営業に必要とされる9つのスキルとスキルアップを目指す方法とは
営業は、個々のスキルが顕著に成績に表れる職種といわれています。個人のスキルや経験によって、成績に差がつくことも珍しくありません。
そのため営業の方は、商談を成功に導くべく、さまざまなスキルを身につけようとしている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、営業に必要とされる能力と、スキルアップを目指すために必要なことをご紹介します。
営業に必要とされるスキルとは?
ここでは、営業に必要とされることの多いスキルについてご紹介します。
コミュニケーション能力
営業にとって不可欠とされているのが、コミュニケーション能力です。初対面の顧客と話す機会が多い営業は、優れたコミュニケーション能力が求められます。
営業におけるコミュニケーション能力とは、いわゆる「話すのが得意」といった社交性や対話能力とは異なるものです。営業活動では、顧客といち早く信頼関係を築くことが重要となります。?
たとえば、経営の課題を抱えており、早めに解決策を見出したい顧客がいたとします。顧客の課題を正確にヒアリングするためには、まず相手の信頼を勝ち取らなければなりません。顧客を尊重することで、「この人なら話を聞いてもらえる」と打ち解けられる能力が、営業に必須のコミュニケーション能力とされています。
顧客との信頼関係をいち早く構築できるようになれば、相手の意図を速やかに汲み取り、隠れたニーズを引き出しやすくなります。
ヒアリング能力
営業は、自社の商品・サービスを強く売り込むだけでは成約が期待できません。顧客の課題をきちんと聞き出す「ヒアリング能力」が必要です。?
多くの顧客は、自分の課題をしっかり聞いて理解してもらえれば、満足度が向上します。こうした背景から、営業にはヒアリングの段階で、顧客の課題を引き出す能力が必要とされるのです。
顧客へ丁寧にヒアリングを行い、相手の信頼を勝ち取れば、商談で成約に至る流れを勝ち取りやすくなります。まずは相手の話に耳を傾け、信頼を得られるように動くことが大切です。
分析能力
分析能力とは、与えられた情報から、新しい有益な情報を導き出すための能力のことです。営業活動において、分析能力が役立つことは少なくありません。
例として、顧客に「何を提案すべきなのか」を導き出すためには、アプローチしている時点で持っている情報を分析する必要があります。
顧客に提案すべき商材は、顧客が抱えている課題によって変わってきます。顧客の口から語られる課題がすべてとは限りません。ヒアリングした情報を営業自身が分析し、ベストと思われる解決策を導き出すことが重要です。分析の結果から仮説を立てて提案していくことが求められます。
課題発見力
顧客は、自分が抱えている課題を自覚しているとは限りません。そのため、営業には顧客自身が気付いていない課題を見つける力が求められます。その後、適切な商材を提案するためにも、まず顧客の課題を発見する力は非常に重要です。
上記のとおり、営業にヒアリングする力は不可欠ですが、ヒアリングした内容から顧客の課題を発見できなければ適切な提案はできません。また、ヒアリングした内容を分析するだけでは不十分です。
「顧客は自分の課題を言語化できていない」ということを強く意識して、「こういったことでお悩みでは?」と営業側で誘導していくことが大切です。言語化できていなかった課題を提示された顧客は、営業に対して強い信頼感を持つようになります。
クロージング能力
クロージング能力とは、顧客にとって最適な提案を行える能力のことです。ヒアリングした内容や分析結果から顧客の課題を顕在化させ、その課題を解決に導く提案をする必要があります。
発見した課題から顧客が求める提案につなげるためには、徹底した顧客目線が重要です。単に商材を提案するだけではなく、伝え方や見せ方にも配慮する必要があります。その点で、分析能力や課題発見能力とクロージング能力は分けて考えなければなりません。
顧客の情報を収集すると、顧客の思考や、求めているものが分かりやすくなります。顧客のニーズが本当はどこあるのかを見極め、適切な提案をすることができれば、成約につなげられるでしょう。
タイムマネジメント能力
タイムマネジメント能力とは、営業活動のスムーズな遂行を目的に、限りある時間を有効活用するスキルです。限られた時間のなかでより多くの商談を成立させるためには、タイムマネジメント能力を向上させる必要があります。
