徴です。それによって、「データの一元管理が容易」「システム構築や業務連携がスムーズ」「分析がしやすく素早い意思決定が容易」などのメリットが得られます。
ただし、すべての機能が搭載されている反面、初期費用は高額になりがちです。自社の業務プロセスに合わない機能が含まれる可能性もあるため、活用しないシステムが含まれていると費用対効果を発揮しにくくなってしまいます。
まとめ
ERPの機能は、企業の基幹業務を効率化するだけでなく、各業務を一部、自動化して生産性の向上に貢献できます。さらに、データの一元管理によって集約・分析も行いやすくなり、経営のスムーズな意思決定を実現できるのも魅力です。
とはいえ、ERPにはいくつかの種類があります。自社の業務プロセスと合致しているか振り返ったうえで、課題やニーズにあわせて適切な機能・種類を選択することが大切です。
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