意味のない広告と意味のある広告を明確にするアトリビューション分析
インターネットの広告代理店として
サイバーエージェント社が誕生したのが、1998年です。
当時はユーザーのクリックで課金する、
成果報酬型のWEB広告が画期的だと言われました。
それから数年の間で日本はインターネット黎明期に突入し、
2016年現在は、DSPなどに代表されるアドテクノロジーの台頭により、
WEB広告は複雑化の一途を辿っています。
テクノロジーの進化は様々なマーケティング手法を生み出しましたが、
一方で問題も抱えています。それは・・・
「効果測定をどのようにするのか?」といった問題です。
複雑なマーケティング戦略を実行していく上で、
結果として、この広告は「意味のない広告」だったのか?
「意味のある広告」だったのか?
明確に測定できるか否かは重要なことです。
今回は、そんな問題に対する一つの解=アトリビューション分析について理解を深めましょう。
1.アトリビューション分析って何?
アトリビューション分析を端的に述べると、
直接CVだけではなく間接CVも考慮して、広告の評価を行う分析手法です。
では、直接CVと間接CVとは何か?という話ですが、
複数のマーケティング施策が併走している時、
最後に見たバナー広告でCVした(直接CV)としても、
その前にリスティング広告をクリックしてランディングページを見ていたら、
その影響もあるはずです。
つまり、リスティング広告は間接的にCVに関わっています。(間接CV)
あるいは、すでにリスティング広告をクリックして
ランディングページを見ている時点で、
すでに購入を決めていたのかもしれません。
その時は時間がなく、たまたま後日バナー広告をクリックしてCVしていたとしたら、
直接CVとして計測されたバナー広告の影響度は低いと言えます。
アトリビューション分析は、
複数のマーケティング施策が、どの程度CVヘ貢献したか?を明確にして
評価を行う分析手法です。
こちら詳しく見ていきましょう。
2. アトリビューション分析が広告効果を明確にする
WEBマーケティングにおいて、広告の指標となるのは、
多くの場合”クリック”や“CV”です。
そしてCVにおいては、現在でも直接CVが重要視されます。
最後にユーザーがクリックした広告で発生したCVは何件か?
ということが一番重要だとされております。
直接CVを見るのが一番わかりやすい一方で、
本来は発生しているであろう広告の複合的な効果は無視してしまっているとも言えます。
例えばリスティング広告経由でランディングページに接触して、
課題喚起されたかもしれないし、動画広告で商品理解を深めたかも知れません。
このように、CVが発生しなかった広告にも、複合的な効果があるはずです。
しかし、一方で分析すらしないで効果を語ることは、
絵空事だと言われても仕方ありません。
そこで、アトリビューション分析でCVしたユーザーの流入経路を辿り、
各タッチポイントのアクションを可視化すれば、
「意味のない広告」と「意味のある広告」を明確にすることができます。
アトリビューション分析によって、
間接的な広告効果がより明確に測定できるようになったのです。
3. アトリビューション分析を活用できる事例
ここでは「ネイティブアド」「DSP広告」の2つのマーケティング施策を
同時並行で走らせている場合です。
アトリビューション分析を活用し広告効果が明確になる事例をご紹介します。
下記のAを見ると、ネイティブアド単体ではCPA12,000円と高い結果です。
アトリビューション分析をせずに、ネイティブアドだけ見ると、
効果が合わなそうだからやめるという判断も考えられます。
A:ネイティブアド(CPA 12,000円)
B:DSP広告(CPA 10,000円)
C:ネイティブアド → DSP広告(CPA 8,000円)
しかしアトリビューション分析をすると、
CPA10,000円だったDSP(B)は、
実はネイティブアドと組み合わせると、
CPA8,000円に下がっていることがわかりました。(C)
このことから予想されるのは、
ネイティブアドがユーザーの課題喚起、
ないしは商品理解の促進をしたことで、
DSP広告の効果が上がったということです。
このようにアトリビューション分析を駆使することで、
広告効果を明確にでき、さらなるマーケティング施策全体の
最適化を計ることができるのです。
まとめ
アトリビューション分析のベースにある考え方は、
複数の広告効果を明確にする点にあります。
しかし、使う人によっては「直接CV以外の効果がある」を、
広告効果が悪かった時の言い訳に用いてしまうケースも考えられます。
アトリビューション分析をするならば、
「直接CV以外の効果がある」で終わるのではなく、
直接CV以外にどのような間接効果があり、
どのようにCVに影響を与えているのかまでを明確にすることが大切です。