営業の業務はもともと多岐にわたりますが、近年ではインターネットの普及により顧客との接点がさらに複雑化しています。営業はそれぞれの接点を管理し、顧客と適切なコミュニケーションをとらなければなりません。そのため、時間を有効活用して業務を処理する能力が求められているのです。
時間を無駄にしないためには、まず営業活動に関するプロセスを逆算します。そしてプロセスごとに適した時間配分を行うことで、スムーズな営業活動を行えるようになるでしょう。
近年では、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で使えるツールも充実しています。移動時間などに雑務を済ませることで、より時間を効率的に使えるでしょう。このことから、ツールの使い方に習熟することも重要と言えます。
ロジカルシンキング能力
ロジカルシンキング能力とは、物事を論理的に考えられる能力のことです。ビジネスにおいては、ほとんど多くの場面でロジカルシンキング能力が求められます。営業においても例外なく必要です。
例として、商談において商材の魅力を訴求するためには、論理的で説得力のある説明をする必要があります。また、顧客との間でトラブルが起きた際も、スムーズな解決のためにはロジカルシンキング能力が必要です。
交渉力
営業は、スムーズにクロージングするケースばかりではありません。顧客と交渉が求められることもあります。
例として、顧客から現実的ではない納期や値引きを要求されることも考えられます。そうした場合に顧客の要求をすべて聞き入れていては、自社にとって不利益になるだけです。その一方で、単に拒否して失注になるのも好ましくありません。顧客の要求を可能な限りクリアし、自社にとっても負担にならない折衷案を提案する力が求められます。
マーケティング能力
マーケティング能力も現代の営業担当には必要です。
売上の拡大のためには、新規のリードを獲得しなければなりません。マーケティング能力を培い、さまざまなアプローチの手法を知っておけば、既存顧客との対応で時間がないなかでも効率的に新規のリードを獲得できます。また、マーケティングで一般的なフレームワークが、営業活動においても役立つケースは少なくありません。
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営業スキルを身につけるために心がけること
売り上げを上げるためには、営業に必要となるスキルを身につけたり、スキルアップを心がけたりすることが大切です。ここでは営業がスキルアップのために心がけておきたいことをご紹介します。
謙虚な姿勢を忘れない
営業には、前向きなコミュニケーションスキルが必要とされますが、謙虚な姿勢を忘れないことも大切です。自信を持つのはいいですが、謙虚で客観的に物事を見られない人は、失敗をしてしまう可能性が高いでしょう。
特に営業は常に新しい知識が求められます。これは社会状況によって、営業活動のあり方を変えなくてはいけないからです。そのためには、周囲と意見交換したり、上司や同僚などからアドバイスをもらったりして、新しい考え方などを身につけていきましょう。
自分に自信がありすぎると、実力を見誤ってしまう原因になります。周囲の意見を聞き入れないような態度でいれば、孤立してしまう可能性もあるでしょう。
常に謙虚な姿勢を忘れなければ、周りのアドバイスも受け入れることができ、自分に足りなかった部分にも気づける可能性があります。そして足りない部分を補っていくことで、スキルアップにつながるでしょう。
自社製品を好きになる
成果をあげる営業になるには、自社製品を好きになることも大切です。自社製品を好きになるには、製品のことを知らなくてはいけません。こうして調べた知識が、顧客に説明する際に役立つでしょう。
また、自社製品やサービスをユーザー目線で見たり、使用したりすることも大切です。自分で使ったことのない製品を勧められても、顧客の心には響かないでしょう。
まずは自分が使ってみて好きになることで、自然とその熱意や感動が顧客に伝わるのです。
ポジティブに考える
営業として仕事をこなすには、ポジティブであることが大切です。営業とノルマは切っても切れない関係です。営業には売り上げ目標が課され、それをクリアすることが求められます。
さらに、契約やアポイントメントがとれない状況が続いたり、クレームなどで顧客との人間関係に悩んだりする時期もあるでしょう。
こうした出来事が続いたとき、ネガティブな思考ではモチベーションやパフォーマンスが落ちてしまいます。そのため、ポジティブに考えることが、営業には求められるのです。
ポジティブに考える人は、変化することを怖がりません。そのため躊躇せずに新しいスキルや考え方を身につけられるでしょう。「これが何の役に立つのだろうか」「こんなことをしても意味がない」とネガティブに考える人は、なかなか成長しません。
ポジティブな思考を忘れず、あらゆることに対して前向きに考える姿勢を持ちましょう。
顧客の成功を考える
営業は、売り上げを安定してあげることが求められますが、「何としても自社製品を売ろう!」とだけ考えていると、なかなか顧客の信頼を得ることができません。
これは売ることばかり考えて、どうやって顧客の課題を解決するのかを考えていないからです。一方的な売り込みになってしまうと、「しつこい」などと思われてしまう可能性があります。
そのため営業活動では、「売り上げをあげる」のではなく、「顧客を成功に導く」という意識を持って行いましょう。
顧客の立場に立ち、「何が課題なのか」「その課題を解決するためにはどうしたらいいのか」を考えましょう。そして、自社製品がどのように顧客の役に立つのかを伝えます。
顧客の立場に立って商談をすれば、「本当に自分のことを考えてくれている」と顧客に伝わります。その結果、顧客からの信頼を得られるようになるでしょう。
改善意識を忘れない
商談後には、振り返りを行いましょう。振り返りは商談直後に行うのが効果的とされています。商談直後は、商談に関する新鮮な記憶と感覚が残っています。振り返り、顧客の反応や声色を確認しましょう。そこから顧客の心理を考えます。こうした心理面から振り返ることで、だんだんと顧客の心理を読み取れるようになるでしょう。
また、自分の行動に対し、改善意識を忘れないようにしましょう。
「もっと効率よく売れたのではないか」「顧客との関係をさらに良好にするにはどうしたらいいのか」「業務をもっと効率化できないか」などを常に考えることが大切です。
そして、ひとつが改善しても、また次に改善すべき課題を見つけましょう。こうして日々業務を行うことにより、徐々に営業スキルのアップが期待できます。
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営業がスキルアップを目指すための取り組み
多様化する業務に適応するには、スキルアップを目指すことも大切です。ここでは、営業がスキルアップを目指すには具体的にどんなことを行えばよいのかなどをご紹介します。
自己分析を徹底する
スキルアップを目指す前に、まずは自己分析を行いましょう。「自分は何が得意で何が苦手なのか」を知ることにより、自身が改善すべき点が理解できます。?
また、自分のパフォーマンスに関するデータも知っておきましょう。自分のパフォーマンスを理解しておけば、次にどんなアクションをとればいいのか、次にどの点を改善すればいいのかが分かります。
ナレッジを共有してもらう
社内ナレッジを共有できれば、各営業が持つ知識やノウハウを知ることができます。そうすることで、営業チーム全体のスキルを高めることにつながるでしょう。?
たとえば、営業プレゼンのスキルアップを図るには、先輩のノウハウを吸収するのが手っ取り早いとされています。先輩のプレゼンに同行させてもらうことで、どんなプレゼンが効果的なのかが分かります。直接プレゼンを目にすることで自分との「違い(差)」を発見することができ、成長につながるのです。
これまで、優秀な営業のナレッジを共有するには、上記のように営業活動に同行して、ナレッジを共有することが一番の方法とされてきました。もちろん、今でもこの方法も有効ではありますが、近年ではツールを利用することで、より効率的にナレッジ共有をしてもらえるようになりました。
たとえば、オンライン商談ツールは録画ができるので、実際の商談の様子を何度も見返すことができます。
その映像を見ながら、直接営業からの指導を受けられれば、より具体的なポイントが把握できるでしょう。
セミナーに参加する
営業活動に関するスキルアップは、多くの営業が悩んでいることです。そのため、営業スキルに関するセミナーは全国でも数多く開催されています。
セミナーではプレゼンに効果的なシナリオの作り方、顧客への共感を示す方法、セールストークの仕方、クロージングの大切さなど、スキルアップにつながるさまざまなことが学べます。?
企業では、新人向けのロールプレイングを用いた研修などを社内で行うこともあります。自社でそのようなセミナーが行われていたら、積極的に参加してみましょう。
また近年では、オンラインセミナーなども充実しています。「業務が忙しくてセミナーに行く時間がとれない」「行きたいセミナーがあるが遠くて行けない」という方でも、オンラインセミナーなら気軽に参加できます。複数セミナーの受講も容易になるのでおすすめです。
目標を設定する
営業としてスキルアップしたいなら、明確な目標を設定しましょう。目標がない状態よりも目標がある状態のほうがモチベーションを保ちやすいでしょう。
目標に向かって仕事をすることで、効率的に取り組めます。
目標を設定する方法のひとつに、OKR法があります。OKRとは「Objectives and Key Results」の略語です。この方法は大きな目標をひとつ立て、それを達成するために具体的な指標を1~4つほど立てます。
たとえば大きな目標として「英語が話せるようになる」を設定したとします。これを達成するための指標には以下のようなものが考えられます。
・英単語を5,000個覚える
・英会話のレッスンを週に2回受ける
・英語の本の1冊読む など
指標となる小さな目標を設定・達成することで、モチベーションを維持しつつ大きな目標に向かって具体的な行動ができます。
周りにアドバイスを求める
自分ひとりで悩んでいると、行き詰まってしまうことも多々あります。そういうときは周りにアドバイスを求めましょう。客観的な意見を聞くことにより、自分に何が足りないのか気づくきっかけになります。
また周りが何に悩んでいるのかを聞くことで、自身の課題を解決するきっかけになるかもしれません。
さらに周りに営業成績のよい上司や先輩、同僚などがいたら、積極的に学びに行きましょう。たとえば営業活動や商談に同行させてもらい、1日の行動を観察するなどです。
日々の営業活動において心がけていることを聞くのもおすすめです。そこから有効なヒントが得られる可能性もあります。ヒントが得られたら、自分の営業活動の中で実践できるか試してみましょう。
有効な営業活動を行うには環境構築も必要
効率的で有効な営業活動を行うには、営業の個々のスキルアップだけでなく環境を整えることも大切です。
ここでは具体的にどんな環境構築が必要なのかをご紹介します。
評価・報酬制度の見直し
自社の評価・報酬制度が適切であるかの見直しを行いましょう。営業がスキルアップして成果を上げても、評価される環境が整っていないと、モチベーション低下や人材流出の恐れがあります。?
評価制度を整えることで、営業のモチベーションにつながるでしょう。また営業が「自分を高く評価してくれている」と感じれば、自社で長く働いてくれる可能性も高まります。そのため、優秀な人材の流出を防ぐことにもつながるのです。?
また、評価制度は明確で分かりやすいものにするのが重要です。社員にとって複雑で分かりにくいものであれば、何をどう頑張っていいのか分からず、困惑してしまう恐れがあります。
ちなみに、営業の評価基準としてよく用いられるのは以下の3点とされています。
成果
仕事の成果を評価するものです。成果は数字で見て分かるので、誰の目で見ても分かりやすい評価制度といえます。また、営業の成果には短期的成果と長期的成果があります。どちらか一方を評価するのではなく、バランスよく評価することが大切です。
能力
顧客のニーズに応えたり、適切な解決策を提示したりなど、営業にはさまざまな能力が必要です。これらの能力が秀でていることも、大きな評価基準となるでしょう。
姿勢
結果を残すにあたって、どのような取り組みをしてきたのかという姿勢も評価しましょう。意欲を持って業務に挑めているか、綿密な計画が立てられているか、責任感を持って仕事に向かっているかなど、仕事に対する姿勢を評価することが社員のモチベーションアップにつながります。
ITツールの活用
これからの営業活動にはITツールが不可欠とされています。ITツールをうまく活用することで、営業の効率化などを図ることができます。
営業活動において効果的なITツールには、以下のようなものがあります。
SFA
SFAは「Sales Force Automation」の略称で、日本語では「営業支援システム」と呼ばれています。顧客別の商談の進捗状況やその結果などを蓄積・管理できるシステムです。
SFAが役立つ理由はまず、「効率化」です。顧客情報や商談状況を一元管理し、リアルタイムにチーム内で共有できれば、業務効率化につながります。
たとえば、営業が訪問前に最新の顧客情報をSFAでチェックできれば、それをベースに商談が可能になります。
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CRMとは、「Customer Relationship Management」の略称で、顧客管理ツールとも呼ばれています。
顧客と良好な関係を築くのに役立つツールで、企業名、電話番号、担当者名などの顧客の基本情報から、購入履歴、問い合わせ履歴、アンケート結果などを一元管理できます。
チーム内ではもちろん、異なる部署間でも顧客情報を共有できるようになります。
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まとめ
これからの時代、営業活動はますます変化していくことが予想されます。そんな時代に翻弄されないためにも、営業として基本的なスキルをアップさせておくことが大切です。
また営業個人のスキルアップはもちろん、環境を整えることも重要です。能力に見合った報酬を支払えるような制度を整備したり、業務効率化につながるITツールを活用することで、より働きやすい環境をつくることができるでしょう。?
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